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株式会社 日立システムズ

【第3章】第1回 あすな、就職活動で玉砕する

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(マンガの続き)

図星を突いてしまった一言

あすな「社長、言ったじゃないですか…不動産業は賃料を受け取るだけじゃ、30点なんだって」
あすなが初めて日比野に会った日、確かに日比野はそういう意味のことをあすなに言っていた。不動産業は賃料が収益源であることには違いないが、その前提として、借り手のビジネスを良く見極める「目利き」が必要なのだ、ということを、あすなは実地で学んだはずだった。
日比野「確かに言ったが、それが面接とどう関係あるんだ?」

あすな「面接で、『当社に足りないものは何だと思いますか?』って聞かれたから…」
あすなは泣きやんで、ようやく落ち着きを取り戻しつつある。
ナミ「なんて答えたの?」
あすな「…だから、大事なのは『目利き』だと思います、御社にはそれが足りないんじゃないですか、って」
その言葉の直後、面接官の顔色が変わったらしい。

日比野は何か予感がしたのか、あすなにこんなことを聞いた。
日比野「今回は2次面接と言っていたな。面接官はどういう立場の人だ?」
あすな「たしか…取締役開発本部長、みたいな役職だったと思います」
あすなが顔色を変えずにそう言うのを聞いて、日比野は笑い出してしまった。
日比野「はっはっはっ。こりゃ傑作だ!」
無遠慮に笑い出した社長を、慌てて秘書がたしなめる。
ナミ「社長…笑っちゃダメですよ!」

そんな会社は、願い下げ!?

いきなり大笑いされたあすな。あまりに想定外の反応だったので、怒りがこみあげるのに時間がかかった。
あすな「…笑い事じゃないじゃないですか!こっちにとっては、一大事なんですよ!」
笑っている人間に怒りをぶつけるときほど、もどかしいものはない。
日比野「…いや、すまん。あまりに想定外だったもんでな」
なかなか笑いが収まらない日比野。あすなは心の中で「あまりに想定外?それはこっちのセリフよ!」と思いながら、ただただ日比野をにらみつけた。

1分ほど経って、ようやく日比野の笑いは収束しつつあった。それでも彼はニヤけた顔のまま、
日比野「あすな、考えてもみろ。開発本部といったら、どの地区にどんな建物を建てるか企画するところだ。まさにお前が言う『目利き』を発揮する部署だろ?…お前はその部署の責任者に向かって、『目利き』が足りない…つまり『貴方の部署がイケてないんですよ』と言ってしまったわけだ。そりゃ機嫌をそこねるだろうよ」

あすな「…そんなぁ…じゃあ、やっぱり私、H社にも落ちちゃうのね…」
面接官の顔色が変わった理由が氷解した今、あすなの心をかろうじて支えていた「まだ結果が出たわけじゃない」という思いが、消え失せてしまいそうになっていた。自分の連敗記録がまた、更新されてしまうのか…。 

すっかり意気消沈したあすなに優しい言葉をかけたのは、意外にも日比野だった。
日比野「…まぁ、お前が通るかどうかはその事業本部長とやらの器の大きさ次第だ。顔色が変わったということは、さしずめお前の一言が的外れじゃなかったということだろうからな。これで落とされるようなら、そんな会社は願い下げだ…とでも思っておけ」
えっ、と意外そうな顔を向けるあすな。そしてナミも社長の意見に賛同した。
ナミ「そうね、私もそう思います。正しいことを言って通らない会社なんて、いてもつまらないでしょ?割り切って考えたほうが良いわよ」
あすな「そ、そうですか…?」

日比野「H社だけじゃない、お前も就職したい会社を見極める『目利き』を身に着けろ。H社の面接の結果次第では、就職先を見つけるのに少し時間はかかるかもしれないが…長い目で見ればそのほうがお前のためになるさ」
今日は日比野の様子がいつもと違うな、とあすなは感じていた。日比野はもしかしたら、優しい人なんじゃないかしら?そんな気持ちを抱き始めていた。

あすな「あ…ありがとうございます」
あすなが頭を下げるのを見届けて、日比野はパン、と手を叩き、
日比野「よし、早速今度の案件を説明する。ナミ、資料を」
手際よく指示を出し始めた。

地元密着の学習塾を救え!

日比野「『稲尾カレッジ』という学習塾だ。塾長の稲尾克哉さんが20年ほど前にこの地域で開校して以来、地元の中学生を上手く呼び込んで成績向上の実績をあげ続けている」
あすな「初めて聞いた名前ですけど。校舎は1つだけなんでしょうか?」
ナミ「最近はチェーン展開している学習塾が多いけど、稲尾カレッジは個人事業だから、校舎は1つだけね」

日比野「そのチェーン展開している学習塾とやらがこのエリアに進出してきたのが、3年ほど前のことだ。その影響を受けて、2年前から業績不振に陥り、昨年度は赤字を計上している。稲尾塾長はまだ50代で、子供は高校に通っていてお金の要る世代だ。だから今の事業を何とか続けていこうと考えているのだが…このままだと厳しいだろうな」
あすなは頷いた。古臭い、50を過ぎたオッサンが教える個人経営の塾か、一流大学出身の若い先生たちが教える新しいチェーン展開の塾か…。自分だったら後者で学びたいと思うもの。

ナミ「…あすなちゃん、分かってるわね?」
あすな「…へっ?」
ナミ「これからあなたは、稲尾カレッジを救うのよ」
ナミのセリフに、あすなは我に返った。
あすな「稲尾カレッジを、救う?」
日比野「当たり前だ。俺たちはそのためにいる。前回同様、今後どうやって黒字に転換するのか、そのための方策を考えてもらう」

相変わらずの無茶振りであったが、あすなは落ち着いていた。なにしろ、この無茶振りももう3度目だ。
あすな「分かりました。やってみます」
あすなの返事に、日比野は頷いた。
日比野「お前も、若い頃塾に通っていたクチだろう?俺よりもアイデアが出るかもしれないしな」
あすな「えっ??社長…塾に行ってなかったんですか?見るからに優等生っぽいし、めっちゃ勉強してたんじゃないかって思ってたのに…」

あすなにとって、それは何気ない一言だった。が、次の瞬間、あすなは日比野が一瞬だけ見せた、寂しげな表情に気づいた。
あすな「社長…?」
日比野「ふっ…俺は塾など行かんでも、十分優秀だったんでね」
日比野はそう言い捨てるようにして、会議室を出て行った。その後姿に、あすなは妙に胸が痛むのを感じた。

あすな「どうしたのかしら…?」
あすなはそう言いながら、ナミに向かって首をかしげた。ナミは何かを知っているような顔を見せながら、
ナミ「…ふふっ。ほんと、どうしたのかしらね」
そう言って、作り笑いを見せた。

つづく

【クイズ問題】

あすなは2件目のコンサルティング案件として、学習塾の再建を手がけることになりました。学習塾といえば、保護者が子供を通わせて月謝を支払うことで成り立つビジネスモデルですが、以下の3つの業種のうち、学習塾とビジネスモデルが最も近いのはどれでしょうか?

  • ア)学習塾と同じように、子どもを相手にしている「おもちゃ屋」
  • イ)学習塾と同じように、勉強を教える「通信教育」
  • ウ)学習塾と同じように、生徒たちが通ってくる「スポーツジム」

クイズを解く

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この物語は、筆者の見解をもとに構成されています。
日立システムズの公式見解を示すものではありません。
 

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