カーボンニュートラルお悩み相談室は、カーボンニュートラルやGX(グリーントランスフォーメーション)に関するお悩み・お困りごとに、専門家がアドバイスをするQ&Aコンテンツです。回答を通じて皆さまの脱炭素経営をバックアップします。
今年からサスティナビリティ担当になった入社2年目の可児 裕(かにゆう)・通称「か~にゅ~」が、皆さまのアシスタントとして疑問・質問を一緒に解決します!
今回は、Scope2の温室効果ガス排出量削減に関するお悩みをご紹介します。回答するのは日立システムズの堀誉典です。
株式会社日立システムズ
全国プラットフォーム事業部 ファシリティ本部 第二サービス部第二グループ
技師 堀誉典
本記事の最後に、本記事の内容に関連したホワイトペーパーダウンロードのお知らせがあります。最後までぜひご覧ください。
* カーボンニュートラルお悩み相談室では、読者の皆さまからの疑問・質問を募集しています。詳しくは本記事の最後をご覧ください。
Scope2の温室効果ガス排出量を削減するため、電気使用量を削減したいと考えています。しかし、LED照明への切り替えや空調・照明のこまめなON/OFFなど、思いつく限りの省エネ施策はすでに実施しており、ここからさらに電気使用量を削減することはかなり難しそうです。何か有効な手段はないでしょうか?
(食品メーカー・Aさん)
今回はScope2の温室効果ガス排出量削減に関する質問ですね。カーボンニュートラルの実現に向けて、まずは自社のエネルギー使用を見直そうという企業は多いかもしれませんね。
Scope2は、自社が購入・使用した電気・熱・蒸気の使用に伴う温室効果ガスの間接排出を取り扱うScopeです。電力会社から供給された電気を使用した場合、排出量は以下の算定式で求めることができます。
他人から供給された電気の使用 |
---|
CO2排出量=電気使用量×単位使用量当たりの排出量 |
参考:環境省ホームページ「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」2P
(https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/files/calc/itiran_2023_rev3.pdf)
電気使用量を削減することで温室効果ガスの排出量削減につながるわけですね。でも堀さん、省エネの取り組みは、カーボンニュートラルが一般化する前から多くの企業がコスト削減のために行っています。質問者さんのように「これ以上の省エネはもう難しい」という企業は多いのではないですか?
その通りだと思います。でも、最近ではそのようなお悩みに応える新しいソリューションが生まれています。その一つが「エネルギーマネジメントシステム(EMS)」というものです。
EMSって、一体どんなソリューションですか?
EMSとは、工場やビルのエネルギー使用状況を見える化し、空調や照明などの設備稼働を制御することで、エネルギーの適切利用や電気代削減、CO2排出量削減などを実現するソリューションです。
電力会社が提供する電気使用明細を見ても、工場やビル全体の電気使用量しかわからず、どこにムダがあるかを特定することはできません。EMSを利用すれば、設備ごと・フロアごと・時間ごとなど細かな単位での電気使用量が把握できるので、電気使用量削減に向けた改善案が立てやすくなるのです。
EMSはどうやって電気使用量を把握するのですか?
IoT機器やセンサーを活用するのが一般的です。工場やビルの分電盤、空調、生産設備などにセンサーを取り付け、取得したデータをインターネット経由で収集することで、設備ごとの電気使用量を把握することができます。また、データを収集するだけでなく、設備の稼働を制御するデータを発信することで適切なエネルギー利用に結びつけることもできます。
EMSの具体的な導入事例があれば教えていただけませんか?
家電量販店A社は、関東を中心に約260店舗を展開しています。空調の運用については「設定温度を守ること」「こまめな電源ON/OFFを行うこと」などのルールを定めていましたが、各店の取り組みにばらつきがあったため、EMSを導入しました。
各店舗に設置されたIoT機器は、店舗内の電力センサー・温度センサーから収集したデータに基づき、店舗内が快適な状態に保たれるよう空調温度を自動で制御します。電源の消し忘れがないよう、電源ON/OFFもあらかじめ設定した時間に自動で行われています。
EMSを導入した13店舗への調査の結果、EMS利用開始後に電気使用量が約40%削減されていることがわかりました。EMSは家電量販店A社のScope2排出量削減に大きく貢献しています。もちろん、電気代も削減できているので、近年のエネルギー価格高騰への対策としてもEMSは有効です。
排出量削減と電気代削減を同時に実現できるのは嬉しいですね。
家電量販店A社は、システムが自動で設備制御まで行う「制御あり」タイプのEMSを導入しましたが、設備制御を行わない「制御なし」タイプのEMSであればさらに短期間・低コストで導入することができます。本記事の最後に、日立システムズが「制御なし」タイプのEMSを自社導入した際のホワイトペーパーダウンロードのお知らせがあるので、そちらもチェックしてみてください。
堀先生、わかりやすいご説明ありがとうございました!今回の学びを最後にまとめておきます。
脱炭素経営の実現に向けて、これからもたくさんの質問にお答えします。次回もお楽しみに!
日立システムズ中国支社は、3カ月間におよぶEMS導入のPoC(実証実験)を行いました。PoCの結果、電気代を毎月約2万円、年間で約24万円削減できる実験結果が得られました。PoCの詳細をまとめたホワイトペーパーを下記より無料ダウンロードいただけます。ぜひご覧ください。
本冊子はこのような方におすすめします
本記事でご紹介した「エネルギーマネジメントサービス」は、オフィス・工場・大型店舗における電力使用量を一括管理し、見える化することで、カーボンニュートラルやコスト削減を推進します。ご興味のある方は、下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。
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