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株式会社 日立システムズ

【第1章】第3回 あすな、あすな、商店街を駆け回る

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(マンガの続き)

あすなは藁にもすがる思いで聞いた。ナミはもう一度、クスリと笑って、
ナミ:「それを教えたら、答えを教えるようなものね…代わりにひとつ教えてあげる。今回日比野が出した課題に、どんな意味があるか…それはね、」
ノートに大きな文字で「相場」と書いた。
ナミ:「あなたに相場観を身に着けさせることが、日比野の狙いよ」
あすな:「相場って…株式投資とか、そういうときの相場?」

ナミ:「大きな意味は同じよ。ある株式の銘柄が割安か、割高かを判断するためには、その会社の『実力』を知らないとダメでしょう?」
あすな:「実力、ですか?」
ナミ:「その会社が、本来どのくらいの利益を生み出せるか?っていうことよ。今回の課題も同じ。あのお店で実際にどれくらいの費用が生じているかを調べるのは難しいけど、『普通なら、どれくらいの費用がかかるのか?』なら、調べることはできるかもしれないわね…例えば、」

チラチラと店内を見回して、
ナミ:「この店にも、答えの手がかりはあるわよ…5分あげるわ。探してみて」
あすな:「えっ?」

向かいの店にも、手がかりが?

あすな:「この店に手がかりがあるんですか?」
ナミ:「ええ、あるわよ。それを5分以内に見つけられたら…ここのコーヒー代、私が出してあげるわ」
あすな:「ほ、ほんとですか?」
コーヒー代という「ニンジン」をぶら下げられて、あすなは必死で店内を見回した。この店で一際目立っているのは…なんと言っても、鼻の下にひげを蓄えた、ダンディなマスター。
あすな:「あ…もしかして、マスターがあの店の店長と知り合い、とか?」

的を大きくはずしたあすなの答えに、ナミは思わず「ぷっ」と吹き出した。
ナミ:「まあ確かに向かいの店同士で顔見知りの間柄でしょうけど…さすがにそれは正解じゃないわね」
あすな:「そ、そうですよね・・・」
ナミ:「いいのよ。どんどん気づいたことを言ってみて」
あすな:「え、えーと…」
店内には、カウンターの座席が6つと、2名がけのテーブルが2台ある。客はあすなとナミを除いて4人。

あすな:「席は10席ありますね・・・あれ?『龍流』はどうだったっけ?」
ナミ:「ふふふ。座席数も大事な要素だけど、それって売上高を左右する要素よね?ちゃんと、費用を考えるヒントもあるはずよ」
あすな:「そ、そうなんですか?」

ナミ:「ええ…どちらかというと、さっきのマスターのほうが正解に近いかもね」
そう言われて、もう一度あすなはマスターの顔を見た。マスターはこちらの話を聴いているのかいないのか、黙々とコーヒーを淹れ、「これ…2番テーブルに」と、カウンター越しに店員に渡した。そうこの店には若い女性の店員が1人いる。おそらくアルバイトの店員だろう。
あすな:「…アルバイトの女性…そうか!」
ようやく閃いた。あの女性がアルバイトだとしたら、そこには自ずと「人件費」がかかっているはずじゃないか。

あすな:「あの、すみません!」
あすなが突然大きな声で呼びかけたので、その店員はビックリして
アルバイトの女性:「は、はい?」
と返事をした。
あすな:「失礼ですが、ここの時給っておいくらですか?」
アルバイトの女性:「えっ?」
目を丸くする店員、そして再び「ぷっ」と吹き出すナミ…。

あすな:「あ、すみません。いくらなんでも、失礼ですよね」
アルバイトの女性:「いえいえ、そんな…」
大人しそうな店員は、気まずそうにその場を離れていったが、代わりに店に響いたのは、マスターの渋い声だった。

マスター:「お嬢ちゃん、もしかしてバイト探してるのかい?だったらそこの貼り紙をごらんよ」
マスターはそう言って入り口を指差した。
あすな:「えっ?」
入り口の扉に、手書きの張り紙が貼られている。そこには「急募!アルバイト募集 学生可 時給900円~(応相談)」と書いてあった。

相場の手がかりは、色々なところに眠っている

あすなはポン、と手を叩いた。
ナミ:「あら、何か分かったみたいね?」
あすな:「はい!」と、意気揚々と答える。
あすな:「この店で時給が900円なら、向かいの店のアルバイトも、だいたい900円が相場のはずですよね。だって、同じ飲食店だし。いつも働いている店員さんの人数と営業時間を掛け算すれば、アルバイトさんの人件費を出すことができるかもしれない!」

あすなが言い終わるのを待って、ナミは小さく手をパチパチと叩いた。
ナミ:「おめでとう。その通りよ…」
あすな:「あー、よかった…」
あすなは胸をなでおろした。損益計算書の費用のひとつを計算するための手がかりが、ようやく見つかったのだ。そんなあすなを見遣りながら、ナミは両手で包むように持っていたコーヒーカップを置いて、
ナミ:「そんなことより、あすなさん、自分で気づいていないの?」
と聞いた。

あすな:「え?何がですか?」
ナミ:「あすなさん、たった今自分で『相場』って言ったじゃないの。相場というのがどういう意味なのか、少しは分かったかしら?」

そういえば…アルバイトの時給の「相場」なら、大学生のあすなにも簡単に理解できる。ほかの費用にも同じような「相場」があるということなのか?
あすな:「分かったような気がします。たとえば、賃借料も相場がありますよね?一人暮らしの部屋探しをしていたときに、不動産屋さんが言っていました。『この辺の家賃は6万円が相場だよ』って」
ナミ:「そうそう、その調子よ。同じ要領で、ほかの費目も考えてみるといいわね…それじゃ、私はここで」

ナミはそう言って立ち上がると、ハンドバッグからさっと長財布を取り出し、千円札をおいた。
ナミ:「約束だから、今日は私がおごったげる…じゃ、頑張ってね」
あすな:「ありがとうございます!」
あすなはナミの後ろ姿にお礼を言った。
日比野の課題の期限まで、あと3日。何とかなるかも。

つづく

【クイズ問題】

あすなの課題は、ナミの力を借りながら何とか完成を迎えようとしているようです。『売上高』から『売上原価』を引いたものが『売上総利益』。粗利とも言います。売上総利益は、その会社の扱っている商品やサービスから得られた直接的な儲けを表します。ちなみに、売上総利益から販売費や一般管理費を引いたものを、『営業利益』といい、会社が本業からどれだけの利益を得たかを示します。

損益計算書は自社の損益を把握することにも役立ちますが、競合他社との比較を行うことで様々なことが見えるようになります。
例えば、以下のA社、B社、C社を比べたとき、もっとも収益性が高い企業はどれでしょう?

A社
売上高 10,000
売上原価 8,500
売上総利益 1,500
B社
売上高 12,000
売上原価 10,320
売上総利益 1,680
C社
売上高 9,500
売上原価 7,790
売上総利益 1,710

クイズを解く

*
この物語は、筆者の見解をもとに構成されています。
日立システムズの公式見解を示すものではありません。
 

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