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株式会社日立システムズ

第3回 孔子の「私の履歴書」

2016年6月20日掲載

2016年4月 東京新宿

渥倉孔一と初めて会ってから1カ月が過ぎていた。ありがたいことに、気に入った社長、会社しかコンサルティングをしないといわれているアツクラのお眼鏡にかなったのか、顧問契約をすることができた。今日は顧問契約後、初の訪問だった。渋谷太陽は1週間も前から、興奮が抑えられなかった。なぜならアツクラは、今をときめく名だたる企業を上場させてきた、“上場請負人”だと聞いていたからである。昨夜は興奮が頂点に達したのか、寝つきが悪かった。そのため渋谷の目は少し赤く腫れ上がっていたが、不思議と眠気や気だるさは感じなかった。それより、充実感と期待で体が火照っているのを感じて、アツクラが来るまでは窓を開けて、顔をひやしていた。

アツクラ「前に話したように、小さな会社のときから大企業、優良企業のような経営をする必要があります。多くの人は、大きい会社になったらやるといいます。あるいは、お金があればやるといいます。しかし、大企業、優良企業のような経営をするから、大企業、優良企業になるのです。多くの人は幸せだから笑うと思っていますが、笑うから幸せになるのです。これが人生の真実です。前回渋谷さんは、「何をやっていいのか分からない」と言われましたが、やり方は簡単です。渋沢栄一が、論語を元にして経営したように、論語のとおり経営してください」

渋谷「論語のとおりの経営ですか?しかし、2500年前の話が今の時代に通用するのでしょうか?渋沢栄一も明治時代の人ですし」

アツクラ「渋谷さんが不安がる気持ちはよく分かります。しかし、物事の本質は、長い歴史を経てもまったく変わるものではないと思います。孔子という人は、決して単なる聖人君子ではありません。冗談を言えば皮肉も言い、悲しいときには泣き、嬉しいときには、弟子たちとともに喜べる、非常に人間的な人でした。論語にはそんな、孔子の人間性が伝わってくる言葉もたくさんあります。今日は、孔子の私の履歴書を紹介しましょう」

アツクラコウイチの渋沢栄一流「論語経営」第三の掟

「私(孔子)は十五歳のとき、学問を志した。
三十歳のとき、独立した立場を持てるようになった。
四十歳で、あれこれ迷わなくなった。
五十歳でようやく天命を知るに至った。
六十歳になって、人の話を素直に聞けるようになった。
七十歳なると、心の思うままにふるまっても、
道義から外れることがなくなった」

論語の言葉

(金谷治訳注 、岩波文庫「論語」より)
為政第二_04
「子の曰わく、 吾十有(ゆう)五にして学に志す。
三十にして立つ。
四十にして惑わず。
五十にして天命を知る。
六十にして耳順(したが)ふ。
七十にして心の欲する所に従って、矩(のり)を踰(こ)えず」

渋沢栄一の論語解説(渋沢栄一の著書「論語講義」より一部抜粋)
孔子自身の自叙伝的な内容になっています。これだけコンパクトに自己紹介がまとめられていると思うと驚異といえます。渋沢は、孔子は非常に活動的な人で、ほとんど十年毎に思想の状況が変わっていったといっています。渋沢自身が不惑の境地にたどり着いたのは、70歳ぐらいだといいます。知命にいたったのは、明治元年の28歳の時でした。主君徳川慶喜や大隈重信らに頼まれて、一時的に大蔵省に入ったことはありましたが、その後は一貫して、民間の事業に邁進しました。大蔵大臣、東京市長を勧められても、これを拒絶して、初心を貫いたのです。渋沢の場合、28歳で知命にいたり、不惑は、70歳を超えてからでした。つまり、人によって、違うということです。2人に共通することは、常に向上心が旺盛で、自分の人間力を磨いていることです。

渋谷「私も経営者の自叙伝が好きでよく読みます。しかし、これだけ短い自叙伝は初めてです。それでも確かに、孔子という人の人生が伝わってくるから不思議です」

アツクラ「論語ほど面白い本はありません。何せ人間は、2500年前も今も、あまり変わらないことがよく分かるからです。孔子も渋沢栄一も、最後まで成長を続けた点が、もっと言えば社会のため、人のために活動を続けた点に感動すら覚えます」

渋谷「私も今年で31歳ですが、何とか立つことはできていると思います。しかし、不惑には程遠いです」

アツクラ「不惑の40歳とよく言われますが、そう言っている孔子自身も論語の中で、40歳を超えてからも迷い続けています。あくまでも若い頃と比べれば、迷って混乱しなくなったということです」

渋谷「そうですか。安心しました。『五十にして天命を知る』の天命とは、どのような意味でしょうか?」

アツクラ「孔子が弟子たちにもっとも伝えたかったことは、結局『天命(使命)』だったと思います。しかし、孔子をもってしても、弟子たちに天命を伝えることはできなかったのです。それぐらい難しいことです。そもそも天命は、人から教えられるものではなく、自ら生み出していくものだと思います。天命とは、使命、ミッションのことです。渋谷さんが、どうしてもやらなければならないことです」

渋谷「どうしてもやらなければならないことですか。しかし、意外でした。アツクラさんは、上場するための何かコツを知っていて、それを教えてくださるものとばかり思っていました」

アツクラ「前にも話したように、そんなものありませんよ。1つ言えるとしたら、全世界7万社以上を指導した、世界ナンバー1のスモールビジネスコンサルタントと呼ばれているマイケルE.ガーバーは、理念(マインド)と仕組み(テクニック)、どちらも同じように大切だと言っています。仕組みがなければ、理念は絵空事で終わります。仕組みは理念を日々の仕事、現場の仕事に落とし込むための手段であり、仕組みがあることによって、社員は、その仕事のやり方が理念に合っているのか、そうでないのかを確認できます。一方、理念がなければ、仕組みは社員を型にはめるものでしかなくなります。この会社は何をもたらすのか?というのが理念であり、それを実現するために仕組みが存在するというわけです。魅力的な会社にするには、理念と仕組みが両方必要になってきます」

渋谷「弊社はネットマーケティングの会社で、ネット上の各種コンテンツを作成しています。まだまだコンテンツ作成ではテレビ、ラジオ、出版、映画にはかないませんが、いずれは、どこの媒体よりも良質なコンテンツを作りたいのです。ネットのコンテンツは、リアルのコンテンツにない利点が数多くあるからです。これが私のマインドであり、天命ではないかと思っています」

アツクラ「ホンダの創業者・本田宗一郎は、『私の哲学は技術そのものより、思想が大切だというところにある。思想を具現化するための手段として技術があり、また、よき技術のないところからは、よき思想も生まれない』と言っています。理念と仕組みのバランスを必ず取る必要があります。つまり、ビジネスを成功させるためには理念やクレド(指針)などの想い(マインド)とマーケティングやマネジメントなどの技術(テクニック)、両方が必要なのです」

アツクラコウイチの渋沢栄一流「論語経営」第四の掟

「孔子先生がおっしゃいました。天命(使命)を知らなければ、君子(リーダー)たることはできない。礼(礼儀)を知らなければ、人の上に立つことはできない。言葉を知らなければ、人を知ることはできない」

論語の言葉

(金谷治訳注 、岩波文庫「論語」より)
堯曰第二十_05
「孔子の曰わく、命を知らざれば、以て君子たること無きなり。礼を知らざれば、以て立つこと無きなり。言を知らざれば、以て人を知ること無きなり。」

渋沢栄一の論語解説(渋沢栄一の著書「論語講義」より一部抜粋)
裕福な家庭に生まれる、貧しい家に生まれる、地位が高い、地位が低い、技術がある、技術がない、得する、損する、これらは、天命で人の力では、どうにもならない場合もあるかもしれません。しかし、渋沢は、若い人は、奮励努力すれば、必ず成果は出るといっています。人事を尽くして天命を待てといいます。渋沢が、「世間の人は、論語と算盤(ビジネス)を分けて考えている。だから、経済がよくならないのだ」と叫んだように、最終的には、人間性に基づいた経済でなければ持続して成長していくことはできないのです。

クイズ

「社長 渋谷太陽と学ぶ雑談、朝礼で使える論語講座」

経営コンサルタント・アツクラから論語の勉強をしている渋谷が、論語を分かりやすく解説します。
みなさんも、渋谷と一緒に論語を学んでいきましょう。

第3回

論語の影響力に関するクイズです。
渋谷「以下の書物の中で論語の引用があるものはどれでしょうか?」

A.枕草子

B.徒然草

C.方丈記

D.学問のすすめ

  • 答えはこちら
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      渋谷「日本の三大随筆である『枕草子』『徒然草』『方丈記』や日本最大のベストセラー『学問のすすめ』にも論語の言葉が引用されています。日本の歴代の偉人たちもみな論語を読んでいます。蘇我氏、聖徳太子、清少納言、紫式部、源頼朝、源義経、徒然草を書いた吉田兼好、方丈記を書いた鴨長明、武田信玄、上杉謙信、織田信長、徳川家康、吉田松陰、坂本龍馬、西郷隆盛、中でも江戸時代の前期に活躍した儒学者・思想家である伊藤仁斎は、論語を「最上至極宇宙第一」と絶賛しています。日本人が1500年以上にわたり、学び続けてきたのが四書五経であり、その中核が論語なのです。論語は四書のひとつです。
      四書(ししょ)は、儒教の経書のうち『大学』『中庸』『論語』『孟子』の4つの書物です。
      五経(ごきょう)は、儒教で基本経典とされる5 種類の経書の総称です。
      すなわち『詩経』・『書経』・『礼記』・『易経』・『春秋』です。
      論語を知らなければ、日本人としての大切な文化、伝統を受け継いでいないことになります。西洋のキリスト教に対して、東洋、特に東アジアは、論語が精神的なバックボーン(基盤)になるのです」
  • * この物語は、筆者の見解をもとに構成されています。
    日立システムズの公式見解を示すものではありません。

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