日立グループは、世界で深刻化する環境課題と経営方針を踏まえ、「環境ビジョン」や環境長期目標「日立環境イノベーション2050」を策定しました。これらの目標達成を加速するために、事業所(ファクトリー・オフィス)から発生するCO₂排出量について、2030年度までにカーボンニュートラル(CN)の達成をめざしています。
日立システムズグループにおいても、2030年度までに事業所(ファクトリー・オフィス)のCN達成に向けた取り組みを推進しています。主な対象となるオフィス・データセンターでは、省エネ設備への更新と再生可能エネルギーへの切り替えを実施しているほか、社用車の電動化(PHEV、EV等)をめざすなど、具体的な施策をグループ全体で計画的に実行しています。
日立システムズグループでは、持続的成長を支える経営基盤を強化するためカーボンニュートラルの達成をめざしており、日立グループとしてCN2030目標を掲げています。加えて、日立システムズグループでは個別目標として2030年度までに社用車のEV化100%を掲げており、2023年度のEV化率は6.2%となっています。引き続き事業活動における環境負荷低減を推進します。
日立システムズグループでは、2010年度のCO2排出量を基準として、2030年度カーボンニュートラル達成をめざし、削減目標と削減の見込みを算出しています。各施策推進により、2023年度は基準年度比47%削減目標に対し、59%削減を達成しています。また、2023年度の再生可能エネルギー導入率は約21%となっており、引き続き導入を推進します。
日立グループはバリューチェーンを通じたCO2排出量削減を目標にしています。日立システムズグループとしても、取引先や環境系団体からの開示要求に対応できるよう、積極的なGHG排出量算定や第三者認証取得に取り組み、脱炭素先進企業としてのブランディングや事業拡大をめざしています。2023年度は、2022年度のエネルギー使用量実績や活動量を用いて、日立システムズ単体(海外、国内グループ会社は除く)の全Scope・全カテゴリを対象としたGHG排出量算定を実施しました。
その結果、バリューチェーン全体排出量に占めるScope3排出量割合が約97%(主にカテゴリ1・11)となり、バリューチェーン排出量削減に向けては、Scope3削減が重要であることを確認できました。
2024年度は算定効率や精度の向上をはじめ、GHG削減施策の探索、算定に関わる第三者保証の取得により信頼性向上も推進する予定です。今後、日立システムズグループ全体でのGHG排出量算定と削減も進め、脱炭素社会の実現をめざします。
対象範囲
GHG排出量算定結果(2022年度実績)
※GHG排出量算定の取り組みについて、ホワイトペーパーを公開しています。
ITソリューションが環境に与える影響には、IT機器を製造、廃棄、リサイクルする段階での資源・エネルギー消費や、IT機器の電力消費によるCO2排出などの「マイナスの影響」と、ITの活用による業務効率化で資源・エネルギー消費量やCO2排出量を削減する「プラスの効果」があります。経済の発展と環境配慮を両立させるには、そのマイナスの影響を抑え、プラスの効果を高める「グリーンITの推進」が必要不可欠です。そこで当社は「グリーンITの推進」をテーマに、お客さまの環境対策を支援する商品・ソリューションを提供しています。
●エネルギー利用効率の改善
…IT機器の利用を効率化して、CO2排出量や資源・エネルギーの消費量、廃棄物排出量を抑制
●業務効率化、紙などの使用量の削減
…業務効率化により、人がオフィス等で執務を行う際に使用する紙などの資源や、オフィスの照明、空調などのエネルギーの消費量を削減
…物の保管スペースを効率化し、照明や空調などにかかる資源・エネルギーの消費量を削減
●人や物の移動の削減
…人や物の移動を効率化し移動量を削減することで、輸送にかかる資源・エネルギーの消費量を削減
日立グループでは従来の「環境適合設計アセスメント」に代わり2016年度よりグローバルスタンダードIEC62430に基づいた「環境配慮設計アセスメント」を実施しています。
IT機器の障害低減は、コンピューターシステムの有効稼働率の向上にもつながります。当社グループでは、機器のRAS(※)機能の強化、リモート保守などの実施によって、障害件数(障害率)の低減、出動件数(出動率)の低減活動を実施しているほか、当社グループの「全社CS向上会議」を通して、障害率や出動率などを管理指標として設定し、定量的評価・改善に努めています。これらの活動は機器の稼働率向上につながっており、障害による業務効率の低下が改善されています。稼働率向上のための一連の活動がCO2排出量削減などの環境負荷低減につながることから、今後も継続的に改善活動に取り組んでいきます。
指標 | 定義 | 環境との接点 |
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総出動件数(件/月) | 障害対策・点検・機器据付などで出動した件数 |
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当社が事業活動を行うオフィスとデータセンターは、電力を中心に多くのエネルギーを消費します。
当社は、省エネ法の「特定事業者」に指定されており、「エネルギー消費原単位年平均1%以上削減」の目標を継続して達成してきました。省エネ法の事業者クラス分け評価制度においても、これまでの省エネ活動が認められて省エネ優良事業者としてSクラス(最高ランク)の評価を受けており、本制度が始まった2015年度報告分から9年連続のSクラス評価となります。
また、省エネ法の報告対象である全国各地のデータセンターやオフィスのエネルギー消費の割合は、データセンターが6割、オフィスが4割となっています。
これらのエネルギー消費量を削減するために、テナントオフィスではビルオーナーと連携した節電運動を推進するとともに、データセンターでは空調機や無停電電源装置などの設備を高効率な機器に更新するなど、省エネにつながる運用上のさまざまな工夫を施しています。2030年度までにカーボンニュートラルを達成するために、さらなる省エネ施策を推進します。
クラウドの利用拡大や東日本大震災後のBCP(事業継続性)の観点から、サーバーやIT機器を集中管理するデータセンターの重要性がますます高まっています。しかし、データセンターでは高密度に集約されたIT機器自体の消費電力に加え、機器の稼働により発生する熱を冷却する空調設備があるため、多くの電力を消費します。
こうした状況を踏まえて、当社ではサーバールームの気流や冷却効率の改善を図ると同時に、電気の利用効率向上を目的に機器の配置や配管方法を変更するなど、さまざまな工夫とアイデアによってデータセンターで使用される電力の削減に取り組んできました。
環境モデルセンタ内部
また、2006年度から2015年度にかけてトータル50%の削減目標を掲げ、遮熱対策や気流改善、照明のLED化、省エネ型設備の採用などの省エネ活動を推進し、目標を達成しました。さらに、2016年度以降はサーバーの仮想化、高効率な空調機などの機器更新を推進し、削減効果を上げており継続して省エネルギー化に取り組んでいます。
当社は、事業活動に伴い生じる産業廃棄物について「適正な処理の徹底」と「処理委託先の選定」が重要と考えています。
全国で排出する産業廃棄物(主に金属類と廃プラスチック類が9割)の処理を委託するため当社との契約を締結した処理業者約50社は、いずれも優良産廃処理業者認定制度などを活用したアセスメントによってリサイクル率の高い処理業者です。また、当社は定期的に現地訪問し、継続可否を判定するなどのリスクマネジメントを図っています。
このように、優良産廃処理認定の取得や再生利用事業者の認定、ISO14001など第三者認証制度を積極的に取り入れた優良な企業とパートナーシップを結ぶことで、再資源化を推進し、「高度循環社会」の実現をめざします。
当社は、日立グループ各社とともに資源有効利用促進法に基づき、環境省の産業廃棄物広域認定を活用した「IT機器回収サービス」により、使用済みの日立製IT機器を全国各地の認定処理施設で適正に処理を行い、資源の循環利用を推進しています。この取り組みにより、2023年度は約14tの機器回収を実施しました。
日立システムズグループから排出される廃棄物は、各支社・各グループ会社の総務部門を主担当として全国各拠点を分担して管理しており、四半期ごとに排出量を集計し、まとめています。また、廃棄物の種類ごとに分類し、再資源化されるものとされないものを分け、リサイクル率を算出しています。常に廃棄物量を把握しながら、排出量の削減とリサイクル率の向上をめざしています。
2023年度実績
世界的な水資源の不足を背景に、水の使用量を管理・削減することが企業にも求められています。日立システムズでは、オフィスの生活用水や空調機の熱源として水を使用しており、特に空調機熱源に多く利用されています。近年では適切な温度設定や無駄な稼働を抑えることに加え、働き方改革による在宅勤務の活用や残業削減により、水使用の削減に努めています。
単位 | 19年度 | 20年度 | 21年度 | 22年度 | 23年度 | |
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用水使用(上水、中水) | m3 | 56,647 | 24,014 | 21,063 | 18,985 | 22,185 |
用水排出(下水) | m3 | 46,168 | 23,110 | 18,205 | 20,322 | 23,568 |
熱源使用(冷水、温水) | GJ | 36,784 | 33,938 | 31,000 | 28,432 | 27,489 |
当社では、環境マネジメントシステム(EMS)を積極的に推進しているお取引先を対象に、ISO14001などの国際的な環境認証をはじめ、京都・環境マネジメントシステム・スタンダード(KES)や民間規格であるエコステージ、エコアクション21などの日本国内の環境認証などを奨励することで、グリーン調達を進めています。
その一環として、環境に配慮した製品・サービスをお客さまに提供するために、日立製作所作成の「日立グループサステナブル調達ガイドライン」「グリーン調達ガイドライン」をお取引先へ配布して、積極的に環境保全に取り組むお取引先の拡大を図っています。
また、環境に配慮した製品を購入するグリーン調達の充実を図るため、社内事務用品・消耗品を対象としてe-sourcing(日立グループの電子調達システム)(※)を活用しています。
日本におけるグリーン購入の推進団体「グリーン購入ネットワーク(GPN:Green Purchasing Network)」の企業会員になるなど、当社では計画/準備段階を含め、10年以上にわたってグリーン購入を推進しています。
グリーン購入の対象は、当社のビジネスと関係が深い5分野(PC、プリンター・ファクシミリ、文具事務用品、印刷・情報用紙、オフィス家具)です。
また、「FSCミックス品」と呼ばれるFSC森林認証紙も採用し、お客さまへ配布するカレンダーなどに利用しています。
グリーン調達の購入対象
EUにおけるRoHS指令(※)によって、2006年7月1日以降にEU加盟国に出荷する電気・電子機器製品に対して、指定有害物質の使用が原則禁止されました。また、日本をはじめとする東アジア諸国ならびに北米諸国においてもEUと同様に、製品含有害化学物質に関する規制が強化される傾向にあります。
日立グループでは「環境CSRモノづくり」の共通ルール化と「製品含有有害化学物質管理」のための仕掛けづくりを推進しています。当社グループにおいても「環境CSRモノづくり」を社内規格化し、日立製作所と一体で、自社製品の有害物質不含有を推進しています。
「環境CSRモノづくり」は、環境保全という社会的責任を果たすために、モノづくりのライフサイクルの各プロセスにおいて環境保全上配慮すべき事項を明確にするという日立グループの独自の規定です。また、環境保全上配慮すべき事項とは、省エネルギー、省資源、リサイクル、化学物質管理、廃棄物の減量などです。
ITシステムから発生するCO₂排出量の削減に寄与するために、環境保全活動の一環として森林保全活動を推進しています。
日立システムズは、システムのコンサルティングから構築、導入、運用、そして保守まで、ITライフサイクルの全領域をカバーした真のワンストップサービスを提供します。