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株式会社 日立システムズ

【第3章】第3回 あすな、とりあえず踊ってみる

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(マンガの続き)

プロとしての自覚

日比野が出て行ってから、あすなはナミと2人で会議室に入ってミーティングを始めた。稲尾カレッジの経営成績を改善させるための手立てを考えるためだ。
あすな:「まったく…恥かいちゃったわ…」
ナミ:「ふふふ、でもね。リトミックは子供の成長にとってもいいんですってよ?」
あすな:「私は子供じゃありませんよ!」
ナミ:「ふふふ、そうね…さて、お仕事の話をしましょう。稲尾カレッジを救うために」
ナミがそう切り出すと、あすなは思い出したかのようにため息をついた。
あすな:「でも、何も手立てなんてないじゃないですか…生徒を増やして売り上げをアップさせる案は稲尾さんが嫌がっているし、月謝を増額させることもできないし、かといってコストを削れる部分も残ってないし…」
ナミ:「どうかしら」
あすなの投げやりな声に対して、ナミはいつになく冷たく言い放った。その厳しい語調にあすなは「あれっ?」と違和感を感じたが、すぐに先ほどの口調に戻って、
あすな:「えっと…ナミさんだったら、どうしますか?」
ナミに助言を求めたが、ナミは沈黙している。いつもなら「ふふふ…」と笑いながら優しくヒントをくれるナミだが、今日はどこかツンとしたまま、うつむいている。

あすな:「…あの、ナミさん?」
ナミの顔を覗き込もうとするあすなに、ナミはキっとした視線を向けた。
ナミ:「あすなちゃん。貴方は社長に『稲尾カレッジ』のことを任されたんでしょう?だったら解決策はあなたが考えなさい」
あすな:「えっ…?でも、さっきはミーティングしてくれるって…」
ナミ:「あなたができるだけ答えを見つけようとしているなら、手伝ってあげるわ。でも、あすなちゃんは昨日から何もアイデアを出していないじゃない…これはあなたの仕事なのよ。未熟でも良い、間違っても良いから、自分なりに考えることを諦めちゃダメ…」
ナミはそう言って会議室を出て行こうとしたが、ドアの前で少し考えるようにすると、
ナミ:「あすなちゃん、…一つだけ教えてあげる。社長がすることに、無駄なことは一つもないわ」
それだけ言うと、あすなが止めるのも聞かずに会議室を出て行ってしまった。

あすな:「そんな…」
ナミに突きつけられた、自分の仕事への姿勢の甘さ。一人残された会議室で、今更ながらあすなは自分のふがいなさを恥じていた。
そして同時に、ナミが一つだけくれたヒントのことも気になっていた。
あすな:「社長がすることに、無駄なことはない…?いったい、どういうことだろう?」

再び、稲尾カレッジへ

突破口が見えないまましばらく悶々としていたあすなは、結局再び「稲尾カレッジ」を訪ねることにした。「生徒を増やす」という案に稲尾さえ賛成してくれれば、それが一つの答えになるはずだ…あすなはそこにいちるの望みを託していた。
稲尾:「どうぞ、いらっしゃい」
稲尾は優しい笑顔であすなを迎え入れてくれた。それだけで、あすなの気持ちは何となく、軽くなった。しかし、稲尾カレッジの置かれた状況には、あまり猶予がない。
稲尾:「それで、今日はどういったお話が?」
あすな:「ええ、…やはり稲尾カレッジを存続させるためには、生徒さんの数を増やすしかないと思うのです。とはいっても、人を雇うのはコストがかかりますから、まずは稲尾さんが見てあげられるギリギリのところまで、生徒さんを増やすことを考えませんか?」
稲尾:「うーん、でもこれ以上は難しいのです…ちょっと2階まで来てもらえますか?」
稲尾はそう言うと、あすなをつれて階段を登った。第2教室の前に、掲示板があり、そこには時間割が張り出されている。

稲尾:「中学1年から3年までの学年ごと、科目ごと、さらにはレベル分けもしていて、毎週15コマの授業が入っています。毎日遅くまで授業をやって、翌日は朝から授業の準備をするのです。実力テストの採点や定期テストの範囲の研究なども時間がかかります。クラスをこれ以上増やしたら、身体が持たなくなってしまうんです」
あすな:「本当だ…すでにぎっしりなんですね」
稲尾一人でこれ以上の売り上げを稼ぐには、一クラスあたりの人数を増やすしかない。そのためには広告を打つことが必要だが、広告に見合った効果がでる保証はない。この街の中学生の人数は、そもそも限られているのだ。
あすなは何となく、扉ののぞき窓から見える教室に視線を送った。誰も居ない教室と言うのは、何でこんなに寂しいんだろう。

稲尾:「あ…今日の1限目があと1時間くらいで始まるんですが、よかったら見学して行かれますか?」
稲尾からの何気ない提案。そのとき、あすなの脳裏に、何か手がかりらしきものがよぎった。
あすな:「あと1時間で…?」
稲尾:「ええ、部活を引退した3年生たちが来るのが1限目、17時からです。最後の3限が終わるのが21時30分。元気な生徒たちを相手するのは、なかなか大変なんですよ」
稲尾が生徒一人ひとりの顔を思い浮かべるようにしながら話しているのを、何となく聞きながら、同時に頭の中で必死に思いをめぐらせているあすな。
そしてついに、あすなは一つの解決策を思いついたのである。

あすな:「稲尾さん…わかったかも!」
稲尾:「えっ?」
あすな:「この塾は全然『ぎっしり』じゃないんです!」
稲尾:「…どういうことですか?」
稲尾が顔中で「?」を表現しているのを、あすなは気にも留めず、
あすな:「すいません…ちょっと確かめたいことがあるので、授業の見学は、また今度にしても良いですか?」
そういい残すと、あすなは階段を駆け下り、急いでビジネス・キューピッドへと戻っていった。

ついに見えた突破口!?

オフィスに帰ると、ナミが応接室のコーヒーを片付けていた。
ナミ:「あら、あすなちゃん。お帰りなさい」
あすな:「はい…あの、社長は?」
あすなはそう聞きながら、ナミがまだ厳しい表情を崩していないことに、内心げんなりした。
ナミ:「丁度いま出て行ったわ。今来ていたお客さんと飲みに行くそうよ…何かあった?」
あすな:「…ええっと、実は社長に聞きたいことがあったんです。今日の午前中に行かされたリトミック教室のことで…」
そこまで言うと、ナミの眉毛がぴくっと動いた。
ナミ:「水野麗子さんのことね…?」
あすなが「はい…」と言うと、しばらく考えていたナミは「まぁ、大目にみましょう」と、やっと笑顔を見せてくれた。
ナミ:「…どうやら何か思いついたみたいね。聞かせてくれるかしら?」

つづく

【クイズ問題】

どうやらあすなは稲尾カレッジを救う道を見つけ出したようです。実は大手の学習塾や通信教育の業界でも、少子化などが原因となって非常に難しい経営を迫られています。少子化というと国会でも盛んに対策が議論されているとても重要な問題ですが、いっぽうで、少子化をビジネスチャンスと捉えている業界も、中には存在します。そのような業界は以下のうちどれでしょうか?

  • ア)教育業界
  • イ)ホテル業界
  • ウ)保険業界

クイズを解く

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この物語は、筆者の見解をもとに構成されています。
日立システムズの公式見解を示すものではありません。
 

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