
環境配慮経営の効果を示し、情報開示の充実による透明性・ブランド価値向上に貢献、持続可能な森林経営を支援
2026年10月27日
株式会社日立システムズ

本サービスの活用イメージ
株式会社日立システムズ(以下、日立システムズ)は、ドローンとAI技術を活用し、森林の情報を可視化する「森林調査DXサービス」を提供しています。このたび、同サービスのオプションとして、森林の自然資本を科学的に定量評価する「ネイチャーポジティブ*1推進支援サービス」の提供を開始します。本サービスは、日立システムズが持つ森林解析技術および森林関連のドメインナレッジと、サンリット・シードリングス株式会社(以下、サンリット・シードリングス)が持つ生物多様性分析技術(環境DNA*2分析、GIS*3分析、野外調査)を組み合わせ、企業や自治体、森林組合などが取り組むネイチャーポジティブ施策を、水源涵養(かんよう)機能*4、炭素蓄積量、生物多様性の観点から評価し、その成果を可視化・将来変化をシミュレーションするものです。本サービスでは、生物多様性の評価に環境DNA分析を採用しています。環境DNA分析は、ネイチャーポジティブ・イニシアティブ*5(以下、NPI)が2026年10月13日に正式版を公表した世界共通の自然評価の指標・枠組み「自然の状態(SoN:State of Nature)指標」*6の測定ガイダンスにおいて、自然の状態を把握する方法の一つとして示されています。
本サービスの活用により、お客さまは自然資本への取り組みを定量的な成果として可視化し、投資家や金融機関、地域住民などのステークホルダーに分かりやすく説明できるようになります。また、統合報告書やサステナビリティレポートなどで評価データを活用することで、投融資判断に向けた説明材料として役立てることができ、企業・団体のブランド価値向上にもつなげることができます。
近年、企業には気候変動対策に加え、生物多様性や森林、水、土壌などの自然資本への取り組みを経営に取り込み、その成果をステークホルダーに説明していくことが求められるようになっています。しかし、森林整備などの活動については実施内容を示すことはできても、その結果として水源涵養機能や生物多様性がどの程度改善したのか、さらにどのような経済価値を生み出したのかを客観的に示すことが難しいという課題があります。こうした課題を背景に、企業には自然資本への依存・影響や取り組み成果の可視化を求める動きが世界的に広がっています。2022年に採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」では、2030年までに生物多様性の損失を止め、反転させる目標が掲げられています。また、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく情報開示への関心も高まっており、企業は自然資本に関するリスクや機会だけでなく、保全・回復に向けた取り組み成果を示すことが求められています。こうした中、2026年10月13日には、自然の状態を測定するための世界共通の指標・枠組み「SoN(State of Nature)指標」が公表され、TNFDのLEAPアプローチ2.0*7やSBTN*8が公表したScience-Based Targets for Nature 2.0の関連する枠組みに統合されました。これにより、企業が自然の状態を共通の指標に基づいて定量的・客観的に把握する重要性がさらに高まることが予想されます。また、SoNの測定ガイダンスには、自然の状態を把握するための方法の一つとして環境DNAが明記されています。
日本でも、環境省など4省庁が2024年3月に策定した「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」や、2025年7月に策定された「ネイチャーポジティブ経済移行戦略ロードマップ(2025-2030年)」を背景に、金融機関や投資家が自然資本への取り組みを投融資判断の要素として重視する動きが進んでいます。こうした中、森林や水などの自然資本との関わりが深い企業や自治体では、自然環境の改善効果を科学的かつ定量的に可視化し、投資判断や情報開示、ステークホルダーとの対話に活用できる仕組みへのニーズが高まっています。
本サービスは、2025年11月から2026年3月にかけて、群馬県森林組合連合会の協力のもと実施した実証実験の結果をもとに開発したものです。日立システムズが持つ森林解析技術や森林関連のドメインナレッジと、サンリット・シードリングスが持つ生物多様性分析技術を組み合わせ、水源涵養機能・炭素蓄積量・生物多様性の観点から評価対象地域の森林の状態を評価するとともに、将来変化をシミュレーションします。
具体的には、ドローン分析、環境DNA分析、GIS分析および野外調査による生物多様性評価を実施します。これらの分析により取得したデータを基に現状を評価し、適地適木の考え方で森林造成を行った場合の将来変化をシミュレーションします。また、林野庁が2026年3月に公表した「林地における水資源涵養量(貯留機能)の簡易評価手法」を参照、環境省が2025年5月に公表した「自然資本の経済的価値評価の活用可能性について」に示された評価式を用いて評価し、森林が持つ自然資本の経済的価値を算出することも可能です。
群馬県で実施した実証実験では、対象森林の水源涵養機能による渇水・洪水・土壌劣化防止の効果を環境省の評価式を基に参考金額として評価した結果、森林がダムなどのインフラと同様の役割を果たす価値として、総面積約50haあたり年間約4,900万円の便益が生まれることを確認しました。さらに、森林の立地条件に適した樹種を植栽する「適地適木」の考え方に基づいて森林整備を行った場合、年間約6,000万円までの便益向上が見込まれることも確認しています。
これまで、森林の自然資本に基づくネイチャーポジティブの取り組みは、その効果を定量的に把握することが難しいという課題がありました。NPIが正式版を公表した世界共通の自然評価の指標・枠組み「自然の状態(SoN:State of Nature)指標」において、自然の状態を把握する方法の一つとして示されている環境DNA分析を採用した本サービスを活用することで、企業や自治体、森林組合などは森林整備による効果を国際的な指標に基づき定量的に把握できるようになります。また、その成果を統合報告書やサステナビリティレポートなどで活用することで、環境への取り組みを客観的に示すことが可能になります。
これにより、企業や自治体はステークホルダーからの理解や共感を得やすくなるほか、森林整備プロジェクトへの参加や支援の拡大につながります。その結果、森林整備に必要な資金の確保が進み、さらなる森林整備が促進されることで、持続的な森林経営に向けた取り組みを後押しします。
日立システムズは「森林調査DX」で培った森林解析技術と全国約300拠点のネットワークを活用し、森林の公益的機能を活用して事業を行う企業や自治体、森林組合などネイチャーポジティブへの取り組みを推進したい全国のお客さまに本サービスを提供していきます。また、評価・可視化・将来変化のシミュレーションだけに留まらず、森林でのネイチャーポジティブ活動の実行を支援するサービスの検討も進めています。30 by 30目標*9をはじめとする環境目標の達成には、日立システムズの技術だけでなく、お客さまが保有・管理する森林などの自然資源を生かした継続的な取り組みが不可欠です。こうした取り組みを通じてネイチャーポジティブの実践を後押しすることで、プラネタリーバウンダリーを超えないよう地球の環境を守りながら、ウェルビーイングが保たれた持続可能な社会の実現に取り組んでいきます。
サンリット・シードリングスは「生物多様性の科学で持続可能な地球生態系を実現する!」を企業理念とする、京都大学発のスタートアップ企業です。生態学の知見から独自開発した手法「Biosphere Viewer」を用いて生態系・生物多様性の評価を行います。またネイチャーポジティブの実現に向けた、生態系の再設計・再構築支援も行います。一般企業や自治体、公的機関の幅広いお客様に対して、環境・農林水産業・水処理等のさまざまな分野で分析・コンサルティングサービスを提供しています。
日立システムズは、日立グループの社会イノベーション事業を支える企業として、サステナビリティ経営を推進し、システム開発から運用・保守・工事までをワンストップで提供しています。現場で培ったドメインナレッジとAIを掛け合わせたDXサービスや安心・安全なデジタル環境を実現するマネージドサービスを通じて、お客さまの企業価値向上に貢献します。そして、お客さまとともに社会課題を解決することで、企業理念に掲げる「真に豊かな社会の実現に貢献」してまいります。
株式会社日立システムズ お問い合わせWebフォーム
以上