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株式会社 日立システムズ

「疲労・ストレス測定システム」の
開発※2015年当時の記事です。

近年、日本社会では、職場や学校などさまざまな場所で疲労やストレスに伴う精神疾患に悩む人が増加しています。こうした中、日立システムズは、東日本大震災によって長期にわたって避難所や仮設住宅での暮らしを余儀なくされる方々への支援策として、ITを活用して疲労やストレスを早期に発見し、素早いケアにつなげていく「疲労・ストレス測定システム」を開発。現在、幅広いフィールドでの活用を開始しています。

日本を覆う疲労・ストレス

社会への視点

職場や学校で疲労・ストレスに伴う
精神疾患に悩む人々が増加

成果主義の拡大や雇用形態の多様化など就労環境の変化が著しい日本企業では、従業員が過労やストレスで心身の健康を損ねたり、うつ病などの精神疾患を罹患するケースが増加しています。近年の研究では、これら疲労・ストレスの正体は活性酸素・・・つまり病気になる時と同じメカニズムが働いていることが解明されています。こうした中、厚生労働省は2011年、対策に重点的に取り組むべきと指定した従来の4大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)に新たに「精神疾患」を追加し、5大疾病としました。

精神疾患の患者数
精神疾患の患者数のグラフ

日立システムズ
のアプローチ

医師と連携して、
クラウド環境を活用した
客観的な評価技術を確立

当社は、2013年2月、医師を中心に設立された株式会社疲労科学研究所と共同でクラウド型の「疲労・ストレス測定システム」をリリースしました。このシステムは、ハンディタイプの機器の左右の穴に人差し指を入れるだけで、2.5分(標準計測時間)という短さで心電波と脈波を同時に計測します。取得したデータはPCを経由して当社のクラウドシステム上の「疲労解析サーバー」で解析、レポート生成され、すぐにPCに評価結果が送信されます。結果レポートには、自律神経機能年齢や心拍変動、交感・副交感神経のバランスが数値やグラフで表示され、「正常」「注意」「要注意」の3段階で評価されます。

当社クラウド疲労解析サーバー、検診実施場所、管理部門の図

疲労科学専門医の声

めざしたのは、「家庭でも手軽に疲労を測れる環境」と、「測定結果を被験者に分かりやすく伝えること」でした。手軽さを実現するために、クラウドを利用して高価なソフトウェアを不要とし、機能更新の際にもセンター側にだけ手を加えれば済むようにしました。また、最新のセンサーで取得した多くの情報を細かく解析することで、結果を具体的に示すように工夫しました。今回のシステム開発をきっかけに、誰もが病気にかかる前に体の異常に気づける世の中にしていきたいと思います。

倉恒 弘彦氏の写真関西福祉科学大学
教授 医学博士
倉恒 弘彦様

普及に向けて

自治体から企業へ、抗疲労市場へと
フィールドを拡大

現在、当社は、「疲労・ストレス測定システム」を被災地の自治体だけでなく、予防医療に力を注ぐ医療過疎地域の自治体や各地の成人病センター、メンタルヘルスケアを強化する企業、より良い生徒指導のあり方を模索する教育機関などに普及させていく活動を推進しています。また、「抗疲労」をコンセプトに事業展開しているサプリメントメーカーなどでも効果を評価するツールとして注目されているほか、顧客サービスの一つとしてフィットネスクラブなどでも設置の検討が進んでいます。

疲労科学研究者の声

開発に際しては、被災地住民や自治体職員の方々の懸命な姿を思い浮かべながら、スピードにこだわりました。幸い、既存のクラウドシステムのエンジンを利用することで、3カ月弱という短期間でのリリースを実現することができました。しかし、目的は測定システムを製品化することではなく、多くの人が手軽に疲労を測定でき、疾病を予防できる世の中をつくっていくことです。そのために今後も疲労・ストレス測定システムの改良と普及を進めていきます。

渡辺 恭良氏の写真独立行政法人理化学研究所
ライフサイエンス技術基盤研究センター長
大阪市立大学 健康科学イノベーションセンター所長
渡辺 恭良氏

将来展望

“隠れ疲労”の人々の日常をサポート

検診システムの利用者が広がるにつれ、疲労感を自覚していないにもかかわらず、自律神経を測定したら疲労しているという“隠れ疲労”の人が全体の数パーセントいることが分かってきました。こうした人は精神疾患にかかる可能性があるばかりか、過労死の危険があります。そこで当社は、身体活動量の変化や睡眠の傾向を分析できる腕時計型の端末「ライフ顕微鏡」を開発した日立製作所と連携。「疲労・ストレス測定システム」によって自律神経に問題が判明した人にライフ顕微鏡を提供して日常生活の改善に役立てています。また、ライフ顕微鏡で測定した情報を分析し、被験者のスマートフォンにメールでアドバイスを送るデバイスの活用なども検討中です。

日立製作所が開発したライフ顕微鏡の写真
日立製作所が開発したライフ顕微鏡

日立システムズは、システムのコンサルティングから構築、導入、運用、そして保守まで、ITライフサイクルの全領域をカバーした真のワンストップサービスを提供します。