ページの本文へ

Hitachi
お問い合わせお問い合わせ
株式会社 日立システムズ

ICT活用による「地方創生」を推進※2017年4月当時の記事です。

山形県河北町は、町の基幹産業である農業分野を営む人たちが20年前と比較して4割ほど減少しているほか、観光分野でも交流人口が次第に減少しており、その対策が喫緊の課題となっています。こうしたなか、日立システムズは、イノベーション開発や地方創生ビジネスなどを手掛けるインテンス・アンド・アソシエーツ合同会社と連携し、ICTを活用した地域産業活性化に向けた施策の立案や広報活動の実施など観光客誘致に向けた施策の試行に取り組みました。

地域社会の高齢化と人口減少が課題

社会への視点

町の将来像を見据え、官民連携による中長期的な
「地方創生活動」に取り組むことを模索

山形県のほぼ中央に位置する河北町は、寒暖の差が激しい盆地特有の内陸性気候と紅花栽培に最適と言われる最上川の気象条件を背景に、室町時代から紅花が栽培されてきました。江戸時代には、紅花は京都に運ばれて染料や化粧品として使われ、「紅一升金一升」といわれるほど高値で取引されたことで山形に富と京都の文化をもたらしました。1980年11月には町の花に紅花が制定され、町のシンボルマークにも紅花が利用されています。

しかし、町の人口は1955年の約28,000人※1をピークに減少傾向にあり、2015年にはピーク時の3割減となる約19,000人※1にまで減少しました。また、基幹産業である農業分野でも、農家人口の65歳以上の高齢者が占める割合が約70%と高齢化が進んでおり、農業の担い手およびリーダーの育成が課題となっています。さらに、観光分野では1984年に開館した「紅花資料館」を拠点施設とし、紅花文化や町の歴史などを中心に観光事業を展開していますが、この施設への入館者数も減少しつつあり、これまで以上の交流人口拡大策が必要となっていました。

*1
総務省統計局が公表した国勢調査結果から

日立システムズ
のアプローチ

ICTを活用して紅花の通年栽培の実験に取り組んでいるほか
「べに花おとめ」によるインバウンド誘致を開始

河北町では2011年度から「雛とべに花の里 人輝き ひらく未来」を町の将来像として掲げ、課題解決に向けたさまざまな活動に取り組み、実績をあげていました。さらに、これを加速するため、官民連携による中長期的な地方創生活動に取り組むことを模索中でした。これを背景に、河北町観光協会と日立システムズが中心となり、ICTの活用によって紅花を中心とした地域産業を振興する施策の検討や試行を実施することにしました。

例えば、現状では通年栽培が難しい紅花を、環境制御システムなどのICTインフラを活用して一年中栽培ができる方法を実験。現在は、安定栽培に向けた課題に取り組んでいます。また、インテンス・アンド・アソシエーツの協力を得て、広報活動を担う「べに花おとめ」を国内外から3名(日本・中国・台湾)登用し、デジタルコンテンツによる観光客誘致などを開始。3名は紅花の通年栽培実験などの体験をするとともに、活動内容や河北町の魅力についてソーシャルメディアなどを通じて情報発信しています。また、各国から観光客を誘致するために、これらの情報はアジアの複数地域にも各地域のWebメディアを活用して配信しています。

地域活性化に向けた施策の例 地域活性化に向けた施策の例

将来展望

農業や観光をはじめとする
地域産業の活性化を支援

さらに今後、「べに花おとめ」は農業関連のアドバイザーなどと一緒に、紅染めや紅花を活用した商品開発などに取り組むとともに、3名のプロデュースによる河北町発の6次化商品※2の企画・開発・販売・販促活動にも着手する予定です。また、商品の初期生産にあたっては、クラウドファンディングの仕組みを活用し、資金調達と初期顧客の獲得を狙っています。日立システムズはこれからも、河北町と河北町観光協会、インテンス・アンド・アソシエーツとともに、農業や観光をはじめとする地域産業の活性化や次世代の担い手育成など、中長期的な地方創生の取り組みを進めていきます。

*2
6次産業でつくられた商品のこと。6次産業は、農業や水産業などの第1次産業が食品加工(2次)・流通販売(3次)にも業務展開している経営形態を表す。

日立システムズは、システムのコンサルティングから構築、導入、運用、そして保守まで、ITライフサイクルの全領域をカバーした真のワンストップサービスを提供します。