「製品ライフサイクル管理(PLM)」は、製品の企画・開発からアフターサービスまでの製品情報や業務プロセスを一元管理し、製品に関わる設備や人といったリソースからコストまでの製品ライフサイクル全体を管理するソリューション。日立システムズでは、米国Aras社が開発・提供するエンタープライズ向けのPLMソリューション“Aras Innovator”をベースにした「PLM導入ソリューション」を提供している。
従来のPLM製品の多くはカスタマイズが困難だったが、この「PLM導入ソリューション」はユーザーニーズに合わせた柔軟なカスタマイズが可能。たとえば医療機器は国ごとに法規制が異なり、それが数年ごとに改正されるが、日立システムズは数年前、大手精密化学メーカーのメディカルシステム事業部に法規制への対応を最優先したPLMパッケージを導入して以来、そのお客さま企業の全社的な、さらにはグループ会社を含めた品質管理システムの構築に取り組み続けている。
お客さまの「こうしたい」を捉え、実現する。
昔から電話で話すことも敬遠するほど、人付き合いが苦手でした。入社して5年間は社内パッケージの設計・開発・保守に携わってきましたが、先輩たちから「現場を知っておいた方がいいよ」とアドバイスを受けて、苦手なことに挑戦してみようと今のプロジェクトへの参加を志願しました。今回の経験で自分を変えることができたかなと思っています。
このプロジェクトは、アメリカで医療機器の法規制が変わったことに対応するため、精密化学メーカーで医療機器を扱うお客さま企業のシステムを再構築させていただいたのが始まりです。このとき取り組んだのは、製品の設計履歴や是正処置・予防処置など品質管理システムの構築でした。結果、管理文書の電子化によって紙書類の作成やファイリングが必要なくなり、大幅な業務効率化とコスト削減を実現できました。私がこのプロジェクトに加わったのは導入の第一段階が終了し、システムをさらに拡張していく時期から。プロジェクトリーダーとしてまだまだ未熟な部分もあり、またプロジェクトに関わる人数も少数だったため負担も大きかったですが、共にプロジェクトに関わるパートナー企業のサポートには本当に助けられましたね。プロジェクトリーダーという肩書きはありますが、普段から社内社外を問わず、一緒に仕事に取り組む人間は仲間という意識が強く、フラットな関係を築きたいと思い接してきました。そうした関係づくりが困難な状況を打開する大きな力となることを学ぶことができました。今後もそうした絆は大切にしていきたいですね。
次に手がけたのは、医療機器に対する要望や問い合わせ、クレームなどを解析し、その情報を管理するシステムの導入でした。もともとお客さま企業では別のシステムを利用されていましたが、そのサポートが終了するのを機に、PLMシステムとの一元化を図るため、当社にご依頼をいただいたわけです。苦労したのはスケジュール管理でしたね。打ち合わせの日程がうまく合わなかったり、途中で設計変更の依頼があったりすると、思惑通りに仕事が進んでいかない。ご要望や情報をしっかりヒアリングしないと次のフェーズに進めないので、進行を滞らせることのないよう懸命に調整していましたね。その甲斐あって、導入したシステムは好評で、お客さまからもお褒めの言葉をいただきました。やはりお客さまから評価していただくと励みになりますね。そしてこの「PLM導入ソリューション」は、さらなる領域拡大を見据え、動き始めています。まだプロジェクトマネージャーが動いているレベルですが、グローバルでの強化を目的に海外拠点での展開を考えています。そのために、プロジェクトマネージャーがアメリカに赴き現地の方の意見を聞きに行ったり、お客さま側でエンドユーザーの声を定期的に聞くユーザー会が各国で立ち上がったりと、現場の声を基にサービスを良くしていく動きはグローバル規模になっても変わりません。我々の「PLM導入ソリューション」は他社のシステムに比べ、各国の法規制に柔軟に対応できるシステムですので、そのメリットを活かして海外でも利用いただけるよう磨きをかけていきたいと思っています。
システムを見守り、さらに進化させてゆく。
担当しているお客さま企業は、グローバルにビジネスを展開されています。現在は日本語をベースにしたシステムが大半ですが、今後はアメリカ、ヨーロッパ、中国など、多様な言語に対応したシステムへの展開が予想されます。私は保守の仕事を軸にしながら、開発部門にも積極的に関わることで、このシステムをより充実したものにするためのお手伝いをしていきたいと思っています。
私はこのお客さま企業の品質管理システム全体の保守・メンテナンスが主な担当です。実際にシステムを利用されているユーザーさまからの問い合わせに対応するわけですが、まずはシステムの不具合なのか、使い方の問題なのか、あるいはご要望なのかの判断から始まります。不具合の可能性が高い場合には開発担当に確認して対応しますし、使い方に問題があるケースではより良い操作法やコツをアドバイスします。「この部分を改善して欲しい」「こういう機能を加えて欲しい」というご要望に対しては、改善チームと連携して開発作業に加わることもあります。ただ、ご要望にお応えするためには、それなりの費用と時間が必要ですから、お客さま企業の品質管理のご担当者に、現場のご要望をもとにした改善案のリストを提出して、優先的に着手するもの、先送りにするもの、断念するものの判断をしていただくことになります。
これまでの仕事で印象に残っているのは、検索エンジンの改善事例です。当社の「PLM導入ソリューション」のベースである“Aras Innovator”というパッケージは米国製なので、その検索エンジンを利用すると、たとえば「東京都」という検索で「京都」という言葉がヒットしてしまうなど、少し使い勝手の悪いところがありました。そこで検索エンジンだけは日本で開発されたものを導入したのですが、この検索エンジンとArasシステムの連携が当初はうまく機能しませんでした。うまく機能しなかった原因は、検索結果一覧の表示の問題。実は知りたかった情報が表示されているのに、お客さまにはそう認識されていなかったのです。そこで表示する項目や内容を見直したり、文字数を増やしたり減らしたりと、いろいろ工夫したものの、なかなか効果的な改善策を見い出すのは困難でした。それでも諦めることなくお客さまと何度も協議し、改善を重ねることで、お客さまにも納得していただけるシステムへと進化させることができました。大変な苦労を伴った仕事ではありましたが、最終的にはお客さまの業務効率化に貢献できたことが嬉しかったですね。
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