世界規模で電力需要が増大するなか、将来の低炭素社会を担うインフラとして期待が高まるスマートコミュニティ。日立システムズは、スペイン、ハワイに続き、インドで始まったスマートコミュニティ実証実験における通信システム構築を担当。グローバルなITビジネスを通じて長年培ってきた技術・ノウハウを駆使して、再生可能エネルギーの活用や効率的な電力需給を実現する次世代電力インフラの実用化に貢献しています。
社会への視点
電力供給不足が深刻化するインドにおいて
太陽光を活用した分散型電力網の実証実験を推進
インドでは、急速な経済発展にともなって電力供給不足が深刻化しています。さらに化石燃料コストの増大や環境負荷を抑制するために、再生可能エネルギーの導入促進も国家的な重要課題となっています。一方、現地に進出した日系企業は、工場の操業に適した安定的で質の高い電力供給を必要としていました。こうしたインド社会および日系企業のニーズに応え、現在、日系企業約20社が入居するニムラナ工業団地において、太陽光発電システムを活用したマイクログリッド *の実証実験プロジェクトが進められています。*マイクログリッド（Micro Grid）=「分散型電力網」「小規模発電網」。再生可能エネルギーや小型ガスタービン、燃料電池など、地域内に設置した小規模な発電設備を連結させて域内の需要に合わせた電力を供給するスマートコミュニティ技術の一つ。
プロジェクトの
概要
太陽光発電とディーゼル発電を適切に制御し
クリーンかつ安定的な電力供給を実現
独立法人新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）の実証実験事業として進められているこのプロジェクトは、ニムラナ工業団地に太陽光発電設備を設置し、太陽光発電と団地内のディーゼル発電機を連携させる電力制御システムを構築。天候による太陽光発電量の変化や電力需要状況などに応じてディーゼル発電機の稼働を適切に制御し、化石燃料の消費を必要最小限に抑えながら安定した電力を供給するシステムの技術検証を行います。なお、太陽光発電設備は、出力1MWと5MWの2系統を設置し、1MWはマイクログリッド内で利用、5MW分は現地の電力会社に売電して地域の電力安定供給に役立てます。
ニムラナ工業団地における技術実証事業のイメージ
日立システムズ
のアプローチ
コンソーシアムメンバーの1社として
セキュアかつ信頼性の高い通信システムを構築
当社は、これまでもスペインとハワイにおけるNEDOのスマートコミュニティ実証実験に参加する日立製作所の委託を受け、現地での通信システム構築を担当してきました。こうした実績が評価され、今回のプロジェクトでは日立製作所とともにコンソーシアム企業の1社として実証実験に参加。先行案件で培ってきた知見・技術力や海外でのシステム構築ノウハウを駆使し、2015年のマイクログリッド稼働に向けて、効率的・安定的な電力供給を支えるセキュアかつ信頼性の高い通信システムの開発・構築に取り組んでいます。
担当者の声
通信技術は、都市インフラの整備やエネルギー消費削減などを実現するうえで不可欠の技術です。こうした世界共通の社会課題の解決に向けて、どのような貢献が可能かを徹底的に考え、形にしていくことが私たちの仕事です。社会インフラは、長期間にわたって人々の暮らしを支え続けていきます。絶え間なく進化する技術をどのように組み合わせ、価値あるシステムを提供していくか―これからも国籍を問わず優れた技術者と力を合わせて、世界各地の社会課題の解決に貢献するシステムを構築してきたいと考えています。
クラウドICTサービス
事業グループ
ネットワークサービス事業部
ネットワーク
インテグレーション本部
第一部／第1グループ
技師荒牧 和幸
将来展望
新興国や離島地域を中心に
マイクログリッド構築を促進
再生可能エネルギーや小型ガスタービンなどを組み合わせ、限られた地域内で効率的な電力供給を行うマイクログリッドは、広域電力網がまだ十分に整備されていない新興国や離島などを中心に、今後ニーズが大きく増加すると予想されています。NEDOならびに本コンソーシアムでは、実証実験で確立した技術や蓄積データなどを活用して、インド国内はもちろん、ほかの新興国や島しょ地域などに横展開していく計画です。当社では、今後も信頼性の高い通信システム構築を通じて、このマイクログリッドを含めた次世代電力インフラの実用化に貢献していきます。
日立システムズは、システムのコンサルティングから構築、導入、運用、そして保守まで、ITライフサイクルの全領域をカバーした真のワンストップサービスを提供します。
