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経理部門向けお役立ちコラム

経理部門も知っておくべき「プロジェクトの経済的評価手法」(後編)

経理部門も知っておくべき「プロジェクトの経済的評価手法」(後編)

1.はじめに

本コラムでは、経理部門や財務部門の皆さまが知っておくべきプロジェクトの基礎から上級まで解説しています。前回(前編)ではプロジェクトの基礎について解説をしました。今回(後編)は本題である「プロジェクトの収益性判断の方法」についてご紹介をします。

2.プロジェクトの実施可否を「会計視点」から判断する

前回コラムで、プロジェクトの成功と失敗は「プロジェクトに課せられた様々な制約条件のバランスを取り、決められたプロジェクトの目的が達成されたかどうか」によって決まるというPMBOK※の定義を紹介しました。

それでは、「プロジェクトの目的が達成されたか(されるか)どうか」を判断する指標には、一体どんなものがあるのでしょうか?そのうちの一つが、今回ご紹介する「プロジェクトの収益性判断」です。

この方法は、プロジェクトの成功・失敗を事後判定する場面だけでなく、たとえば「社員10数名を投入する新規サービスの立ち上げ」を検討するような場面において、プロジェクトの実施可否を判定する際の材料にもなります。

プロジェクトの推進主体となる事業部側から提示される見通しだけでなく、経理部門・財務部門による経済的評価手法を基にプロジェクトの実施可否判定を行っておくことは、健全な事業運営のためには非常に重要です。

※PMBOK = Project Management Body Of Knowledge アメリカの非営利団体PMI(Project Management Institute)が策定した、プロジェクトマネジメントの標準的な知識体系

3.新規事業プロジェクトの収益性判断を行う4つの手法

プロジェクトの経済的評価手法としては、一般的に以下の4つの方法があります。

経理部門も知っておくべき「プロジェクトの経済的評価手法」

それぞれにメリットとデメリットがあるため、状況に応じて使い分ける、又は併用することがポイントとなります。順番にみていきましょう。

① 回収期間法

新規事業の場合、将来の収益(キャッシュフロー)の予測に不確実性が伴う場合が多いため、まずは回収期間法によって、投資のリスクを見極めるという方法が考えられます。

回収期間法とは、投資額をどの程度の期間で回収できるかを計算し、その期間がガイドラインとして設定している期間よりも短ければ投資を実行し、長い場合には投資を見送るという投資評価方法です。そして、回収期間が短い方が安全性の高い事業と考えることができます。

この方法のメリットとしては、計算方法が簡便な点や、安全性を表す指標として利用することができる点が挙げられます。デメリットとしては、収益性について判断することができない点や時間的な価値を織り込むことができない点が挙げられます。

よって、その他の方法と併用して総合的に判断するのが望ましいと考えられます。

② 投下資本利益率法(ROI法)

投下資本利益率法は、ROI(Return On Investment)法ともいい、特定の投資に対してどの程度の利益を生み出しているかを示す方法です。ROIが高いほど効率的で収益性が良い新規事業と考えることができます。

この方法のメリットとしては、計算方法がシンプルな点や収益性を表す指標として利用することができる点が挙げられますが、時間的価値を織り込むことができないというデメリットがあります。

計算式は以下のようになります。

ROI(%)=( 利益またはキャッシュインフロー ÷ 投下資本 )× 100

③ 正味現在価値法(NPV法)

正味現在価値法は、NPV(Net Present Value)法ともいい、キャッシュフローの総額を現在の価値に直して示す方法です。NPVがプラスであれば、新規事業への投資を実施すると考えることができます。

この方法のメリットとしては、投資の時間的価値について織り込むことができる点が挙げられますが、計算が煩雑であり、割引率を設定する必要があります。

新規事業が、将来生み出すキャッシュフローの現在価値と新規事業に必要なキャッシュフローの現在価値(=投資額)を比較して、前者の方が大きい場合は「投資すべき」となります。

「キャッシュインフローの現在価値」から「キャッシュアウトフローの現在価値」をマイナスしたものをNPVと言います。計算式は以下のようになります。

NPV ={ 将来価値 ÷( 1 + 割引率 )}- 投資額

④ 内部利益率法(IRR法)

内部利益率法は、IRR(Internal Rate of Return)法ともいい、投資によって得られると見込まれる利回りと、本来得るべき利回りを比較し、その大小により判断する方法です。

ここで内部利益率とは、投資プロジェクトの正味現在価値がゼロになる割引率のことを示します。

投資の時間的価値を織り込むことができるため有益な手段ですが、計算方法がかなり複雑な場合がある点がデメリットとなります。しかし、厳密に利回りが計算できるメリットもあり、多くの場面で活用されている方法です。

4.先の読めない新規プロジェクトでも、キャッシュフローをシミュレーションすべき

企業において新規事業プロジェクトの投資を検討する場合には、一般的に上記のような経済的評価手法を用いる、又は併用することとなります。

単純に考えるには、投下資本利益率法(ROI)などでざっくりと試算する方法もありますが、株主の立場(株主利益保護の観点)において、企業価値や株主利益を毀損しないためには、少なくとも正味現在価値はゼロ以上、または内部利益率が加重平均資本コスト以上である必要があります。

もちろん、これらの方法は将来のキャッシュフローの金額が決まらないと算出することができず、新規事業プロジェクトの場合には予測がつきにくい場合もあるでしょう。ただし、いくら将来の不確実性が高いからといって、正味現在価値や内部利益率を全く考慮することなく新規事業プロジェクトへの投資を決定してしまうのは考えものです。予測しうる最も合理的なキャッシュフローの金額を見積り、またはいくつかのキャッシュフローのパターンをシミュレーションした上での意思決定が必要となります。

以上より、会計視点からは、総合的にプロジェクトのリスクや収益性を判断しながら、新規事業プロジェクトに関する投資の意思決定を行うことが重要といえるでしょう。本コラムがその一助になれば幸いです。

筆者のご紹介

株式会社アドライト

http://www.addlight.co.jp/

イノベーション創造のための国内大企業に対するコンサルティング(事業開発、業務改善、システム導入支援など)及び国内外ベンチャー企業に対するインキュベーション(経営アドバイス、ファイナンス支援、上場支援など)を行う。
最近では、大企業における各テーマでの新規事業開発・オープンイノベーションについて積極的に取り組んでおり、その企画立案(テーマアップ)による予算獲得から実行戦略策定そして実行支援まで多くの実績を持ち、国内外のスタートアップ企業及びベンチャー企業の幅広いネットワークを活用することにより最適なアライアンス先企業を紹介し、双方の強みを生かして製品化や研究成果までハンズオンで牽引しながら社外の企業間のオープンイノベーションを成功に導く。

※コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。
※本コラムは、2017年6月15日に掲載されたものです。

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