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株式会社日立システムズ

住友林業株式会社様

RPA活動支援

住友林業株式会社様集合写真

RPA市民開発*によって現場の課題を迅速に解決
業務効率の向上はもちろん、労働時間の大幅な短縮を果たしました

住友林業様は、1691年の創業以来、300年以上にわたり「木」と共に歩み、持続可能な社会の実現に貢献。時代の変化をいち早く捉え、柔軟に対応することで今日の姿へと成長を遂げられてきました。近年、さらなる業務効率化とDX推進をめざし、IT関連部門だけではなく、社内の誰もが業務の課題を解決するためのロボット開発に携われる市民開発を導入。RPAツール「UiPath」を活用したこの取り組みは、わずか2名のメンバーによる挑戦から始まりましたが、次第に全社へと広がり、開発に参加したいという社員も増加。これまでに開発されたロボットは200以上、累計22,000時間以上の労働時間を削減するなど、確かな成果を生み出しています。(お客さま調べ)(2025年2月時点)

その成果の裏には、社内の市民開発への理解を深める取り組みをはじめ、体制整備やルール策定、社員教育など、数々の課題に向き合い解決を重ねた努力がありました。この道のりを縁の下から支えたのは、日立システムズの伴走支援です。ここでは、住友林業様が歩んできたDX推進を目的とした市民開発の軌跡と、さらなる発展に向けた取り組みをご紹介いたします。

*市民開発:IT部門以外で働く人材が、ノーコードツールやローコードツールを用いて、業務の効率を向上させるプログラムを創り上げること。

住友林業株式会社様 RPA市民開発支援プロジェクト概要

わずか2名から始まった新たなDXのカタチ
市民開発の環境作りを日立システムズが支援

当時、住友林業様が抱えていた課題のひとつに、木材建材事業における納品書の手入力作業の効率化がありました。毎月数十万件にも及ぶ納品書を基幹システムへ手入力する業務は、担当者の大きな負担となるだけでなく入力ミスのリスクも高いことから、業務の正確性をはじめ生産性の向上が求められていました。こうした課題を解決するため、住友林業様はRPA(Robotic Process Automation)に着目し、「UiPath」を活用したプロ開発*によるRPAを導入しました。一方で、RPAによる効率化が現場部門に認識されたことにより各部門からの開発依頼がシステム子会社に殺到することになり、現場の要望に迅速に対応できないという新たな課題が発生しました。この状況を打開するため、現場主導での迅速な改善をめざし、IT部門以外の社員が自らRPAを開発・運用する「市民開発」の検証に着手。それぞれの課題を自分事として捉え、積極的な活用を促すため、現場の意見を取り入れたボトムアップ型の変革を重視しました。

この市民開発を推進するにあたって、スタート時に参画したメンバーはわずか2名。そこから小規模なPoC(Proof of Concept)をスタート。IT部門外から4名の参加者を迎え、限られたリソースの中で現場社員のITスキル向上とRPAに対する理解促進を目的とし、成果を可視化することで社内へのアピール材料としました。さらに、全社展開に向けて、開発者向けの研修プログラムやサポート体制を整備するとともに、上司向けの説明資料も作成。現場の理解と協力を得ながら、RPA推進のスピードを加速。また、現場社員が開発したロボットの活用事例を共有することで、社内の関心を高め、より多くの社員が市民開発に参加しやすい環境を整えていきました。

* プロ開発:IT部門やシステム開発会社に所属する技術者が、高度なプログラミングやハードウェアの知識を活用して、業務を支えるシステムやアプリケーションを開発すること。

安心できる開発環境を整備し意識改革を促進
「全員参加のDX」で新たな価値創出へ

UiPathを活用した市民開発の取り組みが進む中、開発に興味を持ち、実際に参加を志望する社員も右肩上がりに増加。現在では、新たな開発者向けセミナーの参加者を募るとすぐに定員が埋まるほど社内の関心が高まっています。市民開発者数を増やす取り組みを進める一方で、PoC開始当初から懸案となっていたシステム管理者の許可を得ずに作成・運用される「野良ロボット」の発生にも対応する必要がありました。野良ロボットにより情報漏えいや誤作動の危険性が高まるため、適切な管理を行う必要性をPoC時点から認識していた住友林業様では、開発の開始前と完成したロボットの配信前の二段階に おいて承認フローを設け、上司のチェックを必須とする仕組みを導入。このルールの制定により、安全かつ適正なRPA開発・運用 に関する体制の確立を進めています。

しかし、現場からは「RPAはIT部門の仕事ではないか」「自分たちには難しそうだ」という不安や、一部の管理職層から「RPA開発は自己啓発の一環では?」という意見もありました。これに対し、住友林業様は伴走支援する日立システムズとともにRPAが業務効率化に貢献する重要な取り組みであることを丁寧に説明。実例を示すことで、理解を深める活動を進めました。

さらに、現場のモチベーション維持も大きな課題に。RPA開発には時間と労力がかかるため、住友林業様と日立システムズは、開発者に対する継続的なサポート提供の強化、業務改善イベントの開催、成果を共有するプラットフォームの整備など、さまざまな施策を実施。加えて、現場のニーズに合わせた研修プログラムの改善も随時行い、「全員参加のDX」のスローガンのもと社員が主体的に取り組める環境を整えています。

トップダウンに頼らず、当事者意識を高めることで自ら業務改善に取り組む文化を根付かせたい

わずか2名から始まったRPAによる市民開発ですが、日立システムズの支援のもと育成された「サポーター」の助力により、現在では169名以上の開発者が誕生しています。作成されたロボットは226を超え、労働時間の削減効果は22,090時間以上に及ぶという大きな成果も上げています。(お客さま調べ)(2025年2月時点)

そんな住友林業様並びにそのグループ会社様(以下住友林業様とする)では、さらなるRPA開発の活性化と市民開発者の貢献を会社として評価することを目的として、RPAコンテストを開催。同コンテストでは、優れたRPAロボットを表彰するだけでなく、開発者同士の交流や情報共有を促進する場としての役割も担っています。2025年1月に開催された同コンテストで最優秀賞に輝いたのは、火災保険更新手続きを自動化するロボット。この活用により、年間3,000時間以上の業務時間短縮を実現し、審査員を務めた副社長や常務役員をはじめとしたすべての参加者に大きなインパクトを与えました。(お客さま調べ)(2025年2月時点)

また、住友林業様はRPAの市民開発における今後の展開として「全員参加のDX」をさらに推進し、社内全体の意識改革を進めていきたいと考えています。トップダウンのみによって行われるDXではなく、現場の当事者意識を高め、自ら業務改善に取り組む文化を根付かせることが重要。そのためにも、開発者の育成やサポート体制の強化を進めるとともに、生成AIとの連携も強化。また、ロボット開発のルール整備を徹底し、安全かつ適正な運用を継続していきます。

RPA 活動における成果の一例

RPA活動の立ち上げスケジュール

お客さまインタビュー

課題を抱える当事者だからこそ実現する迅速な対応
RPA市民開発が「全員参加のDX」の旗振り役に

UiPathによる市民開発を導入した経緯

住友林業の木材・建材事業の現場において、月に数十万件という紙の納品書を手作業で基幹システムへ入力するという業務が大きな負担となっていました。そこで、従来のシステムに手を加えることなく、入力作業をそのまま自動化する手段として小規模なPoC(Proof of Concept)を実施しました。RPAを導入することで、単純作業の自動化が可能になり、業務の効率が飛躍的に向上しました。この成功を受けて納品書入力以外にも全国の部門から「私たちの業務も自動化したい」という要望が殺到しました。しかし、プロ開発チームのリソースには限りがあり、すべての依頼に対応するのは困難でした。そこで、新たなアプローチとして、現場で開発を行う「市民開発」に取り組むことにしました。

市民開発の狙いとメリット

市民開発を導入することで、現場のニーズに迅速に対応できるようになります。市民開発を導入することで、業務担当者が自らRPAの開発を行い、短期間での改善が可能になります。また、現場の社員が自ら業務を自動化できるようになれば、当社のデジタルによる事業変革における重要テーマである「全員参加のDX」の推進に寄与すると考えています。もちろん、すべての業務が市民開発で解決できるわけではありませんが、単純な作業の自動化や小規模な業務改善には非常に有効です。特に、エクセルを活用した業務や、定型的な入力作業などは、短期間で自動化が可能です。これにより、現場の生産性向上と働き方改革にもつながっています。

市民開発の課題

開発スキルを持たない社員にとって、RPAツールの活用はハードルが高く、不安や学習負担を感じることも少なくありません。そこで当社は「サポーター制度」を導入しました。全8回、2カ月間の研修プログラムの実施に加え、研修終了後も継続的にサポートを行うことで市民開発を促進しています。
また、管理されていない「野良ロボット」の発生を防ぐため、開発ルールや運用ガイドラインを策定しています。開発前後に2回の承認プロセスを設けるとともに、RPAプロセスを一元管理する仕組みを整え、利便性と適正な運用の両立を実現しました。

RPAコンテストの実績

2024年10月に募集を開始し、2025年1月にプレゼン審査を実施しました。審査基準としては、改善効果の大きさ、業務改革の視点、横展開の可能性、技術的な難易度の4点を重視しました。全国各地から応募があり、社内の関心の高さがうかがえました。プレゼン審査には、経営層も審査員として参加し「社内のDX推進において大きな意義がある」といった前向きな意見が寄せられました。本コンテストを通じて、社内でのRPA活用事例の共有が進み、他の部門でも積極的に導入を検討する動きが出ています。このような取り組みを続けることで、さらなる業務効率化を図っていきたいと考えています。

今後の展望

今後もRPAを活用し、より多くの業務の自動化を推進します。また、社内RPAコミュニティを設立し、成功事例の共有や技術支援を強化する予定です。特に、市民開発の効果を最大化するには継続的な開発が必要となるため、研修終了後のフォローアッププログラムの充実を図ります。その取り組みを支えるために、日立システムズの伴走支援を受けながら、適切な開発・運用体制を強化します。将来的にはAIと組み合わせて高度な自動化にも取り組むことも視野に、新しい技術を取り入れながら業務のさらなる効率化をめざしていきます。

お客さまプロフィール

住友林業株式会社ロゴ

住友林業株式会社

商号
住友林業株式会社
設立
1948年2月20日
資本金
55,088百万円(2023年12月31日時点)
従業員数
24,815名(2023年12月時点の連結)
代表者
光吉 敏郎
URL
https://sfc.jp/

住友林業グループは、国内外で森林経営から木材建材の製造・流通、木造建築、木質バイオマス発電まで「木」を軸に事業を展開しています。「ウッドサイクル」を循環させることでCO2吸収量を増やし、木材活用で炭素を長期間固定します。2022年2月には長期ビジョン「Mission TREEING 2030」を策定し、持続可能な社会の実現に貢献します。

担当より一言

このたびは、住友林業株式会社様のRPA市民開発推進プロジェクトにおきまして、日立システムズをご選定いただき、誠にありがとうございました。
本プロジェクトでは、少人数から始まった市民開発を全社へ展開する取り組みを共に進めてまいりました。UiPathを活用したロボットの自律開発に加え、サポーター制度やルールの整備など、現場が主体となる開発を持続可能にする基盤づくりをご支援させていただきました。市民開発による業務改善の成果が社内に広がり、現場の創意工夫が組織全体の変革へとつながったことを、大変嬉しく思っております。

今後も、社員の皆様が主体的に取り組める環境づくりに貢献し、引き続き皆様のDX推進を支えるパートナーとして誠意サポートさせていただきます。

今回の取材にご協力いただいたお客さま

ご協力ありがとうございました。
*本内容は2025年1月時点の情報です。

本事例に記載の情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。

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