本コラムは、AI専門家のマーク・ミネビッチ氏執筆によるホワイトペーパー「ビジネスの未来を拓く 生成AIグローバルトレンド 第1回:生成AIトレンドレポート~生成AI急成長の理由と活用事例を探る~」の内容を要約したダイジェスト版です。
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大規模言語モデルや生成AIなどの新しい強力な人工知能(AI)が登場したことで、テクノロジーの歴史に重要な節目が訪れています。私たちは今まさにパラダイムシフトの瞬間に立ち会っており、ビジネスや産業が根底から作り変えられようとしています。
企業は、生成AIが持つ計り知れない可能性と考え得るリスクの両面を理解し、情報に基づく包括的なアプローチを取ることにより、自信を持って生成AIを活かしたイノベーションを推進することができます。本連載「ビジネスの未来を拓く 生成AIグローバルトレンド」は、企業が生成AIを導入してこれまでにない水準の効率性、創造性、成長を実現するための、現実的かつ倫理的な方法を解説していきます。
第1回はイントロダクションとして、驚くべきスピードで進化と拡大を続ける生成AIの現状と将来性を概観したうえで、革新的な能力の発揮により、さまざまな業界にイノベーションを起こしつつある生成AIの使用事例を紹介したいと思います。
Aspen Digitalは、生成AIの定義・分類についてこのように説明しています1。
生成AIとは、人工知能技術の一分野であり、膨大な量の既存のコンテンツからパターンを認識して、画像やテキストなどの新しいコンテンツを作成します。迷惑メールフィルターや医療分野の腫瘍検出のように、意思決定を行うように設計された分類AIとは異なり、生成AIはコンテンツを生成するように設計されています。生成AIの機能には、次のようなものがあります。
生成AIの主な機能 | 主要プロダクト(提供企業) |
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Image-to-image(画像から画像を生成) |
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Text-to-image(テキストから画像を生成) |
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Text-to-audio(テキストから音声を生成) |
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Video-to-video(動画から動画を生成) |
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Text-to-video(テキストから動画を生成) |
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Image-to-text(画像からテキストを生成) |
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Text-to-text(テキストからテキスト(コンピューターのコードを含む)を生成) |
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Aspen Digital「INTRO TO GENERATIVE A.I.」内の「WHAT GENERATIVE AI CAPABILITIES EXIST TODAY?」(https://www.aspendigital.org/report/intro-to-generative-ai/)を基に作成
生成AIはまだ成熟の初期段階にありますが、すでにコンテンツの作成に活用されており、高速、低コスト、エンドユーザーにとって比較的使いやすいという特長があります。このテクノロジーは、ソフトウェアエンジニアリング、メディア制作、教育、商業美術市場など、さまざまな分野に影響を及ぼしており、ビジネス、セキュリティ、社会に大規模な破壊的変革をもたらす可能性があります。生成AIの用途や効果としては、コンテンツのハイパーパーソナライゼーション、「ノーコード」のアプリケーション開発の増加、拡張現実(AR)の体験の向上などが挙げられます。
生成AIは短期間で導入件数と機能が爆発的に増加しています。Andreessen Horowitzは、Similarweb2のトラフィックデータ(2023年6月現在)を基に、生成AIのWebプロダクト月間訪問数上位50社をランク付けしました。Andreessen Horowitzの分析3の中から、生成AIに関する興味深い事実を紹介しましょう。
生成AI界で優位的地位を築いているのはやはりChatGPTです。ChatGPTはコンシューマーアプリケーション史上最速で月間アクティブユーザー数1億人を達成しました。その後を追うのがCharacter.AI(米・Character Technologies, Inc.)で、規模はChatGPTの21%となっています。Character.AIはAIコンパニオンとしてニッチを切り開き、早い段階でしっかりとモバイルユーザーを獲得しています。
Bard(米・Google LCC)とPoe(米・Quora, Inc.)は、汎用チャットボットの可能性を示しています。どちらも、これらのモデルとの会話を日常的に利用する確固としたユーザー基盤を築いています。QuillBot(米・Course Hero, Inc.)は、AIによる文章作成支援の価値を提示しています。パラフレーズや要約の機能があり、文章作成や推敲に役立つため、学生や専門家に利用されています。
さまざまなメディアやリサーチ機関、専門家は、生成AIが巻き起こす爆発的な変化をどのように捉えているでしょうか。ここでは各社の記事や調査、研究内容を紐解きながら、生成AIの可能性をさらに深く分析します。
KPMGの調査4によれば、米国のエグゼクティブの65%は、今後3~5年で生成AIが組織に大きな影響を与えるようになると考えています。しかし回答者の60%は、今後1、2年は生成AIアプリケーションを導入するつもりはないと答えています。これは、このテクノロジーの持つ大きな可能性とともに、生成AIを活用した業務、製品、ビジネスモデルの変革について検討することが企業のリーダーたちにとっての喫緊の課題であることを示しています。
業界予測では、今後数年で生成AI機能の導入が急増すると見られています。Gartnerは生成AIの将来について次のような予測をしています。5
生成AIによって、さまざまな業界で破壊的変革をもたらす多種多様なアプリケーションが生まれていて、確かなビジネス価値につながっています。これらのAIシステムによって、社内のワークフローと顧客対応の両面に変革がもたらされます。一例として、工業におけるAI使用事例を紹介します。(※ホワイトペーパーでは、医療、ソフトウェア開発、製造、金融サービスなど、各業界の事例を紹介しています)
Uptake6では、特に重量物輸送サービスにおける車両稼働時間を改善しました。北米の重量物輸送で突出した業績を誇るUnited Roadは、保守費用の削減と運転手の走行距離延長のため、業務にUptake Fleetを導入しています。United Roadでは、UptakeのAIを活用した予知保全モデルを活用することで、車両故障の発生前に対処することが可能になり、適切なタイミングでコスト効率よく保守を行い、予期しないダウンタイムを大幅に削減しています。
Autodesk7は、設計とプロトタイピングを自動化するジェネレーティブデザインソリューションであるDreamcatcherシステム8で有名です。エンジニアや設計担当者が設計目標とパラメーターを入力すると、AIシステムによって、重量、強度、コストなどのさまざまな要素に基づいて最適化された多数の設計案が生成されます。これにより設計工程の所要時間が短縮され、従来の方法では思い付かなかったような革新的な設計解が得られます。Autodeskのジェネレーティブデザインテクノロジーで、幅広い設計空間を探索することにより、イノベーションを加速させ、設計から製造までの時間を短縮することができます。
本連載「ビジネスの未来を拓く 生成AIグローバルトレンド」の第1回は、驚くべきスピードで進化と拡大を続ける生成AIの現状と将来性について、また、生成AIの実際の使用事例を紹介しました。未来のことを確実に見通すことはできませんが、生成AIがビジネスに大きな変革を与えることをご理解いただけたと思います。
第2回は、いよいよ生成AIのビジネス活用について解説します。ChatGPTに代表される大規模言語モデル(LLM)を導入するにあたり、最適なモデルの選定、成果の測定など、このテクノロジーの戦略的な導入に関して考慮すべき重要な点について詳しく説明します。企業が生成AIの持つ大きな可能性を手に入れて、パフォーマンス、競争力、価値創出を加速させながら、リスクにも先手を取って対処するための実践的なロードマップを示します。次回もぜひご期待ください。
本コラムは、AI専門家のマーク・ミネビッチ氏執筆によるホワイトペーパー「ビジネスの未来を拓く 生成AIグローバルトレンド 第1回:生成AIトレンドレポート~生成AI急成長の理由と活用事例を探る~」の内容を要約したダイジェスト版です。
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