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-多種多様なビジネス課題をAIで解決-
AIビジネス活用のメインストリーム、プロが勧める「異常検知」に迫る

-多種多様なビジネス課題をAIで解決-AIビジネス活用のメインストリーム、プロが勧める「異常検知」に迫る

AI技術はさまざまな分野で活用されていますが、ビジネスにおいて最も多く、そして効果を発揮しているのが「異常検知」という分野です。製造業における機械の故障予兆、金融業における不正取引の検知など、多くの業種で活用されています。しかし、その選択肢は多岐にわたり、最適なソリューションを選ぶのは簡単ではありません。

そこで今回は、日立システムズの岡本博充、馬奈木翔太、谷口泰地から、異常検知とは何かを改めて解説いただき、具体的な事例や日立システムズで異常検知技術を導入することのメリットを紹介します。

profile

  • 岡本 博充

    岡本 博充

    株式会社 日立システムズ
    ビジネスイノベーション統括本部 AI活用ビジネス推進本部
    データサイエンス推進部 データサイエンス・エキスパート

    異常検知、数理最適化、生産計画、生成AIといったデータサイエンスに関連する幅広いサービスをお客さまに提案する業務を担当。

  • 馬奈木 翔太

    馬奈木 翔太

    株式会社 日立システムズ ビジネスイノベーション統括本部 AI活用ビジネス推進本部 データサイエンス推進部 技師

    異常検知分野をメインに取り組み、顧客との実証実験を通して実用化に向けてのサポートを担当。

  • 谷口 泰地

    谷口 泰地

    株式会社 日立システムズ ビジネスイノベーション統括本部 AI活用ビジネス推進本部 データサイエンス推進部 技師

    異常検知分野において、既存の方法では解決が難しい課題に対し論文調査や実験計画などを通した解決策の検証を担当。

「異常検知」分野は
多様なビジネス課題を解決する鍵になる

岡本: 異常検知とは、大多数の正常データの中からごくわずかな異常データを検出し、知らせる技術です。例えば、製造業の工場ではたくさんの機械が稼働しています。その機械が1つでも故障すると、生産ラインが停止し大きな損害につながる可能性があります。しかし、異常検知を活用すれば、機械から取得できるデータによって故障前に異常を自動検知できるので、損失を防ぎ、事前にメンテナンスを行うことが可能になります。

異常検知の技術はさまざまな分野で応用できることが特徴です。金融業では住宅ローンの与信審査での貸倒リスクを特定できたり、不正取引を見抜いたりすることができます。公共事業の場合、高速道路や水道などの重要インフラの異常を早期に発見し、事故を防ぐために活用できます。さらに、小売業では冷凍庫や空調設備などの異常を検出し、食品の腐敗や設備の故障を回避して損失を最小限に抑えることができるのです。

「異常検知」分野は多様なビジネス課題を解決する鍵になる

馬奈木: 例えば、製造業における機械の故障予兆の場合、異常検知を導入することによって、大きく3つのメリットがあると考えています。まずは、最適なタイミングで保守対応ができるため、費用削減につながることができる点です。他には、お客さまの業務に合わせて対応ができるため、製造などの影響を最小限に抑えることができます。最後に、企業価値の向上にもつながります。故障が起こる前に異常が分かるため、緊急停止などを防ぐことができます。これにより、エンドユーザーの満足度が上がり、契約増加や顧客満足度向上に貢献できると考えています。

異常検知を実用化する際は、4つのフェーズで進められます。最初はアセスメントです。お客さまへのヒアリングを通して問題点を明確にし、最適なアプローチ方法を検討します。また、お持ちのデータを確認し、異常検知に適用可能かどうかを判断したり必要に応じてデータ加工を行ったりします。次に、PoC(技術検証)を行います。「サンプルデータを用いて、実際に技術を適用し、期待できる効果があるか」などPDCAサイクルを回しながら検証します。そして、本番導入へと進みます。PoCで効果が見込めた場合、全データに対して異常検知技術を適用し、本番運用を想定した効果検証を行います。最後に、本番導入で問題がなければシステムの運用を開始します。運用開始までの期間は、お客さまの状況によって異なりますが、通常は約1年程度かかります。

「異常検知」分野は多様なビジネス課題を解決する鍵になる

【事例紹介】多数の設備に対応する
異常検知技術の新たな一手

馬奈木: ここからは、加工機械メーカーを想定したモデルケースをもとに、多くの企業が直面する問題も合わせて事例を紹介します。

・企業さまについて
鉄板などを強い圧力で圧縮・加工するプレス機をはじめとした加工機の製造から保守業務までを行っているお客さまを想定しています。

・企業が抱える課題
コスト低減と故障予防の両立が大きな課題となっていました。定期メンテナンスの頻度を上げれば故障のリスクを減らすことができますが、その分コストが増加してしまいます。一方で、コストを抑えるためにメンテナンス頻度を減らすと、故障の見逃しが発生する可能性が高まるので、そのバランスに悩まれていました。

・導入にあたって直面した問題とその解決策
異常検知の技法は、一般的に検知対象1つに対して1つの学習器を作成して監視を行います。大規模設備であれば問題ありませんが、中規模設備ではその検知対象の数が数千台に上るため、実務運用では投資対効果が見込めません。今回のケースも数千台のプレス機があり、1台1台の処理方法や役割、故障するタイミングも異なるためこの問題に直面しました。

学習器数の運用コスト問題の解決のため、日立システムズでは異常検知精度を維持しつつ学習器の数を減らすという技術を研究開発しています。この技術によって、1つの学習器で複数のプレス機を異常検知することが可能となり、運用コストの大幅な削減が期待できます。

岡本: 我々は、この問題を「数の暴力」と呼んでいます。個々の機械は高価なため異常検知へのニーズはありますが、有効な解決策を見出せている企業は少ないのが現状です。日立システムズでは、このような問題を解決できるという強みを持っており、費用対効果を高め、ご満足いただけるソリューションを提供することで、お客さまに貢献できると考えています。

【事例紹介】多数の設備に対応する異常検知技術の新たな一手

日立システムズは「AIパートナー」として課題に寄り添い、
解決まで一貫してサポート

谷口: 異常検知の可能性を感じていただけたとしても、実際に導入するとなると、異常検知サービスやツールは数多く存在していて自身で選ぶことは難しいです。成功の鍵となるのは、お客さまの問題とお持ちのデータに寄り添ってサービスやツールを提案できるAIパートナーを見つけることです。ここでは、日立システムズで異常検知技術を導入することのメリットをご紹介します。

1つは、数理分野に精通したAI人材が豊富にいることです。高度な理論的知識を持ち、日々AI技術に関する研究を続けている技師が在籍していて、さまざまなプロジェクトを通して日々技術を研鑽しています。専門的な知識をもとに、お客さまに合わせてツールやサービスをご提案するので新たな価値の創造につながるのではないかと思います。

他には、常に複数の技術開発・実証実験プロジェクトを進めており、さまざまなお客さまに対応できるよう知見を重ねています。中でも、中規模設備の異常検知では、教科書的なアプローチでは解決できない問題が多く発生しており、その解決に向けた技術検証を行っています。

日立システムズは、システム開発やAI開発、運用、アフターサービスなどを一貫して提供できる強みも持っています。さまざまな分野や技術のスペシャリストを擁しており、お客さまをゼロからサポートできる体制を確立しています。

日立システムズは「AIパートナー」として課題に寄り添い、解決まで一貫してサポート

谷口: 私たちは、研究のためだけの研究は行いません。お客さまの課題解決につながる技術開発を強く意識しています。長年培ってきた技術力をベースに、お客さまのビジネスに貢献できると思いますので安心してお任せいただければと思います。

馬奈木: お客さまが課題を持っていても、実際にお話を伺いデータを確認すると、すぐに適用できないケースが見られます。その理由としては、お客さまが取っているデータが少なかったり取得方法に課題があったりすることなどが挙げられます。これらは、お客さま自身では判断が難しい場合が多く、専門家が確認することで明らかになるものです。ですので、「まだ準備ができていないから」と遠慮なさらず、少しでも関心があれば早めにご相談いただければ幸いです。そうすることで、お客さまにとっても良い結果につながると考えております。

岡本: お客さまの役に立つことだけを追求し、日々技術を磨いています。その成果が、徐々にお客さまの元へ届けられるようになってきたと感じています。お客さまの課題をダイレクトに伝えていただければ、期待に応えられると確信しています。また、日立システムズの技術者は、仕事への情熱とお客さまへの貢献意欲が非常に高いことが強みです。社外のコンペに挑戦する者や、プライベートでアプリを開発する者もおり、お客さまの役に立ちたいという強い思いを持った人材が集まっています。ぜひお声がけいただければ幸いです。