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専門家コラム:お伽の国、日本からの旅立ち

クイズ

第18回

あなたは仕事の関係で、アメリカで単身赴任しています。会社から十分な住宅手当が支給されるので、閑静な住宅街で一軒家を借りました。
ある日曜日の朝、隣に住んでいるお年寄りが、あなたの家にやってきました。
あなたの隣人は、にこやかに微笑みながら、こう言いました。
「おはよう。いい天気ですね。ところで、あなたの家の芝生は、あまり手入れされていないようですね。雑草も、たくさん生えています。ご自身で手入れができないのであれば、芝生の管理業者を紹介しましょうか?」

さて、あなたは、どういう対応をすべきでしょうか?

a)大きなお世話だと言って、相手にしない。

b)助言に対して礼は言うが、面倒なので芝生は放置する。

c)早急に、庭の手入れをするよう業者を手配する。

  • 【答え】 c) 早急に、庭の手入れをするよう業者を手配する。

    本問いでは、アメリカの住宅事情を知らない日本人に対して、隣人は非常に気を使いながらクレームをしてきていると考えられ、ある種の「警告」と受け取れます。
    アメリカの住宅地では、「芝生」や「庭」の手入れは非常に重要だと言われています。「家」の不動産価値は、近隣環境や景観に大きく左右されるため、荒れ放題になっていると地域によっては訴訟になる場合も想定されます。
    筆者もアメリカに居住していたときは、「芝生」の手入れに気を使いました。週二回程度は必ず水をまき、芝刈り業者に隔週で手入れをしてもらっていました。とても面倒でしたが、庭の手入れをしていると近所の人たちから声を掛けてもらえるようになり、私たち家族は「好ましい日本人」として受け入れられて行きました。
    近隣住民との交流が促進されると、評判の良い病院、危険な地域、評判の良い学校、季節的な自然災害のリスクなど、さまざまな生活情報を教えてもらえるようになるものです。

    海外で暮らす場合、居住地の近隣住民との良好な関係を維持することは、非常に重要です。「得体の知れない異邦人」が近くに住んでいると不安になるもので、それは世界共通の感覚です。
    少なくとも「害にならない存在」として振る舞い、近隣住民からの信頼を得る努力をすることが、危機管理上、非常に重要なことだと言えるでしょう。

第17回

A氏は、南米の治安の悪い国に出張することになりました。
彼は事件・事故に巻き込まれないように、渡航前に外務省海外安全ホームページなどを熟読し、滞在中の安全行動について勉強しました。
ところが実際に現地に到着すると、現地の人々に緊張感はあまりなく、のんびりした平和な雰囲気でした。
「なんだ、百聞は一見に如かず。言われているほど危ない国じゃないな。心配するほどのことはなかった」と、周囲の雰囲気に安心しました。

さて、A氏の判断は、正しいのでしょうか?

a)正しい

b)どちらとも言えない。

c)間違っており、非常に危険。

  • 【答え】 c) 間違っており、非常に危険。

    海外渡航した場合、「犯罪統計・危険情報から受ける印象」と「外観上の印象」とは、一致しない場合が多々あります。筆者自身も初めて中米に行ったときに、現地の一見平和な雰囲気を見て、「人々はのんびりしていて、安全だな」と思い込んだ経験があります。それほど「外観上の印象」は、強い先入観を刷り込んでしまうのです。

    現地の人々が「のんびり」しているように見えたとしても、彼らが安心しきって油断しているわけではありません。彼らは、生まれ育った環境で特に用心すべき場所・時間帯・状況を経験的に知っており、安全行動のレベルを「調節」しているのです。それは、私たち日本人が「人ごみにはスリがいる」とか「夜道の一人歩きは危険」などを知っていて、自然に用心することと同じです。

    「治安の非常に悪い国」であっても、特定の個人が毎日のように、犯罪被害に遭っているわけではありません。しかし「治安の非常に悪い国」は、日本よりも「犯罪被害に遭う確率」が非常に高く、被害に遭った場合に甚大な損害が想定されるために、適切な安全行動が必要なのです。

    私たちが不慣れな国に渡航した場合、個人の活動範囲で見たり聞いたりする情報は極めて限定的で、「その国のすべて」を知ることはできません。外務省や在外公館が提供している治安情報では、客観的な犯罪統計データや実際に現地で発生している多くの犯罪被害事例などの、「事実」をもとに注意喚起されています。海外渡航前は必ず一読し、滞在中は決して侮らず、注意喚起されている内容を念頭においた安全行動を維持することが、非常に重要です。

第16回

A氏が米国に家族と一緒に駐在するようになって、2カ月が経過しました。
ある日曜日の午後、妻に買い物と2歳の息子の子守りを頼まれたので、息子を車に乗せて近所のスーパーに出かけました。
スーパーに着くと、いつものように息子は車に揺られて眠っていました。
A氏が日本にいたときと同様に、眠っている息子を車に残したままスーパーに入って行こうしました。
すると、A氏の車のそばを通りがかった年配の男性に「おい!お前、なんてことするんだ!」と、大声で怒鳴られました。

さて、なぜ、A氏は怒られたのでしょうか?

a)A氏の車が、駐車の枠からはみ出していたから。

b)子どもを車に置いて行こうとしたから。

c)A氏の態度が無礼だったから。

  • 【答え】 b) 子どもを車に置いて行こうとしたから。

    近年、日本でもメディアが頻繁に取り上げるようになりましたが、児童虐待は世界的に大きな問題になっています。特に、欧米先進国では厳しい処罰の対象になっています。私たち日本人が忘れがちなのが、「放置」という問題です。
    米国では、州・市によって規定される対象年齢が違っているようですが、子どもだけの留守番、自動車内の子どもの放置などは、法的措置の対象となります。
    (対象年齢を、12歳以下と規定している州が多いとされます)。
    日本では、親が子どもに留守番させたり自動車内で待たせたりすることは習慣化していますが、米国では明確な犯罪行為なのです。
    本問いでは、通りがかりの人が親切に注意してくれています。しかし実際は、日本人の母親がスーパーで買い物する際、子どもを自動車内で待たせていたため、通行人が警察に通報して警察の取調べを受けたなどの事例があります。この種の事案では場合によっては逮捕・拘留の可能性があり、また、一定期間、子どもが保護され、親との面会が制限されるという場合もあります。
    日本では、子どもが単独で街を歩いている姿に、あまり違和感はありません。しかし、児童虐待・誘拐などの問題を抱える米国社会では「子どもを独りにする」ことは非常に危険で、周囲にいる大人たちは、とても敏感に反応するのです。
    日本での習慣的行動が子どもを危険に晒してしまう事態になり、犯罪と看做される場合があることを心に留めておきましょう。

第15回

出発の一週間前、あなたが渡航する予定の南米の街で、タクシーに乗った日本人観光客が強盗被害に遭ったという事件が報道されました。運転手に人気のない場所に連れて行かれ、待ち伏せしていた仲間たちによって、銃で脅される内容でした。被害者はレストランで夕食を取ったあと路上で流しのタクシーを拾って、ホテルに帰る途中に被害に遭った模様です。
さて、この報道で安全管理上、最も注目すべき点は何でしょうか?

a)犯人の動機

b)被害金額

c)被害者が、「いつ」「どこで」タクシーを拾ったのか?

  • 【答え】 c)被害者が、「いつ」「どこで」タクシーを拾ったのか?

    外務省海外安全ホームページの危険情報などでは「流しのタクシーには絶対に乗らない」などの対策が記述されています。
    本問いで、被害者は「夜間」に「路上」でタクシーを拾ったとしていますが、それは南米で「夜間」に「路上」で拾ったタクシーは危険だということを示唆しています。 途上国の「流しのタクシー」は、プロの犯罪者が運転手として「ターゲット」を探していることがあります。

    当然のことながら警察に逮捕されることを警戒しているため、「夜間」に「路上」でターゲットを拾うことで「目撃者が殆どおらず」「どのタクシー車両に被害者が乗ったかの痕跡も残らない」ことで警察の捜査を困難とし、逮捕から逃れています。

    まず「危険な場所から遠ざかる」という観点から、「路上」でタクシーを拾うことを避ける必要があります。次に「危険な時間帯を避ける」という観点から「夜間」のタクシー利用も避けたいところですが、時間を選べない場合があります。
    そのため、「ホテル、レストラン、店舗、訪問先の企業などから、信頼に足るタクシー会社の車両を手配してもらう」と、被害に遭う確率を低減することができます。

    これは、乗車するタクシー車両の信頼性を確保するという面だけではなく、どのタクシー会社の車両にいつ乗ったかの痕跡が残るため、例え運転手が犯罪意思を持っていたとしても、「足がつきやすい」ので抑止力が働くことを期待できるのです。

第14回

あなたは、ある途上国を旅行中です。
観光地で、数人の「呼び込み」らしき若者たちに囲まれ振り払うのに四苦八苦していましたが、あまりにしつこいので恐くなってきました。
そこに地元の人らしき初老の男性が来て、その若者たちを追い払ってくれました。
男性は、上手な日本語で「日本から来たのですか?私は以前、日本にいました。
この辺りは悪い連中がいるので気をつけてくださいね」と教えてくれました。
あなたは、この親切な男性に何かお返しをしなければと思いました。すると、「この辺りのレストランは危ない店が多いですから、よかったら私の知り合いが経営している安全な店で食事でもしませんか?」と、その男性に持ちかけられました。
さぁ、あなたならどうするのが適切だと思いますか?

a)助けてくれた人の申し出は断り難いので、一緒に食事に行く。

b)丁重にお断りする。

c)より安全と思われる、宿泊先のレストランでの食事を提案する。

  • 【答え】 b)丁重にお断りする。

    途上国の観光地などで、外国人観光客を「親切に助ける」という騙しの手口を使うプロ犯罪者がいるので、警戒が必要です。
    一旦、困っている外国人を助けて信用させ、その後、人気の無い場所で強盗したり、レストランやバーに誘って飲み物などに睡眠薬を混入し金品を窃取したりするなど、手の込んだ手口に、すっかり騙されてしまうのです。
    実際の犯罪被害の現場では、手口が巧妙で相手が堂々としているために、「悪意を持った犯罪者」か「善意の人」かの見分けがつきません。そのため無防備な私たち日本人は、ついうっかり、片言でも日本語を話す親切な人を「善意の人」だと判断してしまう場合が多いようです。
    海外旅行では、名所旧跡を訪ねること以外に、現地の人たちと触れ合うのも醍醐味の一つです。しかしながら、信用してしまったがために強盗・睡眠薬強盗・いかさま賭博・性的暴行などの被害に遭った日本人が多数確認されています。
    観光地などで親切にしてくれた人や意気投合した人は本当に「善意の人」かもしれませんが、食事などの申し出は、失礼にならない程度にお断りするのが無難です。
    なお、素性の分からない人に宿泊先や連絡先を教えるのは非常に危険ですから、絶対に避けましょう。

第13回

あなたは、ある途上国に赴任しました。着任すると、先輩駐在員があなたに、こう教えてくれました。
「この国は治安が悪くてね、強盗が多発してるんだよ。「捨て金(強盗などに、盗らせるための金)」を準備してポケットに入れて、犯人に大人しく渡すようにすれば、被害が少なくて済む。金額は、そうだな…日本円3,000円相当でいいと思うよ。隣の国に出張するときは、その倍くらいかな」
あなたは先輩に教えてもらったとおり、捨て金を胸ポケットに入れるようにしておきました。
ある日、先輩と一緒に街を歩いていると強盗被害に遭いました。しかし、先輩は捨て金だけで済みましたが、あなたは所持金すべてを盗られてしまいました。
さて、あなたは何を間違えたのでしょうか?

a)捨て金の金額が少なかったので、犯人を怒らせてしまった。

b)恐かったので、つい自分から所持金のすべてを渡してしまった。

c)捨て金を紙幣のままポケットに入れていた。

  • 【答え】 c)捨て金を紙幣のままポケットに入れていた。

    海外のプロの強盗犯は、被害者が捨て金を用意していることを、常識として知っていることがあります。
    そのため、紙幣のままポケットに入れておくと、それが捨て金であると悟られてしまい、「財布も出せ」と要求される場合があります。
    対策としてお勧めなのは、安物で盗られても構わないダミーの財布に捨て金を入れておくことです。
    またプロの強盗犯は、旅行者がクレジットカードで買い物をすることを知っています。ダミーの財布に、ダミーのカードを何枚か入れておくと、より効果的に捨て金が機能します。
    捨て金にも相場がありますが、それは国や地域によって異なります。現地の事情に詳しい信頼できる人に、こっそり訊いて準備するようにしましょう。

第12回

あなたは急遽、治安の悪い国へ赴任することになりました。あなたの赴任地では銃を使った武装強盗の発生率が非常に高く、交通事故も多発している様子で、家族はとても心配しています。
会社からも、「治安が悪い国だから十分に注意して仕事をして欲しい」と言われました。
さて、あなたが「自分の身は、自分で守る」ために、最初にすべきことは何でしょうか?

a)防弾チョッキを買う

b)護身術を習いに行く

c)現地の治安情報を入手する

  • 【答え】 c)現地の治安情報を入手する

    「自分の身は、自分で守る」には、まず渡航先について「何処に、どういう危険が、どの時期・時間に存在し、それは誰にとっての脅威なのか?」を正確に知らなければ、適切な対策を講じることはできません。
    「誰にとっての脅威なのか?」は、渡航先での「日本人」に対する位置付け(富裕層と思われている、反日感情が強いなど)も、対策を検討するうえで重要な判断材料になります。
    本問いでは、武装強盗が多発していても、発生地域が極めて限定的であれば、その場所に接近しなければリスクが低減するので、防弾チョッキなどは必要ありません。また、銃による殺人発生率が高い国の場合には、武装強盗犯は被害者が抵抗すれば躊躇なく発砲する可能性が高いと推定されるので、「にわか護身術」の無謀な抵抗は「死」を意味します。プロの犯罪者の目的は「あなたの命を奪うこと」ではなく「お金」なので、抵抗せず盗らせる方が遥かに安全です。
    バイク事故が多発している場合は、自分でバイクを運転したりバイクタクシーなどは利用せず、現地に慣れた運転手を雇ったり、信頼できるタクシーで行動すれば、リスク低減につながります。

    治安情報の入手先としては、「外務省海外安全ホームページ」で最新の情報が提供されていますし、「たびレジ」に登録すると日本国大使館・領事館からピンポイントの治安情報が電子メールで配信されます。しかも、それらはすべて無料で提供されています。
    是非それらの情報を活用し、「正しく知って、正しく行動する」よう心がけましょう。

第11回

あなたは、ある途上国への出張を命ぜられました。現地に到着したあなたは、駐在員のアテンドで無事にホテルにチェックインできました。そのあと、お腹が減ったので、駐在員が近所のレストランに連れて行ってくれました。
レストランとは言っても、現地の人たちもよく利用する庶民的な感じのお店でした。駐在員が、「ここ、けっこう安くて美味しいですよ!」と太鼓判を押したので、安心して食事を始めようとした、そのとき…
あなたは駐在員に「あっ!それは食べちゃダメ!」と大声で注意されました。
駐在員は、何を食べてはいけないと言ったのでしょうか?

a)温かいスープ

b)生野菜のサラダ

c)パン

  • 【答え】 b)生野菜のサラダ

    途上国が日本に比べて衛生状態が悪いことは、良く知られています。観光旅行などでは、生水や氷の入った飲み物は飲まないように注意されることがあります。
    これは、途上国の水道水の水質が非常に悪い場合があり、細菌などの感染による腹痛・下痢・発熱・嘔吐などの強い症状で、場合によっては設備の整った病院に緊急搬送しなければならないことがあるからです。
    飲み物については、氷を水道水で作っている可能性があるので非常に危険だということは常識ですが、「生野菜サラダ」についても、水道水で野菜を洗っていることがあるのでリスクが高いと言われています。
    途上国へ出張する場合には、ホテルのレストランや高級レストランにおいても、良く加熱された物を選んで食べる用心深さが必要と言えるでしょう。 途上国が日本に比べて衛生状態が悪いことは、良く知られています。観光旅行などでは、生水や氷の入った飲み物は飲まないように注意されることがあります。

第10回

あなたは、ある企業の海外事業部長です。
このたび、途上国に派遣した駐在員の任期が満了したので、後任を派遣することになりました。今回は特に事業所長の後任なので、健康状態・過去の海外駐在歴・マネージメント能力・語学能力などを精査して人選し、いよいよ本人に内示する段階になりました。

さて、後任候補者へ内示する面談時に、特に配慮すべき点は何でしょうか?

a)駐在時の処遇

b)家族の状況

c)最近の健康状態

  • 【答え】 b)家族の状況

    【解説】
    海外駐在が当たり前という時代になっても、内示される本人にとっては、大きな出来事に変わりはありません。ある程度の年齢になると、親の介護の必要性があったり、子どもの教育、配偶者が病気で入院していたりするなど、さまざまな問題を抱えている場合があります。
    企業としては事業遂行上、どうしても白羽の矢を立てた人に「行ってもらいたい」という切実な思いがありますが、無理強いするのは危険です。
    駐在員の家庭状況は、会社にとっても、本人にとっても、悲劇的な結末になる可能性を秘めた、デリケートな問題と言えます。
    企業として「使用権の濫用」にならないよう、海外駐在員の選定には十分な配慮が必要です。

第9回

ある日の朝、あなたは上司に呼び出され、海外赴任の内示を受けました。
あなたは、「いつかは海外に行くことになる」と覚悟を決めていたので、「直ぐに準備します」と快諾しました。
しかし上司からは、赴任先の事業所の都合で赴任までに1カ月の猶予しかないと告げられました。
あなたは、幸いにもパスポートは持っていました。これから急いで人事と相談しながら、赴任準備をしなければなりません。

さて、お急ぎのところ恐縮ですが、あなたには最初に確認しなければならない、とても大事なことがあります。
それは、なんでしょうか?

a)ビザ申請に必要な書類の確認

b)健康診断の予約の確認

c)パスポートの残存有効期間の確認

  • 【答え】 c)パスポートの残存有効期間の確認

    【解説】
    多くの国々が、ビザ申請時・出国時・入国時のパスポート残存有効期間を規定しています。
    本問いのような事例は、海外進出企業では、よくあることです。しかし、パスポートの残存有効期間の確認を怠ったためにビザ申請が差し戻されたり、飛行機に搭乗できなかったり、入国時に許可される滞在期間がパスポート残存有効期間までしか認められなかったり、いろいろと面倒なことになります。
    パスポートの残存有効期間は国によって異なりますが、だいたい3~6カ月間以上が必要と規定している場合が多いようです。海外渡航する際には、手続きを始める前に必ず確認してください。

    本問いのように緊急で赴任が決まった場合は、手続きミスが発生しがちです。パスポートの残存有効期間が足りないことに赴任準備の途中で気が付いたとしても、都道府県のパスポートセンターに切り替え申請をしなければならず、赴任日に間に合わないことがありますので、注意が必要です。

第8回

あなたは、アメリカに赴任することになりました。もちろん、家族も一緒です。
車社会のアメリカでは、夫人も車を運転してもらわなければなりません。
赴任後まもなく、あなたは彼女の車を購入して現地の交通ルールやマナーをレクチャーし、いよいよ路上デビューとなりました。

さて、そこで問題です。
初めて車で路上に出る前に、理解しておかければならない重要事項があります。それは、何でしょうか?
今回は、一発でお答えください。

  • 【答え】 事故対応

    【解説】
    世界中どこにいても、車を運転する場合、事故は付きものです。
    日本とは交通法規、道路事情が違う外国で車を運転するときは、事故を起こしてしまった際の、適切な措置を知っておかなければなりません。
    事故現場での対応、相手方との対応、警察への通報の仕方、救急車の呼び方、法的な対応、保険会社の仕組みなど、さまざまな対応事項を理解しておくことが重要です。

    特に女性の場合、事故を起こすと、極度の緊張から現場での対応が困難になる場合があるようです。
    また、外国の警察は基本的には「自国民の味方」ですから、日本人に不利な状況になる場合があるので、注意が必要です。

    「車で事故を起こさないように」という心掛けは当然ですが、「事故は必ず起こる」という前提に立って準備をしておくことも、非常に重要です。

    車での事故対応については、外務省海外安全ホームページや在外公館が発行している「安全の手引き」に詳しく掲載されていますので、赴任前に一読されることを強くお勧めいたします。

第7回

M氏は、ある途上国の事業所に駐在しています。現地従業員とは良い関係を築いてきたので、一体感のある職場に誇りを感じています。
ある日、M氏が半年前に採用した若い購買担当者が、ピカピカの新車で通勤してきました。マネージャークラスでも古い中古車に乗るのが一般的な地域で、彼の新車は目立つ存在でした。
M氏は、「ここで一生懸命働いて、貯金して買ったんだなぁ」と、従業員の生活向上に寄与できたことに幸せを感じました。

何気なく聞いていると良い話ですね。
でも、あなたがM氏だったら、どういう視点に立つのが妥当でしょうか?
今回も、一発で答えてみてください。

  • 【答え】 「不正の兆候」と捉える。

    【解説】
    筆者の経験上ですが、不正と汚職がまん延した国で従業員の羽振りが突然良くなったときは、不正行為の「兆候」と捉える必要があります。
    所得水準が日本に比べて非常に低い国々では、日々の生活に苦労しているのが現実です。海外事業所が従業員に支払っている給与は、おおむね、現地の給与相場に連動していますから、対象者の実家が富裕層であるなどの合理的な理由が無い限り、突然、周囲に比べて突出した生活水準が上がることはありません。
    本問いの場合、対象者が管理している業務に関して、念のため一定期間、外部業者との取り引き・経費関係書類・購買関係書類・在庫差異・技術情報管理状況など、金・物の流れを重点監視することが必要です。
    よくある不正行為としては、架空の支払い、リベート受領、架空の人件費の着服、資産の横領、現金の窃取、私的な費用の計上などがあります。
    万が一、不正行為の可能性がある場合には、非常に繊細な問題を含むため、外部の専門家(現地の法律事務所や会計事務所、セキュリティー会社など)の支援を得ながら、決して感情的にならず、現地の関係法令に則って慎重に対処することをお勧めします。

    日本人は、職場の仲間を疑うことに慣れていません。不正や汚職がまん延している国で仕事をする際には、心を鬼にして「不正があるかもしれない」という視点で、日常の管理を徹底することが重要です。

第6回

中小企業社長のA氏は、売り上げ低迷の打開策として海外進出を決心。得意先の社長から進出予定先国でコンサルティング会社を経営している日本人のN氏を紹介してもらい、現地調査に出かけました。

N氏は現地在住20年のベテランで、視察先に同行したり各種手続きを説明したりする際、笑顔で親切に対応してくれて好印象。さらに驚いたことに、N氏はA氏と同郷であることが判明し、良き友人になりました。

勇気づけられたA氏は、帰国後すぐに、N氏の会社とのコンサルティング契約締結を決めました。

ところで、この話には重要なプロセスが抜けているような気がしませんか?
今回は、一発で答えてみてください。

  • 【答え】 N氏の会社の信用調査

    【解説】
    海外では、「日本人をだます日本人」がいることは良く知られていて、現地事情に詳しいとされる日本人を信用して多額の資金を詐取された事例があります。

    「得意先の社長からの紹介」という事実は、N氏の会社に事業の実態がある直接の証拠にはならず、「現地在住20年」「笑顔の対応」「同郷」も、N氏の会社に多額の投資案件を委ねるほど信用する根拠にはなりません。

    冷静に考えると「N氏の事業の実態」についての客観的な情報は、何ひとつないことに気が付きます。

    本問いの場合、例え「親切な日本人のN氏」が経営する会社であっても、海外の企業と契約する場合には、外国企業の信用調査サービスを提供する調査会社・金融機関などで「信用調査」をしたり、現地の日系社会の人たちに評判を聞いたりするのが無難です。

    海外事業では、例え日本人であっても、悪意を持った敵である可能性を排除してはなりません。

第5回

あなたは、ある途上国の事業所に出張することになりました。初めて行く国だったので、駐在員に現地従業員による空港出迎えを依頼しました。
空港の到着ゲートで待っていると、ローマ字であなたの氏名を書いた紙を掲げている現地の男性がいたので、話しかけてみました。ところが、その男性は予定していた人と違う名前を名乗り、「同僚が来られなくなったので代わりに来た」と言いました。

あなたは、どういう行動をとるのが適切でしょうか?

a)そのまま信用して、車に乗り込む。

b)事業所の身分証の提示などを求め、確認してから車に乗る。

c)念のため事業所の駐在員に電話をして、出迎えに来た人物の確認をする。

  • 【答え】 c

    【解説】
    海外では、初対面の人を無条件に信用すべきではありません。空港での出迎えを装って車に乗せ、強盗や誘拐をする犯罪手口があります。誘拐犯の中には、営利目的だけでなく、テロリストの資金調達目的の可能性も排除できません。
    用意周到に準備するプロの犯罪者は、偽造身分証を使用する場合があります。たとえ身分証を持っていたとしても、100%確実な証明にはならないという前提に立つことが重要です。
    プロの犯罪者は、空港であなたのスーツケースの名札に書いてある氏名を盗み見るなどして、あなたの氏名を知ろうとします。スーツケースの名札には、イニシャルのみを記載するなどの工夫が必要です。
    また、事業所内部の協力者が犯罪者に情報提供をしている可能性も排除すべきではありません。
    予定と違う人が迎えに来た場合には、必ずアレンジしてくれた人にすぐ電話して、真偽を確認することがセオリーです。確認できるまで、車に乗り込むべきではありません。

    初対面の人に迎えに来てもらう場合、下記のような工夫例があります。

    ・アレンジしてくれる人に、あらかじめ迎えに来る人の写真を送ってもらい、目視確認できるようにする。
    ・空港の到着ゲートでは社名・名前ではなく、あなたと迎えに来る人だけが分かるサイン(例えば、アニメのキャラクターや日本の芸能人の写真など)を送付し、到着ゲートで掲げてもらうようにする。

    皆さんも、さまざまな工夫を考えてみてください。

第4回

あなたは、ある国で事業所責任者として部下の現地マネージャーたちと会議をしています。マネージャーたちからの報告を聞いていた際、最も信頼している部下が重大なミスをしてしまったことが明らかになりました。
たまたま疲れていて虫の居所が悪かったあなたは、必死で言い訳する部下の姿に、我慢できないほどの怒りを感じました。

こんなとき、どういう行動をとるのが適切でしょうか?

a)会議の場では何も言わず、後で本人を呼んで個別に話し合う。

b)まったく問題にせず、ミスを許容する。

c)会議の場で、強く叱責する。

  • 【答え】 a

    【解説】
    筆者が社会人になった頃の日本の会社では、上司が人前で部下を強く叱責するのは「当たり前」な光景でした。その頃は、皆そうやって仕事を覚えてきたので、筆者もサラリーマン時代には若い人につい強く言いすぎることがありました。今になって「もう少しほかに言い方があったのではないか」と振り返ることがあります。
    最近は「パワハラ」が社会問題になってきましたから、近い将来はほとんど見ることがなくなる光景かも知れません。
    「ついつい感情が抑えられなくて」ということはありますが、同じことを海外でやってしまうと、思わぬ事態に発展することがあります。
    海外には、部下を人前で強く叱責することがタブーとされている国があり、深刻な労務問題・訴訟問題・暴力行為などに発展する場合があるので、注意が必要です。
    そういう国では、人前で叱責することは避け、本人を別室などに呼んで「辛抱強く分かってもらえるまで話し合う」のが適切な対応です。
    筆者の失敗談ですが、会議の場で直属のマネージャーを強く叱責したら本人が「面子」を失い、現場の作業員たちが彼を軽んじて見るようになってしまいました。
    私はマネージャーたちを通じて現場を統制していましたが、彼の指示に作業員達が従わなくなってしまい、結果的に現場をコントロールできなくなってしまいました。
    「うかつな叱責」が、苦労して構築した事業所の統制機能を瞬時に崩壊させることがありますから、感情に流されず冷静な対応を心がけましょう。

第3回

あなたは、ある途上国の事業所に赴任することになりました。
健康診断の受診は完了し、健康状態に関して問題ないと医師のお墨付きをもらいました。必要な予防接種もスケジュールどおり行いました。
持って行く常備薬、過去の病歴の英語訳、現地の感染症・現地医療機関の資料、海外旅行保険などなど、考えられるすべての健康管理事項の準備はできたと思っています。

ところで、大事なことを忘れてはいませんか?
今回は選択肢はなしです。一発でお答えください。

  • 【答え】 歯の治療

    【解説】
    海外赴任前に歯の治療を完了させておくことは、非常に重要です。
    途上国などでは、歯科医療の技術水準が日本と比べて低い場合や衛生管理の水準も低い歯科医療機関もあります。一方、現地で日本と同水準の歯科医療を提供する外国人向けの医療機関では、治療費が高額になる場合があります。
    激しい歯痛が起こったときには仕事どころではなくなりますので、「歯は大丈夫」だと思っている人も、念のため赴任前に歯科クリニックへ行って点検してもらうことをお勧めいたします。
    筆者は海外赴任前に歯の問題はなくそのまま渡航しましたが、着任後すぐに親不知が虫歯になった経験があります。激しい痛みに、夜も眠れない日がありました。その当時は現地の歯科クリニックについての知識がなく、どうしていいか分からず我慢していると、とうとう頭蓋骨まで痛みが響くほどに悪化してしまいました。
    そういう羽目にならないように、海外赴任前には必ず歯の治療を完了させておきましょう。

第2回

空手の有段者であるあなたは、中南米のある国で一人旅を楽しんでいます。観光をしているとき人通りの少ない路地に迷い込み、行き止まりに来てしまいました。すると突然、背後から「Money! Money!」と何者かに大声をかけられました。びっくりして振り返ると、中学生ぐらいの痩せた男の子が銃のような物を構えて立っています。逃げ道を塞がれたあなたは、どうするのが最も安全でしょうか?

a)子どもなので得意の空手で追い払う。

b)走って逃げる。

c)大人しく金を渡す。

  • 【答え】 c

    【解説】
    武器を持った強盗には、抵抗せず大人しくお金を渡すことがセオリーです。
    銃犯罪発生率の高い国々では、武装強盗をする子どもたちの多くは、経験を積んだプロの犯罪者です。そのため、彼らの銃は本物で、扱い方にも慣れていると考えるべきです。子どもだと思っても、けっして油断してはいけません。
    また、彼らは犯罪グループに属している場合があり、目の前の子どもを制圧できたとしても、背後に大人のメンバーがいて加勢する可能性を排除できません。
    そのため、抵抗するのは自殺行為です。また、犯人に逃げ道を塞がれ至近距離にいるため、逃走を試みるのも極めて危険です。
    本問では、お金を取り出すときが最も危険な瞬間です。あなたが急な動作をすると、銃を取り出すと誤解され反射的に銃撃されることがあります。ゆっくりとした動作でお金を渡すか、指などでお金のありかを指示し盗らせるようにしましょう。
    彼らの目的は、あなたを殺すことではなく「あなたが持っているお金」だということを心に留めて置いてください。

第1回

あなたは、中南米のある国に出張中です。値段は高めですが、セキュリティーが良いと現地駐在員が推奨するホテルに宿泊しています。
部屋でくつろいでいると、頼んでいないのに「シャワーの修理人」がドアをノックしてきました。
不審に思ったあなたは、どう対応するのが一番安全でしょうか?

a)ドアスコープで相手を確認し、怪しい感じがしなければドアを開けて応対する。

b)直ぐにフロントに電話し、確認しにきてもらう。

c)ドアスコープで相手を確認し、チェーンを掛けたまま、ドアを少し開けて応対する。

  • 【答え】 b

    【解説】
    犯罪発生率の高い国々では、セキュリティーレベルの高い高級ホテルでも、強盗・窃盗・暴行などの犯罪が発生することがあります。ルームサービスや修理人と偽って、ドアを開けさせて押し入るのは良くある手口です。依頼していないのにルームサービスや修理人がドアをノックした場合には、必ずフロントに電話して、確認の要請をするのがセオリーです。
    来訪者を、ドアスコープで確認するのは常識です。しかし、相手が制服や作業服を着ていても、犯罪者が変装している可能性を排除してはいけません。更に、ホテルの従業員が、犯罪者又は共犯者の可能性があります。いずれにせよ、フロントに電話して確認に来てもらえば、リスクを低減できます。
    また、ドアチェーンを掛けていても、開けたドアの隙間から特殊な工具(強力な番線切りなど)でドアチェーンを切断し、押し入られた事例があります。ドアチェーンは非常に有効ですが、100%の安全を保証するわけではないという認識を持つべきです。
    ホテルでは、ドア1枚が「最後の防衛線」です。うっかり開けてしまったら、一気に押し入られて被害に遭う可能性があることを肝に銘じておきましょう。

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