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特集 サステナビリティストーリー1

サステナビリティは“人と人の営み”で生まれる

AI社会を支える「コンテナ型データセンター」を作る現場の体温

全国プラットフォーム事業部 ファシリティ第二本部 第二サービス部 第一グループ
第二種電気工事士

小川 雅史

Introduction

生成AIやDXの浸透でデータセンターの需要が急増する一方、その建設には2~3年かかることも珍しくなく、事業ニーズに応じた迅速な整備が難しくなっています。

この社会課題に対するイノベーションの一つとして日立システムズが注力するのが、貨物サイズのコンテナ内に必要な設備を集約した「コンテナ型データセンター」です。コンパクトで基本設計が定まっている場合は、計画から1年以内での稼働も可能。加えて、日立グループのグリーン電源や業務ロボットを活用することで、環境負荷の低減、無人運用による人手不足の解消にもつなげられます。

この、生成AI時代の“進化型情報インフラ”は、どのように生み出されるのでしょうか。北海道・石狩での構築プロジェクトに現場担当者として約1年半携わった小川雅史さんが、現場の営みを紹介します。

開発の背景と課題

建設業界の人手不足や資材高騰が進むなか、迅速な事業展開を求める企業に、いかに応えるか

日立システムズのデータセンター事業には、顧客に私たちの設備を利用していただくByDCと、データセンター事業者さまに向けて設備を構築するForDCの2種類があります。その後者を担う部署においてコンテナ型データセンターを担当する私が、約1年半にわたって携わったのが、北海道・石狩でのプロジェクトでした。

かなり大規模な案件だったことに加え、電気通信設備を構築する弱電工事のとりまとめ役を任せていただいたことから、大きな期待と同時に身の引き締まる思いで現場に臨んだことを覚えています。

ただでさえ一定の期間を要するデータセンター構築ですが、近年は建設業界を取り巻く状況が、それに拍車をかけています。慢性的な人手不足に、資材の高騰や品薄による調達難が重なり、「職人の取り合いになっている」「物が手に入らない」「この時期はもう一切請け負えない」といった声を耳にしてきました。

対して、設計や工事の期間を大幅に短縮できるコンテナ型データセンターであれば、こうした状況でも構築しやすく、お客さまには迅速に事業に活用していただけます。また、工期が短いぶん、現場で発生する環境負荷も抑えられます。

こうした状況から、当社としても日立グループとしても、この新しい情報インフラに注目しており、私自身もその仕事に携われることに喜びを感じています。

プロジェクトの苦楽

-15℃の厳しい自然環境のなか、社内外のメンバーと密に連携することでミッションを完遂

環境負荷の面で、今回のプロジェクトの目玉といえるのが、石狩の冷涼な気候を生かす点です。データセンターは稼働時に大量の熱を発するため、通常は空調設備をしっかり入れ、多くの電力を使って冷やす必要があります。対して、本プロジェクトでは、冬場は-15℃にもなる石狩の外気を活用した冷却を採用しています。条件によってはチラーを使用せずファン主体の冷却が可能であるため、冷却設備にかかる電力消費の低減が期待できます。夏場は外気温の上昇に伴い冷却負荷が増加するものの、寒冷な時期が長い地域特性を生かすことで、年間を通じた省エネルギー化を実現しています。

一方でそうした気候は、工事にとっては厳しい面も多々ありました。一晩で膝の高さまで雪が積もるため、朝は車を掘り起こすところから始まり、時期によっては強風でクレーン作業ができません。吹雪で視界が白一色になり、方向感覚や距離感が失われる時間もありました。そうした環境のなか、無事故でやり遂げられたことは、チームみんなで安全管理を徹底した賜物だと自負しています。

そして、プロジェクトを大きく前に進めたのも、チーム内の連携です。社内外のメンバーと密に連携しながら、一つのデータセンターを組み上げるという大きな仕事を成し遂げられたことが、とても印象的でした。

現場には電気工事、配管工事、通信工事など、各領域の専門会社さんが関わります。私は元請けとして、工程上の課題やリスクを早期に見つけ、各社と調整しながら意思決定していく役割でした。そのなかで何より大切にしたのが、普段からコミュニケーションをとり、些細な問題であってもすぐに相談し合える関係を築くことです。

当初は、日立システムズが大切にしている安全や品質に対する向き合い方の違いもありましたが、当社の想いを粘り強く共有し続けたことで、次第にギャップが埋まっていき、一次請けの会社メンバーが、二次請け、三次請けの会社メンバーにも当社が求める基準を浸透させてくださるようになりました。さらに、各社のメンバーが必要な対応を先回りして行ってくださるのを見て、チームとして一体になることがこんなにも大きな力を生むのかと感動を覚えました。

よく覚えているのが、メンバーと毎晩のように鍋を囲んだことです。仕事が終わり、部屋で鍋を用意していると、入浴を終えたメンバーが続々と集まってくる。そこで何時間も鍋をつつき、語らい、翌朝また現場に行く。そのような日々でした。

今回のプロジェクトを通じて、工程管理やリスク管理をするうえで、いかに関係者との調整が重要かを実感しました。自分なりに、大きく成長できた現場だったと感じています。

今後の目標と抱負

企画・設計から運用・保守まで、コンテナ型データセンターに関わる工程をチームで丸ごと担いたい

今後は、たとえば秘匿性の高いデータを扱う製造業や研究施設、病院などに向け、ラック一つから構築できるクローズドなデータセンターも扱うなど、より多様なニーズに応えていければと思っています。

また個人的には今回の経験を生かして、企画や設計といった上流工程から案件に携わり、AI社会が抱える課題の解決と、自社の事業拡大の両方に貢献していきたいです。今回はいわばプロジェクトリーダーの立場でしたが、いずれはプロジェクトマネージャーとして、全体をリードできる人財になりたいです。

仕事をしていて最も情熱を注げるのは、やはり多くの仲間と協力しながら、一つの大きなものを作り上げること。ぜひ今後は、構築に関するコンサルティングから設計、各種設備の調達、電力の手配、さらには構築後の運用・保守まで、コンテナ型データセンターに関わる工程を丸ごと担うプロジェクトで、多くの関係者をつなぎながらプロジェクト全体を牽引し、チーム一丸となって取り組んでいきたいです。