2020年6月29日掲載
スマートフォンの対話的インターフェース(SiriやGoogleアシスタントなど)やスマートスピーカーの普及で、すっかりおなじみとなったチャットボット。RPA(Robotic Process Automation)と並んで、働き方改革の代表的ソリューションと言う人も多いようです。
チャットボットとはそもそも何なのか、どうやって導入したらいいのか、現場でどのように使われているのかを3回にわたって解説しています。今回は、チャットボットの導入の仕方について解説します。
YMC電子工業(以下YMC)は、埼玉県にある従業員約280人のEMS(Electronics Manufacturing Service)企業だ。同社の顧問ITコンサルタントである美咲いずみは、毎週月曜日のシステム部の部内会議に同席し、そのあと山田昭CIOとのコンサルティング・セッションの時間を持っている。
今回の山田からの依頼は、働き方改革を推進するに当たって、比較的簡単に導入できて、しかも効果的なソリューションを教えてほしいということだった。
それに対していずみはチャットボットを推奨。チャットボットとは何か、その歴史も踏まえて山田に説明したのだった。
「チャットボットについては分かったけれど、どうやって導入したらいいのかイメージが湧かないんだよ。僕らはあらかじめ項目が決まった画面を設計するという手法に慣れきっているんでね」と山田CIO。
「RPAもそうですが、新しいツールを導入するときには基本を忘れがちなんですね。それは、山田CIOのような方々がよく知っている基本のはずなのですが、AIだとかチャットボットだとか言うと、そういうのと関係ないと思ってしまうようで…」
いずみは、チャットボットを導入するときには、以下の順番できちっとルールを定めていく必要があると言う。
「なるほど。確かに、なぜか最新ツールを導入するときは、こういうことがおざなりになりやすいね。ツールを導入すれば勝手にルールも定まると思ってしまうのだろうか。基本は従来のシステム導入と同じということだね」
「とはいえ、具体的な導入方法はもちろん違うよね? そこが知りたいんだ」
「これも実はウェブアプリケーションの開発と大きくは違いません。最近ではプログラミング無しでも導入できるようになりました」
いずみによれば、以下の方法があるという。
「もう1つ注意事項があります。それはチャットボットには大きくルールベースと機械学習ベースのものがあるということです」
「ルールベースとは、FAQとシナリオを用意する方式だ。比較的簡単にチャットボットを構築できるが、シナリオに沿った回答しかできない。いわゆる「人工無脳」である。
機械学習ベースとは、機械学習によってより自然な会話が可能になっているチャットボットだ。しかし、会話の精度を高めるには大量の学習データが必要となる。
「この2つは業務内容によって使い分けるといいでしょう。例えば、一般的なコールセンターのようにFAQの検索が中心となるのであればルールベースで十分です。チャットボットで切り分けだけして、その後は人間のオペレーターが対応すればいいでしょう。しかし、接客に近いようなより高度な応対をチャットボットにさせたいのであれば、機械学習が望ましいでしょう」
まとめ
いずみの目
チャットボットの導入をシステムインテグレーターに委託すると、コストや時間がかかるという印象をお持ちの方に朗報です。最近は、お客さまの持つデータやシステムなどの既存資産を有効活用し、適正コストで短期間に導入できるサービスが出てきています。
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