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株式会社 日立システムズ

専門家コラム:人とロボットの<楽しい>共生社会に向けて~雑談の重要性~

【第4回】「芸人Pepperプロジェクト」から見えてきたこと

これからは、技術的・物的な「ロボット開発」だけではなく、顔が見える人的な「ロボット演出」という新しい分野の開拓が必要であると考えます。技術を開発するだけでは、人とロボットの楽しい共生社会は実現できないからです。ロボットとどのような関係を構築していくか、ロボットに対してどのように振る舞うかが大事で、そのためには人とロボットの会話、特に雑談をデザインする能力が不可欠となってくるでしょう。

「人とPepperの漫才」をトータルデザインすることの意義

第3回で紹介しましたとおり、2016年4月にペッパーズの金子竣氏(株式会社よしもとクリエイティブ・エージェンシー)と共に「芸人Pepperプロジェクト」を立ち上げました。筆者のゼミ(慶應義塾大学総合政策学部2016年度)では、以前から雑談分析に加え、ユーモア生起やキャラ構築などに関して、お笑い芸人さんを研究対象として分析していました。得られた結果の検証方法や応用の可能性を模索していたところ、Pepperと出会ったのです。
まず、「人とPepperの漫才作り」をゼミに取り入れました。漫才を観察し、実際に自分たちでも人気漫才師のネタをまねて実演もしました。筆者自身もゼミ生とコンビを組んで漫才を体験しましたが、「間」や「ツッコミ」など観察・分析をとおして、頭では分かっているつもりでも、身体は思うようには反応しないことを体感しました。
驚いたのは、普段どちらかというと無口でおとなしい学生が楽しそうに生き生きと漫才をしたり、プロのような上手い漫才をする学生がいたりしたことです。ゼミ生の新たな一面や才能を発見できたことは筆者にとって有意義でした。
その後、3人ずつ11グループに分かれ、「人とPepperの漫才作り」を以下の手順で行いました。

ボケ産出/ネタ作り/キャラ設定/台本作成/コレグラフ※でPepperの発話作り/イントネーション調整/モーション作りなど

(※コレグラフ…Pepper のアプリを開発するためのソフトウェア)

この際、アイコンタクト(セリフのどの位置でPepperが相方を見るようにするか)や常にどこか動いているようにすることにも気を配りました。
また、談話分析の観点から「間」「あいづち」「視線」「ジェスチャー」などの先行研究も勉強しながら、なんとなく直観で面白そうなものを作るのではなく、理論と分析に基づいて作ることができるようになることをめざしました。
Pepperの動きやセリフを組み込んだ漫才のアプリができ上がれば、次は学生自身がPepperの相方となり漫才の練習です。Pepperのボケに対してツッコミの「間」や「演技」を仕上げていきます。

結果的に、人のセリフにPepperのセリフとモーションのタイミングを合わせるペッパーズ方式のほかに、Pepperのセリフに人がタイミングを合わせてツッコミを入れていくという新たな方法も産出されました。こちらが、その「人とPepperの漫才」11本のダイジェスト版です。

以上のように、「人とPepperの漫才」をネタ作りからPepperと一緒に演じるところまでトータルデザインすることで、ロボットと共に笑いを起こす(ユーモア生起する)難しさと面白さを体験するというUX(User Experience)になったことが意義深い点です。

「人とPepperの漫才」のトータルデザインにおける教育的効果

仕上げた漫才を撮影しただけではなく、上映会(発表会)を開き、聴衆の反応を収録して研究データとしました。このデータを使用して、卒業論文「ロボット漫才におけるユーモア生起 ―不適合理論による漫才スタイルの比較分析―」を執筆した日比野太郎君は、2016年度優秀卒業プロジェクトを受賞しました。なぜ面白いのかを理論で説明できるようになったことも、教育的効果の一つです。
また、学外でも数人のゼミ生がイベントなどで何度かペッパーズの漫才を手伝わせてもらい、M-1グランプリ2016では2回戦の進出までお供できたことも、貴重な体験となりました。

M-1グランプリの本番ともなれば、ペッパーズ金子氏の足をひっぱらないようにとゼミ生は大変緊張したと思いますが、プレッシャーを跳ね除け「間」も完璧にやり遂げたことは、研究へのモチベーションアップにつながり、この分野への興味が深まったようでした。
このように、自分が作りたいものを作って満足するのではなく、他者からみて面白いか、見た人に楽しんでもらえるかという視点を持てたことは、意義深いことでしょう。「人とPepperの漫才」をトータルデザインすることで見られた主な教育的効果は次のとおりです。

ロボット(Pepper)の特性把握/文化、習慣、言語行動に対する観察力・分析力の向上/視点を変えて考える力、多角的思考力の向上/ユーモアセンス、独創性が身に付く/羞恥心の克服/自己開示力、表現力、プレゼン能力、コミュニケーション能力の向上など

新しい分野「ロボット演出」開拓の必要性

「人とPepperの漫才」だけではなく、「演劇」「マジックショー」など人とロボットのエンターテイメントは大きな可能性を秘めています。これらのロボット演出の分野を開拓していくことは、人とロボットの楽しい生活面だけではなく、教育面においても重要であると考えています。ロボットと並んで観客の前に立つとき、ロボットと同じ景色を見ることになります。ロボット側に立つ経験は、相手の立場になって考えることにつながります。さらに仕事面でも、ひとりよがりの技術ではなく、ユーザー側に立てる(ユーザーに新たな楽しい体験価値を提供できる)人材の育成(能力開発)が、今後ますます必要となってくるでしょう。

  • ※ コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。
  • ※ 記載の会社名、製品名はそれぞれの会社の商標または登録商標です。
 

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