手洗い・マスクによる予防、ソーシャルディスタンスの確保……新型コロナウイルスによって、今までとは違う生活を余儀なくされるなか、人々の健康意識はどのように変化しているでしょうか。日経BPコンサルティング(東京都港区)は、健康意識に関するオンライン調査を実施しました。新型コロナ感染対策に向き合いながら、今までとは違う日常の”健康志向”を探す姿が見えてきました。
調査概要
日経BPコンサルティング調べ
実施日:2020年8月7日
対象:インターネット調査会社の調査モニター
回収数:557人(男女×5世代)いま、「感染」自体より気になることは……
ご自身の心と体の健康上で気になっていることを複数回答で尋ねました。予想に違わず「新型コロナウイルスへの感染」を気にしている人が約半数に上りましたが、「ストレスがたまる・漠然と不安を感じる」と26.9%が答え、心の健康が気になると回答した人は全体の4分の1を占めています。
また、回答者全体の4割が運動不足や体力の低下を挙げ、肥満や体重の増加が気になると回答。血圧・血糖値・コレステロールや中性脂肪といった健診結果の数値の高さが気になっている人も26.2%に上っています。さらに不眠や生活リズムの乱れが気になる人(18%)、冷え性をうったえる人(11.8%)も。
出典:日経BPコンサルティング「健康意識に関するオンライン調査」より
パーツ別では、目の疲れや視力の低下を気にする人が最も多く(35.5%)、肩や首(31.4%)、腰や膝(23.5%)などの痛みを挙げる回答が続きました。ステイホームによる長い外出自粛やテレワークが、体のあちこちに影響を与えているようです。
感染拡大をきっかけに、免疫機能アップへの関心高まる
普段、健康のためにどんなことをしているか、コロナ禍以前から行っていることと、コロナ対策をきっかけに始めたことを聞いたところ、感染拡大前から行っていたトップ3は、朝食を食べる(67.7%)、野菜を先に食べる(44.7%)、水をよく飲むように心がけている(42.5%)。「感染拡大をきっかけに始めたこと」のトップは、「免疫機能を上げるような食品をよく食べる(ヨーグルト、納豆など)」でした。健康のために心がけていることへの自由回答でも、「体の免疫力をつける」(男性40代)、「免疫力を高める」(女性30代)、「抵抗力が下がらないようにする」(女性50代)など、免疫力への関心の高さがうかがえました。
また、「就寝の3時間前以降は食べない」「腹八分目を心がける」など、食べ方に気をつけている人は多いものの、トクホや機能性表示食品を選ぶと回答した人は13.8%(以前から)・6.6%(感染拡大から)にとどまりました。
睡眠、入浴、体を動かすことには以前から積極的な人が多く、その一方で体温を測る、記録する、不調を放置しないといった体調管理への意識は、コロナ禍以前は15.1%と低めだったものの、感染拡大を機に11.7%が行うようになったと回答しました。
出典:日経BPコンサルティング「健康意識に関するオンライン調査」より
健康のために、自分のデータを測る・記録する
健康管理のためには、データの測定が欠かせません。コロナ禍以前から測定しているもの、コロナ対策をきっかけに測定を始めたもの、今後測定したいものを聞いたところ、感染拡大前から体重は約半数の人が測っており、次いで、体脂肪(26.2%)、血圧(23.0%)でした。感染拡大をきっかけに、体温を測り始めた人が増加しました。腹囲(11.0%)や摂取カロリー(12.9%)を今後は測定したいという声も上がっています。
出典:日経BPコンサルティング「健康意識に関するオンライン調査」より
測定したデータは、感染拡大前も後も、PCやスマホのアプリを利用している割合が高いようです。同時に、カレンダーなど壁に貼った用紙に記入したり、日記や家計簿、専用の手帳につけたりする人も1~2割いて、いくつかの記録方法を併用している様子がうかがえます。
自由回答で健康のために心がけていることを聞いたところ、「早寝早起き」(男性30代)、「あまり細かいことに対して神経質にならないようにしている」(男性40代)、「歯の健康に留意する」(男性50代)、「のんびりする時間をとる」(男性60代)、「疲れた時に少し横になったり、定期的に休息をとるようにしている」(女性30代)、「不安になりすぎずストレスをためないようにしている」(女性40代)、「すべてに感謝して生きる」(女性50代)、「楽しいこと、笑えることを見つける」(女性60代)、「ウオーキングやヨガなど、話しながらゆっくりできるものは、友達とオンラインで(つながりながら)行う。そうすると、楽しく長く続けられる」(男性20代)と幅広い回答が寄せられました。
前向きに実践する一方で、「心がけたいが何からしていいかわからない」(男性60歳以上)、「もう少し何かしたいが方法がわからない」(女性50代)といった声もあり、いつもと違う生活のなかで、戸惑う様子も見られました。
感染予防対策グッズと、体によい食品と
新型コロナ対策で、新たに買いそろえたり、購入量が増えたりしたものについては、マスクや消毒薬、石けん、ペーパータオルなど、感染予防対策のための商品が並びました。ほかにも、保存できる食品(缶詰/レトルト食品/インスタント食品など)や、野菜・ヨーグルト・納豆など、健康によいとされる食品の購入が増えています。
一方、スキンケアグッズを買いそろえた・購入量が増えたと答えた人は、全体で4.7%、メーク・コスメグッズにいたっては2.9%と低い数値でした。外出自粛が影響していると考えられ、20代男女の数値を見ると、女性はスキンケアグッズ13.3%、メーク・コスメグッズは2.2%と顕著です。ちなみに20代男性はスキンケアグッズ8.2%、メーク・コスメグッズ10.2%と、メーク・コスメグッズの購買割合が高くなりました。WEB会議やリモート商談拡大を受けての事情でしょうか?
出典:日経BPコンサルティング「健康意識に関するオンライン調査」より
ほしい「健康支援のための施策」は? 健康インセンティブへの関心が高い
有職者を対象に、現在の職場にある健康支援策を聞いたところ、社員食堂(11.9%)や人間ドックの補助(10.6%)、メンタルチェックや心の悩み事相談(10.2%)などでした。今後新たに開始してほしい施策では、1日8000歩超えるとポイントがつくなどといった「健康への取り組みに対するインセンティブ」(10.0%)が最も多く、「人間ドックの補助」(9.5%)、体重計や活動量計をはじめとする「健康器具の配布」(8.7%)が続きました。特に20代では「健康への取り組みに対するインセンティブ」と「健康器具の配布」に人気が集まりました。
出典:日経BPコンサルティング「健康意識に関するオンライン調査」より
体のことを考えた飲食習慣、適度な運動、睡眠や入浴、ストレス対策など、心身のコンディションに気を配る人々が増え、健康志向の高まりが伺えます。
執筆
日経BPコンサルティング
コンテンツ本部
医療&健康コンテンツチーム
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