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株式会社 日立システムズ

地方公共団体におけるICT部門の業務継続計画(BCP)策定を考える

第1部 地方公共団体におけるICT部門のBCP入門

1.BCPとそれを策定する効果について

BCPとは何か?

BCPは、Business Continuity Planの略である。民間企業においては事業継続計画と訳すが、行政機関においては業務継続計画と訳すのが通例である。
BCPとは「緊急時に、被災して業務遂行能力が低下した状況下で、非常時優先業務を継続・再開・開始するための計画」ということができる。
災害や事故が発生し、行政機関が被害を受けたとしても、行政サービスが停止することは許されない。中断させてはならない業務は即時に、それ以外の重要業務は可及的速やかに、重要とまでは言えない業務もなるべく早く復旧されなければならない。また、災害や事故時においては新たな応急業務も発生する。応急業務については、発災後すぐにでも開始されなければならない。災害時などにこれらの活動を可能にするためには、平常時から対策を考え、計画化されている必要がある。この計画をBCPというのである。
計画の内容としては以下が含まれる。

  • 業務に必要な資源の確保・配分の計画
  • 職務代行を考慮した指揮命令系統など
  • 業務の再開・開始にかかる目標時間の検討、設定
  • 業務継続に従事する職員の確保など

業務復旧の優先順位の決定や、応急業務の範囲も計画に含まれることは言うまでもない。

BCPの効果

BCPの効果について、もう少し詳しく見ていこう。

図1
図1.業務継続計画の実践に伴う効果の模式図
(出典:内閣府「中央省庁業務継続ガイドライン」)

図1を見ていただきたい。BCPを策定している場合の業務の回復度合いを緑の曲線、BCPを策定していない場合を紫の曲線で表している。
BCP策定により二つの効果があることが分かる。一つは発災直後の業務レベルの向上。発災直後は応急業務の発生と外部からの応援も期待でき、業務レベルの急速な向上が得られる。しかし、BCPが策定されていないと応急業務の立ち上がりも困難であり、外部からの応援も円滑に受け入れられないため、このような効果が得られないおそれがある。
もう一つは、業務立ち上げ時間の短縮である。非常時においては、活用できる資源に制約がある。そこで、優先業務を特定するとともに、それらの業務の継続に必要な資源の確保・配分や、手続きの簡素化、指揮命令系統の明確化などが必要となる。以上は、まさにBCPに明記すべきことであり、これらが成文化されていることによって業務立ち上げの短縮が図れるのである。逆にBCPを策定していない場合は、業務の立ち上げが遅くなり、そのことに起因する対応業務が大量に発生し、本来業務を妨げる場合さえある。
特に、大きな災害時にはBCPを策定しているかどうかが、業務レベルの回復において雲泥の差をもたらすのである。

行政機関におけるメリット

BCP策定の一般的な効果は今見たとおりである。次に、行政機関におけるBCP策定のメリットを考えていきたい。大きく、対外的なメリットと内部的なメリットが考えられる。

(1)対外的なメリット

自らが大被害を受けても重要業務が継続され、住民のための行政サービスが継続され、結果として社会の信頼を得られる。これが最大のメリットである。
また災害への住民の意識が高まっている今、平常時においても、あるいは発災後に万が一想定外の事態が発生したとしても、BCPを策定していれば、説明責任を果たすことができるようになる。
発災時においては、社会経済活動の復旧に関わる大きな部分が行政機関の行為に依存するため、即応ニーズが発生する。BCPを策定していればこのようなニーズに呼応できる。
平常時においても、防災・危機管理のための支出は必要である。その説得力のある根拠が示せるようになる。
さらに、自らのBCP策定に基づき、緊急調達をはじめとした公共調達についても明記できる。このことで地域企業のBCP策定を促進できる。

(2)内部的なメリット

災害時の対応計画を、「あるべき論」の網羅的記述から、実現可能なものにできる。
また、資源(人、物、金、情報)確保の観点から、組織を横断した議論が真剣化する。
同時に「どうせこのとおりにはできるわけがない」から「対応できるようにしていかなくては」へと、職員の意識改革が期待できる。
幹部と現場の間で、対応力の限界について問題意識の共有ができ、幹部の緊急時の指示の迅速化が可能になるなど、組織力が発揮できるようになる。
さらに、災害時の対応計画に終わることなく、平常時における業務の標準化・効率化につながる。結果として、どこの拠点ででも仕事ができる体制の確立さえも期待できる。

今回は、地方公共団体におけるBCP入門として、BCPとは何かに始まり、その一般的な効果と、行政機関におけるメリットについて見てきた。次回は、BCP入門の続きとして、総務省策定の「地方公共団体におけるICT部門の業務継続計画(BCP)策定に関するガイドライン」の概要、自治体BCPを取り巻く課題、LASDECのBCP策定支援アドバイザー制度の概要などについて見ていきたい。

[新免 國夫 記]

2012年10月掲載

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