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専門家コラム:職場のポジティブメンタルヘルス~健康増進と生産性向上の両立に向けて~

【第5回】ワーク・エンゲイジメントを高めるには?(3)オフの充実が仕事の充実につながる

ワーク・エンゲイジメントを高めるための方策として、第4回では個人に向けたアプローチ、特に仕事のやりがいを高めるジョブ・クラフティングの考え方をご紹介しました。
第5回では、仕事からの疲労回復を意味する「リカバリー経験」をご紹介します。

サービス業が台頭し24時間365日切れ目なくサービスを提供する時代に移行した現在では、そこで働く人びととサービスの受け手を限りなく「オン」の状態に移行させ、「オフ」の時間を減らすようになりました。また、情報技術の進歩によって、いつでもどこでも「仕事ができる」ようになり便利になりましたが、一方で、いつでもどこでも「仕事をしなければいけなく」なりました。
このように、働く人たちを取り巻く環境や働き方が大きく変化するのにともない、職場での活性化対策でも、「いかに働くか(=オンの時間)」に注目した対策のほかに、「いかに休むか(=オフの時間)」に注目した対策も重要になってきました。

仕事中のストレスフルな体験によって引き起こされたストレス反応や、それらの体験によって消費された心理社会的資源を、元の水準に回復させるための活動のことを、「リカバリー経験」と言います。リカバリー経験のうち、心身の健康により大きな役割を果たすと言われているのが、「心理的距離」です。心理的距離は仕事から物理的にも精神的にも離れている状態であり、仕事のことや問題を考えない状態(例:仕事のことを忘れる)のことを言います。

筆者ら(Shimazu, de Jonge, Kubota, & Kawakami, 2014)は、この心理的距離を促す要因について、日本人労働者2,520人を対象とした調査データをもとに検討しました。その結果、家族や友人からのサポートが多いほど心理的距離の得点が高くなり、職場以外の人間関係が充実しているほど、仕事と心理的な距離が取りやすくなることが示唆されました。ところが、興味深いことに、職場の同僚からのサポートは、心理的距離の高さと統計的に無関係でした。つまり、職場の人間関係が良好であっても、仕事との心理的距離を高めることにはつながらなかったのです。

この結果は、人間関係のネットワークを考えるうえで興味深い示唆を与えてくれます。健康を維持しパフォーマンスを上げるには、職場の人間関係はもちろん重要ですが、それがすべてではないようです。家族や友人との良い関係がリカバリー経験を促し、心身の健康やパフォーマンスの向上につながるのです。

平日は仕事で遅く帰宅しても、せめて週末は家族や友人と過ごす時間を工夫することが、リカバリーを促し、より良い健康とより高いパフォーマンスにつながると思われます。

第6回(最終回)は、働き方改革でも注目されているワーク・ライフ・バランスを取り上げ、仕事と生活との調和が健康や生産性とどのように関係するのかを解説します。

[引用文献]
Shimazu, A., de Jonge, J., Kubota, K., & Kawakami, N. (2014). Psychological detachment from work during off-job time: Predictive role of work and non-work factors in Japanese employees. Industrial Health., 52, 141-146.

  • ※ コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。
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