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株式会社 日立システムズ

リンクステック株式会社様

生成AI導入支援サービス

リンクステック株式会社様集合写真

はじめての生成AI導入プロジェクトを、スムーズかつ効果的に推進
「ワークショップ×実証実験」で導入効果を見える化し、確実な生成AI導入を実現

エレクトロニクス製品に欠かせない電子部品、配線板(プリント配線板)の専業メーカーであるリンクステック株式会社様は、現在、生成AIの導入を進めています。
生成AIに関する知識や経験の不足を補うため、日立システムズの「生成AI導入支援サービス」を活用し、業務課題の把握から、適用業務の選定、導入後の効果検証まで丁寧に行ないながら、プロジェクトを着実に推進しています。

PoC(Proof of Concept 実証実験)では、人事総務部およびITシステム部における社員からの問い合わせ対応を支援する生成AIを開発し、業務工数約70%の削減を見込めるなど、大きな成果を上げました。今後、リンクステック様は生成AIの本格導入を進め、さらなる業務効率化をめざしていきます。

リンクステック様の配線板はさまざまな業界で高く評価されており、高多層配線板で世界トップクラスの売り上げを達成 しています。
中でも独自技術を用いたMWB(マルチワイヤ配線板)は配線の圧倒的な高集積化を実現、世界でリンクステック様のみが製造可能なプレミアムな配線板として評価されています。

リンクステック様「生成AI導入プロジェクト」 概要

日立システムズのサポートを受けて生成AI導入プロジェクトを始動

リンクステック様は、さまざまなエレクトロニクス製品に使用されるプリント配線板を、60年以上にわたり世界に提供してきたメーカーです。製品品質の向上に向けて、新たな技術を積極的に取り込んできたリンクステック様は、昨今話題の生成AIにも大きな関心を寄せていました。

しかし、本格的な導入にはなかなか踏み出せない状況が続いていました。一般公開されている生成AIサービスを試用し、その可能性を感じる一方で、具体的な導入プロセスが明らかでないこと、また、活用方法や費用対効果について慎重な検討が求められていたからです。

こうした中、リンクステック様は日立システムズから生成AIの導入を支援するサービスの提案を受けました。提案は、生成AI適用業務の選定から、セキュリティ対策を施した自社専用環境の構築、導入効果を検証するPoC(実証実験)の実施、さらには業務への実装までをワンストップで支援するものでした。リンクステック様のITシステム部は、早速この提案を採用し、人事総務部と共同で、業務効率化や生産性向上を目的とした、生成AI導入プロジェクトを開始しました。

現場主導の生成AI導入をめざして
ユーザー参加のワークショップを開催

生成AIの導入は、経営層やIT部門が一方的に活用を指示するよりも、ユーザーが中心となって導入を推進することで、生成AIの活用アイデアが広がり、より大きな効率化につながります。そこで日立システムズは、ユーザー部門が参加する、生成AI適用業務を選定するワークショップの開催をリンクステック様に提案しました。

ワークショップには15名の社員と、オブザーバーとして役員数名が参加し、約4時間かけて3つの生成AI適用業務候補を選定しました。その中の1つ、「社内問い合わせ回答業務」は、生成AIによる効率化が実現すれば、複数部門への展開が期待できるなど効果が大きいことから、PoCの対象業務に選定されました。

PoCで回答精度90%を達成
生成AIの業務導入を本格スタート

リンクステック様の人事総務部には、有給休暇や介護・育児休暇の取得手続きなど、人事労務関連の問い合わせが多く寄せられます。PoCでは、これらの問い合わせ対応を支援する生成AIの開発が行なわれました。学習データには、人事労務規定や、過去に人事総務部が対応した問い合わせメールの文面などが使用されました。これらを取り込んだプロトタイプが完成すると、人事総務部のメンバーが実際に問い合わせを行ない、回答を評価します。日立システムズは、回答の正確さ、回答に要した時間、改善点などのフィードバックをもとに、生成AIのチューニングや追加の学習データ投入を行ない、プロトタイプの改善を進めました。

テストとチューニングを合計3回繰り返したところで、生成AIは実用可能な回答精度と回答時間を達成しました。人事総務部と同様のテストを進めていたITシステム部では、回答精度が90%を超えるなど、一定の成果が得られました。PoCの成果は、リンクステック様社内の業務改善発表会で報告され、経営層から「特別賞」を受賞するなど高い評価を得ました。こうした経緯を経て、リンクステック様は生成AIの正式導入を決定しました。

現在、リンクステック様は、引き続き日立システムズの支援を受けながら、生成AIの業務実装を進めています。今後、生成AIの適用業務、適用部門を広げていくことで、さらなる業務効率化や生産性向上を図り、企業としての競争力向上をめざしていく考えです。

リンクステック様 「生成AI導入プロジェクト」ここがPOINT!

リンクステック様は、生成AIの導入を検討していましたが、具体的な導入プロセスが明らかでなく、プロジェクトの推進に課題を抱えていました。日立システムズは、生成AI適用業務の選定から、PoCの実施・評価など、下記プロセスをワンストップでサポートすることで、リンクステック様の生成AI活用の第一歩を支援しました。

Step 1

既存業務の棚卸し

生成AIの導入に向けて、まずは既存業務の内容・頻度・工数・課題などを見える化しました。ITシステム部、人事総務部あわせて、約80の業務をリストアップしました。

Step 2

生成AIの適用業務選定(ワークショップ)

生成AIの適用業務を選定するためのワークショップを開催しました。生成AIの機能や特徴など基本事項を理解した後、社員15名で右記条件を満たす業務の選定を行ないました。
ワークショップを開催したことで、ユーザー部門の生成AIに対する理解が深まり、その後のPoCでも積極的な協力が得られるなど、プロジェクトの推進に弾みがつきました。

Step 3

PoC計画書の作成

選定された3業務に関して、PoCの方法・手順、期待される効果などを明記したPoC計画書を作成しました。検討の結果、「社内問い合わせ回答業務」がPoCの対象に選ばれました。

Step 4

PoCの実施・評価

Azure OpenAI Serviceを活用し、リンクステック様専用の検証環境をクラウド上に構築し、生成AIのプロトタイプを開発しました。学習データの投入、テスト利用、評価を中心とするPoCは数カ月にわたって行なわれました。
回答精度と回答時間の2つをKPIに定め、合計3回のチューニングを行なった結果、ITシステム部では90%以上の回答 精度を得るなど、PoCは一定の成果を収めました。

Step 5

生成AIの業務実装へ

PoCの結果は経営層に高く評価され、生成AIの正式導入が決まりました。2025年3月現在、日立システムズが業務実装の支援を行なっています。

Azure OpenAI Serviceは米国およびその他の国におけるMicrosoft Corporationの登録商標または商標のいずれかです。

お客さまインタビュー

ユーザーの合意形成を重視する日立システムズのアプローチにより、社内関係者が生成AIの導入を「自分事」として捉えるようになり、スムーズにプロジェクトを進めることができました。

── 「生成AI導入支援サービス」をご利用いただいた経緯を教えてください。

生成AIが業務にもたらすメリットに大きな可能性を感じており、以前から導入を検討していました。私たちITシステム部が主導し、ユーザー部門に展開していくイメージを持っていましたが、具体的な導入ステップが明確でなく、どのようにプロジェクトを進めてよいか分からない状況でした。そんな中、日立システムズから、「生成AI導入支援サービス」の提案をいただきました。経営陣も生成AIの活用には非常に前向きだったことから、導入はスムーズに決まりました。

──どのような業務に生成AIを活用しようと考えましたか。

当時は、生成AIがどの業務に活用できるのか、また、ユーザー部門にどのような業務課題があるのか十分に把握できていませんでした。そこで最初のステップとして、「ユーザー部門も参加するワークショップを開催してはどうか」と日立システムズから提案を受けました。ワークショップは、日立システムズがファシリテーターを務め、当社からは3部門15名が参加しました。事前に情報を整理していた約80の業務について、業務効率化の方法をみんなでディスカッションするというものです。このとき、効率化の手法を生成AIに限定せず、さまざまな手法の中から実現可能性の高いものを採用する、というルールにしました。その結果、RPAやアウトソーシングなど、生成AI以外の手法で業務効率化を進めるアイデアが生まれるなど、副次的な効果も得られました。検討の結果、「求人票作成」「スカウトメール作成」「社内問い合わせ対応」の3つが生成AIの適用候補になりました。最終的には「短期間で実現できる」「他部門に横展開しやすい」「学習データが豊富にある」という点を考慮し、 「社内問い合わせ対応」をPoCの対象に選びました。ワークショップを開催したことで、参加者が生成AIの導入を「自分事」として捉え、積極的に取り組む姿勢が生まれました。とても実りのあるプロセスになったと感じています。

── PoCではどのような成果が得られましたか。

人事総務部が受ける問い合わせの中には、人事労務規定を参照しなければ回答できないものもあり、その場合は確実に10分以上の対応時間がかかっています。一方、生成AIは質問に対して10秒程度で回答を出すことがあり、テスト参加者からは「この速度なら業務で十分に活用できる」と高い評価を得ています。PoCの結果から、問い合わせ対応時間を70%以上削減できる見込みが立ち、正式導入の価値が十分にあると判断することができました。

── 日立システムズのサポートをご評価ください。

生成AIがしっかりと活用されるためには、その活用方法がユーザー部門のニーズに合致していることが非常に重要だと考えています。日立システムズが提案してくれたプロセスは、ユーザー部門の合意形成を重視したアプローチであり、そのおかげで、スムーズに生成AIの導入を進めることができました。
今回のプロジェクトでは、当初の想定を超える範囲まで日立システムズが柔軟に対応してくださり、その手厚いサポートには非常に助けられました。生成AIでより多くの成果を実現するために、日立システムズにはこれからも変わらぬサポートをお願いしたいと思っています。

お客さまプロフィール

リンクステック株式会社ロゴ

リンクステック株式会社

創業
2021年10月1日
資本金
3億1000万円(2024年3月31日現在)
従業員数
連結:1,548人 単体:503人(2024年3月31日現在)
URL
https://www.lincstech.com/
代表者
代表取締役会長 一ノ瀬 隆
代表取締役社長 月足 高
事業内容
プリント配線板の製造及び販売並びに当該事業を営むグループ会社の管理

今回の取材にご協力いただいたお客さま

ご協力ありがとうございました。
*本内容は2025年1月取材時点の情報です。

本事例に記載の情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。

※ 本カタログに記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の登録商標、または商標です。

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