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株式会社 日立システムズ

専門家コラム:組織力が蘇る、LEGO® SERIOUS PLAY という手法 ~共感と共創の技術~

4.「企業の5カ年計画と連動した、個人と部門のアクションプラン創り」
~株式会社西部技研の挑戦~

今回の投稿では、株式会社西部技研での実例を取り上げます。

同社は、産業用空調機器、除湿器や熱交換器の専業メーカー(従業員180名)。福岡県古賀市の本社工場のほか、米国ペンシルベニア州、スウェーデンのストックホルム郊外、中国・江蘇省に工場を置く、中堅のグローバル企業です。二代目社長の隈扶三郎氏は熱心な読書家であり、自ら海外の3つの拠点や客先を飛び回る、率先垂範型の経営者です。

2013年11月21日(木)NHKで放送した、“クローズアップ現代:模索する中国(2) 大国の外交はどこへ”の取材で、隈社長は、中国拠点の重要性と特定の地域にだけ依存しない体制創りの必要性についても発言をされています。

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同社では、まず、2012年4月7日、国内営業の拠点、関東地区の営業スタッフとのLEGO® SERIOUS PLAY(以下、“LSP”)ワークショップを行いました。社長をはじめ、新たに就任した、東京の営業本部長以下、20名余が参加。各人が仕事をとおして、顧客や社会へ提供する価値を新たに認識する機会にすると共に、横の連携やチームとして協力する姿勢、プロとしての行動を採る下地をつくったのです。

続いて、第2回目を2012年12月8日(土)に行い、本社の設計、素材、開発のグループなど(社長、本部長含む)38名が参加。一つの部門として共通の目標を明確にすることや、個々の機能部門間の垣根を超えた協力関係を強化すること、個々人、各チームが採るべき行動を明確にすることが狙いでした。

前回の参加者は大半が男性スタッフでしたが、この回の参加者は全32名中8名が女性で、多くが比較的若手の方でした。 女性スタッフの皆さんは、最初は上司や同僚への遠慮も見られましたが、セッションが進むにつれ、率直に発表や質問をしだしました。

※隈社長は、このセッションの様子をご自身のブログにも投稿されていますので、下記もご参照ください。

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そして、第3回目、2013年10月18日(金)および19日(土)に2日間にわたるワークショップを行うことになりました。

今回は、同社が経営幹部と創る中期経営計画と連動するのです。ワークショップに先立ち、2週間前に役員と各事業のキーパーソンのみの計9名で、「10年後の同社の理想の姿を考える」狙いで合宿研修をされました。

隈社長は、経営幹部合宿と3回目にLSPワークショップを行う理由を、次のように述べられています。

「これまでの中期経営計画の策定プロセスでは、その時の状況を考慮し、数字を帰納的に積み上げていくことで、実現すべきビジョンや目標を設定していました。この手法だと堅実な計画になる一方、将来起こり得る不確定要素を織り込むことが難しく、またブレークスルー的なチャレンジが中途半端になりがちでした。そこで今回は最初に10年後の理想の姿を想像し、そのイメージを固めた上で、中期的ビジョンや目標を演繹的に導いていく手法(LSPを活用したワークショップ)を採ることにしました。」

弊職はこのことを踏まえて、第3回目のワークショップ、2日間の構成と設問のシナリオを新たに設計しました。特に、ワークショップ後、同社の今後の活動に活かせるようなアウトプットを出せるように工夫しました。

今回は、全役員とマネージャーおよびエキスパート職の一部、経営管理、営業、開発、製造の全部門から計30名が参加。5年後の同社のあるべき姿(=ビジョン)を設定すると共に、各部門と各メンバーの役割と行動を具体化し、行動へのコミットメントを得ることを狙いとしました。

第1日目は、前の2回と似ていますが、第2日目が大きく異なります。

まず、2日間のアウトプットとフォローのアクションを、参加者全員が下記の項目に従って、文書化することを加えました。

  • 5年後のあるべき姿(部門中心)
  • 部門の5W1H
  • 個人のアクション
    1. 具体的目標
    2. 具体的な手段
    3. 具体的な関係者(*)への行動と姿勢
    4. 達成の判断(客観的評価は何か)
    5. 修正行動(見直しの時機と相談相手を明確にする)

これは、5年後の未来のイメージを具体化し、その実現に向けて、個人と部門の道標を明確にするのが目的です。ワークショップ修了後、翌週の水曜日までに社長宛に提出をして貰いました。

*ここで言う関係者とは、個々人の仕事に影響を与えあう、Stakeholdersを指します(下図ご参照)

あなたの仕事と社会を取り巻く世界

次に2日目のプロセスです。

1) 自分の仕事に相互に影響を与え合う関係者が誰であるかをブロックの作品で表わし、中央にある<部門の仕事(作品)>の周りに、重要度の高い順に配置して行きます。

※この写真は、ファシリテータトレーニングのプロセスから採ったもの。関係者(=stakeholders)を作品にして、自分自身を中心に、その周りに配置した例を示したものです。

2) 事業に対し、影響を与える事象、事件を列挙します。

いくつかの事象、事件を例に挙げ、もしそれが現実に起きた場合、関係者と自らの関係、つながりがどのように変化するのか、あるいはさせるのかについてシミュレーションを行います。このプロセスで、個人およびグループが採るべき事前の準備、事後の対策といったアクションを明確にしてゆくのです。

3) グループ・プレゼンテーションを行う。

ここでは、グループごとのプレゼンテーションを参加者全員で共有。この時、グループの代表が作品を基に全体の説明を行い、続いて各グループメンバーが一人ずつ、グループの目標に対して個人が何を貢献するのかを発表しました。また、ほかのグループメンバーの誰でも質疑応答をして良いというルールを設け、必ず質問をすることを促しました。

4) 2日間のワークショップからの気付きを共有。

各グループのメンバーから2日間のワークショップからの気付きを表明してもらいました。

5) 講師から、冒頭の文書化するためのフォーマットの説明を行い、修了です。

※隈社長は、このセッションの様子をご自身のブログにも投稿されていますので、下記もご参照ください。

LSPを活用したワークショップと、伝統的な議論—発表という方法と、どのような違いがあるのでしょうか

1) 部外者であるファシリテータが関与する会議の場であること

参加者“全員”が、安全に自由に発言、質疑応答できるように環境を整えることをまず行います。伝統的な会議の場面では、若いスタッフや役職の低いスタッフが、上司や専門家に異見を述べるには余程の覚悟と反論する準備が必要です。例えば、上司は、質問に応えず「じゃあ、君はどう思うのか?」と、質問に対し質問で応える姿勢を採ったりします。また、専門家は、専門用語を駆使して課題を複雑にし、相手を煙に巻いてしまいます。いずれの行為もよくありがちですが、上司や専門家にとっては自分の立場や発言を守る“防護壁”になり、若輩の質問者にとっては、質問する気持ちを萎えさせる“障壁”になってしまいます。組織にとっては、新たな視点やアイデアの芽を摘み取ってしまう結果になってしまいます。

LSPを活用したワークショップの中では、“チームビルディング”と称するプロセスで、参加者間の目に見えない壁を、できる限り減らす演習をさりげなく行います。例えば、自分が作った作品を、他者がその内観を考え、発表して貰ったりするような“仕掛け”です。参加者は、自分の作品の意を汲もうとするほかのメンバーの真摯な姿勢を尊重し、新たな視点やアイデアが出されると受容する余裕も生まれて来ます。

当該ワークショップの部門毎の発表の場面では、「あなたは、目標の達成に、チームの協力が必要だと言いながら、該当する同僚が仕事上の関係者として配置されていないようですね。誰が、どんな時に協力すれば好いのか教えてください。」といった、鋭いツッコミも散見されていました。

2) “参加者自身”と“参加者の発言内容”を、作品という客体をとおして分離させること

ブロックで作った作品は、参加者の内観(=価値観やアイデアなど)を反映していますが、参加者とは異なる客体です。従って、ほかのメンバーが作品をとおして質問や異見を述べる時に、“誰々さん”に立ち向かうという気持ちではなく、本人から分離された作品の内観に興味を持ち、異なる視点を提案することができます。作品を作った本人も作品を客観的に注視できるので、「なるほど、そんな見方もあるな。」と受容するゆとりが生まれます。

2日目のワークショップ修了後、経営管理部門のスタッフに感想を聞いたところ、「毎年、経営会議に出席させて貰っています。これまでは、各部門の業績と次年度の計画を書面で見るのと一方的に発表を聴くだけでした。内容に興味はあっても、何を質問してよいかとまどっていました。今回は、どの箇所でどのように質問をするか、一歩踏み込むことができました。また、自分たちの仕事(例えば、システム管理)は、ほかの部門の人たちに、彼らの仕事にどのように貢献しているのか説明し難いのですが、作品をとおして彼らの仕事との関係も明確になりました。」とコメントしていました。

3) 目標やゴールを共に創るプロセスをとおして、行動へのコミットメントを促すこと

LSPは 2001年に開発されてから、米欧では“チームビルディング”や“ビジョン創り”に有効な手法として早い時期に認知を受けています。実は、元々、リアルタイムで戦略やアクションを創るためのプログラムとして開発されました。戦略やアクションを創るプロセスでは、“チームビルディング”や“ビジョン創り”を必ず行います。

今回、この2日間のワークショップで、本来の狙いが生かされる機会を頂けたことはありがたいことです。ワークショップは、企業の次の活動への“きっかけ”創りの役割でしょう。今後の株式会社西部技研の活動に期待しています。

この場を借り、隈社長に敬意と謝意をお伝えしたいと思います。

※LEGO, the LEGO logo, DUPLO, BIONICLE, MINDSTORMS, HEROICA and the Minifigure are trademarks and/or copyrights of the LEGO Group.

 

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