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株式会社 日立システムズ

専門家コラム:組織力が蘇る、LEGO® SERIOUS PLAY という手法 ~共感と共創の技術~

12.「100人のファシリテータ―が集うLEGO®SERIOUS PLAYコミュニティー・ミーティング」
   参加レポートCase2

9月開催された LSP コミュニティ・ミーティングから興味深い発表の第2弾をご紹介します。

発表タイトル:「LEGO SERIOUS PLAY activities at USI」
発表者:Stefano Tardini, Universita della Svizzera italiana, Lugano, Switzerland

本コラムでは、スイスのイタリア語圏ルガーノにある大学、Universita della Svizzeraitalianaで研究、実践されているLSPのアプリケーションの中から、特にオンラインコミュニケーションアプリケーション開発におけるユーザ要件定義にLSPを応用した例を紹介します。このアプリケーションは以前、Real Time Webという名前で呼ばれていましたが最近になってURL(User Requirements with LEGO)と名前が変更されました。

URL自体はアプリケーションであると同時に要件定義にLSPを活用したユニークなメソッドでもあり、このメソッドを使うことでこの大学ではオンラインコミュニケーションアプリケーションにおけるユーザー要件を的確に引き出すことに高い効果を上げています。URLは同大学のNewMinE研究所とコミュニケーション科学を専門とする研究者グループにより開発され、現在はオープンソースプロジェクトとして、このアプリケーション(メソッド)を実践するためのドキュメントが広く公開されています。詳細は以下のサイトで知ることができます。

URLはOCM(Online Communication Model )をベースとして作られたものです。OCMはコーヒーショップアプローチとも呼ばれ、オンラインコミュニケーションアプリケーションのコミュニケーション要素を記述したものです。OCMではウェブアプリケーションについて、より大きな環境の中で特定機能とコンテンツを備え、人々がインタラクションする場所であるとして理解します。OCMはデザイン、インプリメンテーション、メンテナンス、プロモーション、評価といったオンラインアプリケーションの各ステージについて、次に示す4つの柱を提示しています。

  1. コンテンツとサービス
  2. 技術要素とユーザーインターフェース
  3. ウェブサイトの構築、管理、プロモーションに関わる人々とユーザーのインタラクション
  4. ウェブサイトの利用者

OCMでは、ステークホールダーが何を作るべきかについて明確なアイデアを共有するとともに、ワークショップの間で議論すべき中心課題について示唆を得ることができます。LSPを活用したURLではOCMのすべての面について効果を引き出すメソッドとなっています。

URLとは?

URLはレゴシリアスプレイを活用してウェブアプリケーションにおけるユーザー要件の抽出を支援し、特に他のメソッドでは明確に立ち現れることの無いコミュニケーション要素を見つけ出す上で有効です。URLは他のフォーマルで構造的なメソッドに追加して使用することでユーザ要件をより的確に定義することができます。

例として考えると新しい企業ウェブサイトを構築する場合、通常ステークホルダーは社内の複数部署から集められます。経営幹部、管理職、広報、マーケティング、事業戦略担当、ITなど。これらのステークホールダーはビジョン、戦略や方向性について合意し共有化された考えを持つ必要があります。システム設計初期においてはアイデアの発見、交渉、協調などが要件抽出と分析のために必要であることが知られていますが、URLを使うことでステークホールダーは設計基本コンセプトを協力して作り出し、アプリケーションユーザーのペルソナやコンテンツの目標を描き出すために動き始めることができます。

URLはレゴシリアスプレイのアプローチに準じることでプレイフルな雰囲気の中で他のメソッドでは抽出できないユーザー要件の重要なポイントを見つけ出すことができます。一方でURLのみでユーザ要件の全てをつかむことはできません。URL以外の既存の要件定義のためのメソッドと組み合わせることでこれまでにない効果を実現することができると理解すべきです。
標準的なURLは3~4時間のセッションとして提供され、その内容は概要説明、ウォームアップによるビルディング、メタファー、ストーリーメイキングからはじまり演習を実施します。
セッションが終了すると、ファリシテーターと事務局スタッフが以下のレポートをまとめてステークホールダーにフィードバックします。

エグゼクテイブサマリー
コンテクスト分析 企業とプロジェクトについての記述
URLサマリ
目標 プロジェクト目標
URLセッションの目標
各自の役割 作品写真
キーワード
ストーリー共有時のコメント
ユーザペルソナ 作品写真
キーワード
ストーリー共有時のコメント
ブラックボックスランドスケープ 表出意見
コメント
コンテンツと機能 作品写真
キーワード
ストーリー共有時のコメント
機能詳細 作品写真
キーワード
ストーリー共有時のコメント
コネクションランドスケープ
作品写真 キーワード
ストーリー共有時のコメント
結論 主要な結果
クリティカルな要件の同定、設計上の課題

URLはシステム設計初期に多様なステークホルダーを招き入れて、プロジェクトのめざす方向について、しっかりと共有されたアイデアを全員がコミットできるものとして描き出し、各自が持ち帰ることができるという大きな利点を持ています。日本ではまだ実践例はありませんが、今後システム開発設計に新しい価値をもたらすLSPアプリケーションとして活用が期待されます。

次回からはLSPの基礎となる理論を最新のMIT等での研究成果も紹介しながら解説していきます。

[石原正雄 記]

筆者の紹介

石原正雄

株式会社ロバート・ラスムセン・アンド・アソシエイツ
ラスムセン・アカデミー プリンシパル
LEGO®SERIOUS PLAY®認定ファシリテータ

URL:

レゴブロックを使った新しい企業向け組織開発プログラム、LSP(レゴ・シリアスプレイ)のプログラム開発と指導のパイオニア。
広告代理店、リテール企業、外資系金融機関等でLSPを用いた指導を行う。
十数年以上に亘り、世界の子どもたちの創造性開発とSTEM教育(理数教育)にも従事し、国内およびアジア諸国での学校、アフタースクールで多数の実績がある。CSK、インタフリージャパン等での事業経験を持つ。
米国タフツ大学、MITらと新たな教育プログラムの開発にも深く携わる。
Tufts University, CEEO (Center for Engineering and Education Outreach)のアドバイザリーを務める。
著書に「スクラッチアイデアブック」、「スクラッチではじめるプログラミング」などがある。
国際基督教大学卒、米国ボストン大学大学院(経営情報システム)修士課程修了(MS)。

 

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