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Hitachi
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基本的な考え方

日立システムズは、その事業内容や特徴を示すメッセージ「Human*IT」のもと、すべての人に寄り添い、現場の課題をデジタルの力で次々に解決し続けています。研究開発においても、日立グループの幅広いIT・OT技術を結集したLumadaと、日立システムズの強みであるマネージドサービス、さらに現場保守や運用で培ったノウハウを組み合わせ、お客さまや社会の課題解決につながるサービスを創出しています。
私たちがめざすのは、お客さまに真に価値あるサービスを提供するだけでなく、その先にある”驚きと感動”を生み出すことです。また、私たちも、お客さまや社会の未来を想像しながら“幸せでワクワクするようなサービス”の実現に挑戦し続けています。
こうした研究開発や新事業企画の過程で創生される知的財産は、知的財産部門が一元的に維持・管理し、各事業部の企画部門と連携しながら特許取得を推進しています。あわせて、当社製品・サービスが他社保有の特許権を侵害するリスクがないか確認する特許クリアランスを実施し、知財リスクの低減にも取り組んでいます。

取り組み

年間約50億円を研究開発費として投資

研究開発活動のさらなる強化に向け、2026年度は研究開発費として50億円を投資する計画です。コア事業の着実な成長につながる既存領域の深化に加え、新市場の開拓や新サービスの創出をめざす新領域の探索にも注力し、将来の事業成長につながる研究開発を推進しています。
新領域の探索については、オープンイノベーションの促進や外部専門家の活用、アイデア探索、サービスのアジャイルな立ち上げなどに取り組んでいます。こうした活動を支えるため、2つの組織を設置しました。「イノベーション推進センタ」は、施策の企画・立案から推進までを手掛けます。「サービスインキュベーションセンタ」は、新サービスのビジネス創出とサービス開発を担うメンバーが一体となり、生まれたアイデアを迅速に検証・育成する場として設けました。
また、研究開発本部には、研究開発活動をサポートし、経営戦略に基づく研究戦略を策定する「研究戦略企画部」、特許をはじめとする知的財産の創出・管理を担う「知的財産部」を設置しています。これによって研究開発と知的財産の両面から新たな価値を生み出す取り組みを進めています。

<研究戦略企画部>
経営戦略部門へ技術トレンドをインプットすると共に、策定された経営戦略に基づいた研究戦略を策定し、研究開発の推進をサポートするため、日立グループ各社との連携や大学との共同研究を推進しています。

<イノベーション推進センタ>
サービス創出に関わる新サービス提供プロセスと支援メニューを整備し、外部専門家にも参画いただき、アイデア創出ワークショップやイノベーション教育を実施することで、新サービスを生み出すサポートをしています。
また、国内外のスタートアップ企業との協業を進め、新事業の創生を推進しています。

<サービスインキュベーションセンタ>
不確実性が高く先行きが見えにくいVUCAの時代に対応した新しいサービス開発プロセスの確立をめざすとともに、新サービスの種を素早く形にして検証し、力強く成長させます。

<知的財産部>
特許権や実用新案権、意匠権、商標権といった当社事業における権利を守りつつ、知財情報を経営戦略に生かす取り組みなども推進しています。

研究開発推進体制

多彩な研究開発テーマ

お客さまのビジネスを支える安心・安全なマネージドサービス

企業のITシステムの運用や保守を請け負うマネージドサービスは、お客さまのIT運用の負担を軽減し、安定したシステム環境を実現するために不可欠なものになりつつあります。当社はHitachi Systems Managed Servicesとして、これまで培ってきた業務・運用の知見を生かし、お客さまに安心・安全にシステムをご利用いただくためのサービス群(セキュリティ、クラウド、データセンター、ネットワーク、コンタクトセンタ、BPO)を体系的に提供しています。
とりわけ、重要性が高まっているのがセキュリティです。「サイバー攻撃」「情報漏えい」が連日報じられる中、AIの悪用や、取引先経由で攻撃が広がるサプライチェーン攻撃など、攻撃の入口(=アタックサーフェス)は拡大の一途をたどっています。加えて、業界ごとの規制やガイドラインも複雑化しており、人手だけでは対応が追いつかなくなりつつあるのが現実です。
こうした課題に対し、当社はAIを活用したセキュリティ対応業務の効率化・自動化を進めています。2025年度には、業界規制への対応状況の確認をAIが支援するツールを開発しました。
このツールにより、

  • 新しい規制要求をすばやく把握し、今の運用との"ギャップ"を分析
  • 何から手をつけるべきかを示す改善ロードマップを提案
  • システムの弱点(脆弱性)の診断結果を整理し、優先度の高い対策を提案

を可能とし、お客さまの担当者の負担を大きく軽減します。

今後は、工場や社会インフラを支える制御系システム(OT)領域など、お客さまのDXに欠かせない分野へもサービスを広げていきます。

AIを活用しビジネスを変革するDXサービス

当社は、お客さまの業務の改善や地域活性化、さらには社会課題を解決するAIを活用したデジタルトランスフォーメーションサービス(DXサービス)を開発・提供しています。

AIを活用した業務支援サービス

製造業、流通、公共、金融など、業種ごとに仕事のやり方は大きく違います。私たちはこれまで培った業種別の業務ナレッジと生成AIを組み合わせ、フロントラインワーカーの生産性向上を支援するアシスタントAIを開発・提供しています。2025年には、その第1弾として「製造業向け」、第2弾として「営業向け」のサービスの提供を開始しました。お客さまの社内データや各種業界情報を活用することで、製造現場や営業活動に固有の業務を効率化します。


営業向けアシスタントAIの全体像

また、設備・装置の保守領域では、ベテラン技術者の引退に伴う技術継承やヒューマンエラーの防止が大きな課題となっています。こうした課題に対応するため、現場作業のさまざまな場面でAIを活用しています。具体的には、保守現場で起こり得るヒヤリハットを写真から予測して注意を促す危険予知や、当日の作業手順・注意点を反映した作業計画書の自動作成、お客さま向け報告書の作成支援などを実現しています。これらの取り組みを通じて、熟練技術者の持つノウハウを若手に引き継ぎながら作業品質を底上げするとともに、月間1,100時間以上の時間削減効果を見込んでいます。今後は、同じ課題を抱える日立グループ各社や外部の企業にも展開し、製造業・保守業界の活力を高めていきます。

新たな市場や新たなサービスの創出

社内ではピッチイベントやワークショップを開催し、社員自らがアイデアを出し合う場を設けています。生まれたアイデアは速やかに試作し、お客さまの声を聞きながら磨き上げる――こうしたアジャイルな進め方で、新サービスをスピーディに形にしています。
その一例が、2025年度に提供を開始した「宿泊施設清掃管理サービス」です。ホテルなどの宿泊業界向けに高い品質を維持しながら効率的な清掃作業を実現します。


宿泊施設清掃管理サービス

サステナブルな企業活動を支えるGXソリューション

「GX」は、グリーントランスフォーメーション(Green Transformation)の略で、脱炭素や省エネを軸に、社会と経済の仕組みを変えていく取り組みです。日本では、2030年度までに温室効果ガス46%削減(2013年度比)、2050年カーボンニュートラルという目標が掲げられ、規制も強まっています。さらに 2026年4月からは日本版の排出量取引制度 が本格的にスタートし、年間CO2排出量が10万トン以上の大企業(約300〜400社)には削減と取引への参加が義務化されました。
こうした流れの中で、2つの研究テーマに注力しました。

製品単位での排出量を"見える化"

2025年度には、SAP S/4HANA Cloud のデータを活用したカーボンフットプリント(※1)算定を事前評価する「SAP Sustainability Footprint Management(SFM)の導入アセスメントサービス」を開発・提供しました。これは、本格導入に先立ち、どこまで算定できるのか、どんな課題があるのかをお客さまが見極められるようにするものです。

※1.
商品やサービスの原材料調達から、製造、流通、廃棄・リサイクルに至る企業の製造ライフサイクル全体で排出される温室効果ガスをCO2に換算して表示
データセンターを"省エネ"に

生成AIの普及によって、世界中のデータセンターの電力消費が急増しています。そこで当社では、効率よく冷却する設計技術に取り組んでいます。お客さまの要件をもとに、地域や冷却設備の組み合わせごとに年間の電気代を試算してIT機器と空調設備の適切な台数を導き出し、さらに冷却効率を高める機器の配置を評価します。こうした取り組みを、消費電力を抑え、水資源の保全にも配慮した「コンテナ型データセンター」の提供につなげています。


コンテナ型データセンター

オープンイノベーションの推進

当社は「協創」による研究開発を追求し、国内外のさまざまなステークホルダーと連携したオープンイノベーションを推進。東京大学や電気通信大学、東京情報大学を始めとした大学や研究機関との産学連携による共同研究を実施しています。
また、特徴ある技術やアイデアを保有するスタートアップ企業や、先進の知見を持つ専門家との連携なども実施し、新たな価値共創に取り組んでいます。

産学連携による取り組み

スタートアップ連携

知的財産

当社は特許出願の「質」を重視する方針のもと、主力事業分野に絞り込んだ知財戦略策定による特許出願の推進を図ってきました。また、生成AIなどの新たな技術分野を捉えた特許の出願にも積極的に取り組んでいます。

知財戦略

「発明創生」「知財リスク低減」の観点から知財戦略を策定・実行しています。

〈発明創生〉
研究開発部門の研究テーマ取りまとめ者や事業部門の新事業創生プロジェクトリーダーと連携した発明発掘活動によって、事業計画策定前の早期特許出願を推進しています。また、主力事業分野においては基本特許に加え、関連がある複数の特許(改良特許、周辺特許)を網目状に張り巡らす特許網を構築しています。

〈知財リスク低減〉
新事業開始前の特許侵害調査のスキームを構築し、確実に特許クリアランスを実施しています。また、他社との協創事業や大学との共同研究においては、適切な知財権を確保するため共同研究契約書などの知財条項の精査を徹底しています。

人財育成

当社は、研究開発活動の担い手である専門技術者の育成に注力しています。ITスキル標準(ITSS)に準拠した人財育成システムを構築し、役割やキャリアに応じた教育プログラムを準備しているほか、博士号取得支援や日立技術士会との連携による技術士育成、日本ディープラーニング協会(JDLA)と連携したAI人財の育成なども実施しています。さらに、新サービスの事業アイデアを自ら構想し、主体的に推進・実行できる人財を育成するため、マインド醸成や発想力強化の教育にも力を入れています。
また、当社は従業員の知財マインドを向上させるために、積極的な知的財産啓発教育に取り組んでいます。定型的な教育には「新入社員向け教育」「入社4年次必修講座での知財教育」「知財マインドの向上教育」があります。また、事業部や国内外の当社グループ会社に対しては、個別依頼に基づく知的財産相談対応や教育を実施しています。上記に加え、電気通信大学のU☆PoC(UECアイディア実証コンテスト)に協賛し、次世代の技術者や研究者の育成に貢献しています。

パフォーマンス

研究開発投資

単位 25年度
研究開発投資額 円 約37億

知的財産権

単位 25年度
特許出願件数 件 70

人財育成

単位 25年度
新入社員向け教育 人 565
入社4年次必修講座での知財教育 人 299
知財マインドの向上教育 人 77

発明表彰報奨制度

単位 25年度
表彰報奨件数 件 57
報奨金合計額 円 810,000

特許出願件数の推移