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個別最適を犠牲にしない全体最適化をめざし、FutureStageを選択しました。
(写真)日本伸管株式会社 製造部 生産管理課 主任 本多 孝征氏

  • 業種アルミニウム管、合金管、アルミニウム棒の製造・加工販売、超硬質アルマイト処理・加工品販売
  • 特長受注生産、1日平均100注文を受注

引き抜きによるアルミパイプ製品の専業メーカーとして名高い日本伸管株式会社様(以下、日本伸管様)では、 白河工場(福島県西白河郡)において、「FutureStage 金属加工業向け生産管理システム」を導入。すでにFutureStageが稼働している本社工場(埼玉県新座市)とシステムを連携させることで、経営環境の効率化と営業体制の強化を実現しました。今回は、白河工場におけるシステム刷新の経緯と効果を中心に、システムの導入を担当した製造部 生産管理課 主任 本多 孝征氏からお話を伺いました。

(お客さま概要)

お客さまの業務概要・特長
  • OA機器、光学部品、医療機器などさまざまな分野で高い評価を獲得。
  • アルミの材料調達、加工、表面処理まで一貫した生産システムを確立。

日本伸管株式会社ロゴ

日本伸管様の高度なアルミ引き抜き技術は、OA機器、光学部品、医療機器など、さまざまな分野で高い評価を得て、2010年には「中小企業新技術優秀賞」を受賞しました。
創業は1967年。現在、本社工場と白河工場のほか、タイにも製造拠点を設けています。売上高41.4億円 (2012年1月期)、従業員数141名です。

日本伸管様の製品概要と製造体制を紹介してください。

主力製品は、アルミパイプ加工製品です。「アルミ引き抜き-機械加工-アルマイト加工」という一貫生産システムを確立したことで、高品質な製品を提供しています。

当社の製品はどれもサイズや形状が異なるアルミパイプですが、その用途は多種多様で、コピードラムやカメラ鏡筒アルミ部品のほか、オートバイのマフラー、自動車用シリンダー、農機具用アルミ部品、ユニークなところでは南極大陸の氷掘削用パイプや新幹線の窓枠部品などにも利用されています。

製造体制は受注生産による少量・多品種・短納期での生産対応となります。本社工場と白河工場では、原材料となる保管アルミパイプの種類が異なり、注文の内容によってどちらの工場で製造するのかが決まります。

(導入状況)

白河工場でのFutureStageの導入状況を教えてください。

本社工場ではFutureStageの導入により、 売上計上見込みの予測精度が向上し、余剰在庫も大幅に削減されました。白河工場にも同じシステムを導入することで、同様の効果を期待するとともに、本社工場と白河工場の情報を一元的に取り扱えるよう、2012年1月にFutureStageの稼働を開始しました。
導入状況は、以下のとおりです。

導入システム内容 ●受注管理
●生産管理(工程管理)
●購買管理
●在庫管理
●検品管理
●出荷管理
●売掛・買掛管理
使用者 本社および本社工場、白河工場の全社員
導入スケジュール
(本社工場)  
2008年6月 : 稼働開始
(白河工場)  
2011年7月 : キックオフ
2011年7月~10月 : 詳細設計/開発
2011年10月~12月 : テスト
2012年1月 : 稼働開始

システムイメージ図
システムイメージ図

(経営上の課題)

業務で抱えている課題
  • アルミパイプ業界の慣習は、一般的な組立加工業向けの生産管理システムでは対応できない。
  • ジャストインタイムへの柔軟な対応が求められる。
  • 現場に無理や犠牲を強いることなく、全体最適化をどのように実現するかが重要な課題。

アルミ引き抜き加工を中心とした専門メーカーならではの、生産管理の難しさについて教えてください。

製造部 生産管理課 主任 本多 孝征氏

「業界の慣習に対応できない製造業向けのシステム」

個別受注生産なので、どれだけ付加価値を高めることができるかが重要なポイントになります。つまり、取引先から期待されるのは、他社には真似のできない高い品質と技術力です。

その一方、ISO対応やお客さまへの情報提供など、これまでは重視していなかった業務も加わり、管理業務の強化と効率化、さらにはタイムリーな情報を的確に提供する生産管理システムが求められました。

しかしながら、一般的な製造業向けの生産管理システムや、組立加工業向けのシステムでは当社の要件を満たすことができません。当社の場合、受注はメートル単位なのですが、見積・請求のロットはキログラム単位(重さ)を用いるなど、業界ならではの特色があるからです。

「ジャストインタイムへの対応」

製造業においてジャストインタイムへの対応は、今やスタンダードとなりつつあります。注文時のスケジュールや数量どおりに納品できれば問題はないのですが、受注後に納品のタイミングや数量、仕様などに変更が発生することも少なくありません。また、割り込みや特急などの注文も増えてきました。

迅速かつ的確な判断を下すためには、正確かつリアルタイムに現場の状況を把握できる体制が必須となります。

「属人化による弊害」

当社では個別受注による多品種・少量生産を実現するため、これまでは生産現場で個別に最適化が図られていました。いわゆる属人化という状況で、全社的に見れば多少のムラやムダがあっても、目先の注文へ対応できれば良しという風土が少なからずありました。これは、ある意味それぞれの現場が常に改善へと取り組んできた成果であり、付加価値を生み出す源泉ともなってきました。

しかし、効率的に会社全体を動かしていくためには、全体最適化へと舵を切り直していかなければ、さらなる成長は望めません。そのため、現場に無理や犠牲を強いることなく、全体最適化をどのように実現するかということも重要な課題となっていました。

(導入経緯)

お客さまが抱えていた悩み
  • 製造ラインごとの負荷率を工場全体で把握して、適切に作業を割り振るのが難しい。
  • 正確な売上予測ができないため、売上計上見込みと実績のかい離が大きい。
  • 本社工場と白河工場で売上予測の精度が異なる。
  • データの二重管理など、潜在的に業務のムリ、ムダ、ムラが発生しやすい。
  • 2つの工場で、同時に新しい生産管理システムを導入するためには人的リソースが足りない。

白河工場において生産管理システムをリプレースした経緯を教えてください。

以前、白河工場ではスクラッチ開発した生産管理システムを10年以上利用していました。いわゆる手作りのシステムで、機能が不足している部分や標準化されていない部分もありましたが、それらをカバーするため、現場ではローカルルールを設けたり、表計算ソフトやデータベースを個別に使うなどして生産管理を行っていました。このように、各生産現場の個別最適化が図られ、個別の生産効率は維持されてきたのですが、次のような問題点が目立つようになってきました。

  • 製造ラインごとの負荷率を工場全体で把握できないので、適切に作業を割り振るのが難しい。
  • 正確な売上予測ができないため、売上計上見込みと実績のかい離が大きい。
  • データの二重管理など、潜在的にムリ、ムダ、ムラが発生。

なぜ、このような問題点が目立つようになってきたのでしょうか。

グローバル化や為替変動リスクの高まりなど、製造業を取り巻く環境は順風満帆ではありません。製品の品質向上はもちろんのこと、経営インフラの強化にも積極的に取り組んでいかなければなりません。
その一環として、本社工場ではFutureStageを導入して業務改革を実現しました。

しかし、本社工場と白河工場で売上予測の精度が異なると、会社全体の精度が落ちてしまいます。さらに営業サイドからは、「本社工場の製品は、リアルタイムで仕掛状況や納品予定をお客さまに伝えることができるが、白河工場の製品は、情報に誤差があり、機会損失やお客さまとの信頼関係を失うことにもなりかねない状況なので、本社工場と同じように改善してほしい」という声も少なからず上がってきていました。

白河工場へのFutureStageの導入は、本社工場への導入から2年が経過していますが、何か理由があるのでしょうか。

2つの工場で同時に新システムの入れ替えを実施するのが理想的かもしれませんが、通常の操業を継続しながらシステムを入れ替えるのは容易なことではありません。
要件定義から設計、カスタマイズ、移行作業など、1人の担当者が2つの工場における導入作業を同時に行うことは不可能でした。また、そのような人員を新たに確保したり、社内で育成するのも容易ではありません。このような状況下では、まず経営幹部や営業部隊がいる本社工場から導入するのが得策だと考えました。

また、白河工場のシステム入れ替えには、もう1つ大きな壁がありました。それは風土の違いです。白河工場には全社を見る経営部門や営業部門がなく、製造業務に特化しています。そのため、ある種の職人気質というか、自分たちの仕事に誇りと自信を持っており、これまで本社からの無理難題と思われる注文にも、自分たちのスタイルで応えてきたという自負がありました。それゆえに、ある日突然、本社の都合でシステムを変えると言っても反発を買うだけです。そこで、まずは本社工場で導入実績や効果を示して、その様子を見てもらうのと同時に、私たち自身が先行してFutureStageの導入を経験することで導入・運用のノウハウを蓄積できれば、白河工場においてもスムーズにシステムを移行できると考えました。

(選定理由)

選定のポイント
  • パッケージソフトでありながら、柔軟なカスタマイズができる。
  • SEに直接相談して、要件定義やカスタマイズの仕様をまとめることができる。

改めて、FutureStageでシステムを統合しようと考えた理由を教えてください。

FutureStageを導入することで、リードタイムの短縮や売上予測精度の向上、余剰在庫や余剰原材料の削減を実現できることは、本社工場において証明済みです。そのため、FutureStage以外の選択肢は考えられなかったというのが実状ですが、実際には2つの工場のデータをどのようにして一元的に管理するかということが、白河工場のシステム導入を進めるうえで重要な課題となりました。

これはFutureStageが柔軟にカスタマイズできるパッケージソフトであること、日立システムズの担当SEと膝を突き合わせて、要件設計からカスタマイズの内容まで組み上げられたことで、達成することができました。
当社の担当SEは初めからずっと殿塚さんですが、日立システムズのSEは打ち合わせにも参加してくれます。そして何より、SEと直接話ができるということがとても助かっています。

本社で稼働しているシステムを、そのまま白河工場で使用するというわけにはいかなかったのでしょうか。

当初はそのように考えていました。日立システムズからもデータベースを一元化して、ネットワークを介してシステムを利用する提案をされました。
しかし、実際に現場の状況を精査していくと、白河工場の現場オペレーションをすべて本社工場と同じものにするのは無理だとわかりました。いくら個別最適よりも全体最適を優先するといっても、白河工場のパフォーマンスが下がるようであれば、生産管理システムをリプレースする意味がなくなってしまいます。何週間か操業を停止して、現場のオペレーションを再設計・再教育してということができれば可能かもしれませんが、現実はそうはいきません。

そこで、白河工場の最適化された現場オペレーションを可能な範囲で生かしながら、本社サイドから本社工場と白河工場のデータを一元的に閲覧できるようにする方法を考えました。

個別最適化を生かしながら、全体最適化を実現する方法とは、具体的にどのように実現したのでしょうか。

白河工場には、本社工場とは別にサーバーを設置し、生産管理システムはそれぞれ独立して運用することにしました。そのうえで、白河工場がこれまで行ってきたオペレーションを再現できるインターフェースをFutureStage上に開発しました。つまり、現場では従来と同じ項目を入力しているのにもかかわらず、実際に登録されるデータは本社工場で運用している構造と同じデータベースへと格納されるようになったのです。

白河工場のためにインターフェースを開発するのは、かなり手間のかかる作業ではありませんでしたか。

各担当者へのヒアリングが必要で、手間と時間のかかる作業でしたが、現場を理解し、現場にもこちらの意向を理解してもらう良い機会になったと思います。

それぞれの工場にマスターデータが存在することになりますが、データの一元化はどのように実現しているのでしょうか。

2つの工場のマスターデータを統合するのではなく、本社側に白河工場の売上データと全データのレプリケーションデータ(レプリカ)を持つようにしました。最初からデータベースを統合する方法もありますが、マスターデータベースを1つにすると、リアルタイムで情報のやり取りをしなければなりません。そうした場合、パフォーマンスの問題やネットワークがダウンしてしまったときに工場業務が滞ってしまうリスクがあるので、データ統合は避けました。
ただし、レプリカは1日前のデータになります。前日のデータですので、リアルタイムではありませんが、1日ぐらいの差異であれば、問題はないと判断しました。リアルタイムのデータが必要な場合のみ、ネットワークを介して本社から白河工場のマスターデータへアクセスしています。

このような方法で、これまで本社側からは得られなかった白河工場の売上データと受注データを、本社工場と同じように確認できるようなりました。

(評価)

FutureStage・日立システムズに対する評価
  • 製造ラインの負荷を正確かつリアルタイムで把握できるようになった。
  • リードタイムの短縮と、余剰在庫や余剰原材料を削減することができた。
  • 割り込みや特急などにも柔軟かつ合理的に対応できるようになった。
  • 現場の個別最適を犠牲にすることなく、オペレーションの標準化にも成功した。
  • 全社的に、精緻な売上予測データを得られるようになった。
  • 業務を熟知したSEと直接話ができる。

これまで約1年半白河工場においてFutureStageを利用しての評価を教えてください。

日本伸管 本多孝征氏、日立システムズ倪 秉斌(ニ ビンビン)
(写真左)日本伸管 本多 孝征氏
(写真右)日立システムズ 倪 秉斌(ニ ビンビン)

本社工場と同様、白河工場でも製造ラインの負荷を正確かつリアルタイムで把握できるようになりました。
その結果、リードタイムの短縮と、余剰在庫や余剰原材料を削減することができ、割り込みや特急などにも柔軟かつ合理的に対応できるようになりました。

さらに、インターフェースのカスタマイズにより個別最適を犠牲にすることなく、オペレーションの標準化にも成功しました。

全社的には、精緻な売上予測データを得られるようになったことで、スピーディーかつ適切な経営判断を下せるようになり、組織的な営業活動もできるようになりました。

現在、生産管理システムの刷新を検討している工場に向けて、「ある種の先輩ユーザー」としてのアドバイスなどあればお聞かせください。

当社の場合は、私自身がアルミ素材の購買から、現場との調整、指示、手配、営業支援業務を行い、そこから得られる情報を基に経営層や管理職への情報提供を行っています。

アドバイスになるかどうかはわかりませんが、自身の経験から考察すると、現場とマネジメント、その両方の立場でそれぞれに協力を依頼したり、決断を仰いだりできることで、現場にもマネジメントにも双方にメリットのあるシステムを導入できたと考えています。

今後の期待をお聞かせください。

生産管理システムに関しては、2つの工場のデータを一元的に取り扱えるようになり、生産から販売、会計と一気通貫で管理できる体制が整いました。

今後は、案件や顧客の拡大を実現するためのシステムや情報共有環境も整備していきたいと考えており、日立システムズとは、ぜひ、相談相手としても末永くお付き合いを願えればと思います。

お客さまについて

日本伸管株式会社

埼玉県、福島県、タイの主力3工場を拠点にアルミニウム引き抜き分野の「小さな世界一企業」をめざし事業を展開しています。

技術力は極めて高く、2007年に全国で「元気なモノ作り中小企業300社」に選定されたほか、2010年に埼玉県で唯一の「中小企業新技術優秀賞」を受賞しています。

また、2011年3月11日の東日本大震災では福島白河工場が被災しましたが、工場全員で早期復旧をとげ、世界標準で品質の高いコピードラムほかの製品群を供給し続けました、この活躍が外務省の目に留まり、2011年8月に当社が震災から復興する日本の「世界に誇るアルミ加工技術」として世界200カ国地域に6カ国語でビデオ放映が開始されました。

日本伸管株式会社ロゴ

設立
1967(昭和42年)年9月22日
所在地
(本社・本社工場)埼玉県新座市中野1丁目10番地22号
(白河工場)福島県西白河郡西郷村小田倉字大平176
URL
http://www.nihonshinkan.co.jp

今回導入のシステム

製品名 FutureStage 金属加工業向け生産管理システム

担当より一言

日立システムズ 営営業 倪 秉斌(ニ ビンビン)
日立システムズ
営業 倪 秉斌(ニ ビンビン)

日本伸管様の基本姿勢は「あいさつの徹底」という言葉です。
訪問の際は皆さま立ち上がって元気良く挨拶をしてくださり、本番前の緊張感や不安感も、吹き飛びました。
今後もご期待に沿えるよう、日立システムズの営業と設計は一丸となり、お客さまに適したソリューションを提案していきます。
私としても大きなやりがいを感じていますので、引き続き、よろしくお願いします。

日立システムズ 設計 殿塚 庄平
日立システムズ
設計 殿塚 庄平

白河工場と本社工場の取りまとめを実業務と並行して行っていただき、まことにありがとうございました。
おかげさまで、工場間の要件のブレもなく、スケジュールどおりプロジェクトを進めていくことができ、無事に本稼働を迎えることができました。
これからも、お客さまの業務改善の一助となれば光栄です。
今回、当初からのスケジュールの遅れもなく、無事システムの本稼働を迎えられたことは、お客さまのご尽力の賜物と感謝しております。

取材にご協力いただいたお客さま、ご協力ありがとうございました。

取材日:2013年6月

本事例に記載の情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。

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