2017年6月19日
株式会社日立システムズ
株式会社日立システムズ(代表取締役 取締役社長:北野 昌宏、本社:東京都品川区/以下、日立システムズ)は、「第75期 決算公告」を当社Webサイト上にて電子公告するとともに、2016年度(2017年3月期)業績および今後の取り組みについてお知らせいたします。
当社は、日立グループが推進する社会イノベーション事業を支える企業として、連結経営強化を推進しています。中期経営計画の下、当社グループ各社が連携して事業に取り組んだ結果、連結の業績は以下のとおりとなりました。
区分 | 2015年度 (百万円) |
2016年度(当年度) (百万円) |
前年度比 (%) |
2017年度(見通し) (百万円) |
前年度比 (%) |
|
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売上収益 | 455,916 | 455,516 | 100 | 479,000 | 105 | |
調整後営業利益 | 40,436 | 41,425 | 102 | 42,700 | 103 | |
EBIT | 37,535 | 32,962 | 88 | 42,700 | 130 |
(注1)連結業績:本数値は、公認会計士の監査を受けておりません。
(注2)調整後営業利益は、売上収益から、売上原価ならびに販売費及び一般管理費の額を減算して算出した指標です。
(注3)EBITは、継続事業税引前当期利益から、受取利息の額を減算し、支払利息の額を加算して算出した指標です。
EBITは、Earnings before interest and taxesの略です。
経営諸施策を通じて事業拡大と経営基盤の強化を図った結果、2016年度の受注高は過去最高の5,000億円の大台を初めて突破しました。しかしながら、次年度以降に売上計上される案件もあり、当年度売上への貢献は限定的であったことや、番号制度対応特需の減少分の影響もあり、連結売上収益については、455,516百万円(前年度比100%)と横ばいとなりました。調整後営業利益については、コスト低減施策の成果により、41,425百万円(前年度比102%)と目標としていた利益額を確保しました。EBITについては、調整後営業利益は僅かながら増益となったものの、事業構造改革費用を計上したことなどにより、32,962百万円(前年度比88%)となりました。
2017年度の見通しについては、IoTを活用した設備予防保守サービスや統合資産管理サービスなど、デジタライゼーションの潮流を踏まえたサービス事業の拡大に注力し、売上収益は479,000百万円(前年度比105%)の達成をめざします。調整後営業利益は、事業拡大に伴う増益が見込まれるため、前年度を上回る42,700百万円(前年度比103%)となる見通しです。EBITは、事業構造改革費用などの影響がなくなることから、42,700百万円(前年度比130%)となる見通しです。
区分 | 2012年度 | 2013年度 | 2014年度 | 2015年度 | 2016年度 (当年度) |
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売上高(百万円) | 339,956 | 355,337 | 371,569 | 382,972 | 381,762 |
営業利益(百万円) | 16,612 | 19,575 | 23,643 | 31,897 | 30,911 |
経常利益(百万円) | 17,938 | 20,530 | 24,890 | 35,215 | 34,012 |
当期純利益(百万円) | 10,545 | 11,388 | 14,784 | 14,408 | 13,786 |
期末総資産(百万円) | 230,626 | 244,848 | 252,081 | 250,146 | 254,009 |
当年度におけるわが国経済は、中国や一部の新興国において成長が鈍化したことや円高基調が継続したことに伴い生産・輸出が伸び悩んだものの、米国や欧州において景気回復基調が継続したことや各種政策の効果もあって雇用・所得環境や企業業績が上向き、緩やかに景況感を回復しながら推移しました。こうした経済動向やデジタル技術を使ってビジネスの変革等を図る「デジタライゼーション」の潮流を背景に、ITサービス産業も市場環境の緩やかな改善が進みました。
このような状況の中、当社は、日立グループが推進する社会イノベーション事業を支える企業として、2016年度から新たにスタートした中期経営計画の目標達成に向け、以下5点の重点施策に取り組みました。
公共・自治体向け事業では、日立 自治体ソリューション「ADWORLD」のさらなる拡販や番号制度を契機としたセキュリティ強靭化案件の獲得に注力するとともに、株式会社日立製作所との連携により、官庁の周辺システムや外郭団体の基幹システム案件の獲得に注力しました。
金融機関向け事業では、自社データセンターを活用した業務アウトソーシングやITライフサイクルマネージドサービス提供により、システム運用事業の拡大を図りました。
産業・流通向け事業では、主に中堅・中小規模企業に向けて、日立 製造・流通業向け基幹業務ソリューション「FutureStage」や総合経費管理システム「Traveler'sWAN」をはじめとした各業種・業務に適したパッケージを活用したソリューションの拡大に注力しました。
ネットワーク・セキュリティ事業では、日々進化・多様化するサイバー攻撃などのセキュリティリスクの可視化を行い、適切なセキュリティ対策を実施できるように支援するサービスを拡充しました。
社会インフラ事業では、「構造物・設備資産管理ソリューション」の積極展開を図りました。また、訪日外国人向けソリューション、マンホールの防犯・安全対策ソリューション、農業ICTサービスなど交通・防犯・農業分野向け等の新ソリューションの立ち上げや横展開を図りました。
産業・流通向け事業では、金型などの資産や工場設備の管理を支援する統合資産管理サービスや、多店舗展開企業向けの設備保全マネジメントサービスの立ち上げに注力しました。
コンタクトセンターに蓄積したお客さまデータを活用した分析・改善提案による請負業務の拡大やコンタクトセンターと保守拠点を起点としたオンサイトサポートサービスの拡大に注力しました。
コミュニケーションロボットや、ドローンを活用し、さまざまな業種向けのトータルサービスの立ち上げに注力しました。
IoT機器のぜい弱性対策ニーズを踏まえ、インターネットに接続された監視カメラや自動販売機などのIoT機器に対するサイバー攻撃を検知するサービスを開発しました。
M&Aにより獲得・整備した東南アジア、中国、インド、欧州の4拠点において、事業基盤の強化を図りました。また、海外グループ会社が持つ技術・商材の相互利用を促進したほか、海外展開する日立グループをITの側面からサポートしました。
特に、インドにおいては、Hitachi Systems Micro Clinic Pvt. Ltd.を中核として、監視やリモートオペレーションサービスなど当社が強みとする商品・サービスをインド市場向けにも展開しました。
日立グループのコスト構造改革プロジェクト「Hitachi Smart Transformation Project」との連携を継続し、あらゆる側面からコストの低減策に取り組みました。
プロジェクトマネジメント強化の観点では、要件定義や基本設計などシステム開発における上流工程からのフェーズゲート管理や予兆監視を強化し、不採算案件の発生抑止に努めました。システム運用案件においてもシステム構築と同様のマネジメント手法を適用し、赤字案件の発生防止に注力しました。
品質管理強化の観点では、開発、運用、保守それぞれの工程において、テスト精度の向上による不良摘出の強化、手順変更時のチェックポイントの設定、部品の定期交換などの計画作業に対する作業手順の徹底を図るとともに、中堅・若年層向けのSE人財育成教育を強化し、事故の撲滅や不採算案件の発生抑止をめざしました。
デジタライゼーションの進展を踏まえ、フィールドサービス事業強化を目的に、工事に強みを持つ株式会社日立システムズファシリティサービスの全事業を、保守サービスやビジネスサポートに強みを持つ日立システムズ・テクノサービス株式会社に2017年4月1日付けで集約し、同社の社名を株式会社日立システムズフィールドサービスに変更することを決定しました。また、グループ経営のさらなる強化に向けて、海外グループ会社のガバナンス強化などにも取り組み、連結経営体制の強化を図りました。
新たに「Human*ITミーティング」を開始するなど、従業員基点の経営の仕組み「日立システムズWay」の定着浸透を推進し、従業員が主体的な行動を積み重ねることにより、継続的な企業ブランド価値向上を図りました。
また、2013年に東日本大震災からの復興に向けて仙台市が実施した提案型ネーミングライツ(施設命名権)を取得した「日立システムズホール仙台」を活用し、チャリティーコンサートや子ども向けの体験型イベントなどを「希望の響き」シリーズとして展開し、文化面からの復興支援に取り組みました。
当社個別業績については、売上高については、381,762百万円(前年度比100%)と横ばいとなりました。それに伴い、収益面では、営業利益は30,911百万円(前年度比97%)、経常利益は34,012百万円(前年度比97%)と僅かながら減益となりました。なお、事業構造改革費用として5,411百万円、関係会社株式評価損として6,237百万円、関係会社事業損失引当金繰入額として207百万円、合計11,856百万円を特別損失として計上したため、当期純利益は13,786百万円(前年度比96%)となりました。
区分 | 2015年度 (百万円) |
2016年度 (当年度) (百万円) |
前年度比 (%) |
|
---|---|---|---|---|
売上高 | 382,972 | 381,762 | 100 | |
システム構築事業 | 148,013 | 146,230 | 99 | |
システム運用事業 | 140,877 | 152,332 | 108 | |
保守事業 | 70,829 | 69,711 | 98 | |
ファシリティサービス事業等 | 23,253 | 13,489 | 58 | |
営業利益 | 31,897 | 30,911 | 97 | |
経常利益 | 35,215 | 34,012 | 97 | |
特別損益 | ▲9,170 | ▲11,856 | - | |
税引前利益 | 26,045 | 22,155 | 85 | |
当期純利益 | 14,408 | 13,786 | 96 |
当社が提供するITサービスの事業品目別の営業状況は次のとおりです。
クラウドベースのシステムインテグレーションや日立 自治体ソリューション「ADWORLD」、日立 製造・流通業向け基幹業務ソリューション「FutureStage」、顧客海外拠点のシステム再構築を契機としたグローバル対応のERP(Enterprise Resource Planning)パッケージの拡販など、各業種・業務向けパッケージを活用したシステムインテグレーションに注力し、産業・流通向けは堅調に推移したものの、番号制度対応特需の減少分の影響などを受けて、前年度と比べ僅かながら減収となりました。
以上の結果、システム構築事業の売上高は、146,230百万円(前年度比99%)となりました。
価格下落の影響があったものの、全国のデータセンターを活用したアウトソーシングサービスやリソースオンデマンドサービスに加え、ネットワークソリューション「NETFORWARD」、セキュリティソリューション「SHIELD」、業務サポート分野向けのコンタクトセンターサービスなどの展開に注力したことにより、前年度と比べて売上を拡大することができました。
以上の結果、システム運用事業の売上高は、152,332百万円(前年度比108%)となりました。
さまざまなベンダーのIT機器の調達から保守まで一括支援するマルチベンダー保守サービスや機器・設備やロボットなどの保守サービスの拡販に注力したほか、主力であるICT機器の保守についても、減少傾向は継続したものの緩やかな減少にとどめることができました。
以上の結果、保守事業の売上高は、69,711百万円(前年度比98%)となりました。
ファシリティサービス事業は、工事対象領域の拡充に向けて、新たに機械器具工事業の許可を取得し、設備運用・保守サービスと連動した現場起点での設備工事案件を獲得するなどして事業拡大に取り組みましたが、サーバーやストレージなどの出荷減少に伴うICT工事の減少、太陽光発電所新設需要の一巡等により、ファシリティ工事の売上が減少したほか、購入代行・サプライサービスも売上が減少しました。
以上の結果、ファシリティサービス事業等の売上高は、13,489百万円(前年度比58%)となりました。
当社は、経営ビジョンに「世界につながる人財と先進の情報技術を組み合わせた独自のサービスを創造し、お客さまからすべてを任せていただけるグローバルサービスカンパニーになる」を掲げています。日立グループが推進する社会イノベーション事業を支える企業として、事業ブランド「Human*IT」の下、多彩な人財と先進の情報技術を組み合わせた独自のサービスによって、幅広い業種・規模のお客さまのデジタライゼーションに貢献し、お客さまと共に新たな価値を創造しています。
経営ビジョンの実現に向け、昨年度から2018年度までの新たな中期経営計画をスタートし、2018年度までの連結売上高成長率において市場の伸びを超える成長を実現すること、海外売上高比率10%を達成することを業績目標として各種施策を展開しています。
中期経営計画の目標達成に向けて、2016年度に鈍化した事業成長を再び成長路線に乗せることが最も重要な課題です。受注状況は好転の兆しが見られるものの、事業成長を加速するまでに至っていません。デジタライゼーションの潮流が加速する中で、再び力強い成長を遂げるためには、ソフトウェアやプロダクト等の製品提供型のビジネスモデルから脱却し、デジタル技術をツールとして活用したサービスを提供し、お客さまの現場や経営の課題を解決するモデルへの変革をスピード感を持って進めていく必要があります。
そのため、2017年度は「デジタライゼーションの潮流を捉えたサービス事業の拡大」を重点方針に掲げ、2016年度の事業拡大を阻害した要因の解消に加え、デジタライゼーションの取り組みをさらに加速させ、より発展した「サービスカンパニー」へと進化していくため、各事業グループの有機的な連携を加速させるための組織再編を行うとともに、以下5点の重点施策に取り組んでまいります。
公共・自治体分野では、日立グループにおける事業体制の再編を契機に、自治体システムの拡販を強化します。特に、国が従来から推進している複数団体でのシステム共同利用に対応した取り組みに加え、国民健康保険の広域化に対応したシステム刷新のニーズをとらえて、積極的に対応します。また、住民向け子育て支援政策を支援するモバイルサービスや番号制度に伴う新たなサービスの開発・拡販に注力します。
金融分野では、株式会社日立製作所の金融ビジネスユニットとの連携や、常駐エンジニアの現場力を生かしたデジタル化支援などにより、システム運用事業の拡大に注力します。
産業・流通分野では、中堅・中小規模企業向けを中心に、日立 製造・流通業向け基幹業務ソリューション「FutureStage」をはじめ、各業種・業務に適したパッケージを活用したERPソリューションの拡大に注力します。
また、金型などの資産や工場設備の管理を全国のサービス拠点網とデジタル技術で支援する統合資産管理サービスの拡販に加え、多店舗展開企業向けに冷凍・冷蔵設備や調理器具、空調設備などの故障対応を24時間365日体制で一括受付するとともに、問い合わせや修繕データの分析を通じて、早期回復や予防保全により営業機会損失の抑制や保守コストの適正化を支援する設備保全マネジメントサービスなどの拡販に注力します。
高まるセキュリティ対策ニーズに応えるため、マネージドセキュリティサービス機能の拡充に向けて、Security Operation Center(SOC)を増強します。
デジタライゼーションの潮流を踏まえ、製造現場向けの工場見える化サービスや設備の予防保守・定期保守支援サービスなどの拡販に注力します。
電力・鉄道、防災・防犯など社会インフラ分野の業務SEと、サイバー・フィジカルセキュリティ、ネットワーク技術者が連携し、映像・センサーデータ解析や監視・予防保全支援サービスなど、現場の課題解決を支援する新たなサービスを創出します。
保守事業においては、事業の維持・拡大に向けて、全国約300か所に展開するサービス拠点網を生かし、産業用ロボットや産業機器、太陽光発電所向けパワーコンディショナー(PCS)など、IT機器以外の機器・設備の保守業務拡大に注力します。
世の中の働き方改革に向けた取り組みを踏まえ、自社のコンタクトセンターやデータセンターで適用し、人手で行っていた定型業務を自動化してコスト低減や品質・サービスレベルの向上につなげた改善実績を生かし、RPA(Robotics Process Automation)ツールや運用プロセス自動化ツールを活用した業務効率化支援サービスを幅広い業種向けに積極展開します。
東南アジア、中国、インド、欧州の4拠点における事業基盤強化とサービス事業拡大を図ります。また、海外グループ会社が持つ技術・商材の相互利用を促します。特に、インドにおいては、北部の州において、インド政府が推進している電子政府サービス向けのITインフラの多拠点導入・保守サービスを受注した事例を基に、他地域への横展開を図ります。
また、日立グループをはじめ、欧米に展開している日系企業のシステム保守・運用サービスの受託拡大に向けて、インドを中心とする海外グループ会社のスキル向上と体制整備に積極的に取り組みます。
日立グループのコスト構造改革プロジェクト「Hitachi Smart Transformation Project」と連携し、2016年度に実施した構造改革を着実に成果につなげるとともに、引き続きあらゆる側面からコストの低減策に取り組みます。
プロジェクトマネジメント強化の観点では、案件審査を厳格化し、事業性やリスクを厳しく見定めるなど、上流工程からのマネジメント力を強化することより、営業・SEを優良な引き合い案件に集中させるとともに、不採算案件の発生を抑止します。
品質管理強化の観点では、開発、運用、保守それぞれの工程において、見積もり段階から品質リスクを考慮した品質確保の徹底、「QF(Quality First)ミーティング」を通じた手順・ルールの再確認、アクションプランシートの定着化による作業品質の向上に努め、重大事故の撲滅をめざします。
一方で、事業成長に向けて地域の多くの中堅・中小規模のお客さまへのサービス提供を拡大するため、当社グループの人財やビジネスパートナーのスキルやリソースを可視化し、機動的に適切なリソースを配分して有効活用するための仕組み作り、顧客データの分析やプロジェクトリスクの予兆検知などを行えるIT基盤の整備などにも取り組みます。
「日立システムズWay」を推進し、従業員が主体的な行動を積み重ねることにより、継続的な企業ブランド価値向上を図ります。そのために、先の中期経営計画で育成してきた価値創造人財の維持・拡大を図り、さらなる価値創造に向けた施策に取り組みます。
一方、企業ブランド価値を守るための施策として、「基本と正道」に則り企業倫理と法令順守に根ざした事業活動を展開するとともに、従業員一人ひとりが「損得より善悪」を常に意識し、「日立システムズWay」に沿った行動を徹底します。
2017年度は、これらの諸施策を推進するとともに社会課題の解決に継続的に取り組み、中期経営計画の達成をめざします。そして、多彩な人財と先進の情報技術を用いた独自のサービスを通じて新たな価値を創造することにより、企業ブランド価値を高め、従業員、お客さま、社会から選ばれる会社をめざします。当社はこれからも情報サービス業界の先駆的企業としての経験と誇りを持って、企業理念に掲げる「真に豊かな社会の実現に貢献」を実践し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
株式会社日立システムズ
CSR本部 コーポレート・コミュニケーション部 杉山、藤原
〒141-8672 東京都品川区大崎一丁目2 番1号
TEL:03-5435-5002(直通)
E-mail:press.we@ml.hitachi-systems.com
以上
日立システムズは、システムのコンサルティングから構築、導入、運用、そして保守まで、ITライフサイクルの全領域をカバーした真のワンストップサービスを提供します。