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株式会社 日立システムズ

上水道インフラの維持管理の効率化と安定した水供給の両立に貢献

神戸市水道局は、上水道の給水システムを維持し続けるために、従来、現場に設置した水圧計のデータを定期的に回収する作業を実施してきました。しかし、人口減少が進む中で、こうした維持管理業務の効率化が求められていることや、減圧弁の障害発生は市民からの通報などによって把握するケースがほとんどで時間を要することが課題となっていました。日立システムズは、「CYDEEN 水インフラ監視サービス(水圧監視)」を活用し、市内60か所以上の減圧弁付近への水圧監視装置の設置などを通じて、これらの課題を解決しました。さらに、より安定した上水道サービスを提供できるよう、AIを用いた予兆検知の実現に取り組んでいます。

維持管理業務のDX化、故障予兆検知の実現に向けて

社会への視点

発生してからでないと対応できない
「配水減圧弁の故障」
その原因特定~復旧までの時間と
労力削減が課題

六甲山系の起伏に富んだ地形である神戸市は、配水池を配置して自然流下方式による給水を採用しています。また、局所的に適正水圧を維持できない地域については、公道内の配水管に減圧弁を設置することで水圧を調整してきました。神戸市水道局は、これまで減圧弁の維持管理のために、現場に設置した水圧計のデータを定期的に回収してきましたが、データ収集に時間を要することが課題でした。さらに、故障対応においては市民からの通報などによって把握するケースが大半で、配水減圧弁が故障してからでないと対応ができないことに加え、故障の修理箇所が複数にわたることも多く、異常の原因特定に時間がかかり職員の負担が大きいことが課題でした。

日立システムズ
のアプローチ

「CYDEEN水インフラ監視サービス」で
減圧弁水圧監視業務の合理化・省力化を実現

そこで、日立システムズは「CYDEEN水インフラ監視サービス(水圧監視)」を活用し、市内60か所以上の減圧弁付近に設置した「水圧監視装置」からクラウドに水圧データを収集し、遠隔からリアルタイムに水圧異常を監視するシステムを構築しました。設置にあたっては、神戸市の地形的な特徴――山間部も多く、携帯電話キャリアの電波が微弱な場所もあることから、電波調査を複数回にわたって実施し、設置場所を入念に選定しました。また、設置箇所によって「正常」と判定される水圧の範囲が異なるため、異常水圧判定のしきい値を機器ごとに設定。そして水圧監視装置とクラウドを連携することで、正常稼働時の水圧変動に対するアラート抑制機能を追加するなど、異常発生検知の精度を高めました。

これによって、人の手で実施してきた水圧管理業務におけるデータの現場回収業務を省力化できたほか、配水管破損の原因のひとつである減圧弁故障を遠隔で、早期に、正確に検知することができ、故障発生時の修理・応急処置を早期実施することができるようになりました。

水圧監視システム

LPWA:Low Power Wide Area

将来展望

AI活用による配水減圧弁の故障予兆の検知を開始しさらなる水の安定供給体制の構築に貢献

神戸市水道局と日立システムズは、さらなる運用の高度化をめざし、減圧弁の故障を「予兆検知」するシステムの実現に向けて水圧データのAI分析の研究を実施しています。この研究は、実際の減圧弁の水圧値とAIで生成した正常とされる減圧弁の水圧値を比較し、その差を見ることで故障程度を分析するというものです。

その結果、ある減圧弁では、従来の方法で故障が確認された約1カ月前から水圧値が上方に超過していたことが分かり、AI分析を活用すれば故障の予兆検知ができることが証明されました。故障の予兆検知ができれば、故障発生の未然防止や、水道局員あるいは減圧弁メーカーによるメンテナンス作業の効率化などが見込めます。日立システムズでは、水供給の安定化をめざす神戸市水道局をはじめとする全国の水道事業体を支援するため、今回の研究における検証をさらに進めて、2025年度からのサービス提供開始をめざしています。

減圧弁故障の予兆検知イメージ

日立システムズは、システムのコンサルティングから構築、導入、運用、そして保守まで、ITライフサイクルの全領域をカバーした真のワンストップサービスを提供します。