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(運用)「基幹システム再構築のタイミング」

失敗事例から学ぶ基幹システム構築講座「システム計画~運用」編

2013年4月、「TENSUITE」は、日立 製造・流通業向け基幹業務ソリューション「FutureStage」に統合しました。
※本コラムに記載の商品情報は初掲載時のものです。

再構築のタイミング

(運用2)
「基幹システム再構築のタイミング」
業績に大きく貢献した基幹システムも、いつかは老朽化する・・・。その見極めを誤ると、経営悪化にも影響する大打撃に!再構築に適したタイミングはいつなのか?
(2010/2/8)
筆者:(IT コンサルタント)石田 富士夫

情報過疎地での孤独な戦い

実は中国向け事業の売上自体は、A社の技術力により優位性を確保でき、順調に伸びていました。売上高のカバー対策としては功を奏していたのです。問題は原価高です。
中国進出の部隊は中国国内の機械メーカに対し供給する部品の前線営業部隊として活動していました。営業部隊は現地に常駐し、各機械メーカから今後の発注計画と次週の納品数情報を受け取り、日本国内の工場にメール発信する、という方法で出荷依頼していました。現地の情報機器はパソコンのOAソフトとインターネットメール、FAXです。
顧客数と注文数が増えてくると、日本からの出荷では「緊急の注文変更に間に合わない」、「輸送コストがかかる」などの問題が顕著になってきたため、中国拠点に倉庫も置くことにしました。中国拠点からの出荷に方式を変えることで、きめ細かなサービスを可能とし、業務もスムースに進み、売上・利益ともに伸ばしていけるかと思われました。しかし、利益が出てきません。
原因追求のため経費の構造を紐解くと、中国拠点の在庫過剰と、日本国内工場から個別出荷する際の輸送コストが利益の足を引っ張っていることがわかりました。在庫過剰の原因は、中国拠点から日本国内本社への在庫報告や販売実績報告が月次でしかなされなかったためです。週単位のメールによる情報は参考としてしか活用されていませんでした。

その結果、顧客の細かな需要の変化が在庫調整に反映されず、在庫過剰を引き起こしていました。割高な輸送コストの原因も同じです。一部の製品が在庫過剰となる一方で、別の製品は在庫切れが発生し、緊急対応として製品を国内からの個別便で出荷せざるを得ないということが起きていました。このため無駄な輸送コストが発生するという仕組みになっていました。

月次報告が遅れる、間違いも多い

在庫調整不能の状況に拍車をかけたのが、月次決算期間の長期化です。もともとA社は月次決算に2週間ほどかかっていましたが、経営状況が安定していたころは容認できるレベルでした。
しかし中国進出後は海外取引が発生します。海外取引高を月次決算に反映するためには、システムが未対応のため手作業で行うしかありません。これにより月次決算は更に1週間を要する事態となり、また、データの漏れや間違いも発生する状況となりました。業績が悪化し、市場の動きに対していっそうの素早い対応が求められる中で、月次決算の値は経営結果の確認にしかならず、決算の段階で問題点が発覚しても手遅れという危険な状態となっていました。

この影響が中国拠点にも波及していました。月次単位というだけでも情報の間隔としては不十分であるのに、前月末の在庫と、前月の販売実績の報告が3週遅れでは、工場としては翌月の生産計画に反映させるのがやっとです。この情報の遅れが、中国拠点倉庫の在庫コントロールをますます鈍らせていきました。

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