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株式会社 日立システムズ

なんとなく<strong class='TextUX'>UX</strong>は重要と思い始めている人のなんとなくをなんとなくじゃなくする連載

vol.03 UX発想:課題の本質に向きあう

UX設計。ウェブで検索をかければ、その概念や実践を詳細に説明しているコンテンツに出会います。ステップや手順を懇切丁寧に分解&解説してくれているものまであります。それを読み、自分たちのプロジェクトに置き換え、実践を試みればそれで解決。よかったよかった。このコラムも必要なし!となるはずですが、実際はそんなにうまくいっていないのが現実。では、その問題点はどこにあるのでしょう。

つくり手発想→つかい手発想

UX発想の実践を阻害するもっとも大きな壁は「意識の壁」だと思います。開発現場にいる人々の意識や考え方の壁。人は誰しも自分が積み上げてきたものを基本に考えます。入社以来、10年以上にわたって培ってきたメソッドやノウハウはその人の資産であり、その人自身の生きてきた証でもあります。それは急に変えられないし、変えろと言われることは自身の歴史の否定にも思える。でも時に、UX発想は、その根幹の変更と修正を求めることがある、だからやっかいなのです。「作り手発想」から「使い手発想」への意識変革です。昨日まで、作る側の思想と収益論理と組織都合で組み立ててきたものを、突然、市場目線に切り替え、時代と社会と人々との関係の中でその意味と理由を考えろと言われる。それは、パソコンで言えばOSの変更に匹敵する変更であり、スイッチの切り替えです。それは、そんな簡単にできるものではないのです。

イメージ:つくり手発想→つかい手発想

どれだけ本質的議論ができるか!

UX設計の基本手順は以下のように整理しています。(会社によって内容に微妙な違いはありあます)

  1. 何の実現を目指す開発なのか、そのゴールを改めて明確にする
  2. そのゴール実現は、今、何を実現することで可能になるのかを徹底議論/分析する
    その企業の強み・弱みも冷静に見極めながら
  3. 2の成果を、ユーザー体験という文脈で解釈変換する
  4. そうしたユーザー体験を実現する機能を定義する
  5. その機能要件定義から、設計~実装する
  6. その成果を定期チェックし、改革のサイクルを回す。

これらの中でもっとも重要なステップとして意識しているのが、1〜2のステップとそこでの本質議論です。

たとえば、家計簿アプリ&サービスの開発を例に考えてみましょう。

1の議論の中で重要なのは、実現目標の明確化です。「ダウンロードランキングでベスト5に入る」「想定競合であるA社を利用者数で追い抜く」「市場NO.1を3年かけて実現する」「シェアよりも主婦層満足度 NO.1を目指す」その中身はそれぞれであっていい。重要なのは具体的であることです。1の策定は経営側にも責任があるので、ここを明確にせよと経営側に迫るのもいい。同時に競合事例のリサーチをかけ、その目標実現のために競合はどのぐらいの予算とマンパワーをかけているのかを調べ、プロジェクトに割かれている予算とマンパワーがその設定目標にふさわしい規模を持っているのかを検証する必要もあります。

昨日まで家計簿アプリ体験はXXだったけど、、、

仮に「競合であるA社を利用者数で追い抜く」が設定目標だとすると、次のステップは、家計簿アプリ体験の何を進化させることが目標を実現することになるのかの、具体プランニングです。

「昨日まで家計簿アプリ体験はXXだったけど、これからの家計簿アプリ体験はYYになる」

UX体験コンセプトの開発です。これを考えるには、家計簿ソフトとはそもそもどんな価値を提供するものなのかの本質議論は重要。そして今の時代に家計簿ソフトが求められる理由議論も重要になります。さらには、競合するA社の家計簿アプリが評価されている理由を分析し同時に、A社が実現した「昨日までのXXとこれからのYY」が何なのかも言語化してみることが大切になります。A社をしのぐアプリ体験を実現するには、企画する体験コンセプトがA社のそれを超えるものになっている必要がある、というわけです。重要なのは、機能議論ではなく市場評価議論であり振り向かれる理由の設計です。

そこを深めていくことが「つくり手発想からつかい手発想」へと意識をスイッチしていくことにもつながるのです。家計簿アプリ市場で人気を博している「zaim」に置き換えれば、その体験コンセプトは「昨日までの家計簿アプリ体験は入力が面倒で長続きしなかったけど、これからの家計簿アプリはスマホによる簡単レシート入力によって長続きできるものになる」。このコンセプトがシンプルにして新しいかったことが、「zaim」の日本市場での成功の核となっているのです。

UX体験コンセプトが開発されたら、それがその後のプロセスの軸となり、カスタマージャーニーに開かれ、開発アプリの機能定義へとスムーズに流れていきます。前述したUX設計基本手順はあくまでも手順書であり、それが効果を発揮するか否かは、その初期ステップで核となる考え方を紡ぎ出せるか否かにかかるのです。

では次回は、コンセプト設計の先にある、ユーザー体験フロー設計の話に展開していきたいと思います。

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