失敗事例から学ぶ基幹システム構築講座 「中堅・中小企業のSaaS・クラウド活用を考える」編
2013年4月、「TENSUITE」は、日立 製造・流通業向け基幹業務ソリューション「FutureStage」に統合しました。
※本コラムに記載の商品情報は初掲載時のものです。
(クラウド1)
「中小企業はSaaSやクラウドをどう捉えるべきか?」
昨今、SaaSやクラウドといったキーワードを頻繁に見かけるようになってきました。SaaSやクラウドが中堅・中小企業にとってどのような意味を持つか、どのように取り組んでいけばよいかについて解説します。
(2010/9/17)
筆者:(IT コンサルタント)石田 富士夫
この形態は、基幹システムは自社のサーバーで稼動させ、その他の一部の業務アプリケーションをクラウドサービスのSaaSを利用して導入、または刷新していくというものです。中堅・中小企業にとっては、基幹システムを一気に切替えるより安心感があり、リスクも限定的で済みますのでクラウドへの入門として適した形態といえます。
この例としてはEDI受注システムや営業の引合・折衝管理、スケジュール管理など、基幹システムには完全に組み込まれないが、業務として効果の有るサブシステムが候補として挙げられます。従来は自社開発か、パッケージ導入が多かったシステムですが、SaaSを利用して行う企業も増えてきています。
この利用形態のメリットは以下のように考えられます。
SaaSで提供しているサービスを利用することになりますので、ソフトウエアの開発コストや購入費は不要となります。しかし、既に開発されているソフトですので、ソフトの選定に入る前には、自社内で業務の要件をしっかりと洗い出して要求機能を具体化させておくことが大切です。また、システムを選定する際には今迄の方法にとらわれずシステムの目的・効果に着目して、検討しなければいけません。
SaaSの中にはパラメタ設定や軽度の顧客別カスタマイズに対応できるものも有りますが、システムに手を入れると結局は利用費用の増加につながります。また、システムのバージョンアップもしにくくなります。要件にSaaSを合わせるのではなく、要件が合致する範囲でうまく使ってくことが賢い方法でしょう。
利用料金はサービスを提供する企業によってまちまちですが、クラウドサービスには「利用した分だけ利用者が負担する」という基本的な概念があります。各社とも料金体系はこの考え方で設定していることが多いです。
こうすることで、最初は小規模に一部の部署から試行して、将来は全社に展開するような計画にもコスト面で対応しやすくなってきます。
SaaSは開発期間が不要となる分、システムの立上げは早くなります。しかし、上記に述べた要件の検討には妥当な期間と人材を投入して検討するべきです。
そうすることでスムースに立上げが可能となり、結果的に業務の移行が早くなります。
また、業務を行うための初期マスタやデータを設定することは、自社導入の時と変わりません。導入準備態勢は自社導入と同様にしっかりと取り組むことが大切です。
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