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株式会社日立システムズ

第1回 世界一の起業家 渋沢栄一

2016年4月19日掲載

まだ寒さの残る東京のオフィス、渋谷太陽は尊敬する先輩経営者のすすめで、経営コンサルタントの渥倉孔一(アツクラコウイチ)と会うことになっていた。

渥倉孔一(以下アツクラ)「はじめまして。佐久間昌介さんからご紹介いただきました、渥倉孔一と申します」

渋谷太陽(以下渋谷)「わざわざおいでいただき、ありがとうございます。私、シブヤカンパニー代表の渋谷と申します。早速ですが、時間がないので結論から申し上げます。当社は3年後の株式上場をめざしています。佐久間さんから、アツクラさんは会社を上場させる天才だと聞いています」

アツクラ「お話は佐久間さんから聞いております。しかし、よく勘違いされますが、私は魔法を使っているわけでもありませんし天才コンサルタントでもありません。ただ物事の原理原則を、上場をめざすような社長に教えているだけなんです」

渋谷「当社のような、売り上げが5億円で50人にも満たない会社が上場などお恥ずかしいのですが、当社の今後のことを考えますと、上場しかないと思っています。お恥ずかしついでに申しますと、まず何をやればいい良いのかすら、分からないありさまです」

アツクラ「いえ、恥ずかしいことは何もありません。渋谷さんはゼロから始めて売り上げ5億円の会社を創られ、スタッフを50人近くも抱えていらっしゃる。それだけでも十分、社会貢献をしています。経験ないことが分からないのは、当然のことです。IBMの創業者トム・ワトソンは、創業時より普通の経営者とは異なる3つの視点を持っていました。

  • 創業時より会社の将来像を明確に描くこと
  • その将来像にふさわしい行動をすること
  • 創業時から大企業と同程度の厳しい基準で経営をすること

つまり、小さな会社のときから大企業、優良企業のような経営をしろといっているのです」

渋谷「我々のような中小企業が、大企業と同じ経営をしろというのでしょうか?」

アツクラ「そうです。しかし、何もいきなり大企業のような福利厚生をしろといっているわけではありません。そんなことをしたら、中小企業はつぶれてしまいます。あくまでもイメージです。今できないのなら、いずれできるようになれば良いのです」

渋谷「安心しました。今できなくても良いのですね。できるイメージを明確にして、そこに向かっていけば良いのでしょうか」

アツクラ「そうです。ゴールを明確にして、そのゴールに向かっていけばいいのです。誰もが最初は、渋谷さんのようにゼロから、そして小さく始めていくのです。渋谷さんは、渋沢栄一(しぶさわえいいち)を知っていますか?」

渋谷「名前は聞いたことがあります。明治時代に、日本で初めて銀行を創った起業家だと記憶しています」

アツクラ「そのとおりです。渋沢は、1840年に埼玉県深谷市に生まれました。明治の黎明期の起業家として、第一国立銀行(現みずほ銀行)や東京証券取引所、東京ガス、サッポロビール、帝国ホテルなど多種多様な企業の設立・経営に関わり、その数は500社以上といわれています。また約600もの教育機関・社会公共事業の支援も行いました。世界的に見ても、これだけの数の企業、特に大企業を創った起業家は、ほかにいません。実質的に渋沢は世界一の起業家です。渋沢がどのように日本を代表する会社を創ったのか、知りたくありませんか?」

渋谷「アツクラさん、もしそんなにすごい方法があるのなら、ぜひ教えてください」

アツクラ「前にもいったように、私は魔法を使っているわけでもありませんし、天才コンサルタントでもありません。ただ物事の原理原則を伝えているだけなんです。渋谷さんは『7つの習慣』(※1)を読んだことがありますか?」

渋谷「『7つの習慣』は大好きな本で、何度も読んでいます」

アツクラ「『7つの習慣』はページ数が多い本ですが、本質はたったの一言しかありません。『Be good』、つまり『良い人間になれ』ということだけなんです。そのことを伝えるために、あれだけのページ数をさいているのです」

渋谷「習慣の本だと思っていました」

アツクラ「そうです。“良い人間になるため”の習慣の本です。アリストテレス(※2)は、『習慣に合うものはこころよい』といっています。結局、人間は習慣の動物なんです。誰の教えに従うのか、もっといえば誰の真似をするのかが、その人の人生を決めます。『7つの習慣』は、キリスト教の教えにもとづいています。西洋人がキリスト教の影響を強く受けているように、日本人が1500年以上にわたり、強い影響を受けてきた本があります。実は渋沢栄一は、この本の教えに従って経営をしただけなんです。長く発展を続ける企業、そしてコーポレートガバナンスの本質も、すべてこの本に書かれています」

アツクラは両手で「論語」をつかみ、胸の前で掲げながら論語について説明を始めた。

論語のもとになる言葉を語り伝えた孔子(紀元前552年10月9日~紀元前479年3月9日)は、春秋時代の中国の思想家で、哲学者で、儒教の始祖でもあります。
孔子とは尊称で(子は先生という意味)、ヨーロッパではラテン語化された”Confucius”
(孔夫子の音訳、夫子は先生の尊称)の名で知られています。
孔子は幼くして両親を失い、苦学して礼学を修めた流浪の学者です。理想の政治を求めながら、人生のほとんどを放浪のうちに過ごさざるを得なかった人で、一般的な意味の成功には程遠い人でした。人一倍に苦労した孔子だからこそ、人の心を打つ言葉を残すことができたと思います。晩年の69歳で故郷に戻り、亡くなる73歳まで、3000人もの弟子を育てたといわれています。

論語とは簡単にいうと、孔子という教育者、哲学者の名言集です。2500年前の人ですが、いまだに世界中で読まれている理由は、単なる哲学ではなく生きた言葉だからでしょう。難しいこともいえば、分かりやすいこともいいます。ときには皮肉や嘆きもいいます。人間くさい孔子が、論語の言葉の中からあふれ出てくるのです。

論語は1500年以上にわたり、日本人の精神のバックボーン(背骨)として生き方の指針となった、古典中の古典です。渋沢栄一は、著書「論語と算盤」の中で「論語と算盤は甚だ遠くして甚だ近いもの」と記しています。つまり、「道徳的に正しいことをした人が、ビジネスでも最後には報われる」ということです。

※1 「7つの習慣」:フランクリン・コヴィー博士の世界的なベストセラー。
※2 アリストテレス:「万学の祖」といわれる古代ギリシアの哲学者。

アツクラコウイチの渋沢栄一流「論語経営」第一の掟

【企業人たるもの、常に利益を基準にするのではなく、常に人として正しいかどうかを基準にしなければならない】

論語の言葉

里仁第四の16(金谷治訳注 、岩波文庫「論語」より)
「子の曰(のたま)わく、君子(くんし)は義に悟り、小人(しょうにん)は利に悟る」

渋沢栄一の論語解説(渋沢栄一の著書「論語講義」より一部抜粋)
渋沢は、お金がなければ1日さえ生活は成り立たないが、正当の道によらずに無理をして、お金や地位を得た場合、長続きはしないといっています。逆にたとえ貧しくても、そこから抜け出すためには、耐えて善行を積むしかないともいっています。渋沢はいかなる事業を起こすにあたっても、また投資するにしても、利益本位に考えることはしませんでした。この事業を起こさなければならない、かの事業は盛んにしなければならないと思える時だけ、立ち上げに関わり、また投資をしました。

※“論語経営”は、コラム筆者の造語です。

クイズ

「社長 渋谷太陽と学ぶ雑談、朝礼で使える論語講座」

経営コンサルタント・アツクラから論語の勉強をしている渋谷が、論語を分かりやすく解説します。
みなさんも、渋谷と一緒に論語を学んでいきましょう。

第1回

論語に関するクイズです。
渋谷「そもそも論語とは、どのような内容の本(何の本)でしょうか?」

A.道徳を学ぶための教科書

B.リーダー(君子)育成のための本

  • 答えはこちら
    • 渋谷「実は、ABどちらも正解なんです。
      論語は道徳の教科書であるとともに、リーダー育成のための本でもあります。
      これは、「リーダー(君子)は道徳がなければならない」という孔子の考え方にもとづいています。より正確には、論語とは道徳のための道徳ではなく、リーダーになるために必要な道徳についてが延々と語られているのです。渋沢栄一が、論語の教えをもとに日本を代表する500社以上の会社を創り上げたように、経営者(リーダー)にとって、これほど実用的な本はほかにありません。
      実際に渋沢栄一は、主著「論語講義」の中で『多くの経営者は論語ではお金儲けはできないと思っているが、80年以上論語を学び実践して来て、論語でお金儲けが十分にできる』といっています」
  • * この物語は、筆者の見解をもとに構成されています。
    日立システムズの公式見解を示すものではありません。

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