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経理部門向けお役立ちコラム

知っていますか?「不適切会計」(後編)

知っていますか?「不適切会計」(後編)

はじめに

本コラム(前編・後編)では、「不適切会計」について、経理部門・財務部門のみなさまが最低限知っておくべきポイントに絞って解説しています。前回コラムでは、不適切会計とは何か?発生状況の推移は?なぜ起きるのか?といった点について説明をしました。今回は、意図的な不適切会計が具体的にどのような手法によって行われるのか?また、それを防ぐにはどうすればいいか?について考えてみたいと思います。

意図的な不適切会計の手法とは?

不当利益を得るための意図的な不適切会計には、いくつかの手法があります。以下に代表的なものを紹介しましょう。

(1)循環取引

循環取引は、粉飾決算の手法として広く知られています。これは共謀した3社以上の会社間において、取引を意図的に循環させる手法です。たとえば、甲、乙、丙の3社があるとします。甲は乙に100万円で商品を販売、乙は丙に100万円で同商品を販売、丙は甲に100万円で同商品を販売します。取引が循環しているため最終的にはプラスマイナスゼロに近い状態になりますが、短期的には各社100万円の売上を計上することができます。取引の実態が無いに等しいにもかかわらず、売上高を不正に操作するのがこの循環取引です。

(2)「有償支給」の悪用

有償支給とは、メーカーが外注業者に製造を委託するケースにおいて、製造に必要な部品や素材をメーカー側が仕入れ、外注業者に有償で支給することを指します。外注業者はそれを使って製造を行い、メーカーは最終的に有償支給した部品や素材の金額も含めて完成品を買い取ります。

会計の原則から考えると、最終的に買い戻しが予定されている有償支給品は債権・債務として処理すべきですが、これを販売・仕入で処理することで、メーカーは有償支給品の販売により、売上・利益を前倒し計上することが可能になります。

(3)「工事進行基準」の悪用

建築、造船、システム開発など、完成まである程度時間がかかる契約(工事契約)においては、完成時に一括して売上計上する「工事完成基準」か、工事の進捗にしたがって売上を少しずつ計上する「工事進行基準」のどちらかを選択することができます。この工事進行基準を悪用した不適切会計のケースが発生しています。

工事進行基準では、工事進捗に応じて売上と原価を計上しますが、その工事進捗率は、実際に発生した原価を見積総原価で割る、原価比例法で算出することが一般的です。発注者と受注者の合意で決定する受注金額とは違い、見積総原価は受注者自ら算出できるため、見積総原価を意図的に過小に見積もることで進捗率を上げ、売上・利益を実態より多く前倒し計上することが可能になるのです。

(4)取引先への請求支払の翌期繰越依頼

こちらは極めて単純な不適切会計の手法です。仕入先の業者に、請求書の発行を遅らせるよう依頼し、費用を翌期にスライドさせることで当期の業績をよく見せる手法です。

このように、さまざまな手法を駆使することで短期的に売上・利益はかさ上げされますが、当然そのツケは翌期以降に回ってきます。そして、そのツケを支払うために翌期さらに不適切会計を重ねてしまい、やがてそれが慢性化してしまう……。このようなケースは枚挙に暇がありません。

不適切会計の発生を防止する3つの取り組み

それでは、これらの不適切な会計処理を防ぐために、企業はどのような対応を取るべきでしょうか。以下に3つの対策法を紹介します。

(1)監査役の配置による監査機能の確立

(2)内部統制システムの整備

(3)売上偏重の社内風土改善

(1)監査役の配置による監査機能の確立

監査役は、取締役の職務が適正かつ適法に行われているかどうかを監査する、会社法上で認められた株式会社の一機関です。業務監査および会計監査によって、違法または不適切な職務執行がないかをチェックし、その恐れがあれば阻止および是正を行う役割を持ちます。

監査役による監査が有効に機能するためには、その人選が非常に重要になります。不適切会計が発生してしまう会社では、経営者の元部下や、経営層と利害が一致する人物を監査役に置くことが当たり前のように行われています。監査役が元上司の不正をしっかりと指摘することは非常に難しく、これでは適切な監査機能を発揮できません。

監査役を名ばかりの機関にしないためには、その人選において、経営者・経営層にとって耳の痛いこともしっかりと進言できる、客観性、公平性を持った信頼できる人物を配置することが重要となります。

(2)内部統制システムの整備

適切な人選に基づく監査役を設置し、経営層へのチェック機能がしっかり働いていたとしても、一般社員が個人的な着服、横領などの不適切会計に手を染めてしまう可能性があります。不適切会計を全社的に防止するためには、日々の業務処理において意図的な不正やミスが起こり得ない、内部統制システムを整備することが有効です。

内部統制システムを人海戦術によるマニュアルオペレーションで構築・運用するには多大なコストがかかるため、多くの会社が業務システムの導入によって、内部統制システムの構築を実現しています。たとえば、内部統制に対応した業務システムでは「外部企業への発注処理は、特定のユーザーのみが行える」「発注前に上長を含む多人数の承認を必要とする」などの統制をきかせることが可能となっています。これらの機能は不適切会計の防止に有効に作用するでしょう。

業務システムを導入することで、内部統制への対応と同時に、業務の効率化を期待することもできます。現在、紙書類による販売・購買、申請・承認を行っている企業であれば、システム導入効果が高く見込めるため、積極的な検討を行う価値があるでしょう。

(3)売上偏重の社内風土改善

監査役の設置、内部統制システムの構築といった「仕組み」の整備に加えて、その会社に根付いている「組織風土」の改善も不適切会計の防止には有効です。

不適切会計が発生した会社においてその原因を調査すると、経営層から社員に対して売上や利益などの数値目標を達成するよう日常的に強いプレッシャーがかけられており、その結果、不適切会計に手を染めてしまったというケースが散見されます。売上や利益目標の達成が人事考課や給与にも連動している場合にはなおさら、不適切会計を行ってでも目標を達成しようとする理由が生まれてしまいます。

この「売上至上主義」といった会社の文化、風土を変えられるのは、経営者だけです。しかし、経営者がその必要性を感じておらず、また、行き過ぎた売上至上主義が組織内に蔓延し、不正行為を誘発している恐れがあれば、一般社員が率先してその文化、風土を変えていく働きかけを行う必要があります。

経営者への直接的な進言の他に、社内通報制度など一般社員が不正を報告しやすい仕組みを構築することも有効です。不正が起こりにくい文化、風土を構築していくことが、不正会計の防止にも貢献するのです。

不適切会計を誘発しない、公明正大な組織づくりを

前編で説明したように、不適切会計の発生件数は年々増加しています。「わが社においてそのようなことはありえない」という油断、慢心が、不適切会計を誘発する恐れがあります。

本コラムでご紹介した、さまざまな仕組みの構築や、組織風土の改善などの努力によって、ぜひ、不正のない、公明正大な組織を構築していただければと思います。本コラムがその一助になれば幸いです。

[福地 晃弘 記]

※コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。
※本コラムは、2017年10月10日に掲載されたものです。

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