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株式会社 日立システムズ

専門家コラム:職場のポジティブメンタルヘルス~健康増進と生産性向上の両立に向けて~

【第2回】ソーシャルディスタンスはボディ・メンを考える絶好の機会

新型コロナウィルスによる緊急事態宣言が解除されつつあり、今後の働き方をしっかりと考えていきたい所です。ボディヘルス(身体的健康)とメンタルヘルス(精神的健康)とを一体のものと考えるボディ・メンタルヘルス(身体・精神的健康)、略してボディ・メンから健全な働き方と生産性の向上を両立させましょう。

1.前回の復習とダメ押し

第1回では、“座ったままでいる”姿勢がいかに危険かを紹介し、なるべく立って生活することについて述べました。座ったままでいることは、我々の心身にとって大変危険です(第1回参照)。
特に猫背等の悪い姿勢のままでは、肩こりや腰痛まで生じて踏んだり蹴ったり1)
では、どのくらい立っていれば良いのか、気になりますよね。アメリカのコールセンターで働く人を調査した研究によると、高さ調節が可能なデスクを使ったグループはそうでないグループよりも46%も生産性が高かったそうですが、着席時間は1.6時間短かっただけです2)
アメリカの1日座位行動時間がおよそ240分(日本は420分)でそもそも短い方なので3)日本との単純比較は難しいですが、勤務時間の内、たった1時間から2時間程度立って仕事をすることによって格段に生産性が高まる可能性があります。改めて、みなさんは今どのくらい座ったままで仕事をしていますか。2時間程度立って仕事をしてみませんか(スタンディングワークの工夫については第1回紹介)。

2.パーソナルスペースから考えるソーシャルディスタンス

さて、姿勢がいかに重要か述べた所で、姿勢とソーシャルディスタンスの関係について“パーソナルスペース”の考え方から見ていきます。パーソナルスペースとは、人の体を取り巻く目で見ることのできない空間領域とされ、個人空間とも呼ばれます4)
その空間に他者が入ってくると“気になる”。少なくとも注意集中状態が影響を受けることは想像に難くないですよね。では、その範囲はどうかというと、前方で男性約18m、女性約7m4)。結構広い。
満員電車やエレベーターなど0距離に近くなる場合、高レベルのアドレナリンが分泌され軽い興奮状態になると推測されており4)、容易にストレスフルになります。
職場はどうでしょう。女性の約7メートルで考えても一部署一島がすっぽり入ってしまい、みんながお互いのパーソナルスペースに侵入している状態です。
その前提でソーシャルディスタンスを考えます。新型コロナウィルスによる緊急事態宣言が解除される今後、職場でのソーシャルディスタンスが強く叫ばれることでしょう。ソーシャルディスタンスの距離はできるだけ2m(最低でも1m)とされています5)
beforeコロナよりは良いとしても、結局人々のパーソナルスペースは侵され続けます。もちろん、新型コロナウィルス感染予防としては良いでしょうが、2m空けた所で大して心理的負荷は変わらないかもしれないのです。
では、何を変えなければならないのか。それは、我々の姿勢です。結局、この新型コロナ渦は“きっかけ”にしか過ぎないというわけです。

3.姿勢を良くすることでパーソナルスペース無力化

ソーシャルディスタンスを取ることで新型コロナウィルスは遠ざけても、パーソナルスペースを侵されるストレスからは我々を遠ざけない。ではどうしたら良いか。そこで登場するのがボディ・メンの基本となる“姿勢”です。
パーソナルスペースが何との関係でその範囲が定められているかといえば、それは明らかに“他者の存在”でしょう。
すべての悩みは対人関係の悩みであると言われる通り6)、他者の存在によって我々は左右されます。それは一重に自他の境界線が曖昧で容易に浸食し、浸食されるからに他なりません。
そこで重要となるのが、身体的・精神的な自分の軸“自体軸”を意識することです。自体軸がしっかりと整った姿勢を維持することで自分についての信頼感と自信ができ、心の余裕を持ち、自分の体と環境への働きかけが積極的になされます7)
結果、パーソナルスペース内の他者の存在が過剰に気にならなくなり、生産性が上がるものと推測されます。それは背筋を伸ばすと、猫背に比べて、自分の考え方への信頼感が湧くという研究からも明らかです8)

4.良い姿勢の作り方

大分前置きが長くなりましたが、良い姿勢の作り方を一瞬で説明します。
①まっすぐ前を向いて肩を開き背筋を伸ばす。
②頭のてっぺんを天井に向けるように顔を上げる。
③頭と背はそのままで、開いた肩だけ力を抜いて戻す9)

次回は、afterコロナにボディ・メンがもたらす自己改革と働き方改革について論じます。

参考文献

1) 碓田拓磨 2016 ねこ背をなおして健康ボディー1日1分姿勢改善エクササイズ NHKテレビテキスト まる得マガジン 2016年1月‐2月

2) Gregory Garrett etal. 2016 Call Center Productivity Over 6 Months Following a Standing Desk Intervention IIE Transactions on Occupational Ergonomics and Human Factors,4,188-195

3) 岡ら 2013 座位行動の科学, 日本健康教育学会誌,21(2)

4) 渋谷昌三 1993 人と人との快適距離 パーソナル・スペースとは何か 株式会社アドレナライズ

5) 厚生労働省ホームページ

6) 岸見一郎 古賀史健 2013 嫌われる勇気 ダイヤモンド社

7) 成瀬悟策 1998 姿勢のふしぎ 講談社

8) Shwetha Nair etal.2015 Do Slumped and Upright Postures Affect Stress Responses? ,A Randomized Trial Health Psychol,34(6),632-41

9) Carissa Wilkes etal.2017 Upright Posture Improves Affect and Fatigue in People With Depressive Symptoms,J Behav Ther Exp Psychiatry,54,143-149

  • ※ コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。

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