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株式会社 日立システムズ

衛星データ活用により森林のCO2吸収量を可視化し、カーボンクレジット創出量を算出する実証実験に成功

カーボンクレジットの創出から取り引きまでをトータルで支援する新サービスを2024年度中に提供予定

今回の実証実験における実施概要のイメージ
今回の実証実験における実施概要のイメージ

株式会社日立システムズ(代表取締役 取締役社長:柴原 節男、本社:東京都品川区/以下、日立システムズ)は、石巻地区森林組合(代表理事組合長:大内 伸之、所在地:宮城県石巻市)が管轄している森林を対象に、衛星を活用したGHG(温室効果ガス)排出量の測定技術を持つEverImpact(エバーインパクト)社(CEO:Mathieu Carlier、本社:フランス)と連携して森林のCO2吸収量を可視化し、森林計画と組み合わせることで、カーボンクレジット創出量を算出する実証実験を行いました。これにより、年間2.25万トンのCO2吸収量、最大2.6億円相当のカーボンクレジット*1の創出可能性を確認しました。さらに、可視化した情報は今後の森林計画に生かすことで、CO2吸収量の向上を支援します。
日立システムズは今回の実証実験で得たノウハウを活用することで、カーボンニュートラル*2へ向けてカーボンクレジット創出から取り引きまでをトータルで支援し、自治体、森林組合、森林保有企業等のクレジット創出者・購入者双方に価値ある新サービスの提供を2024年度中に開始する予定です。これにより、国土の約7割を森林が占める日本の林業の活性化を支援し、自治体や森林組合、企業等のカーボンクレジット需給(創出・販売)を加速させ、日本のカーボンニュートラルおよび経済成長への貢献をめざします。

*1
カーボンクレジット:企業が省エネルギー機器導入や森林の保護・植林などを行うことで生まれたCO2などの温室効果ガスの削減効果(削減量、吸収量)をクレジット(排出権)として発行し、他の企業などとの間で取り引きできるようにする仕組み
*2
カーボンニュートラル:CO2をはじめとした温室効果ガス実質排出量ゼロ

実証実験の概要

石巻地区森林組合が管轄する森林のうち、植林や間伐等の施業が進んでいる数千haの森林を対象に、EverImpact社と連携し、衛星から得られるデータから気候変動に関する政府間パネル(IPCC*3)のシナリオを元にした分析により、過去20年分のCO2吸収量を可視化しました。さらに、可視化した情報と、森林計画を組み合わせることで、カーボンクレジット創出量の算出を行いました。
本実証実験では、ボランタリークレジット*4市場の約70%のシェアを誇るアメリカのNPO(非営利団体)であるVerra(ベラ)社が認定する「ボランタリークレジットVCS(Verified Carbon Standard)」を採用しました。VCSは世界中で多くのクレジットの創出・売買が行われています。また、衛星などを活用したリモートセンシング(観測)による測定が認められており、大規模かつ迅速なカーボンクレジットの創出量増加が見込めます。
日立システムズは本実証実験を通じて、年間2.25万トンのCO2吸収量、最大2.6億円相当のカーボンクレジットの創出可能性を確認できました。

*3
IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):人為起源による気候変化や影響等に関して、科学的や技術的、社会経済学的な観点から包括的な評価を行うことを目的に設立された組織
*4
ボランタリークレジット:NPOや企業、団体など、民間が主導して発行されるカーボンクレジット

背景

  • IPCCのシミュレーションでは、2050年時点で削減しきれないCO2排出量は100億トンにのぼるとされています。そのため、カーボンニュートラルを達成するためにはカーボンクレジットの活用が重要な手段の一つとなってきます。
  • 国土の7割を森林が占める日本には自然活用によるカーボンクレジット創出の潜在能力があるとされていますが、多くの森林が未整備のまま放置されており、活用が進んでいない状況です。

今後の取り組み

日立システムズは、今回の実証実験で得られたノウハウや、国内では前例の少ない数千haという広大なエリアで行ったボランタリークレジットの創出ナレッジを活用し、衛星データによるCO2吸収量の可視化からクレジット取り引きまでをトータルで対応可能なサービスを2024年度中に提供開始する予定です。これにより、カーボンクレジット創出を計画している自治体や森林組合、企業に対し、全国約300拠点のネットワークを活用し、日本全国への展開をめざすと同時に、森林面積の多い日本における森林に関する課題解決、林業の活性化ひいては地域活性化および脱炭素化を推進し、地域社会への貢献をめざします。また、日本が認証しているカーボンクレジット制度であるJ-クレジット制度でも衛星活用が認められた際は、J-クレジット創出にも取り組む予定です。

EverImpact社について

EverImpact社は、衛星データや地上センサーデータ活用してGHG排出量を監視することに特化した企業です。リアルタイムでの炭素モニタリングソリューションを開発し、都市、施設、自然ベースのソリューションを展開しており、欧州とアジアで試験運用が開始しています。日立システムズとのパートナーシップを通じて、日本市場での展開を進めています。

石巻地区森林組合について

石巻地区森林組合は、宮城県石巻市、東松島市、女川町を区域として活動を行う広域森林組合です。森林整備、木材の生産販売、木材のリサイクルを中心とし、環境配慮の推進による森林・林業活性化をめざして、バイオマス発電用チップへの取り組みや公共住宅への木材利用促進など、木材を率先して活用する「ウッドファースト」社会の実現へ取り組んでいます。日立システムズとの協業を通じて、地域林業振興と発展による地域社会へ貢献をめざしています。

日立システムズのカーボンニュートラルについて

カーボンニュートラル×ITのコンセプト動画

日立システムズの「カーボンニュートラル×IT」 コンセプト動画

日立システムズについて

日立システムズは、企業理念に掲げる「真に豊かな社会の実現に貢献する」ために、日立グループの社会イノベーション事業を支える一員としてサステナビリティ経営を推進しています。強みであるさまざまな業種の課題解決で培ってきたお客さまの業務知識やノウハウを持つ人財・サービスインフラを活用したデジタライゼーションサービスと、日立の先進的なデジタル技術を活用したLumadaやパートナーと連携した独自のサービスによりお客さまのデジタル変革を徹底的にサポート。社会課題を解決するだけでなく、社会価値、環境価値、経済価値の3つの価値向上に貢献し、人々のQuality of Lifeの向上とお客さまの価値向上を支援してまいります。

お客さまからのお問い合わせ先

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以上

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記載の会社名、製品名はそれぞれの会社の商標または登録商標です。

参考資料

実証実験の詳細


1. 目的
宮城県石巻地区森林組合が管轄している森林を対象に、衛星を活用したGHG排出量の測定技術を持つフランスのスタートアップ企業EverImpact社と連携し、CO2吸収量を容易に可視化できるか確認する。
さらに、算出したデータを用いてボランタリークレジットVCSの創出について、実現の可能性を評価する。

2. 実証実験期間
2022年10月〜2023年3月

3. 対象地域
宮城県石巻地区組合管轄の森林数千ha

4. 実施内容
・衛星データを活用・分析し、広大な範囲のCO2吸収量を容易に測定・可視化できることを確認しました。
・CO2吸収レベル分布図や月次、年次等の推移および比較グラフを分かりやすく視覚化しました。

■CO2吸収レベル分布図(20年前比較)

CO2吸収レベル分布図(20年前比較)

■2021年度の月次CO2吸収量推移

2021年度の月次CO2吸収量推移

■2002-2022年のCO2吸収量推移

2002-2022年のCO2吸収量推移

・衛星データの分析結果と施行履歴、計画を元に、クレジット創出量を算出しました。


5. 結果
年間2.25万トンのCO2吸収量、最大2.6億円相当のカーボンクレジットの創出可能性を確認することに成功しました。

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