

IT機器やシステムの安定稼働を陰で支える保守サービス。テクノロジーがもたらす便利な社会を守る“砦”ともいえるこのサービスは今、人手不足や高齢化などによって、これまでと同じような形でサービスを続けていくことが難しくなりつつあります。そうしたなか、保守のナレッジとAI、DXで、保守業務を持続可能なものにすることを目指すのが、日立システムズの「みらい保守(社内プロジェクト名称)」です。保守という仕事のあり方そのものを変革し、社会に広く貢献することを目指す同プロジェクトの現在地と未来を紹介します。
社会への視点
将来的な人手不足・属人化・現場工数の増大により、従来の保守サービスの維持が困難になるなかで
機器の故障や不具合に対して、現場に足を運んで対応する保守フロントラインワーカーは、テクノロジー社会に欠かすことのできない存在です。日立システムズが1962年から手がける保守サービス事業では、年間の出動件数は約60万件、受付件数は約130万件にのぼっています(2024年実績)。
しかし、保守サービスを取り巻く環境は、変わりつつあります。人口減少と高齢化が進むなか、この業界でも喫緊の課題となってきているのが人手不足です。それにより、従来と同じサービス品質や対応件数を維持し続けることが、難しくなりつつあるのです。
さらに属人的に蓄積されたノウハウの継承や、対象となる製品の多品種化にともなう現場負担の増加といった問題もあります。こうした課題は日立システムズだけにとどまらず、保守サービスの業界全体に共通するものとなっています。
この社会課題に対し、日立グループの保守ナレッジにAIを掛け合わせることで解決を図っていこうと立ち上げられたのが「みらい保守」プロジェクトです。
日立システムズのアプローチ
全国約300拠点、受付件数約130万件の知見にDXを組み合わせ、保守の全プロセスをアップデート

みらい保守が対象とするのは、実作業はもちろん前後工程も含めた保守サービス業務のプロセス全般になります。これらの工程に、VRや機械学習、画像認識、生成AIといった技術を組み込み、現場作業の効率化と品質向上、リスク低減を図ります。
また作業準備の場面では、これまでエンジニアが行っていた作業計画書の策定を生成AIで自動化。過去の計画書やマニュアル、お客さま情報をもとに、計画書と過去コメントを自動生成し、1件あたり最大60分の工数削減を実現しています。
こうしたソリューション開発を支えるのが、全国約300か所におよぶ保守サービス拠点と、幅広い対象領域、そして年間約130万件におよぶ受付事例によって蓄積された各種ナレッジです。また、どの業務にどのようなサポート機能を組み込んでいくべきかに関しては、実際に現場対応を担うフロントラインワーカーたちの声を聞くなかで見極めています。
将来展望
社内からグループ各社へ、さらには社外のお客さまに知見を提供し、社会課題の解決を図る
みらい保守プロジェクトでは今後、段階的に展開範囲を広げていく予定です。まずは当社が手がける保守サービス業務において、このソリューションの実装をいっそう図り、フロントラインワーカー業務の改革を進めます。
その後、日立グループ内で保守サービスを担う各社とも連携する予定です。日立システムズがIT機器の保守業務を効率化するなかで培ったノウハウを、物理的な装置や工程を監視・制御するOT機器の保守を行うグループ会社に提供し、作業計画や報告書の作成をはじめとする共通業務の効率化を図っていきます。
さらに将来的には日立グループの枠を超え、幅広い企業の保守サービス事業にもソリューションを提供し、保守サービスの危機という社会課題の解決に寄与していく計画です。
こうした取り組みは、人手不足や製品の多品種化などによるフロントラインワーカーの負担を改善し、サービス品質を高めるという点で、SDGsの目標の一つ「働きがいも経済成長も」に貢献するものです。フロントラインワーカーの働き方や保守サービスのあり方自体をアップデートし、同サービスを持続可能なものにすることを目指しています。
その実現に向け、当社は今後も現場での実運用とフィードバック、改善を重ねながら、精度や使いやすさ、業務へのフィット感を高め続けていきます。