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ダイバーシティ経営に必要な3つの要素

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ダイバーシティ経営に必要な3つの要素

ダイバーシティ経営の実現には何が必要か?

前回のワーキングハッカソンでは、新しいはたらき方を推進する「ダイバーシティ経営」についてご紹介しました。

近年、多くの企業がダイバーシティ経営の推進に取り組んでいますが、これを成功させるために、企業はどのような取り組みを行うべきなのでしょうか。

そのカギを握るのが、企業における「制度」、「風土」、「ツール」という3つの要素です。今回のハッカソンでは、ダイバーシティ経営を成功させているモデル企業として、サイボウズ社(以下サイボウズ)の事例を取り上げながら、新しいはたらき方を実現に導く3つの要素についてご紹介したいと思います。

「新しいはたらき方」実践の成功企業、サイボウズ

サイボウズは、「サイボウズ Office」シリーズなどのグループウェアを中心に提供するソフトウェア開発会社です。経済産業省が表彰する「ダイバーシティ経営推進企業100選」の受賞をはじめ、「新しいはたらき方」を推進する企業としてさまざまな受賞歴を持ち、注目を集めています。

サイボウズの受賞歴

受賞年 受賞内容
2008年 「子育てサポート認定事業主マーク」を取得
「第3回にっけい子育て支援大賞」受賞
2011年 「就活AWARD2013」働きやすさ・社員満足度項目において受賞
2012年 「日本の人事部HRアワード」企業人事部門にて特別賞を受賞
2013年 「平成24年度東京ワークライフバランス認定企業」に認定
※東京都の「TOKYOはたらくネット」で取り組みの紹介動画が公開されています。
2014年 「働きがいのある会社ランキング」にランクイン
「ダイバーシティ経営企業100選」に選出

サイボウズが、ワークスタイル関連の表彰をここまで数多く受賞できるのはなぜなのでしょうか。その背景にある、サイボウズの「制度」、「風土」、「ツール」についてご紹介していきたいと思います。

「制度」=新しいはたらき方を定義し、明文化したもの

「制度」とは文字通り、人事制度のことを指します。社員の評価制度、報酬制度、等級制度をはじめ、これらの制度を実際に運用する上での昇格・降格、配置・転勤、教育・人材開発などのルール、早期退職・定年退職などの制度も含めた、人事上のさまざまな施策のことを指します。

サイボウズの人事制度にはユニークかつ先進的な制度が数多くみられます。代表的なものをご紹介しましょう。

ライフスタイルに合わせてはたらき方を選べる「選択型人事制度」

キャリアやライフスタイルの変化に合わせて、社員がはたらき方を自ら選択できる制度です。「ライフ重視型」、「ワークライフバランス型」、「ワーク重視型」の3つのタイプの選択肢が提供されています。

バリバリ働きたい!という時期にはワーク重視を、結婚や出産、育児、介護などに多く時間を割きたいという時期にはライフ重視の時短勤務を選択する、といったように、自分のライフスタイルにあわせてはたらき方を月単位で選択することができます。

はたらく時間・場所の制約を無くした「ウルトラワーク」

「ウルトラワーク」とは、簡単に言えば「好きな場所、好きな時間に働いてもいい制度」です。グループウェア上での報告や承認など、基本ルールを守れば誰でも利用することができる制度です(一部部門を除く)。

カフェなど集中しやすい場所で仕事をしたい、育児や介護などの家族の都合に合わせて昼から働きたい、夏場は出勤せずに自宅で働きたいなど、社員のワークニーズにあわせて個人がはたらき方をデザインすることができます。

「制度」=新しいはたらき方を定義し、明文化したもの

自社が実現したい「多様なはたらき方」とはどんなものなのか。それをきちんと定義し、明文化し、新しい人事制度として社員に提示することがダイバーシティ経営の第一歩となるのです。

「風土」=制度の利用を促進する社内の価値観、考え方

「風土」とは、社内で形成されている価値観、ものの考え方、といったものを指しています。「風通しのよい組織でありたい」、「新しいチャレンジを何よりも評価する」、「お客さまの満足を第一に考える」など、その企業が長年にかけて培ってきた文化、社風と言い換えてもよいかもしれません。

サイボウズ青野社長は、先に述べた「制度」が実際に利用されるものになるためには、風土の醸成が欠かせないと言います。「育児休業制度」を設けてもほとんど利用されないのは、その会社に「プライベートより仕事を優先すべき」といった考え方=「風土」が強く根付いているからだと青野社長は説きます。

日本企業では多くの社員が、「上司より先には帰り辛い」、「忙しい時期に自分だけ有給休暇を取得するのは気が引ける」といった考え方を持っています。多様なはたらき方の定着を阻むこのような風土を打破するためには、経営トップが率先垂範して、新しい価値観を提示し、制度を積極的に利用していかなければなりません。

サイボウズ青野社長は、上場企業の経営者でありながら、育児休暇の取得や、時短勤務の実践など、風土の形成に率先して取り組んでいます。制度が生きたものになるためには、制度の利用を促進する風土の醸成が不可欠なのです。

「風土」=制度の利用を促進する社内の価値観、考え方

「ツール」=生産性を向上し、新しいはたらき方を定着させる道具

「制度」の構築、「風土」の醸成により、ダイバーシティ経営は実現に向け一歩近づきますが、多様なはたらき方を実現した結果、業務効率が落ちてしまっては元も子もありません。ダイバーシティ経営を長期にわたって根付かせるためには、ワークスタイルの多様化が、生産性の維持あるいは向上とリンクするものでなければなりません。それを支援するのが最後の要素「ツール」です。

ツールとは具体的に、「サイボウズ Office」のようなグループウェアや、オンライン会議システムなどのITツール、それらを安全・快適に使えるセキュリティ環境、ネットワーク環境、デバイスなども含みます。

「ツール」=生産性を向上し、新しいはたらき方を定着させる道具

たとえばサイボウズでは、時短勤務をしている社員が、打ち合わせの途中で終業時間を迎えてしまっても、帰宅後にグループウェアを通じて打ち合わせ内容の確認を行い、必要な連絡や確認を行うといったことが自然に行われています。

また、仕事の情報交換だけではなく、社員同士の雑多なコミュニケーションにもグループウェア内の掲示板がフル活用されています。仮に同じオフィスで顔を合わせる機会がなくとも、グループウェア上で毎日お互いの存在を感じているため、久しぶりに対面をしてもブランクを感じることがないのです。

グループウェアを活用した社員たちの声は、そのまま製品の機能強化に反映され、また、サイボウズ社内におけるグループウェアの活用事例は、営業現場でのトークや販促資料に生かされています。グループウェアの活用が、ワークスタイルの多様化にも営業活動にもよい影響を与えており、正のスパイラルが形成されているのです。

「制度」、「風土」、「ツール」は3つセットで揃わなければならない

注意しなければならないのは、グループウェアを導入しさえすれば、多様なはたらき方を実現できるというわけではない点です。グループウェアなどの「ツール」はあくまで道具であるため、それ以前に、「制度」、「風土」をあらためなければダイバーシティ経営を根付かせることはできません。

また逆に、「制度」、「風土」だけをあらためたとしても、それが仕事の効率性を阻害するものであり業務負荷を高めてしまうものであれば、社員に受け入れられません。新しいはたらき方を実践した時に、生産性の維持あるいは向上を支援してくれるツールが必要となるのです。

「制度」、「風土」、「ツール」──これら3つの要素がセットとして揃い、一つ一つが噛み合うことによってはじめて、新しいはたらき方、そして、ダイバーシティ経営は実現に至るのです。

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