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株式会社日立システムズ

富田製薬株式会社様

CSV対象システム モダナイゼーション

富田製薬株式会社様集合写真

確かな技術と深い業界理解によって製薬企業の変革を、技術と規制対応の両面から支援

医薬品原薬や添加剤を製造する富田製薬様は、これまで長年にわたり、オンプレミス(自社で運用するシステム)を中心に業務を行ってきましたが、今後の柔軟な運用や事業継続計画(BCP)を見据え、AWSを活用したクラウド環境への移行を決断しました。特に、業務の中核を担うCSV※1対象システムの移行では、技術面の信頼性だけでなく、今後の運用や監査をどのように確実かつ効率的に行うかが大きな課題となりました。日立システムズは、AWS上でのCSV準拠基盤の構築・運用に関する豊富な知見と実績を持ち、マルチアカウント設計やアクセス制御などの技術面でも強みを発揮しました。さらに、CSVガイドラインに対応した文書整備や職責分離、監査証跡管理など、規制要件への対応も丁寧にサポート。要件定義から運用設計まで一貫して支援し、現場に寄り添った安定稼働を実現しています。

導入前の
課題1
システムの更新や障害対応など、オンプレミス環境の保守管理業務を担うシステム部門の負担を軽減したい
導入後の
効果1
クラウドへの移行により物理的な作業が不要に。IT基盤の構築作業と運用が効率化し、更新や障害時の対応速度も向上
導入前の
課題2
CSV規制要件に基づくバリデーション文書の整備や監査準備には膨大なリソースが必要。法規制を遵守しながら負担を軽減したい
導入後の
効果2
CSVに準拠した文書テンプレートと日立システムズの支援により、CSV準拠対応を効率化し、品質と法令遵守を両立する運用体制を構築
導入前の
課題3
従来のアクセス管理やログ証跡の管理は属人的な運用が多いため、内部統制や外部監査への対応力を強化したい
導入後の
効果3
IDの管理・認証・認可を担う「IAM※2」とマルチアカウントによる権限分離とログ整備によって、セキュリティ強化と監査対応を迅速かつ確実に

お客さまインタビュー

厳格な品質管理が求められる医薬品製造は、高い専門性と慎重な対応が求められる分野。
日立システムズの専門知識と丁寧な対応が課題解決と意思決定の迅速化のカギになりました。

モダナイゼーションに至った背景は?

当社では、CSVやGxP対応システムを長年オンプレミスで運用してきましたが、ハードウェア管理やバリデーション文書の作成・保管などに多くの工数がかかる点が課題でした。BCPの強化やリソースの柔軟な拡張、最新技術の活用まで視野に入れると、従来の仕組みでは限界があると判断し、クラウド化に踏み切りました。特に、GxP要件への適合と運用負荷の軽減、バリデーション効率化の両立には、クラウドネイティブな設計が不可欠と考えました。医薬業界での実績が豊富で、社内でも一部導入が進んでいたことから、AWSを本格的に採用するに至りました。

GxP対応システムのクラウド化への不安は?

導入を検討し始めた当初は、「クラウド基盤で規制要件を本当に満たせるのか」といった不安がありました。特に懸念していたのは、GxP関連データの保全性、アクセス権限の細かな管理、そして監査証跡を確実に残せるかという点です。また、責任分担の境界や、サービスのバージョンアップ時に生じるリスクをどう評価し、どのように対策を講じるかも重要な論点でした。そこで、要件整理の段階から日立システムズに伴走してもらい、証跡取得や権限制御の設計を具体化。さらに、サービス変更に伴うリスクアセスメント手順を共に策定したことで、運用に関する不安を一つずつ解消することができました。

パートナーとして日立システムズを選んだ決め手は?

CSVやGxP※3に関する規制対応は、システム導入・運用のあらゆる場面に関わるため、ベンダーの知見と実績は非常に重視しました。その点、日立システムズは過去の実績も豊富で、AWSのライフサイエンスコンピテンシーにも選出されており、第三者評価の面でも信頼感がありました。さらに、AWSアーキテクチャの設計からCSVドキュメント支援までをワンストップで依頼できる“一気通貫性”も大きな魅力でした。工程間の認識齟齬が少なく、技術と規制対応の知見を兼ね備えた担当者が設計から伴走してくれる体制が整っていたことで、安心してお願いできると判断しました。

セキュリティや監査対応の観点で、重視された点は?

セキュリティ設計では、規制要件に沿った厳格なアクセス管理と運用上の確実性の両立を重視しました。IAM Identity Centerによる最小権限の設定や、アカウント分離を含む基盤設計を通じて、誤操作や不正アクセスのリスクを抑えています。また、操作履歴や設定変更などの証跡を記録・可視化する仕組みを導入することで、内部監査部門が必要な情報を自ら確認できる体制も整えました。それによって、監査時の準備に追われるという状況を回避でき、品質保証部門との連携もよりスムーズに。心理的な安心感という面でも、大きな効果があったと感じています。

印象に残った点や、今後に期待することは?

印象に残っているのは、URS(ユーザー要求仕様書)を詰めていく過程です。システムや業務要件をうまく言語化できずにいたとき、日立システムズの担当者から「こういう観点もありますよね」と具体的な問いかけがいくつもあり、議論が一気に前進しました。その結果、手戻りもほとんどなくまとめられ、単なるベンダーではなく考えを整理してくれる“伴走者”的な存在だと感じました。運用開始後も、規制対応に関する実務的な相談に素早く応じていただけるので助かっています。今後は他システムのクラウド化や業務見直しが続くため、他社事例や新技術の共有など、現場目線での継続的な支援に期待しています。

  • ※1 CSV(Computer System Validation):医薬品の製造などで使用するコンピュータシステムが、GxPなどの規制要件に適合し、正確で信頼性の高い結果を出力できることを文書で証明するプロセス。
  • ※2 IAM(Identity and Access Management):システムやクラウド環境でユーザー認証とアクセス権限を管理し、リソース利用を制御してセキュリティと運用効率を両立する運用基盤。
  • ※3 GxP(Good x Practice):医薬品や医療機器の製造・品質管理に関する基準の総称。GMP(製造管理)やGLP(試験管理)、GCP(臨床試験管理)などがあり、品質と安全性を確保する国際的なガイドライン。

お客さまプロフィール

富田製薬株式会社ロゴ

富田製薬株式会社

設立
1955年7月8日
資本金
96百万円
従業員数
610名
代表者
富田 純弘
URL
https://tomitaph.co.jp/

無機化学工業のパイオニアとして医薬品の原薬や添加剤をはじめ、食品添加物、化粧品原料、各種化成品を製造・販売。独自の品質保証体制のもと、高品質・高信頼の製品を広く手掛け、フェルソーブ®(ピロリン酸第二鉄)、多機能賦形剤「フロ ーライト®」、油脂精製剤「ブリスコール®」などの製品を展開しています。


富田製薬 本社棟


富田製薬 R&Dセンター
(研究開発棟)


富田製薬 本社工場全景

徳島阿波おどり空港

富田製薬は徳島から
世界中の医・食・住を支える
「ここにも、そこにも、富田製薬」

担当より一言

このたびは、GxP対応を求められる製薬業界における情報基盤の構築に際し、日立システムズをパートナーとしてお選びいただき、誠にありがとうございました。

本プロジェクトでは、富田製薬様が長年培われてきた医薬品の品質管理と、GxP対応に求められる厳格な要件を満たすため、AWS上におけるCSV(Computerized System Validation)対応を含むインフラ基盤を設計・構築いたしました。要件定義段階から綿密なディスカッションを重ね、各種法規制を反映した設計を行ったことで、厳格な運用要件にも対応する環境を実現しています。

また、将来的な業務システムのクラウド移行や、BCP(事業継続計画)対策としての堅牢性・柔軟性を見据えた構成とすることで、富田製薬様の中長期的なIT戦略にも寄与できたものと考えております。

今後も、製薬業界における豊富な実績と法規制対応に関する知見を活かし、信頼いただけるITパートナーとして、富田製薬様のさらなる発展を支えてまいります。

今回の取材にご協力いただいたお客さま

ご協力ありがとうございました。
*本内容は2025年8月取材時点の情報です。

本事例に記載の情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。

※ 本カタログに記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の登録商標、または商標です。

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