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コラム

初心者でも分かるERP導入までの流れと失敗しないためのチェックリスト

公開日:2025年3月25日

初心者でも分かるERP導入までの流れと失敗しないためのチェックリスト

ERP(Enterprise Resource Planning)システムの導入は、企業の業務効率化や競争力向上に欠かせない重要なステップです。 しかし、初めての導入では多くの課題や不安を感じる企業も少なくありません。

本記事では、ERPシステム導入の流れと成功のためのポイントを詳しく解説し、特にSAP Business Oneがどのようにこれらの課題を解決できるのかを紹介します。

ぜひ次の一歩を踏み出す参考にしてください。

1.ERPとは?基本的な概要と導入の意義

ERP(企業資源計画:Enterprise Resource Planning)とは、企業活動の維持・成長に欠かせない要素である「情報」「ヒト」「モノ」「カネ」などに代表される資源をひとつのシステムでまとめて管理する仕組みや考え方のことです。

そこで、ここではそんなERPの詳しい定義や役割、ERPを活用したシステムの導入で企業が得ることのできるメリットを解説します。

ERPの定義と役割

ERPとは、企業のあらゆる部門に別れている多様な業務を横断的に一括して管理する仕組みのことです。
具体的ERPシステムでは、「経理」や「人事・労務」「情報システム」「購買・調達」から「法務」までも含んだバックオフィス業務、「営業」「マーケティング」「カスタマーサポート」といったフロントオフィス業務、「研究開発」「物流・配送」「生産管理」といった製造・生産業務といった業務の情報を一元管理します。

一方で、ERPの役割は、業務効率の向上や意思決定の迅速化を支援することです。
ERPの導入により、各部門がリアルタイムで情報を共有できる環境を整え、企業の競争力向上や経営の透明性確保にもつながります。

ERPが企業にもたらすメリット

ERPが企業にもたらすメリットには、以下が挙げられます。

  • コストの適切化
  • データの正確性向上
  • 法令遵守の強化

ERPを使うことで業務プロセスの効率化につながり、人的コストや運用コストの削減が可能になりコストの適切化へ寄与します。
たとえば、在庫管理の精度が向上することで、不必要な仕入れや過剰在庫を防ぐことができます。

また、ERPにより一元化されたデータを活用することで、複数のツールにまたがっていた各種の数値を一括で管理できるようになるため、複数のツールを使用する際に起こる入力ミスや重複を減らすことができるようになります。
そのため、業務の信頼性を高めることができるようになり、情報の整合性が保たれるメリットもあります。

さらに、会計基準や税制改正などの変化など、手作業での管理では対応が難しい最新の法規制にも、ERPのシステム更新によりスムーズに対応できるようになるでしょう。
このように、ERPにはさまざまな導入意義があります。

2.ERPシステムの種類

ERPシステムは、企業のニーズや導入環境に応じてさまざまな種類があります。
ここでは、「統合型ERPシステム」「コンポーネント型ERPシステム」「オンプレミス型ERPシステム」「クラウド型ERPシステム」の4つに分類し、それぞれの特長を解説します。

統合型ERPシステム

統合型ERPシステムとは、企業の「財務」「人事」「生産」「営業」など、主要な業務領域を包括的に統合して管理する仕組みのことです。
そのため、統合型ERPは企業全体の業務効率を高め、迅速な意思決定を支援します。

各部門のデータを一元的に扱うことで、情報の共有や業務プロセスの最適化を促進するという点が大きな特長です。
たとえば、販売データがリアルタイムで在庫管理や生産計画に反映されるため、需給バランスの調整が容易になります。

一方で、導入には多大なコストと時間がかかる場合があり、中小規模の企業よりも主に大企業や複雑な業務プロセスを持つ組織に適しています。

コンポーネント型ERPシステム

コンポーネント型ERPシステムは、特定の機能やモジュールを選択して導入することのできる柔軟なシステムです。

そのため、たとえば「まず会計モジュールを導入し、あとから人事や在庫管理のモジュールを追加する」といった対応も可能です。
このアプローチにより初期投資を抑えつつ、企業の成長やニーズの変化に応じ型にはまらないシステムの拡張を行うことができます。

また、既存の業務システムとの連携も比較的容易です。
こうした点から段階的な導入を検討している中小企業や、特定の業務領域に重点を置きたい企業に適しています。
ただし、モジュール間の統合性やデータの一貫性を確保するための設計が重要となるでしょう。

オンプレミス型ERPシステム

オンプレミス型ERPシステムは、企業が自社内にサーバーやネットワーク機器を設置し、システムを運用・管理する仕組みです。

主に、自社内のサーバーにシステムをインストールする形で使用されることが一般的です。
自社内でのみ使うことを想定していることからシステムを自由にカスタマイズすることが可能です。
そのため、企業独自の業務プロセスや要件に合わせて柔軟に対応することができます。

また、料金形態は買い切り型のものが一般的であり、多くの場合利用料などを払い続ける必要がない点も魅力の一つです。

一方で、初期導入費用は一括して支払うことから高額になることもあり、運用や保守も自社内で行わなければならないため、専門的な人材や継続的なコストが必要です。

そのため、オンプレミス型は、高度なカスタマイズが求められる企業や、自社や業界独自の基準でデータセキュリティを最優先したい場合に適しています。

クラウド型ERPシステム

クラウド型ERPシステムは、サービス提供者のサーバー上に構築されたシステムを利用する形態です。

Webブラウザーなどを通じてアクセスするため、システムの保守やアップデートはサービス提供者が行うため、運用管理の負担が軽減できます。

さらに、初期導入費用を抑えつつ迅速にシステムを利用開始でき、インターネット接続環境があれば場所を問わずアクセス可能で、リモートワークや多拠点展開にも適しています。

ただし、データが外部サーバーに保存されるため、情報漏えいやセキュリティも利用先の方法に依存する点には注意が必要です。
クラウド型は、コスト効率や導入の迅速性を重視する企業に適しているといえるでしょう。

3.ERP導入の必要性と成功のためのチェック項目

ERPシステムの導入は、企業の業務効率化や情報の一元管理を実現するために重要です。
しかし、導入を成功させるためには、事前の準備と適切なプロセスが不可欠です。

そこで、ここではERP導入成功のための主要なチェック項目を解説します。

実際にERPを利用する部門と打ち合わせを実施する

ERP導入の初期段階では、システムを日常的に使用する各部門との綿密な打ち合わせが重要です。

この工程を行わないと「必要な機能が不足する」「操作が複雑で使いづらい」「業務フローに合わない」などの事態になってしまいます。
結果として、修正コストや業務負担が増加する恐れがあります。
現場の業務フローや課題を正確に把握することで、システム要件を適切に定義することができるようになります。

たとえば、事前に営業部門では「受注管理」「人事部門」では勤怠管理など、部門ごとのニーズや問題点を洗い出すことが求められます。
このプロセスにより、導入を想定しているERPシステムが各部門の実情やニーズに合致しているかを確認しましょう。
そのため、このような工程を挟むことで導入後の運用が円滑に進む基盤を築くことができるのです。

また、現場の意見を取り入れることで、従業員のシステムに対する親和性や業務効率向上に対するモチベーションも向上し、導入後の定着率を高める効果も期待できます。

要件を定義しておく

ERPシステムの導入において、事前にシステムの要件を明確に定義することは導入の成功に欠かせません。

要件定義とは、システムに求められる「機能」や「性能」、「操作性」などを具体的に決める作業です。

これにより、導入するシステムが企業の業務プロセスや目標に適合するかを判断できます。
たとえば、「在庫管理の自動化」「リアルタイムの財務報告」「人事情報の統合管理」といったように具体的な機能の要件をリストアップします。

この要件定義が不十分だと、導入後に「必要な機能がない」「操作が複雑すぎる」といった問題が発生しかねません。
このような事態になると、追加のカスタマイズや再構築が必要になり導入までに要する時間やコストが増大してしまう可能性があります。

そのため、利用者だけにとどまらず利用部門の業務が波及する部門の状況やニーズまでも考慮したうえで要件を共有し、合意を得ることが重要です。

サポートが手厚いベンダーかを確認する

ERPシステムは導入後、システムの安定運用やトラブル対応のために、ベンダーからのサポートを受けることができるかという点は非常に重要です。

ERPシステムの形態によっては、自社で保守・運用を行う場合も想定されますが、専門的な技術や知識においてはベンダーに支援を求める場合もあります。

導入時の設定やカスタマイズだけでなく、運用中の問題解決やシステムのアップデート、ユーザー教育など、継続的な支援が求められます。
ベンダーのサポート体制を評価する際には、以下の点を確認するとよいでしょう。

  • 同業種での導入実績があるか:業界独自の特徴がある場合、対応可能か。
  • サポート窓口の対応時間:24時間対応か、営業時間内のみか。
  • 問い合わせへの応答速度:問題発生時に迅速に対応してもらえるか。
  • 技術的な専門知識:担当者がシステムや業務に精通しているか。
  • 教育・トレーニングの提供:ユーザー向けの研修やマニュアルが充実しているか。

これらの要素を考慮し信頼性の高いベンダーを選定することが重要です。
こうした点を意識することで、導入後のリスクを最小限に抑え、システムの効果的な活用を促進できます。

4.ERP導入プロセスの全体像

ERP導入プロセスの全体像

ERPシステムの導入は、企業の業務効率化や情報の一元管理を実現するための重要なプロジェクトです。

導入を成功させるためには、以下のステップを順に進めることが推奨されます。

ERP導入の大まかな8ステップ

ERP導入の大まかな8ステップは以下の順序で進めるとよいでしょう。

  1. 自社の課題感とERP導入の目的を明確にする
  2. どの領域で利用するかを明確にする
  3. ベンダーに送る提案依頼書を作成する
  4. 自社の課題を解決できるベンダーとシステムを選ぶ
  5. ベンダーと協力して要件定義を実施する
  6. システムを導入・インフラを整備する
  7. 旧システムがある場合はデータを移行する
  8. 運用のフローを随時見直す

各ステップが適切に行われているかを確認しながら、導入を進めてください。

1.自社の抱えている課題感とERP導入の目的を明確にする

まず、現状の業務プロセスやシステムにおける課題を洗い出し、ERP導入の目的を明確にすることが重要です。

たとえば、以下のようなものが挙げられます。

  • データの分散管理
  • 情報共有の遅れ
  • 手作業による入力ミスの多発
  • 業務の属人化
  • リアルタイムな経営判断の難しさ
  • 法規制対応の負担

特に業務の属人化は「2025年の崖問題」として知られているように社会問題化しており、さまざまな企業で課題として捉えられていることも多いのではないでしょうか。

これらの課題を解決するために、ERP導入によって何を達成したいのか、具体的な目標を設定しましょう。
目的が明確であれば、導入後の効果測定もしやすくなります。

また、実際にERPを導入する際は、課題の整理が難しい場合や仮に課題を整理できても、後ほど記載する提案依頼書の作成自体が難しいケースが考えられます。

導入時には、このような部分をサポートしてくれる企業かを確かめることも重要です。

2.どの領域で利用するかを明確にする

ERPシステムは多岐にわたる業務領域をカバーしていますが、一度にすべての領域を導入するのはリスクが伴います。

そのため、まずは特定の部門や業務プロセスに焦点を当て、段階的に導入を進めることも効果的です。
そのため、システムの適応状況を確認しながら、徐々に適用範囲を広げることができます。

3.ベンダーに送る提案依頼書を作成する

提案依頼書(RFP)は、ベンダーに対して自社の要件や期待を伝える重要な文書です。

RFPには、「導入の背景」「解決したい課題」「求める機能」「予算」「導入スケジュール」などを記載します。
このような情報を伝え共通認識を持つことで、ベンダーから適切な提案を受け取ることができ、システム選定の精度が向上します。
この工程は導入計画におけるプライオリティ(優先順位)に対する認識も一致させることができるようになる点からも重要です。

4.自社の課題を解決できるベンダーとシステムを選ぶ

複数のベンダーからの提案を比較検討し、自社の課題解決に最適なシステムとパートナーを選定します。

この際、システムの機能適合度だけでなく、「サポート体制」「導入実績」なども考慮することが重要です。
また、ベンダーの導入担当者やサポート担当者とのコミュニケーションの円滑さも、プロジェクトの成功に大きく影響するため意識するようにしましょう。

5.ベンダーと協力して要件定義を実施する

選定したベンダーと協力し、システムに求める具体的な要件を定義します。

要件定義では、以下の点を意識するとよいでしょう。

  • 業務フローの詳細
  • 必要な機能
  • 非機能要件(性能、セキュリティなど)
  • 導入スケジュール

このプロセスは、システムが実際の業務に適合し、期待する効果を発揮するための基盤となります。

6.システムを導入・インフラを整備する

要件定義に基づき、システムの設定やカスタマイズを行い、必要なサーバー、ネットワークなどのインフラを整備します。
特に、オンプレミス型の場合は自社内にインフラを構築し、クラウド型の場合はインターネット経由でサービスを利用します。
そのため、事前にこうした環境を整えておくことが重要です。

また、ユーザー教育やマニュアル作成もこの段階で進めておくことで、従業員が新しいシステムを円滑に利用できるようになるでしょう。

7.旧システムがある場合はデータを移行する

既存のシステムから新しいERPシステムへのデータ移行を行います。

データの正確性や整合性を確保するため、移行前にデータの不要データの削除や修正といった「クレンジング」を実施します。
また、移行後のデータ検証も重要であり、必要に応じてバックアップを取得しておくことが推奨されます。

8.運用のフローを随時見直す

システム導入後も、業務プロセスやシステムの運用状況を定期的にレビューし、必要に応じて改善を行います。
現場からのフィードバックを収集し、システムの使い勝手や業務効率の向上を図ることができるでしょう。

また、業務環境の変化や新たな課題に対応するため、システムのアップデートや機能追加を検討することも重要です。

5.ERP導入のメリット

ERPシステムの導入には、企業の業務効率化や経営判断の迅速化など、多くの利点があります。
ここでは、主なメリットを解説します。

データの一元管理が可能になる

ERPシステムを導入することで、企業内の各部門で扱われるデータを統合的に管理することができるようになります。

統合によって、情報の重複や入力ミスを防ぎ、データの整合性と信頼性が向上します。
たとえば、販売部門での受注情報をリアルタイムで在庫管理や生産計画に反映することができるようになります。
そのため、在庫の過不足を防止し効率的な生産・販売活動を実現することが可能になります。

また、「GDPR(EU一般データ保護規則)」や「電子帳簿保存法の改正」など、法制度の変更や市場の変化にも迅速に対応できる柔軟性を備えることができるようになります。

経営の意思決定スピードの向上が期待できる

ERPシステムの導入により、経営に必要な「売上データ」「コスト情報」「在庫状況」などの情報をリアルタイムで把握できるようになります。

また、データに基づく分析が容易になることで、経営戦略の定量的な分析や予測の精度が高まり、競争力の強化にもつながります。
このように、ERPシステムの導入は経営のスピードと質を向上させる強力なツールとなりえるでしょう。

6.ERP導入の課題について

ERP導入の課題について

ERPシステムの導入は多くのメリットをもたらしますが、一方でいくつかのデメリットや課題も存在します。
ここでは、「自社に合ったシステムを選定するのは困難」「導入に手間や時間がかかる」という2つの主な課題について詳しく解説します。

自社に合ったシステムを選定するのは困難

ERPシステムは多種多様であり、各製品の機能や特性、価格帯もさまざまです。

自社の業務プロセスやニーズに最適なシステムを選ぶことは容易ではありません。
適切な選定を行わないと必要な機能が備わっていなかったり、逆に機能の過剰などによってシステムの効果を十分に発揮できなかったりする可能性があります。
したがって、導入前に自社の業務要件を詳細に分析し、ERPの専門知識を持つ担当者やコンサルタントと協力して慎重に選定を進めることが重要です。

導入に手間や時間がかかる

ERPシステムの導入は、企業全体の業務プロセスを見直し、システムをカスタマイズ・設定する必要があるため、導入完了までに多大な手間と時間を要します。

特に、大規模な企業や複雑な業務・特性を持つ組織では、導入プロジェクトが長期化する傾向があります。
さらに、従業員への教育や既存システムからのデータ移行など、追加の作業も発生します。
これらの要因により、導入期間が延びるだけでなく、業務への一時的な影響やコストの増加も考慮しなければなりません。

7.SAP Business Oneの特長と導入プロセス

「SAP Business One(エス・エー・ピー・ビジネス・ワン)」は中小規模の企業におすすめのERPシステムです。

そこで、ここでは「SAP Business One」の特長や導入プロセスを解説します。

SAP Business Oneが提供する柔軟な機能

SAP Business Oneは以下のような機能や特長を有しています。

  • 複数のサービスを円滑に統合
  • 迅速かつ自由なシステム拡張
  • 直感的に把握しやすい分析機能
  • 複数の国の税制や商習慣に対応

特に、新たな機能をノーコード・ローコードで開発することができるため、高度なIT知識を有していなくても簡単にカスタマイズが可能です。
たとえば「伝票・マスタの登録画面を部署ごとに変更」「帳票作成ツールの作成」といったカスタマイズが可能です。

また、プログラムの修正はできない仕組みになっているため違法な改造からサービスを保護することが可能です。

さらに、オンプレミス型・クラウド型のどちらでも利用できる仕組みを有しているため、SAP Business Oneは幅広いニーズに対応することが可能なソリューションといえるでしょう。

SAP Business One導入の流れ

SAP Business Oneには、オンプレミス型・クラウド型の双方に対応することができます。

オンプレミス型の場合は導入する社内にサーバー環境を用意し、ユーザーの利用するPCヘクライアントソフトのインストールを行います。
一方でクラウド型の場合はサーバーがいらないため、オンプレミス型に用いられるようなサーバールームといった場所を確保する必要はありません。

また、料金形態には一括払いで購入することのできる買い切り型の「永久タイセンス(一括買取)」と、ご利用分を年間契約でご請求する「サブスクリプションライセンス」が存在します。

具体的な導入の流れは以下のように進めます。

  1. カスタマイズ要件定義を含めた「要件定義」
  2. プロトタイプの確認などを行う「適用設計」
  3. アドオン、カスタマイズ、データ移行などを行う「基本設計」
  4. 環境構築やパッケージのカスタマイズを行う「開発」
  5. 運用テストを行う「検修テスト」

また、ここまでの一貫した流れを通常、18カ月で行います。

特に、一般的なERPパッケージでは要件まで整理された状態から対応することも多いですが、SAP Business Oneでは要件定義の洗い出しから伴走してサポートする点が特長です。

さらに、日立システムズでは、SAP Business One導入に向け、「As-Is/To-Be」と呼ばれる、現在の業務プロセス(As-Is)を分析し、理想的な業務プロセス(To-Be)を設計する導入プロセスの構築が可能です。

このような点からも分かるように日立システムズによるSAP Business One導入は、ERPシステムの導入を1から任せることのできる包括的なサービスです。

グローバル対応と法規制への適応

ERPシステムは、企業の業務を統合的に管理するため、グローバル対応と法規制への適応が重要な要素です。

海外展開を進める企業では、異なる国の会計基準や税制に横断的に対応する必要があり、システムのグローバル対応が不可欠です。
また、各国の言語や通貨に対応できるシステムでなければ円滑な運用は難しく、業務効率は低下するでしょう。

このような課題感に対して、SAP Business Oneは日本語・英語・中国語を含めた28種類の言語に対応しており、現地の通貨だけでなく本国へ報告する際の通貨や取引先の決済通貨にも対応します。

また、50か国の税制や商慣習にも対応しており、未対応の場合でも現地国でのアドオンで対応可能です。

たとえば、アメリカなどの州ごとに異なる税率や、タイの源泉徴収であるWHTなどにも対応できます。
このように、SAP Business Oneはフレキシブルな運用を実現します。

8.実際の導入事例から学ぶ導入のポイント

ここでは、SAP Business Oneの実際の導入事例から導入のポイントを解説します。

導入事例1: 情報・通信業A社

とある情報・通信業A社様では「データが社内に分散している」「さらなる成長を見据えて業務プロセスを見直したい」などの課題を抱えていました。

そこで、SAP Business Oneを導入することにより社内に分散するデータの一元管理やシステムの統合を実現しました。
また、システムと並行して既存業務の見直しを実施することでさらなる成長にも耐えうる効率的な業務プロセスの構築にも成功しました。

さらに、サイボウズ株式会社の提供する業務アプリケーション開発ツール「kintone」と組み合わせることで、多様なユーザーニーズに対応するシステムの開発基盤を実現しております。

A社様は導入によって、最終的に月次決算にかかる時間を半分に短縮することに成功するなどの効率化を達成できたそうです。

導入事例2: 製造業B社

とある製造業のB社様では、「一般的なSAPは中小規模の企業にはコスト負担が大きく導入が困難」「期間システムのリプレースを円滑に行いたい」といった課題を有していました。

そこで、SAP Business Oneを導入することで、高品質な基幹システムを低コストで実装することができたのです。

また、日立システムズの長年に渡って構築されたノウハウと高品質なプロジェクトマネジメントにより、8カ月という短期間でシステム導入を実現しました。

さらに、同社にはITスタッフのリソースが限られているという問題も存在しましたが、日立システムズによる構築・運用のサポートによって安定したサービスの提供を続けています。

導入事例3: 製造業C社

機器製造業C社様では業務・拠点ごとにシステムが分断されていることが問題化していました。

そのため、余剰在庫の発生や、期限管理に限界を感じているといった課題が顕在化していたり、システムと業務運用の乖離が生じており、複雑化した仕組みのため「売価設定」や「値引対応」といった業界の商慣習が属人化している点も問題視されていました。

このような課題感があったC社様ですが、SAP Business Oneの導入によって、まず、複数倉庫を同一のシステムで管理するようになりました。

上記の取り組みにより、会社全体の在庫を逐次的に把握することができるようになり、余剰在庫の削減や期限管理を効率化したことで期限超過した製品を誤って出荷することを防ぐことができるようになりました。
また、原料の調達から製造までの一貫した費用を管理会計セグメントを用いた分析によって最適化を図るといったことも可能になったそうです。

SAP Business Oneの持つ特長 であるカスタマイズ性の高さも生かして、商慣習に対応したプロセスも設定することで、業務プロセスの標準化と統制強化を実現することができたとのことでした。

9.SAP Business Oneが選ばれる理由

ここでは、SAP Business Oneが80,000社を越える、多様な企業へ導入されている理由を「コスト」「サポート体制」といった視点から解説します。

中小企業向けのコスト効率と拡張性

SAP Business Oneは、大企業向けのERPと比較して、導入・運用コストを抑えながら必要な機能を備えている点が特長です。

中小企業でも手が届きやすい価格設定になっており、クラウド版を利用することで初期投資を抑えつつ、必要に応じて機能を拡張することができます。
また、標準機能が充実しており、過度なカスタマイズをしなくても業務を効率化できるため、コストパフォーマンスに優れています。

事業が成長した場合でも新しいモジュールの追加や拠点の増設も可能なため、小規模な導入から段階的にスケールアップすることが可能です。

こうした点から、SAP Business Oneは企業の成長戦略に柔軟に対応しながら、的確なIT投資を実現することができるでしょう。

実績が示す信頼性と長期的サポート

SAP Business Oneは、世界170か国以上、数万社の中小企業で導入されている実績があり、その信頼性の高さが証明されています。

こうした、長年の運用を通じて蓄積された知見を生かし、安定したシステム環境を提供している点が強みです。
また、リリース以来、常に5年後までの製品ロードマップを公開しており、長期的に安心して利用できる体制が整っています。

そのため、法規制や会計基準の変化などにも迅速に対応できるため、持続的な業務改善とコンプライアンス遵守に対応可能といえます。

10.まとめ

まとめ

ERPシステムは、企業の業務を統合し、効率化や情報の一元管理を実現する重要なツールです。
導入により「業務の可視化」「意思決定の迅速化」「データの整合性向上」といったメリットが得られる一方で、「適切なシステムの選定の難しさ」や「導入にかかる時間やコスト」といった課題も存在します。
成功のためには、導入前の準備や要件定義、ベンダーの選定が重要です。

特に、自社の課題を明確にし、最適なERPシステムを選ぶことが成功の鍵となるでしょう。

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