

差し迫るVMware 製品のライセンスコスト増加
ユーザーへの影響を最小限に6週間で脱VMwareを実現
VMware製品のライセンスコスト問題――今後、多くの企業でこの問題は顕在化することが予想されます。そんな中、いち早く対応 を迫られた東急不動産ホールディングス株式会社様では、NutanixCloud Clusters™ (NC2) on AWSの導入により、この問題を解消されました。今回の事例のキーワードは「国内初事例となる3拠点ネットワーク延伸」「266台のサーバー移行をわずか6週間で完了」です。このキーワードを軸に、現場での取り組み内容について詳しく紹介します。

「WE ARE GREEN」を掲げ、環境経営とDXを強みに価値を創造。2030年に向け、誰もが自分らしく輝ける未来の実現をめざす企業グループです。
東急不動産ホールディングス株式会社様は、都市開発から暮らしのサポートまで幅広く手掛ける総合不動産グループとして、オフィスビル・商業施設・リゾート・住宅などの多様な開発・運営を行なっています。
以前から日立システムズのデータセンターをご活用いただいており、2022年8月頃から日立システムズ支援のもとVMware Cloud on AWS(VMC)環境を構築されました。事業スピードを加速したいという思いで、クラウドネイティブを目的としたものです。
しかし、2023年にBroadcom社がVMware社を買収したことにより、VMware製品のライセンスコストの増加が新たな課題として浮上してきました。この課題は、東急不動産ホールディングス株式会社様だけでなく、多くの企業に関係する課題といえます。
VMware製品のライセンスコスト増加により、東急不動産ホールディングス株式会社様は新たな環境への移行を余儀なくされました。このとき、課題となった点は大きく次の3点が挙げられます。
Broadcom社にVMware社が買収されたことで、VMware 製品のライセンス費用の価格改定が行われました。この価格改定によるコスト増加を回避することが、最も重要な課題の一つでした。本価格高騰については、多くの企業において課題になることが予想されます。
加えて、製品のライセンス体系の変更により、利用しない機能に対してもコストを支払わざるを得ない状況が発生していました。この価格高騰によるインフラ維持費の増加は、経営基盤を揺るがすリスクだと判断され、早急な対策が求められました。
コストの高騰を回避するために、VMC環境から移行して脱VMwareを実現すると、新しい環境ではサーバーのIPアドレスが変わってしまうという問題があります。IPアドレスが変わってしまうとユーザーに多大な影響をもたらすため、こちらも解決すべき課題の一つでした。
IPアドレスの変更は、関連するアプリケーション連携やファイアウォール設定の全数見直しなども強いることになります。さらに、ユーザー側の端末設定変更まで必要となれば、システム停止や現場の混乱などの業務影響を招く恐れがあり、移行における障壁となっていました。
さらに問題となった点は、VMC環境のライセンス更新期限が差し迫っていたことです。短い期間で移行を完了する必要があり、ソリューションの選定、PoCの実施、新環境への移行まで、とにかく限られた時間での対応を迫られました。
万が一、期限に間に合わなければ高額な延長契約を受け入れることになるため、スピードと確実性の両立が絶対条件でした。
VMware製品のライセンスコスト増加問題について、「VMC環境を使い続ける」「AWS EC2に移行する」という選択肢もありましたが、これらでは課題1と課題2を解決できません。そこで、課題1 ~ 3を解決するための案として採用されたものが「Nutanix Cloud Clusters(NC2)on AWS」です。
東急不動産ホールディングス株式会社様が抱える3つの課題に対し、NC2は次の条件を満たすことができるソリューションとして採用されています。
特に、IPアドレスの変更をせずに移行を実現するためのキーポイントとなったものが「3拠点のネットワーク延伸」です。本プロジェクトは、データセンター・VMC・NC2の3拠点でネットワーク延伸を実現し、VMC環境のサーバーIPアドレスを変更することなく、NC2環境へ移行しています。
3拠点ネットワーク延伸は国内初の事例でしたが、東急不動産ホールディングス株式会社様の課題を解決するためには欠かせない要素でした。また、本番移行にあたり業務用回線に影響を与えることなく、VMC環境とNC2環境を直接接続する経路を構築したことも、短期間の移行を実現するためのポイントとなりました。
システム構成図 - 3拠点のネットワーク延伸を実現

今回の東急不動産ホールディングス株式会社様の事例では、わずか6週間で266台のサーバーを1 台も切り戻しすることなくスムーズに移行しました。短期間での移行を実現できた理由としては、次の2つが挙げられます。
日立システムズはNutanixソリューションに対する豊富なノウハウを持ち、当社自身で多くの領域に対応可能です。Nutanixソリューションを取り扱う企業は多数ありますが、幅広いNutanixソリューションの領域に取り組める点が当社の強みと自負しています。他社との連携も少なく済むことから、総合的なコストを抑えることができる点も強みです。
また、当社社員は東急不動産ホールディングス株式会社様、並びにグループ各社様にインフラ運用支援を行なっています。そのため、お客さまのシステムを深く理解し、グループ各社様の移行支援も実施できるため、プロジェクト推進においてお客さまの負担を軽減できました。
移行の具体的な手法という観点では、Nutanix Moveの存在が大きいといえます。Nutanix Move は無償で利用できる移行用のツールです。オンプレミスからの移行だけでなく、各種パブリッククラウドからの移行を実現します。
Nutanix Moveを用いることでデータの最新性を保ちつつ、可能な限り自動化し、簡単な操作で移行を開始できます。また、万が一移行に失敗しても、移行元の環境に仮想サーバーが残っているため、簡単に切り戻し可能です。
東急不動産ホールディングス株式会社様からも「移行は思った以上にスムーズに進み、想定している時間よりも早く終わることが多かった」と感想をいただいています。
NC2への移行後について、東急不動産ホールディングス株式会社様からは「インフラは安全性や安定性が一番だと考えているが、移行後も安定して稼働していて良かった」とお声をいただきました。今後はAIの活用も検討したいと考えられており、日立システムズのNutanixソリューションに対する深い知見は移行の際だけでなく、その後の運用でも役立てると考えています。
当社は今後も東急不動産ホールディングス株式会社様と協業し、より良いインフラ環境の構築・運用を支援する思いです。こうした継続的な取り組みを通して、単なる移行ベンダーではなく、中長期的なインフラパートナーとして価値を提供していきます。
本プロジェクトを担当した日立システムズのメンバー




東急不動産ホールディングス株式会社
グループDX推進部ITインフラ企画グループ



──「 Nutanix Cloud Clusters(NC2) on AWS」を導入したきっかけを教えてください。
私たちは、当社グループ全体(社員数約3万人)のインフラ環境を管理・運用しています。オンプレミスのデータセンターと、VMware Cloud on
AWS(VMC)環境にシステムを構築していました。今回、Broadcom社のVMware社買収により、VMware製品の価格改定が行われるとの知らせを受け、コスト増加のリスクが高い状況になったことで対策を進めることとなったのです。
そこで、日立システムズに情報を収集してもらい、2024年末から次期仮想化基盤のPoCを実施しようと動き始めました。この時にNC2をご提案いただき、2025年1月からNC2のPoCを開始しました。
── システム移行で大変だったことや、不安だったことをお聞かせください。
「データセンター・VMC・NC2という3拠点でのネットワーク延伸」が本当に可能なのかという技術的な懸念点がありました。
理論上はできるはずなのですが、国内での事例がなかったからです。しかし日立システムズがベンダーに技術確認をとり、海外の事例も見つけてくれたため、プロジェクトを進めることができました。
また、VMC環境の契約が2025年7月末までと期限が差し迫っており、短期間での移行となる点も不安でしたね。
ただ、VMCからNC2への移行は、AWS環境内での移行となるため「データ移行のスピードは速いのではないか」という仮説のもとでPoCを進めていました。実際のスピード感などを計測できたことで、短期間での移行が実現できると考えられるようになりました。
── 短期間での移行に関して、グループ各社からの反応はいかがでしたか?
以前実施したオンプレミス環境からVMC環境への移行は1年以上かけたものでしたが、今回のNC2への移行は6週間です。短期間移行に対する不安感から反発の声もありました。しかし、繰り返し説明することで納得してもらえました。
「AWS環境内での移行となるため問題ない」ということや、失敗したときのプランも事前にしっかりと用意しており、その点も丁寧に説明できたことが大きいと思います。
── 「Nutanix Cloud Clusters(NC2) on AWS」に対する皆さまの評価をお聞かせください。
NC2の利点は、AWSのネイティブな機能との親和性が高いことです。
特にNC2上で稼働している仮想サーバーのリソースを柔軟に割り当てられる点はグループ会社各社にも評価されており、今後のNC2の機能拡充にも期待をしています。
VMwareからNutanixへの移行自体は、事例が多いと伺っています。NutanixはMoveを用いてそのまま移行できるため問題が発生する可能性が少ない点を魅力だと感じています。
また、実際の移行時にはNutanix Moveを利用しましたが、この移行ツールがよくできていて助かりました。
── 今後の展望をお聞かせください。
今後は、NC2でサーバーの稼働状況などを分析し、コストの削減やより良い運用方法を検討していきたいと考えています。また、VMC環境で進めようとしていたBCP対策のプロジェクトについて、NC2環境での検証を進めていかないといけないため、日立システムズにはその辺りの提案や協力を期待しています。
当社はNC2への移行が完了し安心しましたが、今後多くの企業が同様の課題に直面すると思います。当社の事例が他社さまの参考にもなれば幸いです。
東急不動産ホールディングス株式会社
今回の取材にご協力いただいたお客さま

ご協力ありがとうございました。
*本内容は2025年12月時点の情報です。
本事例に記載の情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。
※ 本カタログに記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の登録商標、または商標です。