当社の事業ブランドである「Human*IT」には、「人の持つ無限の可能性と人間性を尊重し、お客さまに一番近い存在として、人とITによる満足と感動をもたらす新たな価値(サービス)を創造する」という思いが込められています。
めざす方向は、日立グループの幅広いIT・OT技術を結集したLumadaと日立システムズの強みであるマネージドサービス、さらに現場保守や運用のノウハウを生かしたサービスを開発し、“驚きと感動“とともにお客さまに真に価値あるサービスを提供することにあります。
これにあたっては、お客さまはもちろん、研究開発に取り組む私たち自身も、幸せでワクワクするようなサービスを実現する研究開発に取り組んでいます。
また、研究開発や新事業企画の過程で創生される知的財産を知的財産部門が維持・管理し、各事業部の企画部門と連携しながら特許取得を推進するとともに、当社製品が他社保有の特許権を侵害していないかどうかを調査(特許クリアランス)し、知財リスク低減を図っています。
当社は、4つのセクションで構成される研究開発本部を中心とした研究開発体制を構築し、さまざまな研究開発や知的財産権の適切な管理などを担っています。
また、研究開発活動を推進するにあたって2018年度までは年間で約20億円を投じてきましたが、2019年度からは戦略的に事業強化を図るテーマにおいては従来以上に大きな投資を実施するスキームを整備。
近年は、年間で約30億円前後を研究開発費として投資し、研究開発活動をさらに強化しています。
<研究戦略企画部>
経営戦略部門と連携し、中期経営計画と連動した研究戦略を策定するとともに、国内外のスタートアップ企業との協業や大学との共同研究の推進を図っています。
<研究開発センタ>
事業部門や営業部門とともにお客さまの現場ニーズを収集し、その解決手段となる仕組みを試行しながら、新しいサービスを創出しています。
<サービスインキュベーションセンタ>
不確実性が高く先行きが見えにくいVUCAの時代に即した新しいサービス開発プロセスの確立をめざすとともに、サービスアイデアの創生から試作・試行、サービス展開、運用までを一気通貫で立ち上げるセクションです。
<知的財産部>
特許権や実用新案権、意匠権、商標権といった当社事業における権利を守りつつ、知財情報を経営戦略に生かす取り組みなども推進しています。
研究開発推進体制
当社は、Hitachi Systems Managed Servicesに代表されるマルチクラウド企業システムの構築・運用をトータルにサポートする「マネージドサービス」の研究開発をしています。
データ分析を利用した迅速な障害対応や工場などのOTセキュリティなどに関連した研究を通じて、企業システムのさらなる安定稼働や高信頼化をめざしています。
具体的な取り組みとして「クラウドコンシェルジュの支援」が挙げられます。
クラウドコンシェルジュは、企業における大きな課題となっているDXの実現に向けたファーストステップとして、IT基盤のクラウド化を“お客さまに寄り添い、伴走“しながらトータルにサポートするソリューションであり、その立ち上げを研究開発部門で支援しました。
現在も、お客さまの課題分析やクラウド化に向けたロードマップ策定に役立つテンプレートを作成するなど、コンシェルジュの提案活動を多面的に支えています。
クラウドコンシェルジュの活動イメージ
当社は、お客さまの業務の改善や地域活性化、さらに広く社会貢献に資する多様なデジタライゼーションサービスを開発・提供しています。
例えば、連携協定に基づいた東海村とのBPR(業務改革)の共同研究において、全庁の業務の可視化や業務量削減効果を測り、BPR手法を構築しました。また、長門市においてはWi-Fi環境の整備とデータ利活用で「経済効果を実感できる観光振興」の実現を支援しました。
さらに、社会インフラ領域では、対象施設・設備の劣化状態を見える化し、劣化要因を分析するとともに損傷状況や健全度を予測する「CYDEEN劣化要因分析支援サービス」を開発。蓄積したデータを独自手法で分析し、点検補修箇所の優先順位付けや見落とし防止による点検業務および計画策定の効率化を実現しています。
加えて、近年注目されている生成AIに関する取り組みも推進しています。企業が安心して容易に生成AIを活用できる「おてがる生成AIパック」を開発。さらに、「ビジネスイノベーション統括本部」を新設し、社内での活用を進めるとともに、ノウハウを蓄積。そのノウハウを活用し、お客さまのデジタライゼーションを伴走しつつ促進するサービスを提供しています。
このように、継続的に最新技術を取り込んだ新しいサービスを開発し、時代が求めるデジタルイノベーションを追求しています。
「CYDEEN劣化要因分析支援サービス」概要図
当社は、従来からIoT技術を用いた「オフィス・データセンタの省エネ」や「太陽光発電の遠隔監視」、「新たな保守技術の開発」などを通じてサステナブルな社会の実現に貢献してきました。
現在、全世界で脱炭素化が推進される中、さらに環境にやさしく、サステナブルな企業活動を支えるために、当社はさまざまなGXソリューションを開発・提供しています。
例えば、太陽光発電による電力の固定価格買取制度(FIT制度)廃止をふまえ、売電するのではなく、自社で電力を消費するための、太陽光発電+蓄電池システムを組み合わせた「自社消費型創エネ蓄エネサービス」を開発。カーボンニュートラル対応はもちろん、近年の電気代の高騰やBCPの対策をサポートします。
また、お客さまのEV導入の促進するため、「EVインフラ導入サービス」も開発。これによってEV投資費用と効果から計画提案、EV充電器の適切な機種選定、EV充電器を設置する拠点の電気設備や配線など、EV充電器に関する導入設計から運用保守まで対応します。
2022年度には、米国スタートアップ企業が開発した「Persefoni(パーセフォニ)」と連携した炭素会計プラットフォームサービスを開発し、提供を開始しました。
このサービスは、企業や金融機関が財務、事業活動、サプライチェーンに関する各種データを入力することで、国際基準に則したCO2換算排出量を算定・可視化できるというもので、脱炭素活動の一元管理を支援します。
GXソリューションEV投資対効果試算および計画提案
特徴
当社は「協創」による研究開発を追求し、国内外のさまざまなステークホルダーと連携したオープンイノベーションを推進。東京大学や電気通信大学、東京情報大学を始めとした大学や研究機関との産学連携による共同研究を実施しています。
また、特徴ある技術やアイデアを保有するスタートアップ企業や、先進の知見を持つ専門家との連携なども実施し、新たな価値共創に取り組んでいます。
産学連携による取り組み
スタートアップ連携
2015年以降、当社は特許出願の「質」を重視した方針のもと、主力事業分野に絞り込んだ知財戦略策定による特許出願の推進を図ってきました。
さらに、2019年以降は同業他社と同レベル以上の出願件数を確保しつつ、新事業プロジェクトや主力事業分野からの発明創生に軸足を置き、「量と質」の両面を重視した特許出願の推進を図っています。
当社は、「発明創生」「知財リスク低減」の観点から知財戦略を策定・実行しています。
〈発明創生〉
研究開発部門の研究テーマ取りまとめ者や事業部門の新事業創生プロジェクトリーダーと連携した発明発掘活動によって、事業計画策定前の早期特許出願を推進しています。また、主力事業分野においては基本特許に加え、関連がある複数の特許(改良特許、周辺特許)を網目状に張り巡らす特許網を構築しています。
〈知財リスク低減〉
新事業開始前の特許侵害調査のスキームを構築し、確実に特許クリアランスを実施しています。また、他社との協創事業や大学との共同研究においては、適切な知財権を確保するため共同研究契約書などの知財条項の精査を徹底しています。
当社は、研究開発活動の担い手である技術系人財の育成に注力。ITスキル標準(ITSS)に準拠した人財育成システムを構築し、役割やキャリアに応じた教育プログラムを準備しているほか、博士号取得支援や日立技術士会との連携した技術士育成、日本ディープラーニング協会(JDLA)と連携したAI人財の育成などを実施しています。
また、当社は従業員の知財マインドを向上させるために、積極的な知的財産啓発教育に取り組んでいます。
定型的な教育には「新入社員向け教育」「入社4年次必修講座での知財教育」「知財マインドの向上教育」があります。また、事業部や国内外の当社グループ会社に対しては、個別依頼に基づく知的財産相談対応や教育を実施しています。
単位 | 23年度 | |
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研究開発投資額 | 円 | 約29億 |
単位 | 23年度 | |
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特許出願件数 | 件 | 66 |
単位 | 23年度 | |
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新入社員向け教育 | % | 307 |
入社4年次必修講座での知財教育 | 人 | 299 |
知財マインドの向上教育 | 人 | 105 |
単位 | 23年度 | |
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表彰報奨件数 | 件 | 42 |
報奨金合計額 | 円 | 647,000 |
日立システムズは、システムのコンサルティングから構築、導入、運用、そして保守まで、ITライフサイクルの全領域をカバーした真のワンストップサービスを提供します。