セキュリティと利便性を両立した働き方改革の実現
セキュリティと利便性を両立した働き方改革の実現
スピーディーな連携で、ICT基盤を全面刷新
渋谷区様は、職員のワークスタイル改革を推進するため、 2019年1月の区役所庁舎移転にあわせ てICT基盤の全面刷新を行いました。 これは2016年に制定された渋谷区基本構想の実現に向けた区政運営改革の取り組みの一環です。 「枠にとらわれない自由な発想で、セキュリティと利便性を高い次元で両立したICT基盤を作りたい。」 この想いから始まったプロジェクトは、渋谷区様が構想を練り、日立システムズが実現方法の具体化 と構築を担当し完成しました。 「ちがいを ちからに 変える街」──この渋谷区基本構想の実現にむけて、まずは職員から多様な働 き方を実践する渋谷区様の取り組みを、日立システムズはICT基盤の構築・運用およびヘルプデスク サービスを通じて支援しています。
~忙しい職員に、付加価値の高い区民サービスの提供のための「時間」を創出~
渋谷区様の新ICT基盤は「個人番号利用事務系」 「LGWAN系」「インターネット接続系」に加えて、職員間の共同作業や情報共有を目的に新設された「コア系」の4層で構成されています。セキュリティと利便性の両立をめざしたICT基盤の構築により、ワークスタイルの改革が可能になりました。
ICT基盤刷新にあたり渋谷区様が定めた4つのテーマ
庁内のどこでも仕事ができる環境をめざし、無線LAN環境と約1 ,600台のMicrosoft Surface Pro 6を導入しました。これにより、新庁舎ではフリーアドレスのオフィスが実現、さらに職員が自由に使えるワークラウンジが設けられるなど、モバイルワークが推進されています。
Surface Pro 6導入によりモバイルワークが当たり前の風景に
Microsoft Intuneを利用し、「BYOD*」を開始しました。庁外にいても、一日のスケジュールを確認できる、メールチェック・返信・チャットができる、チームメンバーに連絡を取れるなど、情報共有が格段にしやすくなったと職員に好評です。
*BYOD:Bring Your Own Device(私物デバイスの活用)
BYODにより庁外にいても情報共有が可能に
全職員のコミュニケーションハブとしてMicrosoft Teamsを採用しました。チャットベースのアプリにより情報伝達がスムーズになっています。Teams上に開設されたチャネルで、職員同士が自発的に情報共有を行うなど、コミュニケーションの手段として定着しています。
Microsoft 365により、Word、Excel、PowerPointファイルの共同編集も可能になりました。議事録や議会答弁資料の作成を関係者がリモートで同時編集することで、業務効率が劇的に改善しました。新ICT基盤の稼働後、紙使用量が60%削減するなどペーパーレス化にも貢献しています。
新ICT基盤は、渋谷区新庁舎開庁と同時に稼働を開始しました。稼働が間に合わなければ業務に重大な支障が生じるため、一切の遅れも許されないタイトなスケジュールでしたが、渋谷区様と日立システムズの綿密なコミュニケーションにより、無事稼働の日を迎えることができました。
─ 渋谷区様 新ICT基盤のポイントを教えてください。
ノートPCを使い庁外からでも業務ができるICT環境を実現したいと考えました。しかし、そうした環境は総務省が提唱する「ネットワーク分離」の3つのセグメント(個人番号利用事務系・LGWAN接続系・インターネット接続系)のどこにも適していません。そこでMicrosoft 365を始めとする日常業務やコミュニケーション系のシステムを集約した「コア系」という新たなネットワークを設けました。ここにノートPCを配置し、他のネットワークを利用したい時はVDI環境で使えるようにする。これにより、セキュリティと利便性を高い次元で両立しました。
Microsoft Teamsを始めとするツールも使いやすく、「コミュニケーションのスピード、頻度が上がった」と職員からも満足の評価を得ています。
─ 日立システムズのプロジェクトマネジメントはいかがでしたか。
プロジェクトマネジメントの品質の高さはさすがでした。打ち合わせ1つとっても、事前資料がしっかり用意されている、課題とゴールが明確で最後に必ず振り返りがある、決まったことがすべてのメンバーに確実に共有されるなど、丁寧な仕事が徹底されていました。まったく新しいICT基盤をゼロから創り上げるプロジェクトのため、技術面はもちろん、そのコンセプトに共感いただける情熱を持ったベンダーにお願いしたいと考えていました。
時間の厳しい制約がある中で、日立システムズは求められる役割をアクティブかつスピーディーに、しっかりと果たしてくれたと思います。
今回のプロジェクトでもっとも重視したことは、「どうすればお客さまが望む機能をご提供できるか?」という点でした。そこで、従来の枠組みにとらわれることなく、先端技術にも目を向けながら、実現方法をお客さまと一緒になって考えました。解決策にたどり着くまで非常に苦労しましたが、最終的にはお客さまにご満足いただけるシステム基盤が構築でき良かったです。ICT戦略課のみなさまをはじめ、お客さまのご協力がなければ本プロジェクトの成功はありませんでした。この場を借りて、あらためて御礼を申し上げます。
本プロジェクトにおいて特徴的なのは、「既存のシステム基盤を考慮せず、まったく新しいインフラとしてゼロから作り上げる」という点です。お客さまが本当に望むシステムを構築できる反面、それをゼロから作り上げる難しさも感じながらプロジェクトに携わりました。特に苦労したのは、Microsoft 365へのアクセスに対するセキュリティ設計です。お客さまの利便性向上と、強固なセキュリティ維持を同時に実現するため、細心の注意を払いながら設計させていただきました。職員のみなさまのシステムに対する評価も上々とのことで、大変嬉しく思っています。
日立システムズ社員が渋谷区庁内に常駐し、ICTに関する職員の問い合わせに丁寧に対応。
お困りごとはなんでもご相談ください。
ICTに正しく投資をすれば、数十倍以上のリターンを得ることができる。
渋谷区の改革に向けて、ICT基盤の刷新は最優先で着手すべき分野でした
渋谷区 副区長 澤田 伸 様
1959年生まれ。立教大学卒業後、飲料メーカーのマーケティング部門を経て、1992年に株式会社博報堂に入社。流通、情報通信、テーマパーク、金融など多岐にわたる業種のマーケティング支援に数多く携わる。2008年より外資系アセットマネジメント企業において事業再生部門のマーケティングディレクター、2012年共通ポイントサービス企業のマーケティングサービス事業部門の執行責任者を経て、2015年10月より渋谷区副区長に就任。
─ 副区長に着任された2015年当時、渋谷区のICTについてどのような印象をお持ちでしたか。
私は現職に着任する以前、長年民間企業で働いてきました。その視点から見ると、本来経営の中枢にあるべきICTが隅へと追いやられていたのが以前の渋谷区でした。ICTはとにかくセキュリティ至上主義で、ICTで業務生産性を上げようという意識は極めて希薄でした。10年前ならそれで良かったのかもしれませんが、今やICTは正しい投資をすれば、数十倍以上のリターンが約束されているイージーな投資です。着任後の1カ月間、区政をくまなく見て、関係者にもヒアリングをした結果、一番に着手すべきはICT基盤の刷新、そして業務の電子化であると結論付けました。
─ ICT基盤の刷新に向けて、どのような取り組みから着手しましたか。
まずはICTに対する職員のマインドセットを徹底的に変える必要がありました。例えばICTに関する勉強会や外部講師を招いたワークショップの開催、自治体だけでなく、民間企業の事例研究などと愚直に行いました。さらに、ICT基盤やワークスタイル、オフィスデザインなど、テーマごとにプロジェクトチームを作り、あるべき姿を考える取り組みを並行して進めました。そのプロジェクトチームはそれぞれの部門から推薦を受けた若い人を中心に組成し、組織横断型のチームとしましたが、後から考えるとこのことが大きな成功要因だったかもしれません。
変革に際して渋谷区が恵まれていたことは、庁舎を建て直すという絶好の機会があったことです。
2019年1月の新庁舎移転にともない、すべてのプランを同時に実現しようと考え計画を進めてきました。
─ 渋谷区における「働き方改革」とは、どのような取り組みだと言えますか。
働き方改革とは、区民サービスの向上を通じて、区民のみなさんにより多くの利益を提供するための取り組みだと考えています。そのためには単純作業はできるだけ効率化し、職員にはより付加価値の高いサービスを創造してもらう必要があります。職員一人ひとりがそうしたクリエイティブな仕事を行うには、クリエイティブな職務環境を用意する必要があります。だから、Surface Pro 6も無線LANもBYODもすべて環境として用意しました。
職員が楽をするためのものではなく、パッションが持てる仕事のやり方を自分で選べるようにする。
最終的にそれが区民サービスの向上につながっていく。これが渋谷区のめざす働き方改革です。
─ 最後に、日立システムズへのご評価をお願いします。
日立システムズが担当したICT基盤構築は、渋谷区はもちろん、複数の民間事業者との連携が必要な業務でした。そのため、渋谷区プロジェクトのチームメンバーとして、情熱を持ってアクティブにスピーディーに動いてくれることを期待しました。
今回、日立システムズはその役割を責任持って果たしてくれたと思います。日立システムズには今後もICT基盤をさらに進化させるために、どんどん新しい提案をしてほしいと思います。
渋谷区としては、今回のICT基盤刷新で得られた成果や知見を自分たちだけのものにするつもりはなく、日本全国の地方公共団体に積極的に提供していきたいと考えています。これは渋谷区、ひいては東京に課せられた役割だと考えています。日立システムズには、渋谷区のICT基盤を構築した当事者として、渋谷区モデルを全国に広げる活動を一緒になって推進していってほしいと思います。
渋谷区
今回の取材にご協力いただいたお客さま
ご協力ありがとうございました。
*本内容は2019年8月時点の情報です。
本事例に記載の情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。
日立システムズは、システムのコンサルティングから構築、導入、運用、そして保守まで、ITライフサイクルの全領域をカバーした真のワンストップサービスを提供します。