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経理部門向けお役立ちコラム

新収益認識基準における契約結合の管理の進め方(第一回)

新収益認識基準における契約結合の管理の進め方(第一回)

はじめに

企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(以下、「新収益認識基準」という)の5つのステップにおけるステップ1では、一定の要件を満たす契約を結合して会計処理することが求められている。本コラムでは、契約の結合が行われた際に実務上起こると考えられる運用上の課題や、本番適用までの検討プロジェクトの進め方について解説する。

本コラムにおいては、第一回で「会計基準の概要、及び業務とシステム上の課題」、第二回で「課題の調査と検討方法(前半)」、第三回で「課題の調査と検討方法(後半)、及び運用上の留意点」として、全三回にわたり連載していく。

I.論点・会計処理の概要

1.新収益基準における契約の結合

収益認識の5つのステップにおけるステップ1では、一定の要件を満たす顧客との契約を識別する。現行の実務では、収益認識の単位は契約を基礎として行っているものが多いと考えられる。これに対して、収益認識に関する会計基準では、同一の顧客(当該顧客の関連当事者を含む。)と同時又はほぼ同時に締結した複数の契約について、一定の要件に該当する場合には、当該複数の契約を結合し、単一の契約とみなして処理することとされている。

2.売上計上の単位と請求単位の乖離

新収益認識基準における論点について、どの契約が結合の対象になるかに注目されがちだが、その後の運用に重要な論点が含まれている。現行実務では、契約の単位と売上計上、請求の単位が一致している場合が多い。しかしながら、新収益認識基準における契約の結合を検討するうえで、契約の単位が複数あっても、売上計上の単位は1つに結合されることとなる場合があることに留意する必要がある。また、売上の計上単位は1つであっても、個別契約に基づく個々のサービス提供の完了に基づいて顧客への請求が行われるとすると、売上計上前に請求書が発行され、代金が入金されるようなケースも生じてくる。

現行と新収益認識基準による契約・売上・入金単位

【図表1 現行と新収益認識基準による契約・売上・入金単位】

3.業務・システム上の論点

このような納品・サービス提供単位、売上計上の単位及び請求単位のずれを業務の視点、システムの視点で整理していく必要がある。販売管理システムを自社開発しているようなケース、ERP(Enterprise Resources Planning)で追加開発を行っているようなケース、パッケージの販売管理ソフトを利用し、会計システムへ連携させているようなケースでそれぞれ業務フローやデータフローが異なってくるため、個々の企業の現状の業務・システムの状況にあわせて対応策を検討する必要がある。

4.予算管理上の論点

契約の結合を行う場合、一般的には売上計上のタイミングが従来よりも遅れる可能性が高い。このことは、営業現場からすると自部門に課せられた売上目標を達成するうえで、非常に重要な問題になるため、予算を立案するうえで会計基準が変更になることにより、売上が翌期にずれ込むリスクを織り込むことが必要である。

II.業務とシステム上の課題

1.契約結合すべき契約の調査

収益認識基準のステップ1「顧客との契約の識別」において、まず課題としてあがることは、契約を結合して単一の契約として会計処理すべき契約がどれかを調査することである。新収益認識基準上は、同一の顧客(当該顧客の関連当事者含む)と同時又はほぼ同時に契約した複数契約であり、一定の要件を満たすものについて、契約を結合して処理することを検討する必要ある。

この際に、①複数契約が同一の商業目的で交渉されたこと、②一つの契約の対価が他の契約の価格又は履行に影響を受けること、③契約ごとに提供する商品又はサービスをそのまま利用すること又は他の業者が追加のサービス提供することが困難な状況であること、のいずれかに該当するかを判断するが、抽象的な要件となっているため、企業ごとに実務的に判断可能な判定基準を設ける必要がある。

2.販売管理システムへの登録単位

現行の実務では、契約の単位が売上計上の単位と一致しており、契約上の履行義務(商品の納品やサービス提供の完了、一定期間の経過)が完了した後に、販売管理システムより請求書を発行し、顧客へ送付するというのが一般的な流れになると考えられる。

しかしながら、契約を結合して会計処理を検討する場合、複数の契約から発生する取引を1つの売上計上の単位として会計処理する必要があり、現行の実務における売上計上の単位と乖離が生じるため、システムの改修が必要になる可能性がある。つまり、取引単位(受注登録、出荷、サービス提供単位)は複数であるが、売上計上の単位は1つにする必要があるため、現行システム上の運用で工夫をするか、1つの売上計上の中に複数の取引明細としてデータを保持できるようにするなどのシステム改修が必要になるであろう。

(1)自社開発システム・ERPのケース
販売管理システムを自社開発しているようなケースやERPで追加開発を行っているようなケースでは、個々の納品・サービス提供の単位(契約単位)の管理に加えて、売上計上の集約単位を持たせることにより、会計システムへ連携する単位(売上計上の単位)と別で管理することが可能となる。この場合、納品・サービス提供の単位は請求の単位とも連動することになるため、請求済み売上未計上や入金済み売上未計上というようなステータス管理も販売システム上で必要になってくる。

(2)パッケージの販売管理ソフトのケース
パッケージの販売管理ソフトを使用しているような場合、納品・サービス提供単位と請求単位が一致しており、会計システムに連携する売上の計上単位も同一というケースが多い。その場合、例えば請求済み売上未計上や入金済み売上未計上のような取引ステータスをエクセルなどで別管理し、販売管理ソフトから会計システムへ連携する際に、前受金などに計上する処理を行うなどの対応が必要になる。

3.売上計上単位と請求単位

次に論点になってくると考えられるのが、売上計上の単位と顧客への請求単位に差異が生じてくるという点である。現行の実務では、取引単位で納品又はサービス提供が完了し、売上計上とともに顧客へ請求するというのが通常の流れになると考えられる。これに対し、契約を結合して会計処理を検討する場合、複数ある契約の中の一部に対して納品が完了し請求書を発行しなければならないようなケースが生じると考えられる。その場合、売上は未計上であるが、一部の納品は完了し請求済みというステータスを、1つの売上の中の明細単位で持つ必要が生じてくる。

筆者のご紹介

舟山 真登(ふなやま まさと)氏

グローウィン・パートナーズ株式会社
コーポレートイノベーション部 部長
舟山 真登(ふなやま まさと) 公認会計士

2005年 監査法人トーマツ入所。東証一部上場企業をはじめ、幅広い業種・規模の企業に対する法定監査業務、内部統制監査制度の導入支援業務、IFRS導入支援業務に従事。
2015年 当社入社。上場企業グループの経理BPR、経理業務アウトソーシング体制の構築、経理業務のRPAによる自動化等の各種プロジェクトのプロジェクトマネージャーを多数担当。
2017年 コーポレートイノベーション部 部長。Accounting Tech®Solution事業を推進し、上場企業向けに、財務経理部門の働き方改革の支援、PMI(Post Merger Integration)プロジェクトの支援、経理BPOサービスなど、多くの案件を手がけるほか、専門誌の執筆やセミナー講師を多数実施。

企業概要(グローウィン・パートナーズ株式会社)

https://www.growin.jp/

「プロの経営参謀」としてクライアントを成長(Growth)と成功(win)に導くために、①上場企業のクライアントを中心に設立以来400件以上のM&Aサポート実績を誇るフィナンシャル・アドバイザリー事業、②「会計ナレッジ」・「経理プロセスノウハウ」・「経営分析力」に「ITソリューション」を掛け合わせた業務プロセスコンサルティングを提供するAccounting Tech® Solution事業、③ベンチャーキャピタル事業の3つの事業を展開している。
大手コンサルファーム出身者、上場企業の財務経理経験者、大手監査法人出身の公認会計士を中心としたプロフェッショナル集団であり、多くの実績とノウハウに基づきクライアントの経営課題に挑んでいる。

※コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。
※本コラムは、2018年10月09日に掲載されたものです。

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