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ハイブリッドクラウドとは?意義や活用事例をわかりやすく解説!

公開日:2024年01月25日

ハイブリッドクラウドとは?意義や活用事例をわかりやすく解説!

本記事では、ハイブリッドクラウドの意義・活用事例についてわかりやすく解説します。さまざまなクラウドサービスが提供される中、IT環境の構築でお悩みの方も多いでしょう。メリットもご紹介していますので、導入をご検討中の方はぜひ参考にしてください。

ハイブリッドクラウドとは

ハイブリッドクラウドとは、クラウドサービスや物理サーバーなどの異なるサーバーを複数組み合わせて構築するクラウドシステムです。
クラウドサービスと物理サーバーは、導入期間、導入コスト、セキュリティ面、拡張性などにおいて、それぞれメリットとデメリットを有しています。ハイブリッドクラウドでは、各サーバーの長所を組み合わせ適材適所で活用することで、自社に最適なシステム環境の構築を実現することが可能です。

ハイブリッドクラウドが注目を集める背景

ハイブリッドクラウドが注目を集める背景には、クラウドサービスと物理サーバーそれぞれのメリットを享受したいという企業側の要望があります。
これまでは、自社内に物理サーバーを設置し、自社でサーバー環境を構築・運用するシステムである「オンプレミス」が一般的でしたが、IT技術環境の発展により、短期間で導入可能かつ導入コストを抑えられるクラウドサービスに移行する企業が急速に増加しています。
一方で、機密性の高い情報の保管や既存の社内システムとの連携のために、引き続きオンプレミスを利用したいという企業の要望があるのも事実です。このため、用途に合わせてクラウドサービス・オンプレミスを使い分けることができるハイブリッドクラウドが注目されています。

ハイブリッドクラウドのサーバー構成

ハイブリッドクラウドのサーバー構成

ここでは、ハイブリッドクラウドのサーバー構成について、クラウドとオンプレミスに分けて解説していきます。

クラウド

「クラウド」とは、クラウドベンダーが提供するサーバー・ストレージ・ネットワーク・アプリケーションなどのコンピュータリソースに、時間や場所にとらわれずネットワーク経由で自由にアクセスできるシステムです。「プライベートクラウド」と「パブリッククラウド」の大きく2つに分けられますので、それぞれご紹介します。

プライベートクラウド(ホステッド型)

プライベートクラウド(ホステッド型)は、クラウドベンダーが提供するクラウドサーバーを自社で占有して利用するシステムです。ほかのユーザーから独立した占有環境のため、セキュリティ性、カスタマイズ性が高いメリットがありますが、この後ご紹介するパブリッククラウドと比較すると導入コストが高くなるというデメリットを持っています。

パブリッククラウド

パブリッククラウドは、クラウドベンダーが提供するクラウドサーバーをほかのユーザーと共有して利用するシステムです。プライベートクラウドよりもコストを抑えつつ、短期間で導入が可能で、サーバーの管理業務をクラウドベンダーに任せられるため社内の業務負荷を軽減できるメリットがあります。
しかし、自社占有環境ではないため、プライベートクラウドと比べるとセキュリティ面で劣るとともに、カスタマイズも限定されます。

オンプレミス

オンプレミスは、サーバーやストレージ、ネットワーク機器などのコンピュータリソースを自社内に設置し、サーバー環境を構築・運用するシステムで、プライベートクラウド(所有型)に分類されることもあります。
ハードウェアやソフトウェアを自由に選択できるためカスタマイズがしやすく、既存の社内システムともスムーズに連携できるメリットがあります。また、社内の物理サーバーにデータを保管するため、クラウドサービスを利用する場合よりも外部からの攻撃を受けにくく、セキュリティ面のメリットもあります。
しかし、システム構築に必要な機器類をすべて自社で用意する必要があり初期導入費用が高額になる点や、日々の運用を自社で行うため管理運用の手間が掛かるとともに、専門知識を有する人材の確保が必要な点などが課題として挙げられます。

ハイブリッドクラウドとマルチクラウドの相違点

ここでは、ハイブリッドクラウドとマルチクラウドの相違点について解説します。どちらも複数のクラウドサービスを活用して、システム環境を構築する点で共通しますが、それぞれ以下のような特徴があります。

ハイブリッドクラウド

ハイブリッドクラウドは、複数のクラウドとオンプレミスを組み合わせてひとつのシステム環境を構築する仕組みです。
機密性が高いデータの保管にはセキュリティレベルの高いオンプレミスもしくはプライベートクラウドを利用する、機密性が低く大容量のデータの保管には拡張性の高いパブリッククラウドを利用するなど、それぞれのシステムの持つ強みを活かした使い分けができます。
複数のシステム環境を併用するため、これまでは運用管理が複雑になるという課題がありましたが、HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)製品の登場により操作が簡易化され、管理者の業務負荷が大幅に改善されています。
なお、HCIについて解説した記事もありますので、詳しく知りたい場合は以下をご参考ください。

関連記事:「HCI(ハイパーコンバージドインフラ)についてわかりやすく解説!」

マルチクラウド

マルチクラウドは、複数のパブリッククラウドを組み合わせて自社に最適なシステム環境を構築する仕組みです。
パブリッククラウドには、インフラストラクチャを提供するIaaS(Infrastructure as a Service)、プラットフォームを提供するPaaS(Platform as a Service)、ソフトウェアを提供するSaaS(Software as a Service)などがありますが、同じサービスでもベンダーにより得意とする分野・料金体系が異なります。そのため、自社の利用目的ごとに最適なベンダーを選定し複数のサービスを併用することで、効果的な環境構築、コスト削減が実現できます。
ただし、各クラウドサービスは独立しているため、サービスごとのアカウント管理・セキュリティの個別設定など、運用管理が煩雑になる課題があります。

ハイブリッドクラウドを導入するメリット

ハイブリッドクラウドでは、アプリケーションやデータをパブリッククラウドにおいたりオンプレミスにおいたりと、異なるサーバー間で柔軟に行き来できるのが特徴です。ここからは、ハイブリッドクラウドを導入するメリットについて解説していきます。

データ喪失リスクの低減

ハイブリッドクラウドは、オンプレミスとクラウドに分散してデータを保存・バックアップするため、データ喪失リスクを低減できます。
近年、自然災害などの被害を受けた場合に、早期に事業を復旧するための取り組みである「BCP(事業継続計画)対策」が注目されています。ハイブリッドクラウドの導入は、データ保護の観点からBCP対策にも役立つといえるでしょう。

要求されるリソース変動に柔軟に対応可能

時期により、リソースの利用状況が大きく変動する場合にも、ハイブリッドクラウドは有効です。
例えば、繁忙期にコンピュータリソースを多く利用する場合や、キャンペーンなどで一時的にWebサイトへのアクセス集中が予想される場合に、パブリッククラウドを活用すれば時期を限定してスペックを増設・拡張するのも可能です。
高い要求リソースに合わせてオンプレミスで環境を用意するとコスト負担も大きくなるため、パブリッククラウドを利用すれば、コスト削減につながります。

開発・テスト環境を迅速に用意可能

通常、開発・テスト環境を自社で構築する場合には、多くの時間と労力が掛かりますが、パブリッククラウドを利用すれば、仮想のCPU・メモリー、ストレージやソフトウェアなどのコンピュータリソースを自由に選択するだけで、費用を抑えつつ迅速に自社で必要な環境を構築できます。
なお、開発・テスト環境は、将来にわたり継続して利用するものではないため、当初目的を果たした環境はオンプレミスからクラウドへ随時移行するなどの活用ができるでしょう。

システム要件や目的に合わせた柔軟な運用が可能

ハイブリッドクラウドでは、システム要件や目的に合わせて柔軟にシステム環境の構築が可能です。
例えば、特定のクラウドサービスだけでは要件を満たさない場合でも、別のクラウドサービスやオンプレミスを組み合わせることで幅広い要件に対応できます。また、既存の社内システムとの連携を重視する場合には完全カスタマイズ可能なオンプレミス、要求リソースの変動が大きくスペックの増設・拡張を行いたい場合には柔軟性のあるクラウドといった目的に合わせて柔軟な運用が可能です。

ハイブリッドクラウドの課題

ハイブリッドクラウドにはデータ喪失リスクの低減、リソース変動やシステム要件・目的に合わせた柔軟な対応が可能になるといった大きなメリットがある一方、課題も存在します。本章で詳しく解説していきます。

高度な専門スキルを持つ人材が必要

ハイブリッドクラウドでは、オンプレミス・プライベートクラウド・パブリッククラウドを組み合わせてシステム環境を構築しますが、利用するクラウドごとに使用ツールや求められるスキルが異なるため、導入にあたっては高度な専門スキルを持つ人材の確保が必要です。また、導入後も安定した運用を行っていくために、管理者・担当者の継続的な教育・習得コストの発生を考慮する必要があります。

管理が複雑になるリスク

ハイブリッドクラウドは、異なるシステム体系のクラウドを併用するため、サービスやサーバーの組み合わせにより管理が複雑になるリスクがあります。日々の運用管理が複雑になるほど教育・習得コストの上昇につながるため、事前にベンダーと十分に調整を行い、システム部門の業務負荷をできるだけ軽減できるような組み合わせを検討する必要があります。

データ・システムのサイロ化が進むリスク

ハイブリッドクラウドには、データやシステムの「サイロ化」のリスクがあります。「サイロ化」とは、業務やシステムがほかの業務やシステムから独立することで、情報の連携が取れていない状態をいいます。
オンプレミス・クラウドの併用によりそれぞれの環境でデータが蓄積されていきますが、情報がサイロ化してしまうことで、会社全体としてみた場合に情報の共有・活用がうまくできないリスクがあるため注意が必要です。オンプレミス・クラウドを問わず、システム全体をトータルして管理できる人材が必要ともいえるでしょう。

導入メリットの試算の難化

ハイブリッドクラウドでは、複数のクラウドサービスを組み合わせて使用するため、導入メリットの試算が難しいという課題があります。
ITシステムやツールを単体で導入する場合には、導入前と導入後を単純に比較することで導入による効果を容易に算出可能です。
しかし、複数のクラウドベンダーを利用し、かつオンプレミスも併用するハイブリッドクラウドでは単体での導入メリットを試算するのは困難なため、システム全体での効果を慎重に判断する必要があります。

ハイブリッドクラウドの具体的な活用事例

ハイブリッドクラウドの具体的な活用事例

ここでは、ハイブリッドクラウドの具体的な活用事例を4つご紹介します。

データの機密性に着目した運用

データの機密性に着目して、公式サイトなどのWebサーバーはパブリッククラウドを利用、機密性の高いデータはオンプレミスを利用といった運用ができます。この場合、リソース要求の変動に合わせてシステム環境の増設・拡張が容易なパブリッククラウドのメリットを活かせるとともに、重要なデータの保管にはよりセキュリティレベルの高いオンプレミスの特徴も活かすことができます。

アプリケーションとデータに分けた運用

アプリケーションは、パブリッククラウドで提供されるSaaSのサービスを利用、データはセキュリティ面を考慮しオンプレミス、もしくはプライベートクラウドに保管という運用も考えられます。SaaSは、クラウドベンダーから提供されている常に最新のアプリケーションを利用でき、またインターネット環境があればネットワーク経由でどこからでも利用できるため、近年のリモートワークの普及を受けて多くの企業で導入が進んでいます。

クラウドへの移行に活用

ハイブリッドクラウドでは、オンプレミスの環境からスムーズにクラウド環境への移行が可能です。パブリッククラウドをストレージとして活用し、オンプレミス上に保存しているアプリケーションやデータを移行すれば、業務の中断を最小限に抑えられます。

拠点を置く国の法律に準拠した運用

海外展開している企業では、拠点を置く国ごとに準拠すべき法律、求められるセキュリティレベルが異なりますが、拠点ごとにデータセンターを設けるのは現実的ではありません。この場合、法律・セキュリティ要件を満たす拠点でパブリッククラウド上にデータを保管すれば、どの国からも同じアプリケーションを使用してデータにアクセス可能です。

ハイブリッドクラウドで自社に最適なIT環境を

本記事では、ハイブリッドクラウドの意義、サーバー構成、導入メリット、活用事例などについて解説しました。
ハイブリッドクラウドは、パブリッククラウドやオンプレミスのような異なるサーバー間で柔軟に行き来できるのが特徴で、自社の目的に合わせて組み合わせることで、データ喪失リスクの低減、リソース変動への柔軟な対応、コスト削減、業務負荷の軽減、BCP対策などさまざまなメリットを享受できます。
本記事を参考に、ぜひハイブリッドクラウドを活用した最適なサーバー環境の構築を進めてみてください。

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日立システムズでは、オンプレミスからハイブリッド・マルチクラウドまで、ITインフラの運用を劇的にシンプル化するHCIソリューション「Nutanix Cloud Platform」をご用意しています。
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