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株式会社 日立システムズ

専門家コラム:非常識な人材育成の旅

【第2回】「新入社員教育(後編)」~研修不要論: 本当に必要か?新人研修

皆さん、こんにちは。「場活師」西村です。私は、企業の人事部に所属しながら、職場や現場の活性化を実現する「場活師」としてさまざまな取り組みを行っています。
本コラムでは、「非常識人材育成論」として組織における人材育成について連載し掘り下げます。それは、「非常識」な「現場事例」「意見」「視点」の切り口にこそ、変化の著しい環境下での人材育成のあり方があるのでは?という問題提起でもあります。

今回は、「新人研修の要・不要」について迫ります。

はじめに~新人研修で学んだこと、覚えていますか?

前回のコラムでは、新人研修に各社各様の工夫や取り組みをしながら、「育成には『修羅場体験」や『挫折体験」が大事』だと書きました。それならば逆説的に、「いきなり現場に放り込んでもいいのでは?」「研修なしで完全にOJTだけでいいのでは?」といえないでしょうか?
筆者の新人時代を思い返してみても、研修で学んだことより「現場・現実の体験を通じて学んだこと」の方が身になっている気がします。皆さんは、いかがですか?新人研修で何か覚えていること、ありますか?

非常識な指摘:育成担当者は新入社員に騙されている!?~行動定着支援専門家インタビュー


絶対に達成する技術
永谷 研一 (著)

新入社員教育について取材していく中で、発明家の永谷氏(ITを使った行動定着支援モデルの特許を保有)と出会うことができました。永谷氏は、約60社以上の大手企業を中心に新人研修実施後の行動定着支援ツールとして活用されている「ActionT.C(*)」の開発者でもあります。また、永谷氏は新人研修の講師や行動定着の「ActionT.C」のインストラクターの養成など、幅広い活動をされています。

ActionT.Cに関する情報はコチラ。

新人研修の大きな目的は「社会人としての行動をいかに定着させるか?」であるともいえます。この「行動定着」の「効果」の視点から、最近の新人研修について伺ってみました。

筆者)「多くの新人研修の現場をご覧になって、最近の特徴や傾向について感じることについてお聞かせください」

永谷氏談)「新人研修の目的の一つは、社会人としての行動を定着させること。しかし、ほとんどの研修がやりっぱなしで、研修担当者の自己満足(あ~元気になってよかった)で終わっている」と指摘。
「今の若い子は、就活も大学受験と同様に「ノウハウ」として捉える傾向が強く、自己表現やプレゼンがうまい。例えば、研修後のレポートや目標設定への振り返りコメントなど、(無意識に)研修担当者が喜びそうな表現やワードが散りばめられ(例:「積極的に取り組みたい」「チームワークの大切さを学んだ」など)、研修の効果があったと一瞬思えるが、研修数カ月後に振り返ると、結局は目標倒れに終わっているものがほとんど。行動が定着していない

筆者)「それは何故なんでしょう?」

永谷氏談)「彼ら新人は、表現することはうまいが、内省力が弱い。行動を変容するには、もっと深いところの気づきや腹落ちが必要で、それには自分自身への内省力を高めていく必要がある。しかし、今の子は「自分好き=いい子ちゃんでいる自分が好き」という傾向が強いため、内省したことをどう表現するか? に意識がいきがち。モヤモヤ、ドロドロしていることに向き合わない表面的な振り返りになるから
という。また、
「新卒者の約3割が3年の間に転職するのが今の現実。65歳雇用の一方で、リストラによる雇用調整など終身雇用が形骸化しつつある企業の実態からすると、「一生この会社でがんばるか」というと、どうでしょう?今の新入社員は冷静に見てますよ。騙されて、熱くなっているのは、育成担当者かもしれません

と、手厳しいコメントが。

儀式化する「会社選び」「採用」そして、「新人研修」。その先にある「不誠実」

永谷さんとのインタビューを通じ、新人研修にさまざまな工夫を凝らすために育成担当者が知恵を絞る必要があると思う一方、結果的に「研修が儀式化している」との印象も強く持ちました。
 “マニュアル世代”という言葉が登場してずいぶん経ちますが、、ITの進化と共に「会社選び」「就職活動」が便利にスピーディーにシステマチックになればなるほど、「より効果的、効率的に成功する手順」を求める傾向が加速し、各種の活動が「仕組化」「儀式化」しつつある。同様に、新人研修もそうなりつつあるのでは? という仮説です。
それは、企業と新人の関係性もベタな関係からクールな関係へと移行している様子を映し出しているように思えます。
分厚い就職情報誌から意中の会社を探し、せっせと自筆のハガキで会社案内を請求し、会社からの郵送物と連絡をひたすら自宅で待つのが普通であった時代。入社企業の事業内容もわからず、先輩に誘われるままに選ぶこともなく入社してしまった就職活動。社会人としての本質を研修以上に学ぶことができた夜の飲み会や各種の失敗。
今と比べれば、このようなベタでドロドロだった時代に存在した「何か」が欠落し、結果的に双方共に予定調和な、それなりの結果で満足しているのかもしれません。
また、儀式化を後押しする流れとして、終身雇用が形骸化し年功型・ポスト付与による人事処遇が機能しなくなっている現実にも関わらず、定年までの雇用を約束する契約を締結する採用活動。多くの日本企業が抱えている、または、今後抱えるであろう矛盾に触れず、採用計画数の目標達成ありきで採用している現実と育成実態。
企業の人事としてその矛盾に向き合っていないとすれば、若い世代にとっては「不誠実」と思われないでしょうか。「不誠実」との声は、就職活動では、決して聞こえてこないし、言えないですよね。
永谷氏の「騙されている」とのコメントは、企業と学生双方が表面的にはいい関係を装っているが、本質的な部分では向き合うことを放棄している「不誠実さ」の裏返し、予定調和の必然、と捉えました。皆さんは、どう感じましたか?

採用と育成の本質とは?~ガチな育成が求められる背景

企業が人を採用する、新人を育成することの本質は何でしょうか?
私は、「組織の成長を通じて社会の発展に貢献すること」だと思っています。そのために必要な人材を採用し育成していくのが、新人研修の目的だと思っています。
では、「組織の成長や社会の発展に貢献するための人材」とは何でしょう?
一つの見方ですが、「社会人(企業人含む)」と学生との本質的な違いに「答えの有無」があります。
学生時代は、往々にして「答え」「正解」が用意されていたように思います。テストでは常に正解を求められますので、正解探しにやっきになります。
しかし、刻一刻と変化するビジネスにおいては、絶対的な正解などなく、状況に応じてベターな判断が求められるだけです。そこに、必ずしも正解はありません。
ビジネスにおける新入社員教育とは、この本質的な違いを、正誤が支配的な学校教育とは異なる教育として、どのように培っていくか? そこに尽きるといえます。
それは、必ずしも正解のない世界の中で、いかに自分が社会や組織に貢献できるかを自ら模索することでもあります。そのための育成の本質は、「正解のない時代に自分をどう生かすか? 生かせるか?」という問いへの、自分なりの「解」を自らの体験と振り返りを通じ培うことかもしれません。

そのために、システマチックな採用が必要なのでしょうか? 毎年同じような研修を実施することが効果的なのでしょうか?
不誠実さを内包した予定調和的な「ガチガチ(杓子定規の意)」な研修より、もっと実践で鍛える「ガチ(本気、本音、誠実の意)」な研修が、実は求められているのではないでしょうか?
日本経済新聞の「私の履歴書」を読むと、非常に多様で豊富な経験(修羅場を含めて)をされた方が多いように感じます。
社会で役立つ価値ある人材とは、ガチな修羅場体験を経た人材といえないでしょうか。
人事も「ガチ」
新人も「ガチ」
上司も「ガチ」
「ガチ」のぶつかり合いが、今こそ、求められている気がしてなりません。

育成担当に求められる「ガチ」とは?

前回のコラムの事例(2)に挙げたX社のケースです。やはり、この会社でも新入社員は3年で3割程度が離職するそうです。営業現場は口で言うほど簡単な世界ではないと思います。しかし、X社は、内定者フォロー研修を始め、非常に新人教育に熱心です。実際、内定後は毎月1回必ず対象者と研修やらフォローなどを実施し、これは、入社後・配属後も2年目になるまで、実に1年半もの長きに渡り育成に関わるそうです。何故か? その意図について、育成担当者に聞いてみました。
担当)「学生にとって、営業職は不人気職種となって久しいですが、その典型的な営業が当社の営業です。私たちの営業は、商社といっても最初は飛び込みセールスが多く、学生から見れば泥臭いし、毎日単調に思えるし、おまけに目標数字のプレッシャーも強いです」。
「また、当社に入社してくる学生は、営業として一旗上げようという動機を持つ者は少なく、むしろ、「○○がダメだったから」などの消極的理由で選択するケースが多いのが実情です。ですから、綺麗ごとや理屈をいくら並べても、会社への愛着や仕事の楽しさは伝わりません。さまざまな体験や多くの人との関わりを通じて、営業の本当の楽しさ、悔しさ、醍醐味を心から味わわなければ、決して続けられるものではないのです」。
「当社は商社なので営業がすべて。また、営業こそ人でしかできない仕事といえます。ですから当社においては、人材こそまさに宝なのです。だからこそ、営業として育成するだけでなく、これから大きく成長する、組織に貢献する人材を見極める、育てる必要もある。入社後ある一定の割合で新人が辞めていくことは忍びないですが」。

営業の厳しさや離職率の現実に向き合いながら、新人一人一人が「この会社でやっていく」「この仕事で生きていく」という腹落ちをどのように生み育てていくのか?
正解のない社会で真に役立つ人材にするにはどうするか?
矛盾を内包した採用と育成の現実にどう向き合うか?
そのために私たちがどうあるか? どうありたいか?
これらを問い続けることも、企業の育成担当に求められているガチ=「誠実さ」だと思いました。

コラムの締めくくりとして~リクルート時代のガチな新人教育

今から30年以上前、筆者はリクルートという会社に新卒で入社しました。当時は、(確か)3日目に一営業担当として、顧客アプローチ(いわゆるTelアポ)がスタート。机の上には、1冊の電話帳と電話だけ。事前研修など殆どなく、現場実践が教育という非常識&ガチ。そこから、「よーいドン」でした。
そこで経験した、いくつかの非常識&ガチな育成ポイントを、本コラムの締めくくりに記載しておきます。

  • 大切なことは、教科書でなく現場体験から学ぶ。だから、まずやってみろ
    →新人の起こすトラブルは大したことはない。新人時代しかない暗黙のセーフティーネット
  • 考えても分からないことは、まず、やってみてから考えろ!
  • 分からないことはお客さまに聞け。
  • 上司・先輩の口癖(1) 
    「これどうしたらいいですか?」と上司や先輩に聞くと「で、お前は、どうしたいんや!」(必ずこれで返される。なぜか関西弁が多かったような…)
  • 上司・先輩の口癖(2)「お前は西村会社の社長や! 社長なら自分で考えてやれ!」

今号の独り言

今や年中行事となりつつある新人の採用と育成。新人研修の方法が効率的でシステマチック、そして多様になっていても、結局は担当者一人一人が誠実に向き合えるか? に尽きるように思います。

「ガチこそ物の上手なれ」

※ コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。

次回コラムの予告

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