日本の少子高齢化に伴って、流通業界でも人手不足が深刻化しており、サプライチェーン全体の最適化が急務となっています。そうした中、全国に店舗を展開する中部薬品では、これまでの需要予測システムよりも精度の高い需要予測と、在庫適正化にまでつなげる発注制御機能の両方を兼ね備えた日立システムズの需要予測型自動発注システムを導入。これによって発注作業時間を大幅に削減するとともに、店舗在庫量の圧縮・適正化と商品回転率の向上を実現しています。
社会への視点
小売業における人材不足の深刻化と
属人化した発注ノウハウの継承問題を
解決するために
少子高齢化に伴って日本国内の労働人口の減少は、深刻な社会課題となっています。流通業界でも、サプライチェーン全体の最適化が急務となっており、その起点となる小売業の発注・在庫管理の業務改革が求められています。しかし、これまで発注・在庫管理の業務は、ベテラン担当者の経験と勘に頼った発注数量の算出が根付いているケースが多いなど、属人化した発注ノウハウの継承が、小売業にとっての課題となっています。
そうした中、400店舗のドラッグストア・調剤薬局チェーンを展開する中部薬品は、業界に先駆けてAIを活用した需要予測を導入するなどの新たな仕組みを模索してきました。しかし、これまでのシステムは予測精度が低いことに加え、日配品*など変動性の高い商品が対象外になること、予測するだけで発注にまでつなげられないことが課題でした。
日立システムズ
のアプローチ
変動要因となる30種類の要素データをAIで分析
棚割情報なども連携させ
スムーズな商品の入替まで実現
日立システムズは、スーパー・ドラッグストア・ホームセンターなどの流通業・小売量販店に特化した需要予測型自動発注システムを提供しています。同社は、AIによる精度の高い需要予測と、それを在庫適正化にまでつなげる発注制御機能に加え、これまでの導入実績を高く評価し、日立システムズの需要予測型自動発注システムの導入を決めました。
需要予測型自動発注システムでは、天候や売価変動はもとより、季節行事などのイベントを加味したさまざまな要素データを分析し、従来は難しかった消費期限の短い日配品についても需要や適正在庫を予測できます。また、どの商品を、どこに、どれくらい陳列し、いつ販売するかなど棚割に関する情報が入力された「棚割システム」と連携しながらAIが精度の高い需要予測を実施し、それに基づく発注量を提案します。これによって同社では自動発注率を全体として従来比115%、日配品では従来比160%まで向上したほか、発注作業時間を1週間で約600時間削減しました。さらに、AIによる商品改廃時の在庫制御(売り減らし機能)によって、店舗在庫量の圧縮・適正化と商品回転率の向上に寄与しています。
需要予測型自動発注システムのイメージ
将来展望
将来の「在庫適正化や物流効率改善」にも資する
DX支援システムとして他業種にも積極展開へ
同社は、物流在庫センターに対して対象商品の30日先までの販売予測データを提示することで、センターの在庫を最適化し、店舗への配送遅延防止につなげる施策を検討しており、日立システムズは引き続き、在庫量の圧縮・適正化と在庫の回転率向上をもたらす仕組みづくりに貢献していきます。さらに、こうしたノウハウを活かして「AIによる需要予測と発注制御の仕組み」による「在庫適正化や売り場利益の最大化」を他業種にも展開し、マーチャンダイジング業務だけでなく、在庫管理や物流業務なども含めたサプライチェーン全体の効率化に寄与していきます。
日立システムズは、システムのコンサルティングから構築、導入、運用、そして保守まで、ITライフサイクルの全領域をカバーした真のワンストップサービスを提供します。