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(計画)「基幹システムの命運を分ける、計画段階の心得」

失敗事例から学ぶ基幹システム構築講座「システム計画~運用」編

2013年4月、「TENSUITE」は、日立 製造・流通業向け基幹業務ソリューション「FutureStage」に統合しました。
※本コラムに記載の商品情報は初掲載時のものです。

基幹システムの計画

(計画1)
「基幹システムの命運を分ける、計画段階の心得」
『システム構築に失敗した!!』―皆が参画して十分に検討して要件をまとめ、システムを立ち上げたのに、稼働してみると営業現場も製造現場も『失敗した』と思い意欲を失っている。
(2009/3/10)
筆者:(IT コンサルタント)石田 富士夫

ITを使いこなすことは難しくもなく、高度でもない

「IT」や「システム」、「情報化」などの言葉は一般的に難しく高度なイメージを与えがちですが、プライベートの世界では、パソコンや携帯電話でインターネットを使って情報交換することは当たり前の時代です。技術は進歩し、昔に比べ操作性や処理能力は向上しました。つまりITはより身近に、簡単なものになっています。
にも関わらず、企業の業務処理の世界では、依然として「システムは難しい、うまく使いこなせない」という声が多く聞かれます。なぜ企業の業務システム化は難しく思えたり、失敗したりするのでしょうか?企業にとってIT無くして経営活動は進められないこの時代に、ITに対する問題を放置して進むことはできません。
この理由を知るには、まず基本に立ち返って「情報」や「システム」とは何か、を理解する必要があります。

情報って何だろう?システムって何をしてくれるの?

少し堅苦しい話になりますが、情報の定義について復習してみます。
まず情報とはなんでしょうか。goo辞典によると「ある特定の目的について、適切な判断を下したり、行動の意志決定をするために役立つ資料や知識」とあります。役立つ形になっていなければそれは単なる文字や数値の集まり=「データ」であり、「情報」とは呼べないということです。
そして「システム」は何かというと、あらかじめ決められたプロセスに基づき、「データ」を「情報」に加工するものです。

図1.「データ」「システム」「情報」の関係

無責任に聞こえるかもしれませんが、「システム」そのものは、その加工結果が情報の受け手(ユーザー)にとって有効かどうかを一切判断出来ません。「システム」が有効になるには、その加工のプロセスをユーザーがあらかじめ定義づけなければならないのです。
ユーザーがシステムを難しく感じ、「うまくいかない」「失敗した」と思う原因は、この定義づけに必要な「コツ」を知らないことにあります。

すべての利用者が自分にとって100%有効と言えるシステムはそもそも難しい。

定義づけの「コツ」について、考えてみましょう。
ひとつめは、「バランス感覚」です。

「あなたの会社の基幹システムは有効に機能していますか?」と聞かれたとき、おおかたの人は「私の部門(あるいは他の部署)では不満もあり、有効に機能していない部分もあります」と答えるのではないでしょうか。そもそもすべての利用者が、「自分にとって100%有効」と言えるシステムはありえないのです。それはなぜでしょうか。

それぞれの企業はそれぞれの事業目的を達成し安全に維持拡大していかなくてはなりません。このために事業を最大化するための攻めの組織を作る一方で、安全・維持のための守りの組織を持っています。企業活動はこの両者のバランスで成り立っています。
冒頭のA氏、B氏の企業でも同じです。 例えば「会社の業績を伸ばす」という命題に対して、A氏の所属する営業部門では納入リードタイムを短縮するために在庫を増やし物流網を拡充する計画を立てたとします。この時に、B氏の所属する製造・原価部門では在庫費用や物流費を最小化する製造・仕入計画を目指すでしょう。A氏は売上拡大を最大化するための情報として欠品の無い様に在庫補充をするシステムを志向しますが、B氏は在庫過多を助長する恐れのある機能に消極的になりますし、在庫0ベースの運用を志向するでしょう。欠品の無い在庫補充をするシステムは営業にとって有効度は高いですが、製造原価部門にとっては不良在庫を生み出すリスクを持った情報となり、有効度は低くなります。

図2.部門ごとに相対するミッション

このように、すべての利用者が自分自身のニーズを100%満たすシステムの実現は難しいのです。勿論、現実の業務については野放しの在庫補充をする事は有り得ません。部門の業務効果を最大化しても、全体の最大化には必ずしも繋がらないことは明白だからです。企業全体がどちらに向かって行くかという方向を共有して、全体の最適化の中で部門の最適化を図って行くバランス感覚が大切なのです。

基幹システムを構築しようとするとき、検討プロジェクトチームのひとりひとりがまずこのことを理解し、議論を進めなければなりません。そのような取り組み姿勢で向かうことが、ひとつめの「コツ」です。

ふたつ目の「コツ」として、議論の中でプロジェクトチームが各所からの要件をまとめ、バランスのとれた一線を探るための具体的な注意点を考えてみましょう。

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