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Nutanix Cloud Platformシリーズ コラム

HCI(ハイパーコンバージドインフラ)についてわかりやすく解説!

公開日:2024年01月25日

ハイブリッドクラウドとは?意義や活用事例をわかりやすく解説!

本記事では、HCIの概要についてわかりやすく解説します。近年、多くの企業で仮想化インフラが採用されるなか、コストを抑えつつ導入・運用が容易なHCIをご検討中の企業さまも多いでしょう。メリットも詳しくご紹介していますのでぜひ参考にしてください。

HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)とは

HCIとは、サーバー仮想化に必要なハードウェア・ソフトウェアがひとつのパッケージになった製品です。システム構成が非常にシンプルなため、導入が容易で取り扱いやすく拡張性に優れるという特徴があります。
ここでは、HCIの基礎となるサーバー仮想化についてご紹介するとともに、HCIの意義を詳しく解説していきます。

サーバー仮想化とは

サーバー仮想化とは、「仮想化ソフトウェア」と呼ばれる専用のソフトウェアをインストールすることで、1台の物理サーバー上で複数の仮想サーバーを運用する仕組みです。
これまでサーバーを構築するにあたっては、利用用途にしたがって1台の物理サーバーにひとつのOSをインストールして運用するのが一般的でした。
しかし、サーバー仮想化により複数の仮想サーバーそれぞれにOSをインストールし別々に運用が可能となるため、実際には物理サーバーは1台しかないにもかかわらず複数台の物理サーバーを運用しているのと同じ環境を構築できます。
これにより、サーバーの台数を物理的に減らせるのをはじめ、環境を柔軟に拡張でき、またサーバーの管理運用に関する業務負荷を軽減できることから、多くの企業で導入が進んでいます。

HCIとは

HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)とは、サーバー仮想化に必要な物理サーバー、ストレージ、ネットワーク、ソフトウェア(仮想化ソフトウェア、統合管理ツール)をひとつのパッケージにした製品です。
HCIでは、物理サーバーのストレージとソフトウェアを組み合わせて、SDS(Software Defined Storage)と呼ばれる技術を利用して共有ストレージを提供します。そのため、SANスイッチや外部の共有ストレージは不要です。
接続にはイーサネットを利用しますが、物理サーバーを増設しイーサネットで接続すれば、容易にシステム環境を拡張できます。このため、HCIの導入により柔軟なスケールアウトが可能となり、将来にわたって大規模なインフラ更改の必要がなくなります。
なお、従来のサーバー仮想化のシステム構成よりもシンプルで、必要となるハードウェアの数も減少しているため、システム環境の設計や構築に要する時間を短縮できるとともに、機器の設置に関する業務を効率化できます。

HCIが注目を集める背景

ここでは、サーバー仮想化におけるシステム構成の変遷(3Tier構成→CI→HCI)を辿りつつ、HCIが注目を集める背景について解説します。

3Tier構成の課題

従来のサーバー仮想化では、3Tierと呼ばれる構成が主流となっていました。3Tierとは、大量のCPUとメモリを搭載した「物理サーバー」、物理サーバーとストレージを接続する「SAN(Storage Area Network)スイッチ」、データを格納する「共有ストレージ」による3層構成のことで、いずれも仮想化基盤を構成するハードウェアです。
3Tierでは、サーバー仮想化により物理的なサーバー設置台数を削減できますが、一方で物理サーバー・SANスイッチ・共有ストレージを選定するとともに別々のツールで管理する必要があり、各ハードウェアおよび管理ツールに関する高度な理解が必要になりました。
また、環境を増設・拡張する場合には、物理サーバー・SANスイッチ・共有ストレージの設定を個別に変更する必要があり、期待されていたほどサーバー仮想化による柔軟な拡張が実現できなかったといえます。

CI(コンバージドインフラ)の課題

3Tier構成の複雑さを改善するために生まれたのが、CI(コンバージドインフラ)です。CIは物理サーバー・SANスイッチ・共有ストレージの各ハードウェアをひとつのパッケージにした製品で、垂直統合型インフラシステムとも呼ばれます。各機器はメーカーで動作確認済のため、3Tier構成と比較すると動作検証の作業が不要で、システムの構築・設計をスムーズに行えるメリットがあります。
ただし、環境を増設・拡張するにあたっては、3Tier構成と同様に物理サーバー・SANスイッチ・共有ストレージの各ハードウェアを個別に設定しなければならないという課題が残りました。

注目を集めるHCI

HCIは、CIよりもさらにシンプルな構成でサーバー仮想化を実現するシステムです。「物理サーバーのストレージ」と「ソフトウェア」を組み合わせたSDS(Software Defined Storage)と呼ばれる技術により、物理サーバー間で「共有ストレージ」を提供するため、SANスイッチや外部の共有ストレージがいりません。3TierやCIと比較するとハードウェアの構成が非常にシンプルなため、機器の設置や配線が簡単なのはもちろん、システム設計や構築も容易です。
さらに、物理サーバーを増設することで環境をスムーズに拡張でき、サーバー増設による処理能力・可用性の向上(スケールアウト)を進めやすいメリットがあります。
近年、企業を取り巻く環境が急速に変化するなかで、業務負荷を軽減しつつシステムの導入・拡張に柔軟に対応できるHCIが注目されています。

HCIの主な機能

HCIの主な機能

ここでは、HCIの搭載する主な機能をご紹介していきます。

データの重複排除・圧縮・最適化

HCIでは、データのサイズをもとに重複の判定を行い、同一と判定されたデータは重複して保存しません。また、ストレージへの書き込み時にデータを圧縮・最適化する機能も有しています。これらの機能により、ストレージの限られたリソースを有効に活用できます。

仮想マシンの管理

HCI製品にパッケージされているソフトウェアには、仮想化ソフトウェアも含まれているため、仮想マシンの追加や設定変更などもソフトウェア上でスムーズに管理可能です。

仮想化基盤の管理機能

HCI製品では、複数のクラウドを含む環境を一元管理できる統合管理ソフトが提供されており、物理サーバー、ストレージ、ネットワークといった仮想化基盤の環境全体を簡単に把握できます。3Tier構成やCIのようなこれまでのシステム構成では、物理サーバー・SANスイッチ・共有ストレージ状態をそれぞれの別の管理画面から把握していたことから、HCIでは管理者の業務効率を大幅に改善しています。

High Availability(HA)機能

HCIには、特定のサーバーが停止した場合に別のサーバー上で自動的にゲストOSが起動するHigh Availability(HA)機能が搭載されています。自然災害などの緊急時においてもシステムの可用性を高める、ディザスタ・リカバリ(Disaster Recovery)の面でも有効といえます。

HCIを導入するメリット

ここからは、HCIを導入することによって得られるメリットについて解説していきます。

ハードウェアのリプレイスが用意

従来、保守期限切れなどによるシステムのリプレイス・準備には、時間とコストが掛かりすぎるという悩みを多くの企業が抱えていました。
HCIを導入すると、物理サーバーの増設だけでシステム環境の拡張ができ、柔軟なスケールアウトが可能です。このため、大規模なインフラ更改の必要がなく、ハードウェアのリプレイス工数を将来にわたって大きく削減できます。

短期間で導入可能

HCIはシステム構成が非常にシンプルなことに加え、サーバー仮想化に必要なハードウェア・ソフトウェアがひとつのパッケージ製品として提供されており、短期間で迅速に導入することが可能です。環境変化が激しく、企業活動にもより一層スピード感が要求される現代において、柔軟にシステム環境を構築できる点はメリットといえるでしょう。

管理者の業務負荷を軽減

3Tier構成やCIのようなこれまでのサーバー仮想化のシステム構成では、物理サーバー・SANスイッチ・共有ストレージの情報をそれぞれ別の管理画面から把握していましたが、HCIではひとつの管理システムで一元管理が可能です。また、使用するハードウェアが減少し、シンプルな構成となっているため、管理者の業務効率化や業務負荷軽減が実現できます。

拡張性に優れ、スケールアウトが容易

HCIでは、専門的な知識やスキルを持っていなくても、物理サーバーを増設することにより容易にシステム環境の拡張が可能です。このため、事業の成長に合わせてスケールアウト(ハードウェア増設によりシステム全体のパフォーマンスを上げる)を進めるのに役立ちます。

スモールスタートに対応

HCIは、多くのサービスでスモールスタートに対応しているため、最小構成で試験導入を行い、段階的に導入規模を増やしていくことも可能です。初期費用を抑えつつ、自社に合ったサービスか見極められる点は大きなメリットといえるでしょう。

コスト削減

HCIでは、SANスイッチと外部の共有ストレージが不要なため、機器の設置スペースの縮小が可能です。これにより、ラック数を大幅に削減でき、データセンター関連費用の削減につながるとともに、設置するハードウェア自体が大きく減少しているため、消費電力を抑えて電気料金の削減も実現可能です。
また、システム構成がシンプルなことから、管理者・担当者の操作習得までの時間を大幅に短縮でき、教育・習得コストの削減にもつながるでしょう。

BCP対策

自然災害などにより稼働中のサーバーに障害が発生した場合でも、仮想サーバーのシステムとデータをバックアップの仮想化環境に保存することで、損失を最小限に抑えながら迅速にバックアップデータから事業の復旧が可能です。
わが国では2011年に発生した東日本大震災において、復旧が遅れたことで多くの中小企業が事業を縮小せざるを得なかったことから、BCP(事業継続計画)が重視されるようになりました。
HCIは、ディザスタリカバリの構築につながり、BCPの推進に役立つと考えられます。

HCIのデメリット

HCIの導入で多くのメリットを享受できる一方、デメリットも存在します。本章ではHCI導入によるデメリットについてご紹介します。

パッチ適用が高頻度

システム構成自体はシンプルなHCIですが、構成要素が多いため、機能追加・セキュリティ対策・バグ修正などにおける修正プログラムのパッチ適用を高頻度で行う必要があります。パッチの適用をしていないとサポートにも影響する恐れもあるため、管理者は日頃から修正プログラムのリリース状況に注意しましょう。

高性能なハードウェア・ソフトウェアの費用負担

HCIで使用する物理サーバーでは、CPUやメモリに非常に高いスペックが要求されるとともに、ストレージの一定割合以上はHDD(ハードディスクドライブ)よりも高額なSSD(ソリッドステートドライブ)が必要です。また、HCIでは特に専用のソフトウェアの価格負担も大きくなる傾向があります。
高性能なハードウェア、高額な専用ソフトウェアを揃えなければならないため、導入初期費用を正確に把握して、コストメリットを慎重に試算する必要があります。

HCIの導入を検討する際の注意点

HCIの導入を検討する際の注意点

HCIの導入を検討する際の注意点について解説します。

小規模の運用を予定している場合

HCIは製品によって推奨規模が異なり、物理サーバー1台もしくは2台から対応しているサービスもありますが、最小のシステム構成を物理サーバー3台と規定するサービスが多く、小規模での運用を予定している場合には注意が必要です。デメリットでご紹介したとおり、HCIで利用するハードウェアは高性能ゆえに高額であり、最小構成よりも少ない物理サーバーで運用する場合には十分なコストメリットが得られない可能性もあります。

高度な性能要件が求められるサーバーの場合

HCIは、データの重複排除・圧縮・最適化や物理サーバー間のデータ同期などのタイミングでどうしても負荷(オーバーヘッド)が発生します。このため、航空宇宙向けの数学演算や高度な科学技術計算など、ハイパフォーマンスコンピューティング (HPC)環境を利用する場面では、物理サーバーのリソース使用の最大化、サーバー間の超低遅延などが要求されるため、HCIが適しているとはいえません。
高度な性能要件が求められるサーバーの場合には、HCIで対応できるか事前に確認が必要です。

大容量のデータを長期保管する場合

HCIでは、物理サーバーのストレージにHDDではなくSSDの利用を要求されるのが一般的です。HDDと比較してSSDは高額になることから、大容量のデータを長期保存する用途には向いておらず、HCIとは別にストレージを用意する必要があるでしょう。

HCIで急速な環境変化にも柔軟に対応

本記事では、HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)の意義、機能、導入メリットとデメリット、導入時の注意点などについて解説しました。
HCIは、シンプルでコンパクトなシステム構成によりサーバー仮想化を実現できるため、短期間で導入可能、管理者の業務負荷軽減、データセンターのコスト削減などのメリットがあります。また、災害時には、仮想サーバーのバックアップデータから素早い復旧が可能になり、BCP対策にも役立ちます。さらに、物理サーバーを増設するだけでシステム環境の拡張が可能で、柔軟なスケールアウトができるため、HCI導入後は大規模なインフラ更改が不要となり、ハードウェアのリプレイスも容易になります。
本記事を参考に、急速な環境変化に柔軟に対応できるよう、自社に最適なHCIの導入をご検討ください。

「Nutanix Cloud Platform」紹介

日立システムズでは、オンプレミスからハイブリッド・マルチクラウドまで、ITインフラの運用を劇的にシンプル化するHCIソリューション「Nutanix Cloud Platform」をご用意しています。

ハイブリッドクラウドの導入をご検討中の企業さまは、ぜひ以下のページをご覧いただくか、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

Nutanix Cloud Platform

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このコラムを書いた人

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