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講演・対談レポート
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1964年福井生まれ。
早稲田大学卒業後10年間、矢野経済研究所、マッキャンエリクソン博報堂市場調査事業部にて各種リサーチプロジェクトを担当。その後22年間、リーバイストラウス、シャネルで、リサーチ及びカスタマーリレーションを担当。2018年6月、ジャートム株式会社設立。代表取締役。2019年6月、『エビデンス仕事術』(SBクリエイティブ)を執筆出版。ふくいブランド大使。福井市応援隊所属。福井工業大学環境情報学部デザイン学科マーケティング担当非常勤講師。
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1973年福井県生まれ。
東京学芸大学卒業後、光通信、ジェイフォン、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり通信事業に従事。2010年にソフトバンクグループの後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1 期生に選考され、初年度第1位を獲得。孫社長が行うプレゼン資料作成にも参画。ソフトバンク子会社取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍したのち、2013年12月にソフトバンクを退社。独立後、『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』(ダイヤモンド社)を刊行して、ビジネス・プレゼンの定番書としてベストセラーとなる。著書は累計33万部を突破。ソフトバンク、ヤフーをはじめとする通信各社、教育関係企業・団体のほか、鉄道事業社、総合商社、自動車メーカー、飲料メーカー、医療研究・開発・製造会社など、多方面にわたり年間200社を超える企業においてプレゼン研修・講演、資料作成、コンサルティングなどを行う。
多くの企業で在宅勤務が続く中、「オンラインでの仕事には対面のときほど手ごたえを感じない...」「顔が見えないプレゼンは難しい...」「Webで検索するが、どれが有益な情報か分からない」といった声が社内から多く寄せられていました。
そこで、今回は早稲田大学の社会人教育機関「WASEDA NEO」で「オンライン顧客訪問のすすめ」等の講座を担当されている光成 章氏に講演いただき、全国から340名の従業員が聴講しました。
当日は「オンラインで役立つ仕事術」をテーマとした2部構成とし、1部は光成氏による講演、2部は前田鎌利氏との対談を行いました。
1部の講演で光成氏は、まず「Web検索の極意」としてインターネットの玉石混交の情報の中から有益な情報を探す方法を紹介しました。
光成氏は講演の冒頭で「情報は“情けへの報(しら)せ”」だと伝え、相手に決断してもらうには感情を動かす質の高い情報でないといけないと、私たちがつい忘れがちな情報の“質”について、あらためて認識させてくれました。 次に具体的な検索方法の紹介が続きます。玉石混交のインターネット上の情報を有効に活用するため、Web検索は「探す」に先立って、まず「除く」ことを提案。
Googleや統計局のパブリックデータ、CiNii、国立国会図書館などのサイト画面のキャプチャを提示しながら、さまざまな検出方法による効率的なWeb検索の方法を紹介しました。なかには光成氏の講話を聴講しながら同じような検索方法を試した受講者もいたようで、すぐに使えるスキルとして習得した方もいました。
講演の後半は「オンライン対話」について。齟齬(そご)のない対話のためには具体的な仮説、案、試作品など見える形に提示することが大切で、そうすることで相手の想像力を掻き立ててインタラクティブな会話ができると紹介。画面や実物を見せることができない場合でも、たとえ話や共通の記憶事項を使いながら相手が頭にイメージするものが自分が伝えたいことと同じになるように工夫することが大切です。そうすれば本来オンラインでは伝えられないはずの匂いや感触、味も伝えられ、“相手の感情を動かす報せ”にすることができます。
実際にオンライン対話で使える相手から話を引き出す、話を整理する方法として「空欄図解」の使い方についても講義しました。相手と対話をする際、空欄の図形を用意してそれを対話しながら一緒に埋めていくという対話方法です。代表的なものとして以下の2つの図解を紹介しました。講演では時間軸を例にお話をし、左の図は過去・現在・未来に変化があったことを聞く際、右の図は反対に過去・現在・未来に変化がなかったと答えた際に用いることがあります。こうして図を埋めながら聞いていくことによって、相手は自分の考えが見える化され、整理しながら対話することができるため聞き手側は相手が自分で気づいていなかった実態を把握することができます。さらに齟齬のない理解や、レポートの作成にも役立てることができます。
最後に専門のインタビュー調査の手法(インタビューフロー)を元にした相手からの話の引き出し方についても、レクチャーしました。オンラインの打合せはチーム戦。オンサイトでの打合せでは答えられない質問には「持ち帰って確認します」としていたことが多いと思いますが、オンラインでは別の場所にいる専門家を参画させることでその場で回答することができます。事前に質問フローやチェックポイントをまとめた対話のシナリオをつくり、進行役を含め誰が何の役割をするかを決めておけば、筋立てとおりの打ち合わせが実現します。
2部の光成氏と前田氏の対談は聴講者からの質問にお二人がお答えいただく形で進行しました。聴講者から多数の質問が寄せられましたがここではそのいくつかをピックアップしてレポートします。
――在宅勤務での職場のコミュニケーションが疎遠になりがちです。リモート対話でのコツや工夫を教えてください
前田氏)「コミュニケーションを取る上での事前情報が大事になっています。事前情報とはお互いのことをどれだけよく知っているかということ。それがない状態だとコミュニケーションが噛み合わないことも多い。雑談が大事ということはみんな分かっているが、雑談の中で相手の人となりや得意なことを取りに行くとコミュニケーションが円滑に進みやすいなと思います。」
「いろんな会社さんがコミュニケーションの機会を作ろうと工夫されています。オンラインの飲み会や時間を区切った雑談ルームなど。ですが、大事なのは機会を作った後の中のコンテンツだと思っています。オンラインは情報量が多いとすぐに相手のキャパを超えてしまう。また、オンライン会議はトランシーバーに近く、一人の方が話していると他の方は話したくて我慢してしまう。資料をシンプルに、結論はこうだとすれば話す内容も削ぎ落されていいと思います。」
光成氏)「オンラインで画面共有する資料で気を付けるのは文字は1ページに1行にすること。スマホで見る方も意識して資料を作っています。」
――ミーティングで相手の心を解きほぐすアイスブレイクはどのように心がけていますか?
光成氏)「アイスブレイクの役割の一つは喋る練習だと思っています。相手に喋らせるような質問を投げかけます。最初のうちはAですか?Bですか?というように簡単に答えられる質問からほぐしていってだんだん話せるようにしています。相手の口慣らしの練習になるのがアイスブレイクだと思っています。」
――スライドを用いたプレゼンで図形の有効な使い方を教えてください
前田氏)「思考の整理で図解を使って、その延長線上でアウトプットするんですけども、アウトプットする時には伝える内容によって伝え方が変わってくると思います。伝えるときに図解のまま、思考を整理したままのほうが伝わる時もありますし、別のスライドに置き換えてビジュアル(イラストや写真など)を添えて伝えたほうが伝わる時もあると思います。あとは対象者、誰に伝えなければいけないか。会社の中の知っている人、上層部にジャッジを求めるときには図解化されたものでシンプルに1枚で伝えるほうが分かりやすくて伝わると思います。でも、株主総会やキックオフミーティングで沢山の方に伝えたいときは整理したものをビジュアライズして伝えたほうがよっぽど感情が動いて伝わると思います。そこはどう伝えるかと誰に伝えるかで変えたほうがいいと思います。」
対談の中でお二人のお話に共通したのは、光成氏の言葉では「情けへの報(しら)せ」、前田氏の言葉では「念い(おもい)を伝える」という「相手の心に響かせる」ということです。それはオンラインでもオンサイトでも変わらない大切なことですね。
――最後に光成氏が講演中におっしゃった情報と念いについての言葉を紹介してレポートを締めたいと思います。
「相手の心に何を響かせるかというと自分がやりたいことなんです。「私はこれをやりたい」という念いをより強くしてくれたり、念いをバックアップしてくれるのが情報です。自分の念いを強くしていって、自分の念いが強ければ強くなるほど相手に伝わっていくのだと思います。」
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